私事で大変申し訳ありませんが、この小説執筆当初からコツコツ貯めていた小説のストックがついに尽きてしまいました。
今は26話を執筆中ですが、次回の投稿が遅れるかもしれないのでよろしくお願いします。
それでは、第25話をどうぞ!
スクールアイドルの祭典である「ラブライブ」という大会が行われることを知った奏夜たちは、ラブライブにエントリーしたいという意思を理事長に伝えるため、理事長室を訪れた。
そこには生徒会長である絵里と副会長である希も偶然いたため、2人もその話を聞いていた。
理事長は、エントリーするのは構わないのだが、1週間後に行われる期末試験で1人でも赤点を取る者がいれば、そのエントリーも認めないということを伝えた。
μ'sのメンバーの中で、赤点の危険があるメンバーは、穂乃果、凛、にこの3人であり、奏夜たちだけではなく希の協力も得て、試験に向けての勉強がその日から行われることになった。
そして、その勉強は現在も続いてはいるのだが……。
「……あぅぅ……。全然わからないよぉ……」
「穂乃果ちゃん、頑張って!もう少しだから!」
ことりは、穂乃果を励ましながら、どうにか穂乃果に勉強を頑張ってもらおうとしていた。
しかし……。
「ことりちゃん……」
「何、穂乃果ちゃん?」
「おやすみ……」
穂乃果は苦手な数学の問題に耐えられず、寝ようとしていた。
「あぁ!穂乃果ちゃん!寝たらダメだよぉ〜!!」
ことりはどうにか穂乃果を起こそうとするのだが、優しいことりの言い方では、穂乃果は起きないだろうと予測することは出来た。
「ったく……。仕方ないな……」
そんなことりを見かねた奏夜は、軽い力で穂乃果の頭をチョップした。
「痛っ!あぅぅ……。何するの?そーくん」
奏夜の軽い力でも、それなりに痛かったからか、穂乃果はガバッと起き上がり、奏夜にチョップされたところを優しく摩っていた。
「何するの?じゃないだろう。ここで頑張らないと赤点だぞ」
「わ、わかってるよ!」
奏夜はことりとは違い、厳しい言葉を投げかけることで、穂乃果のやる気を引き出していた。
穂乃果がどうにかやる気を引き出していた頃、凛は……。
「あぅぅ……。全然わからないにゃあ……」
穂乃果同様に、苦手科目に悪戦苦闘していた。
「凛ちゃん。わからないところは教えるから、頑張ろう?」
花陽は、ことり同様に優しく凛を励ましながら、どうにか凛のやる気を引き出そうとしていた。
そんな中、凛は……。
「あーっ!白いご飯にゃ!」
このようなことを言って、その場を逃れようと企んでいた。
「えっ!?どこ!?」
花陽だけは、そんな凛の言葉に引っかかってはいたのだが……。
「そんなものに引っかかるわけないでしょ!」
真姫はそんな凛に呆れつつ、凛の頭に軽くチョップをしていた。
続いてはにこなのだが……。
「……にこっち。ここの問題は?」
希はとある問題を指して、それをにこに答えさせようとしていたのだが……。
「……に……。にっこにっこに〜」
いつもの芸で誤魔化そうとしていた。
それを見た希は……。
「ふざけたらワシワシマックス言うてるやろ?」
希は席をたち、臨戦体勢に入っていた。
「わ、わかってるわよ!」
ワシワシはどうしても嫌だったからか、にこは慌てて勉強を再開していた。
(やれやれ……)
《こんな状態で本当に大丈夫なんだろうな?》
(さぁな……)
この場に希がいるため、堂々と喋れないキルバは、奏夜とこのようにテレパシーで会話をしていた。
《……とりあえず、勉強を見るのは任せて、1度番犬所へと向かうぞ》
(そうだな……)
勉強を見るのは海未とことりがいるため、自分がここにいなくても大丈夫と、奏夜は判断していた。
「……ことり、穂乃果のことは任せてもいいですか?私は、弓道部の練習に行かなければならないので……」
奏夜が話をする前に、海未が弓道部の練習があることを告げていた。
「海未は、弓道部の練習があるんだな。俺もちょっと用事があるんだ。ことり、悪いけど穂乃果のことは頼むな」
「う、うん……。わかったよ」
奏夜と海未は、それぞれ用事があるため、アイドル研究部の部室を後にすると、それぞれの用事へと向かっていった。
「……」
そんな中、希は、部室を立ち去る奏夜のことをジッと見つめていたが、すぐに視線を戻し、にこの勉強を見ていたのであった。
※※※
