牙狼ライブ! 〜9人の女神と光の騎士〜   作:ナック・G

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お待たせしました!第15話になります!

今回は前回の続きとなっております。

突如現れた伝説の名医ファビアンですが、奏夜はホラーであるファビアンの尻尾を掴み、討滅することは出来るのか?

それでは、第15話をどうぞ!




第15話 「医術 後編」

伝説の名医と呼ばれたファビアンが西木野総合病院にやって来て、早くも5日が経過していた。

 

西木野総合病院の入り口にテントを張って駐留しており、そこを簡易の診療所にしている。

 

西木野総合病院には、ファビアンの診察を求めて大勢の患者が押し寄せるのだが、それと同時に、病院の患者数は激減していた。

 

この状況に、この病院を経営している真姫の父親は頭を悩ますのだが、ファビアンによって救われた命も多くあったことから、複雑な心境になっていた。

 

真姫は、最初からファビアンが怪しいと思い、独自に調べていたのだが、1人の力では、調べるのにも限界があった。

 

一方奏夜も、ファビアンがホラーではないかと疑ってはいたものの、その証拠を掴むことは出来なかった。

 

ファビアンは仮面をしているため、魔導火でホラーかどうかを判定することが出来ないからである。

 

夜中にファビアンのテントに忍び込み、様子を見ようと企んだりもしたのだが、ファビアンは相当用心深いからか、奏夜がテントに忍び込んだ時にはもぬけの殻だったりと、ファビアンはなかなか尻尾を掴むことは出来なかった。

 

そんな状態で5日もホラーに接触出来ず、犠牲者は出ていたのである。

 

この日、μ'sの練習を終えた奏夜は、ホラーを見つけるために、1度番犬所へと立ち寄り、作戦を練ることにした。

 

「……奏夜。例のホラーの件ですが、首尾はどうです?」

 

「申し訳ありません……。ホラーの正体に察しはついているのですが、なかなか尻尾を掴むことが出来ず……」

 

『奴は思った以上に用心深いみたいだからな。迂闊に手を出せば、面倒なことになるだろうしな』

 

奏夜は、未だにホラーと接触出来ていないことを誤り、キルバが冷静に分析していた。

 

「ふむ……。これは困ったことになりましたねぇ。それに、すでに行方不明になっている人の数がこの街だけでも5人です。恐らく、他にも行方不明はいるはずですね……」

 

ロデルの指摘通り、ホラーの被害はすでに広がっており、この秋葉原でもすでに5人が行方不明になっていた。

 

この5人の共通点としては、全員ファビアンの治療を受けていた者なのだが、ファビアンが直接的に関わっている証拠はないため、奏夜は身動きを取ることは出来なかった。

 

それだけではなく、警察もファビアンが怪しいと捜査をしていたのだが、こちらも証拠がないため、これ以上の追求は出来なかった。

 

「くそっ!十中八九ファビアンの仕業だってわかってるのに、その尻尾すら掴めないなんて……!!」

 

ホラーの正体を察することが出来ても、奏夜は何もすることが出来ず、悔しさをにじませていた。

 

「奏夜、落ち着いて下さい。私としてもこれ以上の被害は出したくありませんが、警察も動いている以上、迂闊な動きをする訳にはいきません」

ロデルは、毅然とした態度で、冷静さを失っている奏夜をなだめていた。

 

「……そうですよね……。申し訳ありません、ロデル様」

 

「わかれば良いのです。……しかし、患者にならなければ、ファビアンに近付けないのですかねぇ……」

 

「患者になる……。やっぱりこれしか方法はないのか……」

 

奏夜は、ロデルの「患者になる」という言葉を聞いて、ファビアンに接触する策を思いついたようであった。

 

「……奏夜。何か良いアイディアを思いついたようですね」

 

「はい。正直これは一か八かで、リスクはありますが、穂乃果たちの力を借りようと考えています」

 

「……μ'sのメンバーであるあの子達を……ですか?」

 

「えぇ。上手くいけば、確実にファビアンに接触出来るはずです」

 

奏夜の本音としては、穂乃果たちを危険に晒す真似はしたくなかったのだが、これ以上ホラーの被害を出さないためには、これしか方法が思いつかなかった。

 

「……わかりました。そうと決まれば、とっておきの秘薬を用意しましょう。……あの薬を奏夜に渡して下さい」

 

「ハッ、かしこまりました」

 

ロデルの付き人の秘書官の1人は、神官の間の奥から、青い液体の入った小さな瓶を取り出し、それを奏夜に手渡した。

 

「……ロデル様、これは?」

 

「実はとある魔戒法師が、ホラーとの戦いでの傷を癒す薬を開発していたのですが、これは失敗作なのです」

 

「失敗作……ですか?」

 

「この失敗作を飲んでしまうと、命に別状はないのですが、極度の腹痛に見舞われるみたいなのです」

 

ロデルの説明通り、奏夜の受け取った薬は、とある魔戒法師が開発した薬の失敗作であり、これを飲んでしまうと、極度の腹痛に襲われるという百害あって一利なしな薬なのである。

 

「本来ならばこれを処分しようと考えていましたが、まさかこんなところで役に立とうとは……」

 

ただ腹痛になる薬など必要性を感じないものであったが、意外なところで役に立つことが明らかになり、ロデルは驚きを隠せなかった。

 

「ありがとうございます、ロデル様。こいつを上手く使ってホラーを討滅してみせます」

 

奏夜は、ロデルのおかげでホラー討伐の活路を見出したため、そのことに礼を言って、実践しようとしていた。

 

「そこは頼みましたが、あまり彼女たちに無茶はさせないで下さいね!私はまだまだμ'sのパフォーマンスを見たいんですから!」

 

スクールアイドルにハマっているロデルは、穂乃果、海未、ことりの3人がパフォーマンスをしている初ライブの映像をチェックしており、その時からμ'sのファンとなっていた。

 

「はい!もちろんそのつもりです!」

 

「……それはそうと、μ'sのメンバーが6人になったそうですね!」

 

「ろ、ロデル様……ご存知でしたか?」

 

「もちろんですよ!スクールアイドルのサイトは毎日チェックしてますからね!」

 

ロデルは、番犬所の神官としての務めを果たしながら、時間のある時に、どこから電源を持ってきているのか未だに謎であるが、パソコンを使ってスクールアイドルのサイトを毎日チェックしている。

 

そこには、μ'sの紹介ページも当然あり、奏夜を除いた6人の写真が掲載されていた。

 

「……μ'sのコメントを見ましたが、μ'sのことを認めていないコメントもあるんですよね……」

 

μ'sは、初ライブを終えてからというもの、反響があったようであり、日に日に知名度が増してきていた。

 

初ライブの動画の再生数やコメントも日に日に増えており、今、人気が急上昇しているスクールアイドルグループとして、注文され始めていた。

 

しかし、μ'sのことを快く思っていないものもいるようであり、「アイドルを語るなんて10年早い!」とコメントをしている者がおり、ロデルはそれが残念でならなかった。

 

「……μ'sはスクールアイドルを始めたばかりです。そう思う人がいるのも仕方ないと思います。だけど、いつの日か必ず、その人たちも認めさせてやりますよ」

 

