牙狼ライブ! 〜9人の女神と光の騎士〜   作:ナック・G

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おまたせしました!第19話になります。

今日で3月も終わりですね。なんかあっという間です。

4月も頑張っていきたいと思っています。

さて、今回はタイトルで察した人もいるとは思いますが、あのキャラが活躍します。

そのキャラとはいったい誰なのか?

それでは、第19話をどうぞ!




第19話 「白銀」

……ここは、東京ではなく、某県に存在する、N女子大学。

 

その名前の通り、ここは女子大なのだが、有名なお嬢様学校であり、入学するのも容易ではない。

 

そんなN女には、様々なサークルが存在し、軽音楽部も存在していた。

 

N女の軽音部は、1つのサークルに1つのバンドではなく、複数のバンドが存在しており、交流を深めたり、テクを競い合ったりしていた。

 

「……♪」

 

そんな軽音部の部室にて、小柄でツインテールの少女が、スマホを用いてμ'sの初ライブの映像を楽しんでいた。

 

「……あーずさっ、お前はまた穂乃果たちの動画を見てたのか?」

 

ツインテールの少女がμ'sの動画を楽しんでいると、黄色いカチューシャが特徴的な少女が現れて話しかけてきた。

 

「……あっ、律先輩。それに皆さんも」

 

カチューシャの少女以外にも、ヘアピンが特徴的の少女と、黒い長髪の少女。そして、金髪のように明るい髪が特徴の少女も一緒だった。

 

熱心にμ'sの動画を見ていたのはこの春この大学に入学したばかりの中野梓(なかのあずさ)である。

 

そして、カチューシャの少女が田井中律(たいなかりつ)で、ヘアピンの少女が平沢唯(ひらさわゆい)。黒の長髪の少女が秋山澪(あきやまみお)で、金髪のように明るい髪の少女が琴吹紬(ことぶきつむぎ)、通称ムギだ。

 

彼女たちは桜ヶ丘高校の卒業生であり、白銀騎士奏狼こと月影統夜と共に、軽音部に所属していた。

 

5人ともこの大学の軽音部に入部し、高校時代とまったく同じとはいかなかったが、お茶を飲みながらまったりとした毎日を送っていた。

 

「……穂乃果ちゃんたち、スクールアイドルになったんだもんねぇ」

 

梓が見ていたμ'sの動画を覗き見した唯は、このようにしみじみと呟いていた。

 

実は唯たちは、統夜を介して穂乃果たちと出会っていたのである。

 

それは、統夜が高校2年生の年明け早々に、翡翠の番犬所の神官であるロデルから応援を要請されて、その地で仕事を行っており、秋葉原へ寄った時に偶然穂乃果たちと知り合い、仲良くなったのである。

 

それからおよそ半年後、唯たちは初めて穂乃果たちと知り合って意気投合。

 

それからはメールのやり取りなどをする仲になっていた。

 

穂乃果たちがスクールアイドルを始めたことはすでに報告を受けており、唯たちは穂乃果たちμ'sが飛躍していくのを見ることを楽しみにしていた。

 

「そういえば、この前穂乃果ちゃんからメールが来たんですけど、μ'sのメンバーが7人になったみたいですよ」

 

μ'sの動画を最後まで見た梓は、携帯をしまいながら穂乃果たちの近況を報告していた。

 

「そうなの?3人から人数が増えていって凄いわねぇ」

 

「それだけ人数が増えたら、マネージャーの奏夜も大変そうだな」

 

「まぁ、奏夜なら大丈夫だろ」

 

紬、澪、律の3人は、μ'sのメンバーが増えたことに驚きながらも奏夜を気遣っていた。

 

統夜たちが魔戒騎士であることを知っている唯たちは、統夜の後輩騎士である奏夜のことも当然知っていた。

 

そして、統夜の口から穂乃果、海未、ことりの3人が魔戒騎士の秘密を知ったことを聞いたのだが、そこら辺の話に触れることはしなかった。

 

「それにしても、最近穂乃果ちゃんたちと会ってないし、たまには会いに行きたいよねぇ」

 

「そうだな。だけど私たちも、講義やバイトで忙しいからな……」

 

唯たちは、大学生となり、軽音部ではのんびりと過ごしてはいるのだが、なかなか全員が集まれる機会は多くなく、みんな講義やアルバイトなど忙しい毎日を送っていた。

 

「……なぁ、今度みんなで休みを取って、穂乃果たちに会いに行かないか?」

 

「あっ、それ面白そうだね!」

 

「うん!私も賛成!」

 

「私も行きたいって思ってたんだ!」

 

律の提案に、唯、紬、澪の3人は即座に賛成していた。

 

そして……。

 

「そういえば、統夜先輩も近々秋葉原に行くみたいなので、統夜先輩にも聞いてみますね」

 

統夜と付き合っている梓は、統夜が魔戒騎士としてどのように活躍してるのかを誰よりも聞く機会が多かった。

 

そして、近いうちに秋葉原に行くことも聞いていたので、上手く都合が合えば、それに便乗しようと梓は考えたのである。

 

「おう、頼むな、梓」

 

「楽しみだねぇ♪」

 

「本当ねぇ♪」

 

こうして、秋葉原へと遊びに行くことを計画した唯たちは、しばらくの間、お茶を飲みながらまったりとしていた。

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

 

奏夜たちは、アイドル部とアイドル研究部を合併させるのではなく、自分たちがアイドル研究部に入部することで、どうにか部活動として認められるようになった。

 

そして、矢澤にこが7人目のμ'sのメンバーとなってから数日が経過した。

 

にこがメンバーに加わってからはとりあえずアイドル研究部の部室に集まり、それから着替えをして練習を行うようになっていた。

 

そして、この日もみんなが集まってから練習を始めようとしていた。

 

「……♪」

 

そんな中、花陽は、アイドル研究部の部室に置かれているパソコンを使ってある動画を見て楽しんでいた。

 