アイドル研究部の部室を後にした奏夜は、学校も後にすると、そのまま番犬所へと向かった。
番犬所に到着すると、狼の像の口に魔戒剣を突き刺し、魔戒剣の浄化を行った。
「……そういえば、奏夜。今度、ラブライブと呼ばれるスクールアイドルの祭典が開かれるのを知っていますか?」
奏夜が魔戒剣を鞘に納めたタイミングで、ロデルはラブライブの存在のことを奏夜に確認していた。
「えぇ。花陽とにこ先輩から聞きました。それで、ラブライブエントリーに向けて、頑張ろうとしているところです」
「ほう。それはいったい?」
「ラブライブのエントリーには、学校の許可が必要なのですが、今度の期末試験で1人でも赤点を取ってしまったらそれが認められないので、今は勉強を頑張っているんです」
「なるほど……。どうやらそこは乗り越えなければいけない試練のようですね」
「そうですね……」
「奏夜。今のところ指令はありません。あなたも、試験の勉強を頑張ったらどうですか?」
現在指令はないとのことなので、ロデルは、奏夜に勉強するよう勧めていた。
「ありがとうございます。ロデル様。そうさせてもらいます」
奏夜はロデルに一礼をすると、番犬所を後にした。
『……おい、奏夜。この後はどうするつもりなんだ?』
「そうだなぁ……。とりあえず学校に戻るかな。あいつらがちゃんと勉強してるかも気になるしな」
『あぁ。それが良さそうだな』
番犬所を後にした奏夜は、どこで勉強するかを考えていたのだが、穂乃果、凛、にこの3人がちゃんと勉強しているか心配だったため、1度学校に戻ろうと考えていた。
その途中、音ノ木坂学院の近くにあった公園を通り過ぎようとしたその時だった。
「……!?そ、奏夜!?」
公園の近くで海未とバッタリ会い、奏夜は驚きを隠せなかった。
奏夜が驚いていたのは海未とバッタリ会ったことだけではなかった。
「……あなた……」
何故か絵里も一緒にいたため、絵里は少しだけ険しい表情をしていた。
それだけではなく、絵里の隣には、金の長髪に、透き通った青い瞳の少女も一緒だった。
少女はまだあどけなさが残っており、中学生くらいだと予測することが出来た。
少女は、目をキラキラとさせながら奏夜のことを見ていた。
「あっ、あの!如月奏夜さんですよね?μ'sのマネージャーの」
「あっ、あぁ……。そうだけど……」
「動画のコメントにもありましたけど、写真で見るより格好いいですね!」
「そ、そうかな……」
初対面の少女にここまでべた褒めされて、奏夜はまんざらでもなさそうだった。
「……」
そんな奏夜を、海未はジト目で見ていた。
「なっ、何だよ!そんな目で俺を見るなよ!」
「……それは失礼しました。ちなみに、彼女は生徒会長の妹さんみたいですよ」
「!?マジか……」
「はい!私、絢瀬亜理沙(あやせありさ)といいます!」
海未は奏夜に、絵里の隣の少女が絵里の妹と伝えると、奏夜は驚いており、その少女……亜理沙は、自己紹介をしていた。
どうやら海未と絵里はこの公園で話をするみたいだったため、その話に、奏夜も同席することになった。
奏夜たちが話をする前に、亜理沙は、近くの自動販売機でジュースを買ってきてくれた。
そして、亜理沙は自動販売機で買ったものを奏夜と海未に渡したのだが……。
「これって……」
「おでん……だよな?」
亜理沙が2人に手渡したのは、秋葉原の自動販売機でよく見かけるおでんが入った缶だった。
「……ごめんなさい。向こうでの暮らしが長かったから、まだ日本の文化に慣れていないの」
「向こう?」
「えぇ。私たちの祖母は、ロシア人なの」
どうやら、絵里と亜理沙は、日本人とロシア人のクォーターみたいだった。
(へぇ……。生徒会長もこの子も、何となく日本人っぽい雰囲気じゃないなと思ってたけど、まさかクォーターとはな……)
奏夜の知り合いに外国人はおらず、ハーフやクォーターの人物もなかなか見かける機会はなかったため、絵里の出自を聞いて、奏夜は感心していた。
「……亜理沙。それは飲み物じゃないの」
絵里は、奏夜たちには見せたことがないほど優しい表情で、おでん缶が飲み物じゃないことを亜理沙に伝えていた。
「……ハラショー……」
「……悪いけど、別なのを買ってきてくれないかしら?」
「うん!わかった!」
亜理沙は、そのまま自動販売機の方へと戻っていこうとしたのだが……。
「ちょっと待った!」
奏夜は亜理沙を引き止めると、亜理沙は首を傾げていた。