全員が全員μ'sのことを支持している訳ではないとわかった上で、奏夜はこのような宣言をしていた。

 

「流石はマネージャー。頼もしいですね。奏夜、頼みましたよ」

 

「はい!」

 

奏夜はロデルに一礼すると、番犬所を後にした。

 

その後、ファビアンの様子を見つつ、接触する機会を伺うために、奏夜は西木野総合病院へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

 

奏夜は西木野総合病院の前に立てられたテントの前に到着した。

 

この日もファビアンの診察を求めて多くの患者が訪れていたのだが、この日の診察はもうすぐ終わりのため、行列はまばらになっていた。

 

「さて……。これからどうするか……」

 

奏夜はロデルから預かった薬をどこで活用するべきか考えていた。

 

穂乃果たちに協力してもらおうとはせずに、自分で薬を飲めば良いのかもしれないが、魔戒騎士である奏夜にこのような薬は効果がない。

 

そのため、不本意ながらも穂乃果たちの協力が必要不可欠だった。

 

しかし、穂乃果たちを危険にさらして良いものかと、奏夜は悩んでいた。

 

奏夜はそのように悩みながらファビアンのいるテントを眺めていたその時だった。

 

「……あれ?そーくん、どうしたの?」

 

偶然西木野総合病院を訪れていた穂乃果たちが、奏夜の姿を見つけ、穂乃果が奏夜に声をかけた。

 

「……お、みんな。どうしたんだ?みんな揃って」

 

「練習は少し前に終わったんですけど、今日は真姫の付き添いで来たのです」

 

「パパの病院の患者さんがファビアンに取られてるから、心配なのよ……」

 

ファビアンが西木野総合病院に現れてから、患者がファビアンの方へ行ってしまったため、そのことが真姫の父親を悩ませていた。

 

「……私、ファビアンのことを怪しいって思ってるんだけど、なかなかその証拠を集めることが出来ないのよね……」

 

どうやら真姫は、ファビアンのことをホラーではなく、ヤブ医者と思っているらしく、独自に調べていた。

 

しかし、その足取りは掴めず困っており、練習にも身が入らない程であった。

 

「……なるほどな。俺もファビアンのことは怪しいと思っている。それで、ファビアンに接触したいと思っていたが、なかなか難しくてな……」

 

「……奏夜もファビアンのことを調べていたのね?」

 

ファビアンについて調べている理由は真姫とは異なるのだが、奏夜はホラーや魔戒騎士のことを真姫と凛には話していないため、その話をする訳にはいかなかった。

 

しかし……。

 

「……ファビアンに近付くなら患者になるのが一番手っ取り早いと思ってな」

 

そう言いながら、奏夜はロデルから預かった薬を取り出した。

 

「……?そーや先輩。それはいったい何かにゃ?」

 

「何かの薬……なのかなぁ?」

 

「薬は薬なんだけど、これは失敗作みたいでな。これを飲んだ人間は激しい腹痛に襲われるみたいなんだ」

 

「な、何よそれ!インチキも良いところじゃない!」

 

真姫は、薬と言うにはあまりに怪しい薬に文句を言っていた。

 

「だが、こいつを飲んで腹痛になれば、奴に近づける。そうすることで、奴の本性もきっとわかるはずだ」

 

「……!?そ、そーくん、まさか……!」

 

穂乃果は何故ここまでのことをしなきゃいけないのかを察しており、奏夜は無言で頷いていた。

 

「?まさかって何のこと?」

 

穂乃果の言っている言葉の意図が理解出来ず、真姫は首を傾げていた。

 

すると……。

 

「だったら、私がその薬を飲むよ!だって、私は少しでもそーくんの役に立ちたいんだもん!」

 

飲んだら腹痛に襲われるとわかった上で、穂乃果は薬を飲む意思を奏夜に伝えていた。

 

「だ、だけど、穂乃果……」

 

《奏夜。今さら何を迷っているんだ?最初から誰かに薬を飲んでもらうつもりだったのだろう?》

 

(確かにそうだけどさ、やっぱりみんなを危険に晒すのは……)

 

奏夜は土壇場になって、穂乃果たちに協力してもらうことを躊躇っていた。

 

下手をすれば、ホラーに捕食されてしまう可能性だってあるからである。

 

《奏夜。覚悟を決めろ!中途半端な優しさはあいつらのためにならないぞ。それに、これ以上ホラーを野放しにはしておけん。あいつらの協力もやむなしだろう》

 

(……わかったよ。俺がみんなをホラーから守ればいいんだから……)

 

《そうだ、奏夜。その意気だ!》

 

土壇場になって躊躇していた奏夜であったが、ようやく覚悟を決めて穂乃果たちに協力してもらおうと考えていた。

 

そのため、穂乃果に「頼む」と言おうとしたのだが……。

 

「いえ、私が飲みましょう。あの医者が本当にヤブ医者なら危険ですからね。ここは私に任せて下さい」

 

穂乃果に危険なことはさせたくないと思っているのか、海未が薬を飲む意思を伝えた。

 

「で、でも海未ちゃん!」

 

「私のことは心配いりません。私は鍛えていますし、ちょっとやそっとな痛みなど慣れていますから」

 

海未はスクールアイドル活動の他に、弓道部として活動しており、それ以外にも古武術の稽古や、日舞の稽古など忙しい毎日を送っている。

 

だからこそ、多少の痛みには慣れているのである。

 

「ダメだよ!海未ちゃんはただでさえ忙しいんだから!だからここは穂乃果が!」

 

「いーえ!私が行きます!」

 

穂乃果と海未は、自分が奏夜が持つ薬を飲むんだと主張して一歩も引かず、一触即発の状態になっていた。

 

奏夜が止めに入ろうとしたその時だった。

 

「……私がそれを飲むわ」

 

何と、真姫が薬を飲むと申し出ており、意外な人物が名乗り出たことに、奏夜たちは驚いていた。

 

「奏夜が何を企んでいるのかは知らないけど、この中でファビアンのことを調べたいと1番思ってるのは私よ。だから、私が体を張るべきなのよ」

 

真姫は、ファビアンの真実にたどり着くためなら、手段は選んでいられないと思っていた。

 

そんな真姫の眼は真剣そのものであり、それは揺るぎないものであった。

 

そのような眼をしている真姫を見た奏夜は、穏やかな表情で笑みを浮かべていた。

 

そして……。

 

「……真姫。頼めるか?」

 

真姫の覚悟を汲み取った奏夜は、薬を飲むのは真姫にお願いすることにしていた。

 

「……任せなさい」

 

奏夜から薬を受け取った真姫は、ビンのフタを開けると、一切躊躇することなく薬を飲み干した。

 

すると、この薬の副作用はすぐに起こってしまい……。

 

「……!!?な、何なのよ!この痛み!痛たたたた!!」

 

突然急激な腹痛が真姫を襲い、その強烈な痛みに表情を歪ませていた真姫は、その場にしゃがみ込んでいた。

 

「……ま、真姫ちゃん!?大丈夫!?」

 