現在は、にこと1年生組が部室におり、2年生組はこれから来ると思われた。

 

しばらく花陽が動画を楽しんでいると……。

 

「ごめん!遅くなっちゃった」

 

このように謝りながら、穂乃果が部室に入ってきて、それに続くように海未、ことり、奏夜が中に入ってきた。

 

「……あんたたち、待ってたわよ」

 

「悪いな。ちょっとクラスの用事があってな」

 

奏夜たちはちょっとした用事をこなしてから来たため、少しだけ遅れてしまったのであった。

 

「……あれ?花陽は何の動画を見てるんだ?」

 

奏夜は、パソコンで何かの動画を見ている花陽が気になり、こう聞きながら近くへ来たのだが……。

 

「……!?こ、これって……!」

 

奏夜は花陽の見ている動画を見て、驚いていた。

 

そのため、穂乃果たちもその動画を覗き込むのだが……。

 

「あれ?これって……」

 

「唯さんたちのライブ……ですね」

 

「ねぇねぇ、花陽ちゃん。この動画はどこで見つけたの?」

 

どうやら花陽が見ていたのは放課後ティータイムのライブの映像であり、穂乃果たちもまた、驚いていた。

 

「いつも使ってる動画サイトでスクールアイドルの動画を探した時に出て来まして……。この人たち、大学でバンドをやってるみたいなんですけど、その楽しそうな感じが、スクールアイドルみたいに輝いているって評判みたいなんです」

 

花陽が見ているこの動画は、今からおよそ1年前に行われたとあるライブの映像なんだが、花陽の説明通り、評判は良いみたいである。

 

(……よく見たら、統夜さんも映ってるな)

 

《まぁ、あいつもあのバンドの一員だからな。映っていてもおかしくはないだろう》

 

統夜は桜ヶ丘高校を卒業後もギターを続けており、この時のライブにも、男子だけど放課後ティータイムのメンバーだからということで参加が許されたのであった。

 

「……ねぇねぇ、そういえばこのライブって海未ちゃんとことりちゃん。それに、そーくんと一緒に観に行かなかったっけ?」

 

「そういえばそうでしたね」

 

「梓さんも統夜さんも大学の人間じゃないけど、放課後ティータイムのメンバーだからということで、参加してたんだもんね」

 

ことりの説明通り、梓は当時桜ヶ丘高校に通っていたため、まだ大学の人間ではなかった。

 

しかし、梓も統夜も放課後ティータイムのメンバーだからという理由で、ライブへの参加が認められたのである。

 

「……あんたたち、この人たちのことを知ってるの?」

 

「まぁ、そうですね。この赤いコートの人……。この人は俺にとって兄のような存在で、他のメンバーの人とも交流があります」

 

「私たち3人は、怖い人に絡まれてるところを赤いコートの人……。統夜さんに助けてもらって、それから仲良くさせてもらってるんです」

 

「その後、唯さんたちも紹介してもらって、今でも仲良くしています」

 

「……そうだったんですか……」

 

「……」

 

花陽は奏夜たちが統夜たちと出会った経緯を聞いて驚いていたのだが、真姫はライブの映像を見て、ギターを奏でている統夜を凝視していた。

 

「……真姫ちゃん。どうしたの?統夜さんの映像をジッと見つめて」

 

「べ、別に?」

 

ことりは、統夜のことをジッと見ている真姫が気になって声をかけたのだが、真姫は何でもないと話を誤魔化そうとしていた。

 

すると……。

 

「……ハッ!ま、真姫ちゃん。その「とーや」って人に一目惚れしちゃったかにゃ?」

 

「!?////」

 

凛の思いがけない言葉に驚いた真姫は、顔を真っ赤にしていた。

 

「ま、真姫ちゃん!!そうなの!?」

 

「ダメよ!ダメダメ!アイドルに恋愛は許されないわ!!」

 

「そうだよ!それに、統夜さんには彼女がいるし」

 

「えっ、そうなの!?」

 

凛の言葉に花陽は驚き、にこは断固として認めようとはしなかった。

 

そして穂乃果は事実を伝えると、凛は驚いていた。

 

「だから!そんなんじゃないわよ!」

 

「?それじゃあ、いったいどうしたの?」

 

「その統夜って人なんだけど……。どこかで会ったことがあるような気がするのよねぇ……」

 

真姫は、統夜に見覚えがあったため、それを思い出そうと統夜のことをジッと見ていたのである。

 

「……それに、この人の着ているコートがどことなく奏夜のと似てる気がするわよね……」

 

奏夜は現在魔法衣を着ており、真姫は画面の統夜と、目の前の奏夜を見比べていた。

 

「確かに、それはずっと疑問に思っていました」

 

「そーくんみたいな魔戒騎士の人はこういう格好をしてるんだもんね?」

 

「だとしたら、統夜さんも魔戒騎士ってことなのかな?」

 

どうやら、穂乃果、海未、ことりの3人は、奏夜が話す前に真実にたどり着いたようだった。

 

(……これ以上は隠す必要もないか……)

 

自分の秘密を知っているなら隠すこともないため、奏夜は真実を話すことにした。

 

「……お前らの察する通り、統夜さんは魔戒騎士で、俺の尊敬する先輩騎士なんだよ」

 

「……!やはりそうなのですね……」

 

「確かに……。そうだと知ってもあまり驚かないかな?」

 

「あっ、だけど、統夜さんが魔戒騎士だということを唯さんたちは……?」

 

「当然知っているさ。統夜さんは桜ヶ丘高校に通って、軽音部として活動しながら、魔戒騎士の務めを果たしてきたんだ。そんな中、唯さんたちがホラーに襲われたところを統夜さんに救われ、そこで初めて知ったみたいなんだよ」

 

奏夜は、自分が知っている範囲で、唯たちが魔戒騎士の秘密を知った経緯を話していた。

 

「……まるで私たちみたいだね……」

 

「そこは統夜さんも驚いていたよ」

 

