今回は前回登場したリンドウの鎧が出現します。
リンドウの鎧はいったいどのようなものなのか?
そして、μ'sのリーダーはいったい誰になるのか?
それでは、第23話をどうぞ!
穂乃果たちが活動しているスクールアイドルグループ「μ's」に、現在とある問題が浮上していた。
それは、7人で歌う曲を作るということと、μ'sのリーダーを誰にするか?という問題である。
今までは、なし崩し的に穂乃果がリーダーという感じだったのだが、それでは良くないという意見があったことから、新たなリーダーを決めようと動き始めていた。
その途中、番犬所に呼ばれた奏夜は、指令を受けてホラーの捜索を行っていたのだが、その途中に指令の対象だったフェンリルに襲撃されてしまった。
奏夜は、フェンリルが自分を狙っていると察すると、戦闘による被害を避けるために、音ノ木坂学院の裏手にある裏山へと誘導した。
こうして、奏夜はフェンリルと戦うのだが、フェンリルの素早い動きに翻弄されてしまい、多少ダメージを負ってしまった。
奏夜はどうにかフェンリルの動きを見切り、反撃に転じようとしたのだが、その前に、謎の男が乱入してきた。
その男はどうやら魔戒騎士のようであり、この翡翠の番犬所に配属される魔戒騎士のようであった。
そして、この魔戒騎士はそれなりに実力があるようであり、奏夜は驚きを隠せなかった。
その魔戒騎士の正体とは……。
「……俺は天宮リンドウ……。神食騎士狼武(しんしょくきしロウム)の称号を持つ、魔戒騎士だ!」
この男……。天宮リンドウは、高々と自分の名前を宣言していた。
『ちなみに僕はレン。リンドウの相棒である魔導輪です』
そして、リンドウの相棒である魔導輪のレンも、自己紹介をしていた。
「天宮……リンドウ……」
奏夜は、目の前に現れたリンドウの名前を口にしていた。
「おい、少年!ぼさっとしてないでお前も手伝え!一気にケリをつけるぞ!」
「わ、わかった!」
こうして、奏夜はリンドウと協力して、フェンリルを討伐するようであった。
「……貴様の陰我、俺たちが断ち切る!!」
奏夜はフェンリルに向かってこう宣言すると、魔戒剣を高く突き上げると、円を描いた。
その部分のみ空間が変化して、奏夜はそこから放たれた光に包まれた。
すると、その空間から金色の鎧が現れると、奏夜は金色の鎧を身に纏った。
こうして、奏夜は陽光騎士輝狼の鎧を身に纏った。
「……ほぉ、これがあいつの鎧って訳か」
リンドウは、奏夜の鎧を見て、黄金の輝きに感心していた。
『リンドウ!感心してる場合じゃないですよ!』
「わぁってるよ」
リンドウはレンからの小言を軽く流しながら魔戒剣を構えた。
そして……。
……リンドウは魔戒剣を前方に突き付けると、そこで8の字を描き、その後、魔戒剣を上空へ高く突き上げた。
すると、描かれた8の字が1つになってリンドウの上空に移動すると、その部分のみ空間が変化して、リンドウはそこから放たれた光に包まれた。
すると、変化した空間からは黒い鎧が現れると、リンドウは黒い鎧を身に纏った。
「……こ、これが……。この人の鎧……」
『あの鎧……。狼というよりは竜に近いな……』
魔戒騎士の身に纏う鎧は、基本的に狼がモチーフになっているものが多いのだが、リンドウの身に纏った黒い鎧は、どちらかというと竜のような顔の鎧だった。
そして、リンドウの手にしている剣は、魔戒剣のような鍔なしの剣から、大きく変化していた。
刀身は魔戒剣の時よりも大きくなり、その刃には、まるでノコギリのようなギザギザが出来た機神剣(きじんけん)となったのである。
この姿こそ、神食騎士狼武。荒ぶる神の如く人間を喰らいしホラーを斬り裂く騎士である。
奏夜はリンドウの鎧を見て呆けていたのだが……。
「おい、少年!ぼさっとするな!来るぞ!」
リンドウが奏夜にこう警告をすると、体勢を立て直したフェンリルが襲いかかってきた。
「あっ、あぁ!」