「心配はいらない。こいつは1時間もすれば効果が切れるハズだ。それまでには診察も終わって痛みも和らぐことだろう」

 

奏夜の説明通り、この薬の効果は1時間程で切れるのだが、それまでにはファビアンが何かしらの治療を施すだろうと予想していた。

 

「と、とりあえず、早く診てもらいましょう!」

 

真姫のあまりの痛がりように、これがファビアンに近付くための作戦であるということを、穂乃果たちは忘れてしまっていた。

 

そんな中……。

 

(……よし、ここまでは計画通り……だな。真姫には申し訳ないけど、協力してもらわないとな)

 

奏夜は、ファビアンの正体を探るために自ら失敗作の薬を飲んでくれた真姫に申し訳ないと思いながら、このまま真姫に協力してもらおうと考えていた。

 

奏夜は真姫をファビアンのところまで運ぼうとするのだが、その前に指にはめられていたキルバを外すと、真姫の制服のポケットにこっそりと入れていた。

 

これは、奏夜がとある場面を想定してこのような行動を取っており、いざという時に、遠いところからでもキルバと連絡を取り合うためである。

 

こうして奏夜は真姫をお姫様抱っこのような形で抱きかかえながら既にこの日の診察を終えようとしていたファビアンのもとへと向かっていった。

 

その途中、穂乃果、海未、ことりの3人はドス黒いオーラを放って奏夜を睨みつけており、花陽と凛はそんな3人に怯えながら後を付いてきていた。

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

その頃、この日の診察を終えたファビアンは、この日診察した患者のカルテを眺めていた。

 

「さて……今日の獲物はどうしましょうか……」

 

ファビアンは、カルテを見ながら今日喰らう人間を吟味していた。

 

診察室にはファビアンしかおらず、西木野総合病院から派遣されたヘルプの人間も、診察室の中までは入れなかった。

 

なので、患者のカルテ管理も、ファビアンが行っていた。

 

西木野総合病院の人間にカルテ管理をさせると、誰を喰らうか選べないからである。

 

ファビアンがカルテを眺めていたその時であった。

 

「……ファビアン先生!急患です!!」

 

真姫を抱えた奏夜が血相を変えて診察室に飛び込んできた。

 

「あなた方は、私のお手伝いをしてくれた学生さんではありませんか。それに……」

 

ファビアンは血相を変えてここに飛び込んできた奏夜たちに面食らっていたのだが、奏夜に抱えられたら真姫を見ると……。

 

「……!あなたは、院長のご令嬢ではありませんか!わかりました。彼女をこちらへ」

 

ファビアンは診察室のベッドを指すと、奏夜は腹痛で苦しむ真姫を寝かせた。

 

「……申し訳ありませんが、これから診察を行いますので、皆さんは外でお待ち下さい」

 

(……やっぱり、診察の様子は見せないか……)

 

奏夜はこうなることを予想しており、一瞬ではあるが、不敵な笑みを浮かべていた。

 

「……わかりました。みんな、行くぞ」

 

「え?でも、真姫ちゃんが……」

 

「心配はいらないさ。ファビアン先生、真姫をよろしくお願いします」

 

「もちろんですとも。彼女はこの病院のご令嬢ですからね。全力で助けますよ」

 

ファビアンとしても、診察場所を提供してくれている西木野総合病院の院長の娘に何かあっては困るため、治療はするつもりだった。

 

(……頼んだぞ、キルバ)

 

《あぁ、任せておけ》

 

奏夜は、真姫の制服のポケットに忍ばせたキルバとテレパシーで連絡を取ると、穂乃果たちを連れて、診察室を後にした。

 

「……」

 

ファビアンはしばらく様子を見ていたのだが、どうやら奏夜たちはこっそりとこちらの様子に聞き耳を立てている訳ではなさそうだった。

 

そのため、ファビアンは聴診器を取り出すと、真姫の診察を始めた。

 

「……っ!?こ、これは……」

 

ファビアンは診察を始めてすぐに腹痛の原因を探るのだが、何が原因なのかわからなかった。

 

それも無理はない。

 

真姫は純粋に病気になった訳ではなく、奏夜の用意した薬の効果によって腹痛を起こしたため、実際の真姫は健康そのものだからである。

 

しかし……。

 

「……どんな病だろうと治してみせる!ファビアンの名にかけて!」

 

ファビアンの眼が怪しく輝くと、ホラーのゲートとなったファビアンの医術書を呼び出し、その医術書は勝手にページが開かれていった。

 

(……なるほどな……。やはりそういうことか……)

 

キルバは、ファビアンが治療法を見つける時に微かにホラーの邪気を感じ取ったため、ファビアンがホラーであることは疑いようがなかった。

 

(とりあえず、奏夜に報告はしておくか……)

 

ファビアンが医術書に則った薬を調合している隙に、キルバはこの真実を奏夜に報告することにしたのである。

 

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ファビアンの診察室を追い出された奏夜たちは、テントの入り口で、真姫の診察が終わるのを待っていた。

 

「……真姫ちゃん……。大丈夫かにゃ?」

 

「……心配ないさ。真姫なら、きっとな……」

 

真姫の側にはキルバがいるため、何かあったとしても大丈夫だろうと奏夜は判断していた。

 

すると……。

 

《……奏夜、聞こえるか?》

 

ファビアンの診察室にいるキルバが何かを掴んだようであり、奏夜にテレパシーを送っていた。

 

(……どうだ、キルバ?)

 

《どうやら、俺たちの推測は当たっていたみたいだ。あのファビアンとかいう医者がホラーみたいだぞ。奴が治療に用いている本がゲートになってるみたいだしな》

 

キルバは、ファビアンの正体がホラーであることを見抜いており、ホラーのゲートとなったものまで探っていた。

 

(……やっぱりな……。それにしてもゲートになった本まで持ち込むとはな……)

 

ファビアンの用いている本がゲートになってしまっているため、その本を持ち歩いているファビアンに、奏夜は呆れていた。

 

《まぁ、奴はあの本を使わねば満足な医療が出来ないのだろう》

 

(……それに、俺たちは何回もあのテントに忍び込んだんだけど、何で奴の尻尾すら掴めなかったんだ?)