統夜と奏夜はとても共通点が多く、2人とも魔戒騎士になったのは15歳であり、仲間がホラーに襲われて自分の秘密を知ったのが高校2年の時であった。

 

「……まさか、あんたたちの知り合いが魔戒騎士だったとはね……」

 

「ところで、その統夜さんという方も魔戒騎士なんですよね?実力はかなりのものなんですか?」

 

「あぁ。統夜さんはかなりの実力者だ。今の俺なんかじゃ全然敵わないくらいに」

 

「えぇ!?そーくんは十分強いのに、そんなそーくんよりも強いってことなの?」

 

『当然だ。奏夜は魔戒騎士としてはまだまだ未熟だからな。こいつより強い奴などいくらでもいるぞ』

 

「「「「「「「……」」」」」」」

 

奏夜の戦いを見た穂乃果たちは、奏夜よりも強い魔戒騎士がたくさんいると話を聞いて驚いて驚きを隠せず、言葉を失っていた。

 

『月影統夜は白銀騎士奏狼(ソロ)の称号を持つ魔戒騎士で、20歳という若さながらも、最強の魔戒騎士である黄金騎士牙狼と互角の力を持つ魔戒騎士なんだ』

 

「最強の魔戒騎士と互角……」

 

「統夜さんって、思ってた以上に凄い人なんですね……」

 

穂乃果と海未は、統夜がそこまでの実力者だとは思っておらず、驚きを隠せなかった。

 

「さっき話していた白銀騎士とか黄金騎士とかっていったい何なんですか?」

 

騎士の称号については話をしていなかったからか、○○騎士と言われてもピンと来なかった花陽は首を傾げていた。

 

「さっきキルバが言っていた白銀騎士奏狼と、黄金騎士牙狼っていうのは、魔戒騎士の称号のことで、魔戒騎士としてのもう1つの名前ってところかな」

 

「もう1つの名前ねぇ……」

 

「ということは、そーや先輩にもそんな名前があるのかにゃ?」

 

『あぁ。奏夜も一応は称号持ちの魔戒騎士だぞ』

 

「みんなが見たあの鎧は、陽光騎士輝狼。俺が受け継いだ、俺の魔戒騎士としての名前だ」

 

「陽光騎士……」

 

「キロ……」

 

穂乃果たちは、ここで初めて奏夜の鎧の正体を知ることが出来たのである。

 

「それに、統夜さんは高校の時から多くの試練を乗り越えてきた。だからこそ、最強と言われた黄金騎士牙狼の称号を持つ冴島鋼牙さんと互角の力を得たんだと思う」

 

『あいつは卒業式の翌日に冴島鋼牙と戦ったみたいなんだ。まぁ、勝つことは出来なかったみたいだがな』

 

「その戦い、俺も見たかったけどな……」

 

「な、なんていうか……」

 

「凄くスケールの大きい話ね……」

 

奏夜やキルバの語る話のあまりのスケールの大きさに、花陽と真姫は呆気にとられていた。

 

「それにしても、統夜さんが様々な試練を乗り越えて強い魔戒騎士へとなっていった過程を知っているからこそ、奏夜は統夜さんを尊敬しているのですね?」

 

「あぁ。だからこそ統夜さんのことを俺は尊敬しているし、目標にもしている」

 

『だが、今のお前では、奴と互角になるのはいつになるのやら……』

 

「わかっているさ。だからこそ俺は強くならなきゃいけないんだ。多くの人を守っていくために……」

 

「奏夜……」

 

強くなりたい。そんなことを思う奏夜が、今まで見たことのない表情をしており、海未は心配そうに奏夜を見つめていた。

 

「……とりあえず、この話は終わりよ。奏夜の事は分かったんだし、練習を始めるわよ」

 

このまま話を続けていたら練習時間がなくなると判断したにこは、話をここで打ち切り、練習を始めようと提案した。

 

「うん、そうだね。練習しよう!」

 

こうして、放課後ティータイムのライブ映像をきっかけとして、統夜が魔戒騎士であると知った穂乃果たちは、屋上にて練習を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

 

こうして練習は行われ、この日は番犬所からの呼び出しが無かった為、奏夜は最後までマネージャーとしての仕事を果たしていた。

 

必要な部分の振り付けのコーチは奏夜が行い、それ以外の基礎的な部分の指導は海未に任せていた。

 

基礎的な指導を海未に任せている間、奏夜は自分専用のノートパソコンを用いて、これからどのような練習を行っていくかのスケジュール管理を行っていた。

 

今まではパソコンを使った作業をしなかった奏夜であったが、メンバーが増えて、スクールアイドル活動が部として認められたため、パソコンを使った作業もこなしていたのであった。

 

奏夜が使っているパソコンは、奏夜の私物であり、普段は魔法衣の裏地の中にしまっている。

 

そして、ネットも繋いでいるため、ランキングチェックも欠かさずに行っていた。

 

μ'sのメンバーが7人になると、さらに人気が出てきているからか、ランキングも少しずつ上がっていた。

 

それと同時に、「7人で歌う曲が早く聞きたい」というリクエストのコメントが圧倒的に多かったため、そこをどうするべきか今度全員で話し合おう。

 

奏夜はそんなことを考えていた。

 

こうして練習は終了し、奏夜たちは帰ろうとしたのだが……。

 

「……あれ?統夜さんから電話だ……」

 

奏夜の携帯が反応したため、奏夜は携帯を取り出すのだが、なんと電話の相手は、先ほども話題になっていた奏夜の先輩騎士である月影統夜からだった。

 

「……もしもし」

 

『おう、奏夜。お疲れさん』

 

「お疲れ様です!」

 

奏夜はこのように挨拶をかわしていたのだが、穂乃果たちは、奏夜と統夜の会話の内容が気になったため、奏夜の電話に聞き耳を立てていた。

 

『奏夜、μ'sの練習ってまだ続いてるのか?』

 

「いや、ついさっき終わったところですよ」

 

『そうか。それはちょうどよかった』

 

「?どうしたんですか?」

 

