艦隊これくしょん-詭道の兵-   作:はまっち

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06_嵐に踏み込め

「ベースが……燃えてる?」

 

 誰かが、ポツリと漏らす。

 この場合の出火を見てまず考え得るのは、何者か――先ほどの黒い怪物――の襲撃。

 次に、ただの小火騒ぎ。

 

 そして、“同じ穴の狢”によるもの。だ

 

 「……全員、注目」

 

 宇治はいったん地面にしゃがんで、現在の6名――大なり小なり生傷を負っている彼らを呼び集めた。各々が30回以上もそれぞれ同士を殺し合える武器を背負った男たちは、ざりざりと半長靴で草を踏みにじり近づいてくる。

 

 「現在、俺たちのベースから出火している」

 

 それは見て解るな。宇治はそう前置きして、続けた。

 

 「恐らく敵――さっきの怪物か、俺たちみたいな人間かが放火したものと思われる。――――そして、あそこには最初に黒い怪物と交戦したときの重傷者が多数いる」

 

 一瞬、宇治をねめつける視線が密度と敵意を一気に引き上げた。気がついていないような振りをして、更に言葉を吐き出す。

 

 「さて、俺たちはどうする。――重傷者を助けに行くか、それとも否か。だ」

 「もちろん、あのベースを捨ててどこか他の地に行くというのも構わない。各個人の自由意志にゆだねよう」

 

 つまりは、今この現状で逃げ出しても罪には問わない。と言うことだ。

 

 「もともとの組織がどんな事をやっていたのかは解らない。ただ、鼻つまみ者の多いこの組織においてこの組織自体がお前たちの存在価値たり得るものだったと言うことは、重々理解している。…………ここ、フィリピンという国家が既に機能していない以上、ここで逃げ出しても捕縛される危険性はない。フィリピンの軍も警察も、日本軍も恐らく組織的な抵抗を試みることができないまでには機能していない」

 

 だから、人殺しを行っても裁く者はいない。暗にそう伝えているのだとわかって、数名の男が不快感を隠そうともせずに眉間にしわを寄せた。

 

 「……サー。俺たちが人一人撃てないような甘ちゃんだというので?」

 

 先ほど報告に来た男が、強い不快感をその顔立ちによりいっそう込めながら吐き捨てる。

 いいや、そうではない。と首を静かに横に振ると、ホルスターから拳銃を抜き取ると、おもむろに皆に見えるような地べたに置いた。

 

「現在、俺たちを守れるものはこれしかない。対話による平和的解決が望めないとするならば、人殺しをも視野に入れていかねばならない」

 

 拳銃。暴力の象徴である黒い鋼色の機械は、宇治の掌の中で弄ばれる。周りの男たちは顔を見合わせて各々でそうだな。と首肯し始めた。

 

 「もしもあの襲撃が他の人間の手によるものだとしたら、同じ血の通った、同じ言葉を操る民族だとしたら、敵をためらいなく射殺できるか?」

 

 先ほどの男すらも、口ごもる。それを見て立ち上がり、あたりをぐるりと見渡してから発言した。

 

 「先ほども言ったが、別に逃げ出すのは咎めない。各個人の自由意志を尊重しよう」

 ただ。宇治はおもむろに言葉を繋げる。

 

 「以前の組織ではなく“俺たち”で働く心意気があるという奴は、今まで以上にこき使われることを覚悟しておけ。代わりに居場所くらいは作ってやる」

 

 そう言うと、宇治は拳銃を腰だめに構えてジャングルの向こうへ。ベースの方角へと歩き出した。対して、焚き火のすぐ側に残された男たちは顔を見合わせて、どうするかを考える。

 

 そして、めいめいに己の思う方角へと進んでいった。

 

 

 

 ベースまで、およそ200といったところか。宇治は一人、静かな森の中で呟いた。

 一晩中、黒い怪物と戦い通してもう体力も限界に近い。夜が明けるまでにはベースを取り戻すかどうにかして眠りたいものだ。

 

 木の根っこを踏み外して、ぐらりと上体が揺れる。はっと腐葉土の土を踏みしめてバランスを保つ。ぐじゅりと水分を含んだ土が鳴いた。

 

 先ほどはあんな啖呵を切ったが、結局誰もついて来なければ一人では何も出来ない。何だってあんな演説まがいのことをやらかしたのか。

 

 疲れから朦朧とする意識の中、何かを考えて何かを反省する。それすらも記憶から抜け落ちていく。

 これではマズいとまだ冷静な心が諭す。懐から丸薬タイプの錠剤を一錠、月明かりが出ているかどうかさえ解らないほど暗い森の中で探し当て、それを口に含んだ。

 

 「ぐっ……」

 

 一気に脳に酸素が行き渡る感覚。直後に手足が少しだけ軽くなったように感じて、周囲が広く鮮明に見えてきはじめる。

 

 1番肝心な多幸感は、1番最後にやってきた。少しだけ目が冴えてきて、もしも昼なら鼻歌でも歌ってピクニックにいけるほどのテンションまで持ち直すことができた。

 

 「流石にこれは、異常だとは思うがな……」

 

 そう悲しげに呟いた瞬間、宇治の耳が何かを聞きとがめる。

 ぴくりと耳自体が動くような錯覚を覚えて、その物音が継続的に、定期的に鳴っていることに気付いた。

 それは、ざっざかと腐葉土を踏みしめる革靴の音にそっくり。足音の数はおおよそ6。それだけで、宇治にとっては何がそんな音を後ろから発しているのかが解った。

 

 「…………そうか」

 

 宇治の後ろについた、老若問わない男達。

 濃緑色のピクセルカモ、薄茶色の作業服、そして森林迷彩の戦闘服。各々の袖を揺らして、銃を支えながら歩を揃える。

 

 全部で7人の男たちは、足並みをぴたりと揃えて道なき道を歩んでいった




おい、誰だこんなに意味のわからない話を書いたのは。
艦これなのにまだ艦娘と会話すらしてないじゃないか。
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