 

《……どうやら他にも仕掛けはありそうだな。もうじき治療は終わりそうだし、調べてみよう》

 

(……頼むな、キルバ)

 

ここでキルバとの会話は途切れ、キルバは診察室に仕掛けられた真相を調べることにした。

 

「……とりあえず、俺は真姫の診察が終わるまで待つつもりだけど、みんなはどうするんだ?」

 

奏夜は穂乃果たちを極力はホラーとの戦いに巻き込みたくないと思っていたので、こう確認を取っていた。

 

「……私は残るよ。真姫ちゃんが心配だもん」

 

「ことりも同じかな」

 

「私だって同じです」

 

「わ、私も……。真姫ちゃんが心配だから……」

 

「凛も残るにゃ!真姫ちゃんが苦しんでるのに、帰れる訳ないよ!」

 

どうやら、穂乃果たちは帰ることはせず、残る決意を固めていた。

 

それは、真姫だけではなく、凛にも、奏夜がホラーを狩る魔戒騎士であると明かすことになってしまう。

 

しかし、ここで凛だけ返すのはあまりに不自然であると感じた奏夜は……。

 

「……凛。今のうちにお前に伝えておきたいことがある」

 

「にゃん?」

 

奏夜は、やむなく凛にホラーや魔戒騎士の話をすることにした。

 

ここで何も話さない方が、凛を危険にさらす可能性が低くなると判断したからである。

 

奏夜は、自分がμ'sのマネージャーをしながら、ホラーと呼ばれる怪物と戦う魔戒騎士だということを説明した。

 

そして、真姫と凛以外はホラーに襲われたことがあり、自分が助けたことも一緒に説明しておいた。

 

「魔戒騎士……ホラー……。何のことだかさっぱりにゃ……」

 

凛は、奏夜の口からいきなり非現実的な話を聞かされたため、少しだけ混乱してしまっていた。

 

「り、凛ちゃん!ホラーと戦う奏夜先輩は怖いかもしれないけど、奏夜先輩は奏夜先輩だから!」

 

ホラーと魔戒騎士の戦いを目の当たりにして、そのせいで奏夜のことを怖がっていた花陽が、必死に凛に弁解を聞かせていた。

 

「……凛は実際に戦いを見た訳じゃないからわからないけど、そーや先輩がμ'sのために一生懸命だってことはわかるよ!だから凛はそーや先輩のことを信用してるにゃ!」

 

「凛……」

 

凛は、まだ奏夜の戦いを見ている訳ではないのだが、奏夜が信用出来る人間だということはわかっており、そのことが奏夜には嬉しかった。

 

こうして、凛にもホラーや魔戒騎士の秘密を話した奏夜は、キルバとテレパシーで連絡のやり取りを行い、奏夜がファビアンに近づけるよう対策を練っていた。

 

そうしているうちに、夜となってしまい、ファビアンは、自らの力で調合した薬を真姫に飲ませることで、真姫の腹痛を治すことに成功した。

 

その薬の副作用により、真姫は眠ってしまったのだが、キルバはその隙に、色々とこの診察室の調査を行っていた。

 

そして、その都度得た情報は、奏夜に共有していた。

 

どうやら、診察室には結界が貼ってあるようだった。

 

奏夜は何度も診察室であるテントの中に忍び込んだのだが、結界が効いているからか、中には誰もいないような感じになっていた。

 

それだけではなく、奏夜がテントに忍び込んだ時にも、ファビアンは、患者を捕食していたのである。

 

だからこそ、奏夜は今までファビアンによる被害を食い止めることが出来なかった。

 

これらの真実は、キルバがこの診察室に残されている被害者の残留思念を微かに感じ取ったために発覚したのである。

 

キルバは、ファビアンに気付かれないように、少しずつ結界を破り、奏夜がいつでも突入出来るように準備をしていた。

 

ファビアンは、真姫の診察した内容をカルテに記入しており、その内容をチェックしていた。

 

それに夢中になっているため、真姫の制服のポケットに隠れているキルバがこそこそと行っている行動に気付かなかったのである。

 

それをひと通り終えたファビアンは、「ふぅ……」と一息ついていた。

 

「……それにしても、この病院の令嬢が担ぎ込まれてくるとは……。予想外だったな……」

 

真姫の診察を終えたファビアンだったが、真姫が来ることは予想外だったため、驚きを隠せずにいた。

 

「……警察の奴らだけじゃなく、色んな人間が私の周りを嗅ぎまわっているみたいだし、ここらが潮時かもしれないな」

 

ファビアンは、これからも人間を捕食するために、明日からはこの病院を離れて別の場所へ移動しようと考えていた。

 

「その前に……」

 

ファビアンは、ベッドで眠っている真姫を見て、怪しい笑みを浮かべていた。

 

「腹痛を治した西木野総合病院の令嬢……。私のこの地最後の食事に、これ程相応しい人物はいない!」

 

どうやらファビアンは、この地を離れる前に真姫を捕食しようと考えており、目をギラギラと輝かせながら怪しい笑みを浮かべていた。

 

「さて、じっくりと味わうとしよう!この地最後の食事をな!」

 

ファビアンの仮面の口の部分が開き、まるで獣のように真姫を捕食しようとしていた。

 

その時だった。

 

「……なるほどな。あんたはそうやって患者を喰っていたって訳か」

 

キルバの力によって結界が一部破られており、そこから姿を現した奏夜が、人間を捕食しようとする決定的瞬間を目撃した。

 

「……!?馬鹿な!!ここには結界が貼ってあるのだから、誰も入ってこられないハズだ!」

 

自分で白状した通り、ファビアンはこのテントに結界を貼ることで、万が一誰かに浸入されたとしても、わからないようにしていた。

 

すべては、確実に治療した人間を喰らうためである。

 

ファビアンは治療した人間をここへ誘い込む時に一時的に結界を解くのだが、そのことにより、その一部に綻びが生じてしまった。

 

だからこそ、キルバが少々念を込めるだけで結界の一部を壊すことが出来たのであった。

 

「迂闊だったな。結界を貼るならもっと強固なものにしないと。それに……」

 

奏夜はベッドで眠る真姫に近付くと、制服のポケットに手を入れて、中に忍ばせておいたキルバを回収し、指にはめた。

 

「!?そ、そいつは魔導輪!貴様、魔戒騎士か!」

 

「ご名答。それにしても、こんなところで見境なく患者を喰らっていたとはな」

 

「……それは違うな!私は1日に食べる人間は1人と決めているのだ。暴飲暴食は体に悪いからな」

 

ファビアンはこのテントで人間を喰らっていたのだが、1日に喰らうのは1人だけと決めていた。

 

そのため、行方不明者の数はそこまで膨れあがらなかったのである。

 

「ホラーが世迷いごとを……!」

 

奏夜は鋭い目付きでファビアンを睨みつけ、魔戒剣を取り出そうとするのだが……。

 

「……ちょっと待った!見つかってしまった以上、私は逃げも隠れもしない。だから、戦う場所を変えないか?」

 

「ふざけるな!誰がホラーの言うことなど……」

 

「私としても、この病院を戦場にしたくはないのでね」

 

ファビアンはこの病院の敷地を借りて診察を行いながら人間を喰らっていたため、この病院には思い入れがあった。

 

なので、この病院の前でドンパチしたくなかったのである。

 

「……わかった。だが、移動中に妙な真似をするようなら、俺は容赦なくお前を斬る」

 

「フン。私はホラーである前に医者だ。卑怯な振る舞いはするものか」

 

どうやら、このファビアンに憑依したホラーは、他のホラーとは異なり、卑怯な振る舞いは嫌いなようである。

 

それなら人間を喰らう時に結界を貼るなよとツッコミを入れたくなった奏夜であったが、ホラーであるファビアンにそんな言葉を送るつもりはなかった。

 

こうして、奏夜とファビアンは、2人で戦うためにテントを後にすると、近くの広場に移動した。

 

その途中、奏夜は携帯を取り出すと、「真姫が診察室にいるから真姫を頼む」とLAINでメッセージを送り、それを受け取った穂乃果は、他のメンバーと共に診察室へと急行した。