奏夜は気を取り直して攻勢に転じることにした。
相変わらずフェンリルは素早い動きなのだが、奏夜もリンドウもフェンリルの動きを見切っており、迫り来るフェンリルに、それぞれの剣を叩き込み、フェンリルにダメージを与えていた。
フェンリルは素早い動きでリンドウに迫るのだが、リンドウは機神剣を一閃すると、フェンリルの体の一部を斬り裂いた。
「……少年!今だ!」
先ほどのリンドウの一撃によってフェンリルに大きな隙が出来たため、リンドウはトドメの一撃を奏夜に託していた。
「任せろ!!」
奏夜はフェンリルに接近し、陽光剣を一閃することで、フェンリルの体を真っ二つに斬り裂いた。
リンドウと奏夜の連続攻撃によって真っ二つに斬り裂かれたフェンリルは、断末魔をあげながら消滅した。
フェンリルが消滅したことを確認した奏夜とリンドウは、それぞれの鎧を解除すると、それぞれの魔戒剣を鞘に納めていた。
「ふぅ……。ざっとこんなもんだろ……」
魔戒剣をしまったリンドウは、代わりに煙草を取り出すと、再び煙草を吸っていた。
奏夜は、リンドウから話を聞きたいと思っていたため、リンドウに駆け寄っていた。
「……おう、少年。お疲れさん。お前さんもなかなかやるじゃないか」
リンドウは煙草を吸いながら、奏夜の健闘ぶりを讃えていた。
「少年はやめてくれ!俺には如月奏夜という名前があるんだから!」
『俺はその相棒のキルバだ』
ここで、奏夜とキルバは、リンドウに自己紹介をしていた。
「……なるほどな。お前があいつの言っていた如月奏夜か」
どうやらリンドウは、誰かから奏夜の話を聞いていたようであり、奏夜のことは知っていたようであった。
「……?あいつ?それってまさか……」
奏夜のことをリンドウに話した人物に心当たりがある奏夜は、その名前を言おうとしたのだが……。
「……あっ、いたいた。兄貴!!」
どこからか現れた魔戒法師のアキトは、どうやらリンドウを探しているようであり、リンドウに駆け寄っていた。
「おう、アキト。やっと来たのか」
「え?あんたの言ってたあいつって統夜さんのことじゃないのか?」
奏夜が思っていた人物は統夜だったため、奏夜は少しばかり困惑していた。
「まぁ、統夜からも話は聞いてたけどな。最初に話を聞いたのはアキトからなんだよ」
「言ったろ?俺はこの街で用事があるってさ」
アキトは、奏夜がアスモディと戦った時に、桐島大輝と共に奏夜の援護を行ったのだが、アキトは元老院からの指令の他に、この街で用事があると奏夜に話していた。
その中身までは明かされなかったが、リンドウのことなのかと、奏夜は納得していた。
「お前も翡翠の番犬所に魔戒騎士が配属されるって聞いただろ?それが兄貴だからよ。俺は兄貴に秋葉原の街を案内してたんだよ」
「ま、統夜とその友達も付き合ってくれたんだがな」
アキトの用事というのは、翡翠の番犬所に配属されるリンドウの街の案内であり、それには統夜だけではなく、唯たちも一緒に街の案内をしていた。
「なるほど……。アキトさんの用事はこの人の案内だったんですね……。ん?待てよ?さっき兄貴って言ってましたけど、まさか、この人が……」
「あぁ。俺の実の兄貴だ」
「えぇ!?そうなんですか!?」
リンドウがアキトの実の兄であることがわかり、奏夜は驚きを隠せなかった。
アキトの本当の名前は天宮アキトであり、アキトとリンドウは、神食騎士狼武の称号の家系に生まれ、長男であるリンドウが狼武の称号を受け継ぎ、次男であるアキトは、魔戒法師となり、布道レオに師事した。
リンドウは魔戒騎士として多くのホラーを討滅し、その実力は元老院にも一目置かれるほどであった。
そして、アキトは布道レオに師事し、月影統夜と出会うことで、最高傑作である魔戒銃を完成させた。
「……すいません、リンドウさん。俺、あなたがアキトさんのお兄さんだとは知らず……」
奏夜はリンドウがアキトの兄と知り、先ほどとは態度をガラッと変えていた。