『あぁ、実は今唯たちと一緒に東京に向かっててな。今日は会えるかわからないが、明日か明後日にでもみんなで学校に遊びに行くからな』

 

「!?唯さんたちも一緒なんですか!?」

 

どうやら今回東京に行くのは統夜だけではなく、唯たちも一緒のようだった。

 

奏夜は耳をすませると、唯たちの話し声が聞こえているので、統夜の言葉は間違いないようだった。

 

「え!?唯さんたちが!?」

 

奏夜と統夜の会話に聞き耳を立てていた穂乃果は、その内容を聞いて驚きを隠せずにいた。

 

『ま、そういうことだ。という訳で、楽しみにしてるからな。それじゃあ、また』

 

「わかりました。待ってます!」

 

奏夜は最後にこう言葉を返すと、電話を切り、携帯をポケットにしまった。

 

「唯さんたちに……会えるんだね!」

 

「そうみたいですね。唯さんたちに会うのはかなり久しぶりになりますね」

 

「楽しみだなぁ♪」

 

統夜や唯たちと交流のある穂乃果、海未、ことりの3人は、統夜たちが遊びに来るのを心待ちにしていた。

 

「どんな人たちなのかなぁ?凄く楽しみにゃ!」

 

「うん、そうだね。私も楽しみだよ!」

 

「……ま、面白そうな人たちみたいね」

 

「そうね。奏夜の知り合いというなら、一度くらいは会ってみてもいいんじゃない?」

 

それだけではなく、唯たちと初めて会う残りの4人も、会ってみるのは悪くないと考えていた。

 

こうして、統夜たちが来るのを心待ちにしながら奏夜たちは学校を後にした。

 

奏夜たちはまっすぐ家を帰ることはせず、ファストフード店に立ち寄り、今後どのように活動していくかの話し合いを行い、それが終わると、世間話をしていた。

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

 

奏夜たちはファストフード店を後にしたのだが、その時には既に夜になっていた。

 

「……あちゃあ……。もう夜になっちゃったんだねぇ……」

 

「まぁ、話が盛り上がり過ぎちゃったしな……」

 

ファストフード店で話がついつい盛り上がり過ぎてしまったため、予想以上に遅くなってしまったのである。

 

「早く帰らないとね……」

 

「そうだな。今日のところは帰ろうぜ。送るからさ」

 

夜は、ホラーが現れる可能性があるため、奏夜は穂乃果たちを家まで送り届けようと考えていた。

 

その時だった。

 

『……奏夜!ホラーの気配だ!ここから近いぞ!』

 

キルバがホラーの気配を探知したため、家まで送り届けるということが出来なかった。

 

「そうか……。そういうわけだから、悪いな、みんな。俺は行かないと」

 

「あっ、奏夜!」

 

奏夜はホラーが現れたと聞いたため、海未の制止も聞かずにその場を後にして、キルバのナビゲーションを頼りにホラーの捜索を開始した。

 

そんな中、その場に残った穂乃果たちは、奏夜がその場を後にするのをジッと見つめていた。

 

「……穂乃果。どうします?」

 

「……もちろん、そーくんを追いかけるよ!」

 

「えぇ!?」

 

「ちょっと、穂乃果。本気なの?」

 

穂乃果は奏夜を追いかけて戦いを見届けることを決めたのだが、そのことにことりとにこが驚いていた。

 

「もちろんだよ。私たちが行っても迷惑になるだけかもしれないけど……。出来る限りそーくんの戦いを見届けたいって思ってるから……」

 

「凛もそうにゃ!そーや先輩を支えるなら、戦いを見届けるのも必要だと思うにゃ!」

 

「で、でも!闇雲にそうしたって、危険なんじゃ」

 

穂乃果と凛の言い分を聞いた花陽だったが、ホラーとの戦いに簡単に首を突っ込むのは危険なのでは?と思っていた。

 

「花陽の言う通りです。しかし、私も奏夜の戦いを見たいという気持ちはあります」

 

「まったく……。仕方ないわね……」

 

「今日は私もついていくけど、こういうのは積極的に首を突っ込むものじゃないんだからね!」

 

「わかってるって!」

 

真姫がこのように苦言を呈する中、穂乃果たちは、奏夜が走り去った方向へと向かっていき、ホラーとの戦いを見届けようとしていた。

 

そんな穂乃果たちのことを遠くから見届ける複数の影があることに気付かず……。

 

 

 

 

 

 

 

ホラーを捜索していた奏夜だったが、ここから近いというキルバの言葉通り、すぐに発見することが出来た。

 

そのホラーは、ゲートから現れたばかりなのか、キョロキョロと周囲を見回しながら獲物を探している。

 

姿は人間なのだが、そのあまりに挙動不審な動きに、奏夜はすぐ気付いたのであった。

 

奏夜は早足でホラーと思われる男に近付くと、声をかけることもせずに魔導ライターを取り出し、魔導火を放った。

 

男の瞳は魔導火によって照らされるのだが、その時、男の瞳には、不気味な文字のようなものが浮かんでいた。

 

これこそが、この男がホラーであるという証である。

 

「グゥ……!?貴様、魔戒騎士か?」

 

「あぁ、そうだ。そして……」

 

奏夜は男の問いかけに答えながら魔導火を消した魔導ライターを魔法衣の裏地の中にしまい、その代わりに魔戒剣を取り出した。

 

「……お前を斬る者だ」

 

奏夜は魔戒剣を抜くと、鋭い目付きで男を睨みつけながら魔戒剣を男に突き付けていた。

 

「……っ!」

 

男はそんな奏夜に一瞬たじろぐのだが、負けじと奏夜に蹴りを放ち、奏夜を吹き飛ばした。

 

「……へぇ、やってくれるじゃねぇか……」

 

男の蹴りを受けてすぐさま着地した奏夜は、不敵な笑みを浮かべながら、魔戒剣を構えて男に向かっていった。

 

