三世の王の行く道   作:世間の窓

1 / 2

どうも、世間の窓です。
久しぶりにマギを見たら書きたくなりまして、つい……。

別にもう一つ書いているので、筆が進みそうな方を投稿する形にします。
なので不定期な投稿とはなりますが、気長にお付き合いください。

それでは、第一話をどうぞ‼︎



1.出会い

 

 夢を見た。懐かしい夢だ。

 

 まるで王宮のような広い部屋の中、たくさんの財宝が積み重なり幾つもの山を作っている。

 宙にはガラス細工の時計が幾つも浮いており、その大きさは拳大のものから果ては両手を広げても足りない物まである。ガラスの時計達は不規則に宙を移動し、しかしそれぞれが意志を持っているかのように彼らは互いがぶつからないように避け合っている。

 時計達は天井から降り注ぐ光を反射し、まるで星々のように煌めく姿はとても幻想的で

 

 

『はぁい、そこのカッコイイお兄さん。私の部屋にようこそ〜』

 

 

 そんな煌めきの中に現れた彼女は、とても、とても────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん、んん…………夢、か」

 

 頬を(くすぐ)る風の感覚に目を覚ますと、昼の暖かな木漏れ日が視界いっぱいに入ってくる。

 それにしても懐かしい夢を見たものだ。確か……七年前、だっただろうか? 思い返せばあれが、僕の始まりであり、そして終わりだった。

 

 よいしょ、と背凭(せもた)れにしていた木から背中を離し立ち上がる。身につけていた紅のローブの埃を払い、近くに立てかけていた杖を手に取り歩き出す。

 ああ、今日もいい天気だ。雲ひとつない快晴、とまではいかないけれど非常に清々しい日だ。青空にぽつりと浮かぶ雲を眺め、何処を目指すでもなく歩く。

 

「さて、今日は何処を目指そうか……『グレモリー』」

 

『そうねぇ、とりあえず近くの村でも目指しましょう。きっと美味しいものが食べられるわ』

 

 僕の呟きに答えたのは一人の女性の声。蠱惑的で、聞く者全てを魅了するような艶やかな声だ。しかし、声は聞こえるが僕の周りには人影ひとつない。それもそのはず、彼女──グレモリーを一言で言い表すと『精霊』だ。

 

 この世界には『迷宮(ダンジョン)』と呼ばれる古代王朝の遺跡群が存在する。この『迷宮』は今から十四年ほど前に突如、なんの前触れもなく現れた謎の遺跡だ。

 

 曰く、そこには財宝が人知れず眠っている。

 曰く、そこに一度入ると攻略するまで出ることができない。

 曰く、その遺跡の最奧には『金属器』とそれを守る『精霊』がいる。

 

 と、以上のように『迷宮』には様々な噂が流れている。これまで幾つもの『迷宮』が現れ、野心を抱く者、力を求める者、夢を叶えんとする者……多くの者が挑み、そして散っていった。

『迷宮』とは『王の器』を持つ者を見定める試練の場所でもある。生半可な覚悟と実力で挑めば、先に待っているのは『死』のみ。しかし、そんな『迷宮』を攻略した者もいる。未だ数えるほどしかいないが、その試練を乗り越え王となった者たちを人はこう呼ぶ──『迷宮攻略者』と。

 そして『迷宮攻略者』はその『迷宮』の『精霊』を従える『王』となる。そして『王』となった者は『精霊』と契約し人知を超えた力をその身に宿す。

 

 

 そう、僕のように。

 

 

「ふふっ、君には味覚なんてないだろう? 食べても美味しいと感じるのは僕だけだよ?」

 

『気分よき・ぶ・ん♪ さ、行きましょう』

 

 可愛らしい口調と共に、僕の胸元に吊るした水晶のように透き通る時計が淡く光を放つ。

 もう一度言おう、彼女の名前は『グレモリー』。『第56迷宮』を守る『精霊』にして、僕の大切な相棒だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グルル……ガルルル……ッ‼︎」