 

キルバによって結界の一部は壊されており、ファビアンも結界を解いていたため、穂乃果たちはベッドで眠る真姫をすぐに発見した。

 

「……あ、あれ?私、どうして眠って……」

 

真姫は起きぬけだからか、現在の状況を理解出来ずにいた。

 

「あ、真姫ちゃん!気が付いた?」

 

「真姫。あなたは奏夜の用意した薬を飲んでそのままファビアン先生の診察室に担ぎ込まれたのです」

 

「!!そうだ!ねぇ、ファビアンと奏夜はどこに行ったの?」

 

真姫は、ここでようやく今の状況を認識し、周囲を見渡すのだが、ファビアンと奏夜の姿がないことが気になっていた。

 

「真姫ちゃんのことを頼むって連絡は来たけど、そーくんはどこに行ったんだろう?」

 

穂乃果は、奏夜からLAINでのメッセージは受け取ったのだが、奏夜とファビアンの居場所まではわからなかった。

 

「もしかして、2人揃ってどこかへ移動したのではないのですか?」

 

「それはあり得るかもね。そーくんのことだもん。きっと……」

 

自分たちをホラーとの戦いに巻き込まないために、奏夜はここを離れたのだとことりは推測していた。

 

「そういえば、ここの近くに広場があったよね?もしかしたらそこなのかなぁ?」

 

「……!何で2人はわざわざそんなところに?」

 

「とりあえず行ってみるのにゃ!!」

 

「そうだね、行ってみよう!」

 

「で、ですが穂乃果……」

 

凛と穂乃果は奏夜とファビアンがいるであろう広場に向かおうとしたのだが、海未がそれを止めていた。

 

「……海未ちゃんの言いたいことはわかるけど、やっぱりそーくんが心配だもん!」

 

「?心配って、いったい何のことよ?」

 

まだ奏夜が魔戒騎士であることを知らない真姫は、穂乃果の言葉に首を傾げていた。

 

「とりあえず、行ってみるのにゃ!!」

 

凛は、何が何だか訳のわからない真姫の手を強引に取り、広場へと向かっていき、穂乃果たちは慌ててその後を追いかけていった。

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果たちが、真姫のもとに到着した頃、奏夜とファビアンは西木野総合病院付近の広場に到着した。

 

奏夜は広場に着くなり、魔戒剣を抜いて、ファビアンを睨みつけていた。

 

「……やれやれ。血の気の多い奴だな……」

 

ファビアンは、戦う気満々な奏夜に呆れていた。

 

「……黙れ!これ以上、お前の戯言は聞いていられるか!」

 

奏夜はファビアンに向かって突撃すると、そのまま魔戒剣を一閃するのだが、ファビアンはどこかに忍ばせていた2本のメスで、奏夜の一撃を防いでいた。

 

「くっ……。2本のメスでここまで耐えるとはな……!!」

 

2本のメスを用いて奏夜の攻撃を受け止めるファビアンの力は予想以上のものであり、奏夜は焦りを見せていた。

 

その焦りは隙を作ってしまい、そんな奏夜の隙を突いたファビアンは、蹴りを放って奏夜を吹き飛ばした。

 

「くっ……!」

 

ファビアンの蹴りで吹き飛ばされた奏夜は、すぐに体勢を立て直すと、再び魔戒剣を構えていた。

 

奏夜はそのまま反撃に入ろうとしたのだが……。

 

「……そーや先輩!!」

 

真姫と合流した凛は、真姫の手を取りながらこちらに現れて、少し遅れて穂乃果たちも合流した。

 

「凛……真姫……みんな……!」

 

まさか、全員揃ってこちらに来るとは思わなかったため、奏夜は驚きを隠せずにいた。

 

そして、ファビアンもそんな穂乃果たちの存在を認識していた。

 

「お前たちはこいつの仲間か……。まさか、あの病院の令嬢も、魔戒騎士の協力者だったとはな」

 

「魔戒騎士?いったい何を言っているの?」

 

ファビアンの言う魔戒騎士という言葉の意味がわからず、真姫は訝しげな表情で、ファビアンを睨みつけていた。

 

「……真姫ちゃん。ファビアン先生は人間じゃなくて、ホラーっていう怪物なの」

 

「そして、そーくんは、そんなホラーから人間を守る魔戒騎士って呼ばれる人なの」

 

「ホラー?魔戒騎士?」

 

花陽と穂乃果は、真姫に魔戒騎士やホラーのことを簡単に説明するのだが、あまりに非現実的な内容に、少しばかり困惑していた。

 

「……そう、その通り!」

 

このようにファビアンが宣言すると、ファビアンの仮面のクチバシの部分が大きく開き、ファビアンの素顔が明かされた。

 

そして、ファビアンの首から下の部分が、この世のものとは思えない、怪物と変わっていった。

 

「……!?な、何よこれ!イミワカンナイ!!」

 

「これが……ホラー……」

 

真姫は、実際にホラーの姿を見て驚きを隠せずにいたのだが、事前に話を聞いていた凛も、初めて見るホラーに、目をパチクリとさせていた。

 

凛は、初めてホラーの話を聞いた時から非現実的な話だと思ってはいたが、実際見るホラーの存在は、本当に非現実的だったからである。

 

『……奏夜!奴はホラー、メディクルス!ホラーのくせに医者の真似事が好きな変わり者なホラーだ。だが、こいつは手強いぞ!』

 

「あぁ、わかった!」

 

奏夜はキルバからホラーの説明を聞いて、魔戒剣を構えていた。

 

「「「ゆ、指輪が喋った!?」」」

 

まきりんぱなの3人は、キルバが喋るのを初めて見たので、驚きを隠せずにいた。

 

『おいおい……。目の前にホラーがいるのに何でここまで驚くんだよ……』

 

指輪である自分なんかよりも不気味な怪物がいるのに、自分が喋ることに驚く花陽たちに、キルバは呆れていた。

 

そして、真姫と凛が驚いていたのは、キルバが喋ることだけではなく……。

 

「それに、何で奏夜は剣を持っているのよ!」

 

「剣を持ってるから魔戒騎士なのかにゃ?格好いいにゃ!」

 

真姫は奏夜の手にしている魔戒剣に驚き、凛は魔戒剣を持つ奏夜を見て、目を輝かせていた。

 

真姫と凛がそんな反応をする中、ファビアンことメディクルスは、複数のメスを呼び出すと、それを全て奏夜目掛けて放った。

 

「……っ!はぁっ!!」

 

奏夜は2度、3度と魔戒剣を一閃することにより、全てのメスを叩き落とした。

 

「……魔戒騎士よ。本当に私を斬るつもりか?」

 

「今更何を言っている。命乞いでもするつもりか?」

 

「そんなつもりはないさ。確かに私は1日に1人、治療を施した人間を喰らった」

 

「!?ファビアンに診てもらった人が行方不明になってるっていう噂は本当だったのね!!」

 

真姫は、ここでようやくファビアンの本性に触れ、ただの噂とされていた話が真実であることを知ったのであった。

 