男は奏夜の攻撃を警戒しつつ、パンチを繰り出そうとするのだが、奏夜はその一撃をかわし、反撃と言わんばかりに蹴りを放って男を吹き飛ばした。

 

「へへっ……。さっきのお返しって奴だな」

 

「貴様ぁ……!」

 

奏夜の浮かべた不敵な笑みが気に入らなかったのか、男はすぐに体勢を立て直し、奏夜に向かっていった。

 

奏夜は魔戒剣を構えて迎撃体勢に入り、男の攻撃に備える。

 

奏夜は男の攻撃をかわしながら、魔戒剣による攻撃を2度、3度と叩き込んだ。

 

「ぐぅ……!」

 

奏夜による魔戒剣の攻撃が効いているのか、男は表情を歪めていた。

 

そして奏夜は、追い打ちをかけるために蹴りを放ち、男を吹き飛ばした。

 

「おのれ……!魔戒騎士!!」

 

男は、奏夜の連続攻撃に追い詰められながらも、鋭い目付きで奏夜を睨みつけていた。

 

「どうした?まさか、これで終わりじゃないよな?」

 

奏夜は「フフン」と笑みを浮かべながら男を挑発していた。

 

「貴様……!!許さん!!」

 

奏夜の挑発に激昂した男の体が徐々にホラーの姿へと変わっていった。

 

その姿は、まるで鬼の戦士と呼ぶべきものであった。

 

『奏夜!奴はグランドオーガ。奴のパワーはかなりのものだぞ!気を付けろ!』

 

「あぁ、わかった!」

 

奏夜はキルバからホラーの情報を聞き出すと、魔戒剣を構えてグランドオーガを迎撃する体勢に入っていた。

 

そして、グランドオーガは奏夜に接近すると、手に持っている棍棒を力強く振り回した。

 

奏夜はそれを魔戒剣で受け止めようとするのだが、グランドオーガのパワーはかなりのものであり、受け止めきれずに吹き飛ばされてしまった。

 

「くっ……!あいつの馬鹿力は厄介だな……」

 

奏夜はすぐに体勢を立て直すのだが、正攻法で戦っても、再びパワー負けするだろうと予想していた。

 

そんな中、グランドオーガは、奏夜に追い打ちをかけるべく接近した。

 

奏夜がそれを迎え撃とうとしたその時だった。

 

『……奏夜!誰かが来るぞ!』

 

「っ!?いったい誰が……」

 

キルバは乱入者の気配を感じ、奏夜はそのことに困惑していたのだが、奏夜とグランドオーガの間に何者かが割って入ってきた。

 

「貴様……。邪魔だぁ!!」

 

グランドオーガは、目の前の障害である何者かを棍棒で吹き飛ばそうとするのだが、その者は剣のようなもので棍棒を受け止めると、蹴りを放ってグランドオーガを吹き飛ばした。

 

「……!?あれは……まさか……!」

 

奏夜は、グランドオーガを吹き飛ばした乱入者の正体に心当たりがあるからか、驚きを隠せなかった。

 

その人物は20歳くらいの青年であり、奏夜の魔法衣に似ている赤いコートを羽織り、その手には奏夜の持っている魔戒剣と似た形をした剣を持っていた。

 

「……よう、奏夜。どうやら手こずってるみたいだな」

 

「と、統夜……さん……?」

 

奏夜とグランドオーガの間に割って入ってきたのは、奏夜の先輩騎士であり、東京へ遊びに行くと話していた月影統夜だった。

 

まさか、電話が終わってすぐに会えるとは思っていなかったので、奏夜は驚きを隠せなかった。

 

統夜が戦いに乱入したその直後だった。

 

「……そーくん!」

 

奏夜の戦いを見届けるために奏夜を探していた穂乃果たちが現れた。

 

「お、お前たち……」

 

「へぇ、穂乃果たちが来たか。これは良い機会かもな」

 

奏夜は穂乃果たちが現れて困惑していたが、統夜はいたって冷静だった。

 

穂乃果たちが現れてまもなく……。

 

「……あっ、統夜先輩!いた!」

 

5人組の少女がこちらにやってくると、その中の1人である小柄でツインテールの少女が統夜の存在を見つけた。

 

その5人組の姿を見た穂乃果たち2年生組は……。

 

「あ、梓さん!?それに、皆さんも!」

 

統夜のことを探していたこの5人組は、統夜が軽音部で組んでいたバンド、「放課後ティータイム」のメンバーであり、この5人と親交のある穂乃果たちは驚きを隠せなかった。

 

「ほ、穂乃果ちゃん!?どうしてここに?」

 

「そういえば、穂乃果ちゃんたちもやーくんや奏夜君の秘密を知ったみたいだしね」

 

穂乃果たちの姿を見つけた小柄でツインテールの少女、梓は驚きを隠せなかったが、ヘアピンが特徴の少女、唯は統夜から事前に聞いた話を思い出していたため、そこまで驚くことはなかった。

 

「やっぱり……。唯さんたちも魔戒騎士の秘密を知ったんですね……」

 

「話は後だ!みんな、穂乃果たちを頼む!」

 

「わかりました!……さぁ、みんな。こっちに来て!」

 

互いに話したいことはたくさんあったのだが、それはホラーを討滅した後にすることにして、梓が穂乃果たちを先導して、安全な場所まで避難を行っていた。

 

「……奏夜。ここは俺に任せてくれないか?」

 

梓たちと唯たちが避難したことを確認した統夜は、たった1人でこのグランドオーガを倒すつもりだった。

 

「!?し、しかし……!」

 

「俺なら心配ないさ。たまには先輩騎士として力を見せとくのも一興と思ってな。それに、新手が現れる可能性だってある。お前は俺の代わりにみんなを守って欲しいんだ」

 

「……っ、わかりました。皆さんは俺が守ります!統夜さんはホラーに専念して下さい!」

 

このように統夜へと告げた奏夜は、魔戒剣を緑の鞘に納めると、穂乃果たちが避難している場所へと移動した。

 