 

「う〜ん、これはどうしたものかな」

 

 森を出て、草原を歩きどれほど経っただろうか、太陽は真上を過ぎやや沈みかけていた。このまま今日も野宿かと、そう思っていた矢先────僕は身の丈が3メートルはあろうかというほど巨大な体躯の虎に出くわしてしまった。

 僕としては面倒ごとは避けたいのだが、どうやらあちらはお腹が空いているらしく、その赤い双眸は狩人のごとくギラギラと滾っている。

 

「見逃してくれないかな……とはいかないよね」

 

『当たり前じゃない。相手は獣、言葉なんて通じるわけないわ』

 

「だよね」

 

 さて、見逃してもらえないとなると、いよいよどうすればいいか考える必要がある。別にあの虎を()()()()()()()()()だが、こちらは別にお腹も何も減っていない。何の益もないのにただ命を奪うというのはどうかと思う。

 

『本当に甘い人ね。たかだか獣一匹、そこまで考える必要ないじゃない』

 

「なにぶん、これが性分なものでね……呆れたかい?」

 

『いいえ、そういう所を含めて私は好きよ』

 

 彼女との他愛ない会話にクスリと笑いが溢れる。

 

「グルルッ、ガァアアアア‼︎」

 

 とうとう我慢しきれなくなった虎は、その巨体には似つかわしくない俊敏な動きで瞬く間に僕との距離を詰める。そして僕の頭よりもふた回り大きな前足を振り上げた。さて、できれば手荒な真似はしたくなかったけれどしょうがないか。

 そして虎がその鋭い爪を振り下ろし、僕が構えをとったその直後

 

「はぁああっ!」

 

 そんな掛け声と共に、僕の背後から一つの影が飛び出る。チラリと見えた横顔は中性的で、水色の髪を頭の後ろで一つに束ねていた。彼女(彼?)は両手に持った剣で虎の一撃を防ぎ弾き飛ばすと、そのままガラ空きの腹部目掛けて回し蹴りをお見舞いする。後方まで吹き飛ばされた虎は数度地面を跳ねると、痛みに捥がきながら苦しげな声をあげる。

 彼女(彼?)は着地すると振り返り、こちらへ駆け寄ってきた。

 

「ご無事ですか?」

 

「ああ、うん。おかげさまで傷一つないよ、ありがとう」

 

「そうですか、怪我がないのなら何よりです」

 

 そう言って朗らかに笑う彼女(彼?)。すると何かに気づいたのか、右拳を左手で包み頭を下げだした。

 どうしたのだろうか、と彼女の行動に頭を傾げると

 

「旅の御人、大丈夫でしたか?」

 

 背後から凛とした女性の声が聞こえてきた。振り返ると、そこには白い衣装に身を包んだ女性が馬上からこちらを見下ろしていた。長い黒髪を二つの金の飾りと白い帯で垂髪にし、口元にあるホクロが特徴的な女性だ。

 彼女は馬から降りると、後ろの彼女(彼?)と同じ姿勢をとり自己紹介をする。

 

「私は『(れん) 白瑛(はくえい)』と申します。あなたが虎に襲われていたところを目撃したので、微弱ながら助力をさせていただきました」

 

「練……ということは、貴女は『煌帝国』の御息女か何かかな?」

 

 小さく頷く女性──練皇女。『煌帝国』とは、ここ数年の間に他国を侵略・傘下に加えることで急成長を遂げた国家だ。今もなお拡大を続けている煌帝国、その皇女がこのような草原にいるということは、政治的な交渉をしに行く途中かその帰りといったところだろう。

 

「とりあえず助けてくれたこと、感謝するよ。僕の名前は『シルフィード』、よろしくね皇女様」

 

「礼を申される様なことはしておりません。それに私たちの助力がなくとも、貴方ならば容易に対処できていたでしょう?」

 