「いいってことよ。それに、敬語で話されるのは性に合わん。だから、さっきのように接してくれや」
どうやらアキトの気さくなところは兄譲りであるようで、リンドウは敬語で話されるのはあまり好きではないようである。
リンドウはそんな性格なため、面倒見のいい先輩騎士ということで、若い魔戒騎士に慕われていた。
「……わかった。よろしく頼むよ、リンドウさん」
「言っておくが、“さん”もいらんからな」
「……わかったよ。リンドウ」
「うんうん。それで良い」
リンドウは奏夜に“さん”付けで呼ばれるのも良しとしなかったため、奏夜はリンドウを呼び捨てで呼んでいた。
「ちなみに、俺もタメ口に呼び捨てで呼んでくれるとらありがたいんだがな」
「い、いや……。アキトさんは、ずっとそう呼んでましたし、いきなりは……」
「おいおい、アキト。あまり少年を困らせるなよな」
「……わかってるよ、兄貴……」
奏夜はアキトのことをずっとアキトさんと呼んでいたため、そう簡単に直すことは出来なかった。
それを理解したリンドウは、このようにアキトをなだめていた。
「ま、とりあえず実際にこの管轄で仕事をするのは明日以降だし、番犬所に挨拶に行くのもその辺りだからよろしくな」
どうやら、リンドウが正式にこの管轄で仕事をするのはもう少し先の話のようであり、今日奏夜に力を貸したのは、挨拶を兼ねてのようであった。
「あぁ、こちらこそ、よろしく」
奏夜は、新たに配属されるリンドウを、歓迎していた。
「さて、ホラーも倒したんだ。今日はゆっくりと飲み明かそうぜ!」
「ったく……。兄貴はそればっかりだよな。まぁ、俺も付き合うけどさ」
どうやらリンドウはこれから飲みに出るようであり、アキトもついて行くようだった。
「おい、少年。お前も一緒に来い。同じ管轄で働く魔戒騎士として、色々聞きたいこともあるしな」
「へ!?ちょっと待て!俺は未成年だぞ!だから酒は飲まないし!」
「ったく……。真面目だなぁ……。ちょっとくらいはいいじゃねぇか」
「良くないっての!」
奏夜は、未成年である自分に酒を飲まそうとしているリンドウを全力で止めていた。
「……ま、無理強いはよくないわな。そんじゃまぁ、またな!少年!」
こう言いながらリンドウはどこかへ移動し、アキトはそんなリンドウの後を追いかけていた。
『……やれやれ……。やはり真面目な奴じゃなさそうだな……』
「アハハ……。悪い人じゃなさそうだけどな」
『とりあえず、俺たちも帰るぞ、奏夜』
「そうだな……」
こうして、リンドウと共にフェンリルを討滅した奏夜は、その場を後にして、自宅へと向かっていた。
……そんな奏夜の戦いを見守っていた1つの影があった……。
「……如月君……。なるほど、やはりそういうことやったんやな……」
1枚のカードを取り出し、このように呟いていたのは、なんと生徒会副会長である東條希だった。
希は、奏夜が普通の人間ではないのでは?という疑惑を抱いており、奏夜のことを探っていたのだが、偶然にもホラーに襲われる奏夜を目撃して、音ノ木坂学院の裏山まで追いかけて戦いの様子を見ていたのである。
「……やっぱり如月君は、何かを守る騎士やったんやな。まぁ、あの化け物のことはわからへんけど……」
希は、自分の予想通り、奏夜は何かを守る騎士であった。
……さすがに、ホラーや魔戒騎士のことまではわかってるようではなかったのだが……。
「……近いうちに話を聞かないといかんなぁ。……如月君に」
希は、奏夜に本当のことを聞き出そうと決意すると、その場から離れていった。
……奏夜の戦いを遠くから見ていたのは、希だけではなかった……。
「……なるほど。あれがこの管轄の魔戒騎士って訳か……」
裏山の高いところから、奏夜の戦いを見ていたのは、銀髪で背の高い男であり、黒のスーツのような服を着ていた。
「いやはや……。あんな子供が魔戒騎士とは……。魔戒騎士としての作法がなっておりませんな」