「そ、奏夜!何をしているんですか!?」

 

「そうだよ!あんな強そうなのを、統夜さん1人で戦わせる気なの!?」

 

統夜の本当の力を知らない海未と穂乃果は、統夜そっちのけで自分たちのところへ来た奏夜に異議を唱えていた。

 

「……海未、穂乃果。落ち着けって」

 

「統夜君は、私たちを守るよう、奏夜君にお願いしただけなのよ」

 

統夜の本当の力をよく知っているカチューシャが特徴の少女、律と、金髪のような明るい髪が特徴の紬は、異議を唱えている海未と穂乃果をなだめていた。

 

「で、でも……」

 

「大丈夫。心配はいらないさ」

 

「そうだよ!だって、やーくんは……」

 

「様々な試練を乗り越えて、私たちを守ってくれた、守りし者だから……」

 

自信に満ちた表情で語る梓の顔はとても凛々しいものであり、穂乃果たちはそんな梓に見とれていた。

 

そして、統夜の実力をよく知っている奏夜と唯たちは、梓の言葉を聞いて、ウンウンと頷いていた。

 

こうして、奏夜たちが見守る中、統夜は魔戒剣をゆっくりと構えていた。

 

その姿はまさしく、様々な修羅場を乗り越えてきた、歴戦の勇士そのものであった。

 

奏夜は、そんな統夜の佇まい1つから統夜の実力を感じ取っており、息を飲んでいた。

 

「お、おのれ……。貴様が誰だろうと関係ない!貴様を殺し、ここにいる全員を喰らってやる!」

 

「ふっ……出来るかな?」

 

奏夜はグランドオーガの言葉にまったく動じることなく、そんな飄々とした態度自体が、グランドオーガにとっては挑発と感じるものだった。

 

「貴様ぁ!!」

 

統夜の飄々とした態度が気に触ったグランドオーガは、統夜に接近すると、先ほど奏夜を弾き飛ばす程のパワーを見せつけた棍棒を統夜目掛けて振り下ろした。

 

「……」

 

グランドオーガの棍棒が迫っても、統夜はまったく動じる事はなく、ギリギリまで相手を引き付けたところで、魔戒剣にて攻撃を受け止めていた。

 

「!?」

 

「奴の攻撃を受け止めた!?」

 

自分が受け止めきれなかった攻撃を軽々と受け止める統夜を見て、奏夜は驚きを隠せなかった。

 

「……どうした?お前の力はそんなものか?」

 

「グゥゥ……!貴様ぁ!」

 

グランドオーガはさらに力を込めようとするが、統夜はあえて力を抜いて棍棒による攻撃を受け流すことで、グランドオーガはそのまま転倒してしまった。

 

グランドオーガはすぐに起き上がり、再び攻撃を仕掛けようとするが、その前にグランドオーガに接近した統夜は蹴りを放ち、グランドオーガを吹き飛ばした。

 

「……あの馬鹿力のホラー相手でもパワー負けしてない……。流石は統夜さんだ……」

 

奏夜は、僅かな時間でグランドオーガを圧倒する統夜の実力に、ただただ感心していた。

 

自分の力ならば、苦戦はしても倒せるとは思うのだが、ここまで圧倒することは出来ないからである。

 

「おのれ……。だったら、これならどうだ!」

 

グランドオーガは口から大量の牙のようなものを放つと、その牙のようなものが、すべて統夜に迫る。

 

統夜の手にする1本の魔戒剣では、全てを受け切るのは困難だと思われた。

 

しかし……。

 

「!?」

 

「す、凄い……」

 

統夜はグランドオーガの攻撃を全て受け切っており、その姿に奏夜と穂乃果たちは驚きを隠せなかった。

 

1本の魔戒剣では全て受け切れないと早々に判断した統夜は、魔戒剣の鞘を取り出すと、まるで二刀流のような形で全ての攻撃を受け止めていた。

 

そんな統夜の動きに一切の無駄がなく、とても美しいものだったため、スクールアイドルとして活動している穂乃果たちは特に驚いていた。

 

「ば、馬鹿な……!俺の攻撃を全て防いだ……だと!?」

 

「ま、これくらいはなんてことはないさ」

 

統夜はグランドオーガの攻撃を全て受け切っても、余裕そうな表情をしていた。

 

『……おい、統夜。あまり遊んでないで、さっさと決着をつけろよな』

 

「わかってるって」

 

すると、統夜の相棒である魔導輪イルバが、このように苦言を呈すると、統夜はそれを軽く流していた。

 

そして……。

 

「……貴様の陰我。俺が断ち切る!」

 

「!?その言葉……」

 

「そーくんと同じ……!?」

 

統夜の宣言した言葉に、海未と穂乃果は驚いていた。

 

すると……。

 

統夜は魔戒剣を高く突き上げると、円を描いた。

 

その部分のみ空間が変化すると、統夜はそこから放たれる光に包まれた。

 

空間が変化した部分から、白銀の鎧が現れると、統夜は脚、腕、身体、頭部と徐々に白銀の鎧に身を纏っていた。

 

こうして、統夜は白銀の輝きを放つ鎧を身に纏ったのであった。

 

この鎧は、白銀騎士奏狼(ソロ)。

 

統夜が受け継いだ、統夜の魔戒騎士としての名前である。

 

「こ、これが……」

 

「統夜さんの鎧……」

 

「銀の狼……」

 

「オーラが凄いわね……」

 

「そ、そうだね……」

 

「こっちの鎧も格好いいにゃ!」

 

「……」

 

穂乃果、海未、ことり、真姫、花陽、凛、にこの順番で統夜の纏う奏狼の鎧に驚いていた。

 

(……統夜さん。見せてもらいます。さらに強くなったあなたの力を……)

 

奏夜は、久しぶりに見る統夜の戦いを見て、改めて統夜の実力を確かめようとしていた。

 

「……鎧を着ても関係ない!貴様はこの俺が殺す!」

 