「だが、私が喰らった人間の数よりも、私が病や怪我から助けた人間の数の方が遥かに多い」

 

ファビアンは東京から離れた某県のある村での治療の他にも、西木野総合病院の敷地を借りて無償で治療を行っていた。

 

その人数はファビアンが喰らった人間よりも遥かに多く、中には、重傷を負った者や、深刻な病気の者もいた。

 

「……それでも、私を……?」

 

ファビアンことメディクルスは、他のホラーとは違い、見境なく人間を喰らう訳ではなく、1日1人人間を喰わせてもらえれば、これからも無償で人間の治療を行うつもりだった。

 

誰かが犠牲になるということは引っかかるのだが、ファビアンの存在は、これからの医療に必要なのではないか?と真姫以外の5人は思ってしまったのであった。

 

そんな中、真姫は、ファビアンの言葉が気に入らないのか、怒りで肩を震わせていた。

 

そして……。

 

「……ふざけないで……」

 

「あぁん!?何だって!?」

 

「ふざけないで!!」

 

「ま、真姫ちゃん……?」

 

ここまで真姫が怒るとは思ってなかったのか、花陽は少しだけ面食らっていた。

 

「確かに今の医療じゃ救えない人はいるし、あなたの力なら多くの人を救えるのかもしれない……。だからって、病を治した人間を喰らって良いことにはならないわ!!」

 

将来は、父親の後を継いで医者になりたいと思っている真姫は、ファビアンの思想に賛同することは出来なかった。

 

「それに、あなたの力など借りなくても、人は自ら困難を克服していくわ。医術だって少しずつではあるけど、進歩しているもの!!」

 

真姫は、これからの医療はさらに進化して、大勢の命を救うことが出来ると確信していた。

 

だからこそ、ファビアンの存在は不必要だと思っているのである。

 

「真姫の言う通りだ!……それに、犠牲になって良い人間などいない!そんなことは、俺が絶対に認めない!」

 

奏夜もまた、ファビアンに対して思うところがあるようであり、鋭い目付きでファビアンを睨みつけながら、怒りの声をあげていた。

 

「奏夜……」

 

それは真姫も思っていたことであり、そんな奏夜の言葉に、真姫は驚いていた。

 

(……そーくん……。何でだろう……。いつもより怒ってるような……。過去に何が何かあったのかな?)

 

穂乃果は、ファビアン相手に怒る奏夜を見て、いつも以上に怒ってる奏夜に戸惑っていた。

 

「……それに、真姫の言う通り、人は自ら困難を克服出来るんだ。俺は、魔戒騎士として、そいつを信じて守り続ける!!」

 

「フン!その頑固な頭は治療出来そうにないな!私はここで貴様を殺し、ここにいる全員を喰らうことで、伝説の名医ファビアンとして、この世に君臨し続けるのだ!」

 

「そんなこと、許されないわ!……魔戒騎士とかホラーとか、よくわからないけど、奏夜……やっちゃいなさい!!」

 

「お、おう……。ホラー、メディクルス

!貴様の傲慢に満ちた陰我……俺が断ち切る!」

 

奏夜は、何故か真姫に命令される形に困惑しながらも、魔戒剣を高く突き上げ、円を描いた。

 

その部分だけ、空間が変化すると、奏夜はそこから放たれる光に包まれた。

 

すると、その空間から黄金の輝きを放つ鎧が現れると、奏夜はその鎧を身に纏った。

 

こうして奏夜は、陽光騎士輝狼の鎧を身に纏ったのである。

 

「!?黄金の……狼……!?」

 

「にゃにゃ!?そーや先輩。変身しちゃったの!?……まるで正義のヒーローみたいで格好いいにゃ!!」

 

真姫は、奏夜の身に纏う輝狼の鎧を見て唖然としており、凛は、奏夜が鎧を召還する場面を見て、ヒーローの変身と重ねてしまったからか、目をキラキラとさせて輝狼の鎧を見ていた。

 

「……一気にケリをつけてやる!!」

 

鎧を召還するなり、奏夜は素早い動きでメディクルスに接近すると、魔戒剣が変化した陽光剣を一閃した。

 

奏夜の一撃により、メディクルスの胸に大きな切り傷が出来て、メディクルスは怯んでいた。

 

「ぐぅ……!なかなかやるな……。だが!!」

 

メディクルスはどこからか塗り薬のようなものを取り出すと、それを切り傷に塗っていた。

 

すると、その薬が即効性がある物だからなのか、陽光剣による切り傷は完全に癒えてしまったのである。

 

「!?う、嘘だろ!?」

 

メディクルスは薬によって傷を完全に治してしまい、奏夜は驚愕していた。

 

「これぞ……私が持てる知識と技術を結集して作った秘薬。天才だ……。私は天才だぁぁぁ!!」

 

メディクルスは、自らの力で作った薬の効果に自画自賛していた。

 

「おいおい……。そのセリフ、ア○バじゃないんだから……」

 

奏夜は、昔の漫画であり、アニメやパチンコにもなっている某世紀末の作品に登場するキャラの名前を出し、苦笑いをしていた。

 

そんな中、穂乃果たちは……。

 

「そんな……。傷口を治しちゃうとか、反則すぎるよ!!」

 

「確かにそうですよね……。奏夜が突破口を開くためには、あの薬を使い切れない程のダメージを与えなければいけません」

 

「それって、簡単に出来ることじゃないよね?」

 

「……っ!奏夜先輩……頑張って!」

 

「そーや先輩!頑張れぇ!」

 

「奏夜……!!」

 

穂乃果、海未、ことりの2年生組は、ファビアンの用いた薬について対策を検討しており、1年生組は、純粋に奏夜を応援していた。

 

「フン!私の力はこんなものでもないぞ!」

 

ファビアンことメディクルスは、注射器のようなものを取り出すと、それを自分の腕に刺した。

 

注射器のようなものに入っているのも、ファビアンお手製の薬であり、その薬は、自身の身体能力を極限まで高める薬だった。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!みなぎる!力がみなぎるぞぉ!!」

 

ファビアンことメディクルスは、自身の薬により、パワーアップしたのであった。

 

『奏夜!奴がどれだけ力を蓄えたかは未知数だ!油断はするなよ!』

 

「あぁ、わかっている!」

 

奏夜は、薬によってパワーアップしたメディクルスに警戒をしていたのだが、メディクルスは素早い動きで奏夜に接近すると、強烈なアッパーを放って奏夜を上空に吹き飛ばした。

 

「ぐぁぁぁぁ!!」

 

奏夜はメディクルスのあまりのパワーに表情を歪ませるのだが、メディクルスは、追い討ちをかけるために素早い動きでジャンプして奏夜の近くに現れた。

 

そして、奏夜が対応するよりも速くメディクルスは強烈なパンチを放つと、奏夜を地面へと叩きつけた。

 

「がぁっ!!」

 

その衝撃はかなりのものであり、地面には小さなクレーターが出来てしまっていた。

 

「「そーくん!!」」

 

「「奏夜!!」」

 

「「奏夜(そーや)先輩!!」

 