背の高い男の他に、60代前半くらいの男も一緒だった。
立場的に、この壮年の男は、銀髪の男の付き人と思われる。
「そうだな……。もう1人の方はまぁまぁやる方だが、俺やお前の敵ではないさ」
銀髪の男は、どうやらリンドウの実力は認めているようだったが、それでも自分の方が強いと自負していた。
「その通りです。……我らの計画も問題なく進みそうですなぁ」
「あぁ。伝説の魔竜ホラーの眼にそいつの牙……。俺たちの悲願を実現するために、魔竜ホラーを早く復活させないとな……」
「はい。早急に魔竜の眼と牙の手がかりを見つけます」
どうやら、銀髪の男は、とあるホラーを復活させようとしており、その封印を解くためにはいくつか必要なものがあるようだった。
しかし、その必要なものはまだ見つかっていないため、壮年の男は、その手がかりをどうにか見つけようとしていた。
「……あぁ。頼んだぞ。奴らと遊んでやるのはそれからでも遅くはなさそうだしな」
「あなたほどの人が出る幕もありません。あのような未熟な魔戒騎士など、私1人で充分です」
「ふっ……。違いねぇ。だが、俺もたまには遊びたいと思ってるから、その時は自由にさせろよな」
「はっ……。心得ております」
どうやら銀髪の男も、壮年の男も、近いうちに奏夜たちの前に立ちはだかろうと考えているようであった。
この2人が奏夜の前に立ちはだかるのはまだ先の話ではあるのだが、それこそが壮絶なる戦いの序章になるとは、奏夜は知る由もなかった……。
※※※
新たに翡翠の番犬所に配属されるリンドウと共に、フェンリルを討滅した翌日の放課後、奏夜はアイドル研究部の部室にいた。
この日もリーダーについて話し合いをするためである。
昨日行ったカラオケやダンスゲーム。さらにチラシ配りの結果は、全員同じようなものであり、これだけで結果が決まるものではなかった。
「……やっぱり昨日のあれじゃ決まらなかったか……」
カラオケとダンスゲームは一緒に参加していたため、奏夜はチラシ配りを行っても、誰がリーダーかはハッキリしないだろうと予想していた。
「えぇ。そうなのです……。ダンスのスコアが低かった花陽は、カラオケの点数が良くて。カラオケの点数が低かったことりは、チラシ配りの成績が良くて……」
「結局、みんな同じってことなんだね」
どうやら、どこかでスコアが低くても、他で補っているため、この結果だけではリーダーは決められなかったのであった。
「それにしても凄いね!にこ先輩!みんなよりも全然練習してないのに、凛たちと同じくらいの点数なんだもん!」
「アハハ……。当たり前でしょ……」
にこは最初から勝つつもりで挑んできたのだが、そうしなかったらどのようなスコアになっていたのかと考えていたにこは、顔を真っ青にして苦笑いをしていた。
「……それで?結局どうするの?リーダーは」
「わっ、私は、やっぱりリーダーは上級生の方が……」
「仕方ないわねぇ……」
上級生の方がいいという花陽の言葉に、にこが名乗り出ようとするものの、奏夜たちは相変わらずにこをスルーして話し合いを行っていた。
「……あんたたち、ブレないわね……」
奏夜たちの変わらないスルースキルに、にこは呆れていた。
色々な意見が飛び交い、リーダー選びは難航すると思ったのだが……。
「……それじゃあ、いらないんじゃないのかなぁ。リーダー」
穂乃果はさらっととんでもないことを言っていたため、他のメンバーは驚きを隠せなかった。
「り、リーダーなしってどういうことですか?」
「だって、リーダーがいなくたって、練習してきたでしょ?それに、歌だってちゃんと歌ってきたし」
「けど、リーダーがいないグループなんて、聞いたことがないわよ」
「そうよ。それに、センターはどうするの?」
にこや真姫の指摘通り、どのグループにもリーダーと呼べる人物が存在しており、みんなをまとめる人物がいなければ、グループとして存続していくのは難しいのではないかと思われた。