グランドオーガはこう宣言すると、先ほどのように口から大量の牙のようなものを放った。

 

それは全て統夜に迫るのだが、統夜はグランドオーガの攻撃を全て鎧で受け止めていた。

 

ソウルメタルで作られた奏狼の鎧は、牙の弾くらいでは傷1つと付くことはなかった。

 

統夜はグランドオーガの攻撃を受け止めながら、ゆっくりとグランドオーガに迫っていた。

 

「くそっ!だったら……こいつをくらえ!」

 

グランドオーガは、手にしている棍棒を横に大きく振るい、棍棒が統夜に迫っていた。

 

統夜は魔戒剣が変化した皇輝剣(こうきけん)を一閃すると、棍棒を真っ二つに斬り裂いた。

 

「なっ!?何だと!?」

 

自分の武器である棍棒があっさりと斬り裂かれてしまい、グランドオーガは驚きを隠せなかった。

 

「……これで決める!」

 

統夜は、グランドオーガの棍棒を斬り裂いた勢いそのままに、グランドオーガに接近して皇輝剣を一閃すると、たったの一太刀でグランドオーガを真っ二つに斬り裂いた。

 

「つ……強すぎる……!貴様……何者なんだ……!」

 

皇輝剣の一閃によって体を斬り裂かれたグランドオーガは、統夜の圧倒的な力に絶望していた。

 

「……我が名は月影統夜!白銀騎士奏狼の称号を受け継いだ、魔戒騎士だ!」

 

「白銀騎士……だと!?」

 

『さらに言えば、こいつは黄金騎士牙狼と、互角の戦いを繰り広げた男だ。お前さんが敵わないのも当然だろうな』

 

「なっ……!?牙狼と互角……だと……!?」

 

黄金騎士牙狼という存在は、魔戒騎士の最高位であり、それと同時に最強の魔戒騎士でもある。

 

そのため、ホラーはその名前を知っており、その力を畏れていた。

 

グランドオーガは、目の前の統夜がそんな牙狼と同等の力を持っていると聞き、自分との力量差に絶望しながら消滅していった。

 

「……ふぅ……」

 

ホラーが消滅したことを確認した統夜は、鎧を解除すると、元に戻った魔戒剣を青い鞘に納めた。

 

そして、魔戒剣を魔法衣の裏地の中にしまって落ち着いたところで、奏夜たちが駆け寄ってきた。

 

「……統夜先輩、お疲れ様でした」

 

「あぁ。みんな、怪我はなかったか?」

 

「大丈夫だよ!だって、やーくんが守ってくれたし、奏夜君もいたからね!」

 

「いや……でも……俺は……」

 

「あなたのことはよく統夜君から聞いているのよ。「奏夜は魔戒騎士として立派に成長してきている」って」

 

「統夜さんが……俺のことを……」

 

統夜は、自分の後輩騎士という理由ではなく、1人の魔戒騎士として、奏夜の実力を認めていた。

 

さらには、穂乃果たちを守るという思いが加わり、守りし者としてかなり力をつえていることも実感していたからである。

 

奏夜は、自分が尊敬する統夜がそこまで思ってくれていることを知り、嬉しさを滲ませていた。

 

「それにしても、しばらく見ない間に奏夜もたくましい顔をするようになったよな」

 

「あぁ。穂乃果たちを守りたいっていう思いがあるからなんだろうな」

 

「そんな……俺は……」

 

律と澪も、奏夜の成長を実感しており、奏夜は褒められて満更でもないようだった。

 

「……それにしても、久しぶりね、穂乃果ちゃん、海未ちゃん、ことりちゃん♪」

 

「はい!お久しぶりです!紬さん!」

 

「紬さん、お元気でしたか?」

 

「私は、紬さんや皆さんと会いたかったです!」

 

穂乃果、海未、ことりの3人は、久しぶりに唯たちに会うことが出来て、嬉しさを滲ませていた。

 

「ウフフ♪私たちもみんなに会いたかったわよ♪」

 

「それに、私たちはμ'sのことを応援しているんだよ!」

 

「そうなんですか!?」

 

梓がこのような言葉を送ると、穂乃果は過剰に反応し、喜びを露わにしていた。

 

「メンバーも7人になったみたいだしな」

 

「みんな、すっごく可愛いよ!」

 

にこが最近加入したことも知っており、唯はそんな穂乃果たちのことをこのように評価していた。

 

穂乃果たちはそう褒められて頬を赤らめるが、内心はとても嬉しかった。

 

こうして、顔見知りである奏夜たち2年生組と統夜たちが再開の挨拶をしていたのだが……。

 

「……あっ、あの!」

 

花陽が興奮気味に声をかけると、少しばかり唯たちに近付いていった。

 

「放課後ティータイムのライブの映像、見ました!凄く良かったです!」

 

花陽はその動画を見た瞬間に放課後ティータイムのファンとなり、そのことを唯たちに伝えていた。

 

「ありがとぉ♪」

 

「そういえば、動画サイトにもライブの映像が上がってたよな」

 

「そう言ってもらえて、私たちは凄く嬉しいよ」

 

自分たちのバンドが認められることはとても嬉しい話なので、澪は穏やかな表情で笑みを浮かべていた。

 

「特に……。「ごはんはおかず」。あの曲は最高でした!ご飯に対するリスペクトの気持ちがストレートに伝わってきて!」

 

「ごはんはおかず?」

 

「ずいぶんと独特なタイトルね……」

 

独創的な曲のタイトルに、にこは驚いており、真姫は少しばかり呆れていた。

 

「おっ!まさか唯の感性を理解出来る人間に出会えるなんてな!」

 

「あぁ!ひどいよぉ、りっちゃん!」

 

ごはんはおかずという曲に花陽が共感していることを知った律はニヤニヤしながら唯をからかっており、唯はぷぅっと頬を膨らましながら律を睨みつけていた。

 

「……ねぇねぇ。あなた、名前は?」

 

「わっ、私は……。小泉……花陽です」

 