「そんなことはないよ、困っていたのは本当だったんだから──それと」

 

 皇女様から後方へと視線を移す。そこには痛みから回復した虎が瞳を怒りで染め、低い唸り声をあげて僕たちを睨みつけていた。

 

「あの虎、まだ僕たちに用があるみたいだね」

 

「ガルル……グルルルルッ!」

 

「姫様、お下がりください」

 

 今にも襲いかかってきそうな迫力の虎。青舜さんは刀を構え直し、僕と皇女様を守る様に立つ。

 

「下がりなさい青舜(せいしゅん)。あとは私がやります」

 

 そんな青舜さんへ皇女様はそう言い、青舜さんは彼女の指示に従い刀をしまうと道を開ける。皇女様はどこからか白い羽扇を取り出し、僕たちの前に出ると

 

「──虎よ、去りなさい」

 

 凛と澄みハリのある声とともに、一陣の風が吹く。突風とも呼べるその風はまるで、目の前の彼女の覇気を伝えている様で。

 

『うわ、あの金属器ってもしかして……』

 

 なぜか面倒くさそうな声音のグレモリー。どうやら皇女様の持っている羽扇は金属器らしい。どうりでいいタイミングに突風が吹くわけだ。

 

「グルル……ガルル……」

 

 すると虎は皇女様の持つ、いや『金属器使い』の持つ常人とは一線を画する雰囲気を感じ取ったのか、小さく唸ると反転。そのまま草原の彼方まで走り去っていった。

 たった一言でこの場を収めてしまうとは、やはり人の上に立つ人物というのは風格から違うものなのか。

 

 これが僕、シルフィードと皇女様との初めての出会いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「白瑛殿、勝手に離れてどこへ行っておられたのですか!」

 

 白瑛さん(彼女からそう呼んでくれと言われた)と共に彼女の軍に戻ると、そこにはテントのようなものがいくつか建てられていた。僕が白瑛さんの後に続いてこの中でも大きなテントの入り口を潜ると、頭巾を被り髭を蓄えた一人の男性が声をかけてきた。男性は苛立ちを隠しもせず、白瑛さんに軍を置いて出て行った理由を問い詰める。

 

「軍を率いる将が勝手にいなくなられては、万が一の時に混乱が生じますぞ。それは貴女も重々承知でしょう?」

 

「ええ、それはわかっています」

 

 確かに、軍を率いる者として勝手に出て行くのは褒められた行為ではないだろう。とはいえ、仮にも困ってくれたところを助けてくれた人が責められているのは、見ていて気持がいいものではない。

 

「そこまでにしてくれないかい? 彼女はただ、僕を助けてくれただけなんだよ」

 

「んん? 白瑛殿、この男は一体誰ですかな? 困りますぞ、部外者を勝手に軍へ引き連れてもらっては」

 

「彼は我々と同じく、黄牙一族の元を目指しているそうです。ですが道がわからないとのことで、案内をしようかと思いまして」

 

 そう、僕が白瑛さんの軍に来ているのはそれが理由だ。近くの村といっても、ここからその黄牙の村まではなかなか距離があるらしい。そんな時、白瑛さんが案内してくれると言ってくれたのだ。

 だがやはり、部外者が軍に来るというのは良くないらしい。男性からの疑惑の視線がチクチクと刺さる。これ以上僕がこの場にいては空気は悪化するだけだし、外に出ていようかな。

 

「お世話になるのは今日一日だけだから。その間は皇女様の邪魔はしないようにするさ」

 

 そう言い残し、僕はテントを出る。最後の最後まであの男性からは睨まれたままだったけど、おとなしくしていれば大丈夫だろう。

 

 

 

 

 

 

 





いかがだったでしょうか? 拙い文ですが、どうか目を瞑っていただきたいです

タグでも書いた通り、本作品には原作にはないジンを出しております。
金属器、能力等はまだ秘密ですので想像しながらお待ち下さい!

では、また次話で‼︎

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。