常人であれば即死しているであろう衝撃に、穂乃果たちは思わず声をあげて、奏夜の心配をしていた。

 

奏夜は地面に叩きつけられた衝撃によって鎧が解除されてしまっていた。

 

「ぐふっ!……くっ、クソが……!!」

 

倒れていた奏夜はどうにか起き上がるのだが、あまりの激痛が奏夜を襲い、そのせいで奏夜は口から血を吐いていた。

 

奏夜の受けたダメージは相当のものであり、戦いを見ていた穂乃果たちの表情も真っ青になっていた。

 

そんな中、メディクルスは奏夜にトドメを刺す前に奏夜のダメージを確認していた。

 

「……ふむ……。頭部、及び左腕前腕部と右腕上部に裂傷……。右脚大腿部不全骨折……。内臓もやられてるみたいだな……」

 

メディクルスは冷静に奏夜のダメージを診察していたのだが、それを聞いただけでも、重傷であることはよくわかる程のダメージだった。

 

穂乃果たちはそこまでの重傷を負った奏夜を心配そうに見つめており、奏夜もまた、立つことすらままならないこの状態で、どのようにメディクルスと戦うべきか考えていた。

 

すると……。

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!!な、治したいぃぃぃぃぃ!!」

 

これは医者の性なのか、重傷を負った奏夜を見ていると治療したい欲求に駆られてしまい、メディクルスは頭を抱えていた。

 

「は?」

 

「「「「「「へ!?」」」」」」

 

メディクルスの予想外すぎる発言に、奏夜だけではなく、穂乃果たちも唖然としていた。

 

「ダメだ……。どうしても我慢出来ない!」

 

メディクルスは先ほど自らの切り傷の治療に使った塗り薬を手にすると、奏夜に近付き、頭部の裂傷部分にこれを塗ろうとしていた。

 

「おいおいおいおい!何をしやがるんだ!!」

 

メディクルスの予想外の行動に、奏夜は怒るのではなく、困惑していた。

 

まさか、目の前に対峙しているホラーが敵を治したいなどと言うとは思わなかったからである。

 

「大人しくしていろ!今楽にしてやる!」

 

こう言いながら、メディクルスはなんと、奏夜の治療を始めてしまったのであった。

 

「ら、楽にしてやるって……」

 

「戦う相手にすることではないですよね……」

 

「アハハ……これは……」

 

「何て言うか……」

 

「……ただの馬鹿ね」

 

「そうなのにゃ!馬鹿なのにゃ!」

 

メディクルスの予想外の行動に、穂乃果、海未、ことり、花陽の4人が苦笑いをする中、真姫と凛は思ったことをハッキリ言っていた。

 

「……これは敵に塩を送るってレベルじゃないわよ……」

 

敵である奏夜にここまでのことをするのは、「敵に塩を送る」どころか、「敵に米を送る」レベルであり、真姫はジト目でファビアンことメディクルスの治療を見ていた。

 

メディクルスは奏夜の頭部の裂傷に塗り薬を塗ると、今度は特製の薬を奏夜に使っていた。

 

「痛たたたたたたたたたた!!」

 

その治療は、荒療治と言っても言い過ぎではなく、奏夜はあまりの激痛に苦しんでいた。

 

「ふむ……。強力過ぎて人には使えないか……。魔戒騎士ならば……」

 

メディクルスはさらに薬を用意しているようで、注射器のようなものを取り出すと、それを躊躇なく奏夜の肩に刺した。

 

「痛ってぇ!!ぐぅぅぅ……」

 

あまりの激痛に、奏夜の表情は歪み、苦しんでいたのだが、気が付くとその痛みは徐々に無くなり、頭部の裂傷は綺麗さっぱり無くなっていた。

 

「……あれ?」

 

それだけではなく、他の部分の痛みも消え去った奏夜は、そのまま立ち上がるのだがら先ほどまで骨折していたとは思えないほどあっさりと立つことが出来た。

 

「ま、マジかよ……。それに、力がみなぎるぞ!!」

 

どうやら、傷を治すだけではなく、奏夜のパワーアップまでメディクルスはしてしまったようであった。

 

「私に治せぬものはない!さぁ、仕切り直しだ!」

 

『おいおい、敵を治すだけじゃなくて、パワーアップさせるなよ……』

 

ファビアンの薬はあまりに強力で、奏夜が魔戒騎士だからこそ効果があるのだが、そこまでのことをしでかしたメディクルスに、キルバは呆れ果てていた。

 

しかし、それはキルバだけではないようであり……。

 

「アハハ……。そーくんのパワーアップまでしちゃったんだ……」

 

「……これは、いくらなんでも酷すぎますね……」

 

「まぁ、そのおかげでそーくんはピンチを抜けたんだし……」

 

「確かにそうですね……」

 

「それでもやっぱりあり得ないわね……」

 

「そうにゃそうにゃ!やっぱり馬鹿なんだにゃ!」

 

穂乃果たちはジト目で自分の思ったことを口にしていた。

 

「……礼は言わんし、後悔しても知らないからな……」

 

奏夜は地面に落ちていた魔戒剣を拾うと、魔戒剣を再び高く突き上げ、円を描いた。

 

その部分だけ空間が変化して、そこから放たれる光に包まれた奏夜は、再び輝狼の鎧を身に纏った。

 

「はぁぁぁぁぁ………!!」

 

奏夜は魔導ライターを使わず、手を陽光剣の切っ先に当てることで、その部分が橙色の魔導火を纏い、奏夜は烈火炎装の状態となった。

 

「!?ほ、炎に包まれた!?」

 

「凄いにゃ!そーや先輩、格好いいにゃ!!」

 

烈火炎装を初めて見た真姫は唖然として、凛はキラキラと目を輝かせていた。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

烈火炎装の状態となった奏夜は、体を回転させながらメディクルスに突撃すると、そのままメディクルスの体を貫いた。

 

「ぐぁっ……!!お、おのれ……これならどうだ!!」

 

体を貫かれても、まだメディクルスは生きており、メディクルスは最後の抵抗と言わんばかりに多数のメスを奏夜目掛けて放った。

 

そのメスたちは奏夜の体を包む魔導火により全て燃え尽きてしまい、奏夜は陽光剣を縦と横に振るうことで、メディクルスを十文字に斬り裂いた。

 

十字に斬り裂かれたメディクルスは、断末魔をあげており、その体は陰我と共に消滅した。

 

メディクルスが消滅したことを確認した奏夜は鎧を解除して、元に戻った魔戒剣を緑の鞘に納めるのだが、その表情はどこか悲しげだった。

 

「……くそっ……!」

 

メディクルスに憑依され、伝説の名医ファビアンとして生きたこの男は、ここまで歪んだ陰我を持っていなければ立派な医者になれただろうにと奏夜は考えていた。

 

だからこそ、悲痛な表情をしていたのである。

 

しかし、ホラーに憑依された以上、この男の魂を救うためにメディクルスを討滅したと奏夜は割り切っていた。

 

奏夜が魔戒剣を魔法衣の裏地にしまうタイミングで、穂乃果たちは奏夜に駆け寄ってきた。

 

「そーくん、大丈夫?」

 