唯に名前を聞かれた花陽は、恥ずかしがりながらも自分の自己紹介をしていた。

 

「花陽ちゃんか……。可愛い名前だね!これからは「かよちゃん」って呼んでもいい?」

 

「は、はい!もちろんです!」

 

唯は花陽を「かよちゃん」と呼ぶことにしたのだが、花陽はそれを嫌だとはまったく思わなかった。

 

「かよちん、良かったにゃ♪」

 

「おぉ!そこのあなた、その喋り方が可愛いね♪」

 

「そ、そうかにゃ?」

 

唯は語尾に「にゃ」とつける凛の喋り方に食いついていた。

 

「あずにゃんと良いコンビを組めそうだよ!」

 

「「「「あずにゃん?」」」」

 

梓は、唯に「あずにゃん」と呼ばれているのだが、その事情を知らない1年生組とにこは、首を傾げていた。

 

「ちょっと唯先輩!いきなり何を言ってるんですか!?」

 

「だって、本当にそう思ったんだもん!」

 

どうやら唯は、本能的に猫のようなあだ名をつけた梓と、猫のような喋り方をする凛が良いコンビになると判断したようである。

 

「……にゃん?どっちかというと、凛よりもにこ先輩の方が良いコンビを組めそうだけど……」

 

「はぁ?何でそこでにこが出てくる……のよ?」

 

にこは怪訝そうに梓のことを見るのだが、何かを感じ取ってハッとしたにこは、梓のことを凝視していた。

 

それはどうやら梓も同じであり、にこのことを凝視していた。

 

「「……」」

 

梓とにこは、互いに何かを感じ取ったのか、互いのことをジッと見つめていた。

 

(……何だろう……)

 

(この子……)

 

((他人とは思えないんだけど……))

 

小柄で黒髪でツインテールと、共通点が多い梓とにこは、他人とは思えなかったからか、互いのことを見ていた。

 

「……ねぇ、あなた、名前は?」

 

「私は中野梓だよ。あなたは?」

 

「私は矢澤にこよ」

 

互いに軽く自己紹介を終えた梓とにこは、それ以上の言葉を交わさなかったのだが、互いに固い握手を交わしていた。

 

「おぉ!あずにゃんとにこちゃんが意気投合してる!」

 

「まぁ、なんとなく似てるところがあるからな」

 

意気投合する梓とにこの姿はとても微笑ましいものであり、統夜は笑みを浮かべていた。

 

「さて、色々と話したいこともあるが、俺たちはこれからムギの親父が経営しているホテルに行くことになってるんだよ」

 

どうやら統夜たちは、既に泊まる場所を確保しているようであり、そのホテルは、紬の父親が経営しているホテルだった。

 

紬の父親は桜ヶ丘随一の富豪なのだが、何故東京でホテルを経営しているのか?

 

それはすぐに明らかになる。

 

「……そうだ。お前たちも俺たちと一緒に来ないか?」

 

「え?いいんですか?」

 

統夜からのまさかの提案に、奏夜は驚きを隠せなかった。

 

「もちろんよ♪一緒に泊まるのは無理でも、お話くらいは出来るでしょう?」

 

「私たちは、みんなの話を聞きたいと思っているしな」

 

「「「「「「「……」」」」」」」

 

紬と澪がこのように補足をすると、どうするか奏夜以外の全員が考えていた。

 

しばらく考えていると……。

 

「……一緒について行ってもいいですか?」

 

最初にこう口を開いたのは、穂乃果であった。

 

「ほ、穂乃果?」

 

「だって!せっかく統夜さんたちに会えたんだもん!ゆっくりお話したいよ!」

 

「確かにそうだね。私も久しぶりに統夜さんたちとお話したいって思ってたし」

 

「わ、私も!ぜひお話を聞きたいです!」

 

「凛も!お話を聞きたいにゃ!」

 

「……ま、たまにはいいかもね」

 

「あまり遅くならないなら、構わないわよ」

 

海未以外の全員は、穂乃果の提案に乗っかっていた。

 

……そして、海未は……。

 

「……そうですね……。私も同じ気持ちですし」

 

「……決まりだな」

 

こうして、穂乃果たちは、統夜たちの泊まるホテルまでついて行き、互いの近況などについて話をすることにしたのであった。

 

「……それじゃあ、皆さん。俺たちもついて行きますね」

 

「うん!歓迎するよぉ!」

 

「はい!私も奏夜くんたちと話をしたいと思っていたし!」

 

「ま、そういうことだ。それじゃあみんな、一緒に来てくれ」

 

統夜が先導する形となり、奏夜たちは、唯たちと共に、秋葉原某所にあるホテルへと向かっていった。

 

……夜はこれからなのだが、これからが、奏夜たちや統夜たちにとっての、「放課後ティータイム」の始まりとなるのであった……。

 

 

 

 

 

 

……続く。

 

 

 

 

 

 

 

__次回予告__

 

『おいおい、お前ら。いくらなんでもまったりし過ぎだろ。……たまにはそんな日もあっても良いとは思うが……。次回、「茶会」。まさしくこれが、放課後ティータイムってやつなのか?』

 

 




統夜、強すぎだろ……。

確かに、前作では様々な試練を乗り越えてきた統夜ですが、前作から2年が経ち、統夜はさらに強くなっていました。

そして、今回初めてけいおん!のキャラも登場しました。

ここでようやく、前作と今作の繋がりが出来たかなと思っています。

花陽がご飯好きだということを、ここでようやく出すことが出来ました。

お米大好きな花陽は絶対に「ごはんはおかず」が好きになりますよね。

ご飯のことを歌ってる曲ですし。

聞いたことのない方も、ぜひ聞いてみてください(宣伝)

さらに、にこと梓が意気投合するシーンは個人的に入れたいと思っていたので、悔いはありません。

さて、次回は奏夜たちと統夜たちの交流が描かれます。

彼らはいったいどのような交流をするのでしょうか?

それでは、次回をお楽しみに!



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