このように2人が心配する中、穂乃果は……。
「……それなんだけど、みんなで歌うってどうかな?」
「みんなで?」
「へぇ……」
穂乃果の言葉の意味が理解出来ていないにこは首を傾げており、意味を理解している奏夜は、不敵な笑みを浮かべていた。
「家で、アイドルの動画を見ていて思ったんだ。なんかね、みんなで順番に歌えたら素敵だなって。そんな曲、作れないかなって」
「……俺はそういう曲こそ今のμ'sらしい曲だと思うんだが、どうだ?海未、真姫」
奏夜は穂乃果の意見を後押しする形で意見に賛同すると、作詞担当の海未と、作曲担当の真姫に意見を求めていた。
「……まぁ、歌は作れなくはないかと……」
「そういう曲、なくはないわね」
海未は少々戸惑っていたが、真姫もどうやら穂乃果の意見に賛成のようであり、積極的な姿勢を見せていた。
「ことりちゃん、そーくん。そんな振り付けは出来るかな?」
穂乃果は、振り付け担当であることりと、ダンスコーチである奏夜に意見を求めていた。
「うん!今の7人……。いや、8人なら出来ると思う!」
今度の新曲は奏夜の力も合わさって作られる曲のため、ことりは奏夜も頭数に入れていた。
「……まぁ、その分練習は厳しくなるぞ。覚悟しておけよ!」
「うん!望むところだよ!」
奏夜の脅しに近い言葉にも動じることはなく、穂乃果は力強く答えると、にこ以外の全員がうんうんと頷いていた。
「じゃあ、そうしようよ!みんなが歌って、みんながセンター!」
どうやら穂乃果は、μ'sのメンバーは1人1人が輝くべきだという思いがあるからか、このような発言をしていた。
実はそれは、奏夜が前々から考えていたことでもあり、このようにメンバーを引っ張る穂乃果を見て、奏夜は穏やかな表情で笑みを浮かべていた。
「私、賛成!」
「……好きにすれば」
ことりは穂乃果の意見に賛同し、真姫も、反対はしていなかった。
「凛もソロで歌うんだぁ!」
「わ、私も!?」
凛は、自分がソロパートを担当することにやる気満々であり、花陽は恥ずかしいのか、頬を赤らめていた。
「やるのは大変そうですけどね……」
「さっきも言ったろ?そういう曲の方が俺たちらしいって」
海未が少々不安げな意見を出していたが、それを奏夜が力強い言葉で一蹴していた。
そした、奏夜たちは、まだ意見を聞いていないにこの方を見ていた。
「……仕方ないわね。ただし、私のパートは格好よくしなさいよ」
「了解です♪」
「……ま、俺の出した課題をクリア出来るなら、にこ先輩だけ目立たせてあげますよ」
「のっ……望むところじゃないの!」
奏夜はうまい具合ににこを焚き付けており、そんなやる気に満ちたにこを見て、奏夜は笑みを浮かべていた。
「……よーし!そうと決まれば、さっそく練習しよう!」
新曲についての案が決まり、リーダーの件も解決したことで、やる気になった穂乃果は屋上目指して駆け出して行き、奏夜たちがそれを追いかけていた。
「……それにしても、本当にリーダーがいなくても大丈夫なのかなぁ?」
その途中、ことりが少しばかり不安そうな表情を浮かべながら、このようなことを呟いていた。
そんなことりの言葉を聞いた海未は……。
「……リーダーならもう決まっていますよ」
「不本意だけど……ね」
一応はリーダーはいないということになっているが、真のリーダーは誰なのか、誰の目から見ても明らかであった。
「何にも捉われないで、1番やりたいこと。1番面白そうなものに怯まずに、ただ真っ直ぐに突き進んでいく。それは、穂乃果にしかないものかもしれません」
「それに、そんな穂乃果や私たちを裏方として支え続けてくれる……。奏夜もまた、もう1人のリーダーだと、私は思ってるわ」
「おいおい……。勘弁してくれよ……。俺はリーダーはやらないっていったろ?」