「あぁ。おかげさまで、何とかな」

 

「ですが、先ほどは酷い怪我でしたよね?」

 

「そーくん、痛いところはないの?」

 

「それが不思議なことに、痛いところはまったく無いんだよ。奇しくもあのファビアンの腕は本物だったみたいだな」

 

奏夜の怪我は問題ないようであり、穂乃果たち2年生組は、安堵のため息をついていた。

 

奏夜は実際に怪我をして治療してもらったため、ファビアンの腕を認めざるを得なかった。

 

『ま、奴はホラーなんだ。奴らの身勝手な事情で人間を食わせる訳にはいかないからな』

 

1年生組の全員がホラーや魔戒騎士についてしってしまったため、キルバは遠慮することなく口を開いていた。

 

「……ほ、本当に喋るんですね……」

 

花陽はキルバが喋るところを改めて見て驚いていた。

 

実は、初めて花陽がホラーの秘密を知った時もキルバは喋っていたのだが、どうやら花陽は気付かなかったようであった。

 

「……花陽ちゃん、凛ちゃん、真姫ちゃん。……この指輪は「キー君」!魔導輪っていう、さっきの怪物の気配を探知出来るそーくんの相棒だよ!!」

 

穂乃果は、キルバのことを簡単に説明するのだが……。

 

『おい、穂乃果。俺を変なあだ名で呼ぶな!!俺は魔導輪のキルバだ!』

 

自分の呼び方だけは気に入らなかったようであり、キルバは慌てて訂正していた。

 

「は、はぁ……」

 

とりあえず奏夜の指輪の名前がキルバで、奏夜の相棒だということはわかったため、花陽はこのような返事をしていた。

 

「そーや先輩。あれがホラーで、そーや先輩はあれと戦ってるんですね」

 

「ま、そういうことだ。……怖かったか?」

 

「確かに怖かったけど……。そーや先輩のあの鎧、格好いいにゃ!まるで特撮のヒーローみたいだにゃ!!」

 

凛はどうやら特撮のヒーローが好きなようであり、輝狼の鎧に、そんなヒーローの姿を重ねていた。

 

「そ、そうか……。俺たち魔戒騎士はヒーローじゃないけど、そう言ってくれるなら助かるよ……」

 

花陽が奏夜の秘密を知った時にあれ程怖がっていたため、ここまで憧れのような感情を抱いている凛に、奏夜は安心していた。

 

「……まさか、あんたがこんな危ないことをしていたなんてね」

 

「……まぁ、そういうことだ」

 

「あんたが他の人とは違う雰囲気を出しているとは思っていたけれど、そういうこととはね」

 

真姫は、奏夜と初めて出会った時から、奏夜がただの高校生とは違う雰囲気を出していると思っていた。

 

そんな奏夜の不思議な雰囲気に惹かれるところがあったからか、μ'sの曲を作ったのである。

 

奏夜がこの世のものとは思えない怪物と戦うのを見た時、真姫は、奏夜に対して感じていた違和感がスッと消え去ったのである。

 

「……怖かったか?」

 

「そりゃ、怖いわよ。あんな怪物を見ちゃったら。だけど、不思議ね。あんたがあんな怪物と戦ってるからあんたもあの怪物と変わらないんじゃないか?って思ってるけど、ちっとも怖くないもの」

 

どうやら真姫も、花陽の時のようにホラーと戦える奏夜は、ホラーと変わらないのでは?と思っていたのだが、花陽の時とは異なり、真姫は奏夜のことを怖いとは思わなかった。

 

「……そっか」

 

花陽の時の例を見ているため、奏夜はそんな真姫の対応がありがたかった。

 

「ま、これからもμ'sのマネージャーとして、頑張りなさいよね!」

 

「そうにゃそうにゃ!危険なことをしててもそーや先輩はそーや先輩だもん!」

 

「……ありがとな」

 

ホラーとの戦いを初めて見た真姫と凛は、あっさりと奏夜のことを受け入れており、奏夜はそのことをありがたいと思っていた。

 

「……奏夜。1度病院に行って、体を診てもらいましょう」

 

「大丈夫だって。さっきの怪我だってバッチリ治ってるし」

 

「ダメよ!あんな訳のわからないもので治すなんて、体がどうなってるかわからないわ!私がパパに口を利いてあげるから、病院に行くわよ!」

 

どうやら真姫はどうあっても、奏夜を病院に連れて行こうとしていた。

 

「な、なぁ。穂乃果たちも何か言ってくれよ!俺は大丈夫だって!」

 

奏夜は穂乃果たちに助けを求めるのだが……。

 

「……ダメだよ、そーくん♪」

「そうですよ。1度しっかり診てもらわなければいけません」

 

「あんな怪我をした後だもん。当然だよね♪」

 

「奏夜先輩。大人しく病院に行って下さい」

 

「そーや先輩!観念するにゃ!」

 

どうやら、穂乃果たちも真姫と同じ気持ちのようであり、奏夜の顔は真っ青になっていた。

 

「ほら、奏夜。行くわよ!」

 

「……はいはい。わかったよ」

 

これは逃げられないと判断した奏夜は、諦めて真姫の父親に体を診てもらうことになった。

 

穂乃果たちも奏夜が逃げないように見張るためについて行くことにした。

 

こうして奏夜は、西木野総合病院で診察を受けることになってしまった。

 

真姫の父親が直接診察してくれたのだが、特に体に異常はなく、ファビアンの薬の効果はどうやら本物のようだった。

 

病院の診察を終えた奏夜は、穂乃果たちを家まで送り届けた後に、自宅へと帰っていった。

 

μ'sの6人全員がホラーや魔戒騎士の知ってしまったのだが、これからも奏夜は魔戒騎士として、そして、μ'sのマネージャーとして、6人を守っていこう。

 

このように決意を固めるのであった……。

 

そして翌日、ファビアンが西木野総合病院を離れ、どこかへと旅立っていったことがすぐニュースになっていた。

 

それからファビアンが姿を現わすことはなく、彼の存在は生きた都市伝説となるのだが、それは後の話であった……。

 

 

 

 

 

 

……続く。

 

 

 

 

 

 

 

__次回予告__

 

『やれやれ……。こいつは随分と面倒な奴に絡まれたもんだな。奏夜、いったいどうするつもりだ?次回、「襲来」。小さきツインテールが奏夜たちに迫る!!』

 

 




文字数が20000を越えてしまった……。

これ、1話にしてたら30000オーバーになってたな(笑)

そして、炎の刻印でも憎めない存在だったファビアンですが、この作品でもやってくれました(笑)

奏夜は今作で1番のダメージを受けたのに、それが全回復しましたからね(笑)

それにしても、作品を進めていくたびにロデルのアイドル好きが加熱しているような気が……。

ロデルはどうやらμ'sのファンにもなってるようですし。

そして、真姫と凛も奏夜が魔戒騎士であると知りましたが、花陽とは反応が違うのが良かったかなと思います。

さて、次回はラブライブ!の第5話に突入します。

小さきツインテール……あの人の回となります。

その人物とはいったい誰なのか?

それでは、次回をお楽しみに!

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