「そんなリーダーらしいことはしなくても良いのです。ただ、いつものように、私たちを支えてさえいてくれれば……」
「……ま、そういうことならわかったよ。俺は俺にしか出来ないことをする。みんなも力を貸してくれよな」
「えぇ、もちろんよ!」
こうして、奏夜もまた、リーダーの役を与えられ、表のリーダーが穂乃果であり、裏のリーダーが奏夜という形で、リーダーの問題は完全に解決したのだった。
「……さぁ!始めよう!」
こうして、穂乃果たちは練習を開始するのであった。
それからおよそ1週間後、μ'sの新曲が完成し、その曲のPVも撮影したので、スクールアイドルのサイトにアップされた。
今回の新曲の衣装は、「不思議の国のアリス」をイメージしたような衣装であり、帽子やうさ耳など、個性的な装飾品も身につけていた。
そして、この曲は、奏夜や穂乃果のイメージした通り、全員にソロパートがあり、みんなが平等に輝いている、まさにμ'sらしい曲といっても過言ではなかった。
この曲はこのようなタイトルであった。
『これからのSomeday』
※※※
μ'sのPVが完成し、すぐにその動画がアップされたのだが、反響はかなりのものだった。
そんな中、未だに奏夜たちの活動を認めていない絵里は、新曲の動画を、神妙な面持ちでチェックしていた。
「……希。あの子たちに何を言ったの?」
その隣には希がいて、絵里は、彼女がアイドル研究部の部活紹介ビデオの撮影に関わっていることを知っていたため、このような問いかけをしていた。
「ウチは思ったことを素直に言っただけや。誰かさんと違ってな」
「……」
希の言った言葉に何かを返すことはせず、絵里は相変わらず神妙な面持ちをしていた。
「……もう認めるしかないんやない?エリチが力を貸してあげれば、あの子たちはもっと……」
「なら、希が力を貸してあげれば?」
今でもμ'sのことを認めていない絵里は、このような言葉で、希の言葉を否定していた。
「ウチやない……。カードも言ってるの。あの子たちに必要なのは、エリチや」
希はそう言いながらタロットカードを1枚引くのだが、その時に引いたのが、「THE STAR」のカードだった。
星を意味するこのカードの正位置の意味は、「希望があり、光があなたを導いていく。迷うことなく、憂うことなく、光に向かって突き進めば良い」といった感じである。
「……ダメよ……」
絵里は、先ほどよりも思いつめた表情をして、希の言葉を否定していた。
何故、絵里がここまでスクールアイドルに対して否定的な考えを持っているのか、それは、これから明らかになっていくのである。
それが明らかになった時、μ'sに大きな波乱が待ち受けるのだが、そのことを奏夜たちは、知る由もなかった……。
……続く。
__次回予告__
『なるほど、スクールアイドルにはこのような大会があるんだな。だが、出るためには試練があるみたいだがな。次回、「試験」。こいつらの成績は、いったいどうなんだ?』
リンドウの鎧が登場しました。
神食騎士狼武の鎧のモデルですが、「GOD EATER」に登場する、ハンニバル侵食種というアラガミを小型化して、魔戒騎士の鎧っぽくした感じです。
GOD EATERをプレイしたことない方は、どんな姿なのか、1度見てみてください。Googleで検索したら画像が出てくると思います。
そして、ついに希にも奏夜が魔戒騎士だということがバレてしまいました。
とは言っても詳細のことは知らないため、これからいったいどうなっていくのか?
それだけではなく、今回の黒幕と思えるキャラが登場しました。
銀髪で長身の男に、壮年の男……。牙狼シリーズを見た方なら、もしやと思うかもしれません。
この2人は奏夜の前に立ちはだかっていくことになるのでしょうが、これからどうなるのか?
さて、次回はラブライブ!第7話に突入します。
これから先、奏夜たちを待ち受けているものとは?
それでは、次回をお楽しみに!