「おでん缶を買ってもらってさらにジュースというのは申し訳ないからな。これで何か買ってきてくれないか?あっ、お釣りはいらんからとっときな」
そう言いながら、奏夜は財布を取り出してそこから千円札を取り出すと、それを亜理沙に手渡した。
「ありがとうございます!」
奏夜から千円札を受け取った亜理沙は、そのまま自動販売機へと向かっていった。
「……あなたに奢ってもらういわれはないのだけど……」
「気にしないでください。これはおでん缶のお礼みたいなものですから」
「そう……わかったわ」
絵里は、度々ぶつかってきた奏夜に奢ってもらうのは癪だったのだが、奏夜が先ほど亜理沙が買ってきたおでん缶のお礼という理由を聞くと、納得したようだった。
「それにしても……。あなたたちに見つかってしまうなんてね……」
「?何のことです?」
絵里の言葉の意味が理解できず、奏夜は首を傾げていた。
「奏夜。私たちのファーストライブの映像。誰が撮影したのか、ずっと疑問でしたよね?」
「確かに。その話は度々してたけど、結局わからずじまいだったよな」
「えぇ。それで、あのライブを撮影したのが、生徒会長だったみたいです」
「!マジか……。何となくそんな気はしてたけど……」
奏夜は、あの動画を撮ったのは絵里なのではないかと密かに予想していたのだが、本当にそうだとは思っていなかったため、奏夜は驚きを隠せなかった。
「……何であなたがそんなことをしてくれたのかはわからないけど、そのおかげで、μ'sのことを多くの人に知ってもらうことが出来たよな」
「そうですね。だからこそ……」
「やめて!」
海未が絵里に対して感謝の言葉を言おうとしたのだが、それを絵里が遮断していた。
「あなたたちのためにやった訳じゃないのよ。むしろ逆。あなたたちの歌やダンスがいかに人を引きつけないか、活動を続けても意味がないものだということを知ってもらいたかったから」
どうやら、絵里が初ライブの動画を撮ったのは、奏夜たちのパフォーマンスがまだまだで、現実を知ってもらいたいという思いからであった。
「だから、今のこの状況は想定外。無くなるどころか人数が増えるなんて……。だけど、私は認めない」
μ'sがだいぶ有名になったとはいえ、絵里は奏夜たちのことを認めようとはしなかった。
「人に見せられるものになっているとは思えない。そんな状態で学校の名を背負って活動して欲しくないの」
「確かにな……。ダンスコーチをしてる俺だって今のμ'sはまだまだだと思ってる。だけど、人に見せられないパフォーマンスだとは思わないな」
「ダンスコーチね……。あなたはダンスが得意みたいだけど、あなたのダンスがどれ程のものなのかも疑問だけれどね」
絵里も、奏夜がμ'sのダンスコーチをしていることは知っていたが、奏夜のダンスのテクニックを疑っていた。
「……」
自分のことをここまで言われてしまい、奏夜は唇を噛んでいた。
「……話はそれだけよ」
そう言って、絵里はベンチから立ち上がって帰ろうとしていた。
「待ってください!!」
それを見ていた奏夜と海未が立ち上がり、海未が絵里を引き止めていた。
「じゃあ、もし私たちが上手くいったら……。人を引きつけられるようになったら……。私たちのことを認めてくれますか?」
今はまだまだではあるが、いつの日かは絵里にも認めてもらいたい。そんな海未の気持ちが、そう言わせていた。
しかし、絵里は……。
「……無理よ」
そんな海未の言葉を否定していた。
「どうしてですか?」
「私にとって、スクールアイドル全部が素人にしか見えないの。1番実力のあるA-RISEも……。素人にしか見えない」
絵里は険しい表情でこう言い放つのだが、その言葉はまるで氷のように冷たいものだった。
それだけではなく、絵里の言葉はA-RISEを始め、スクールアイドル全てを否定していた。
奏夜は、スクールアイドルがどれだけの努力をしているのかということを理解しているため、そんな努力すら否定する絵里の言葉が許せなかった。
「あんた……。そこまで言うのなら、あんたはそれだけのものを持ってるんだろうな?そうじゃなかったら、俺はあんたを絶対に許さない!」
奏夜は絵里の言葉に怒っており、鋭い目付きで絵里を睨みつけていた。
そんな奏夜を見た絵里は……。
「……えぇ。持っているわよ。A-RISEが素人だと言えるほどのものを」
絵里の言葉には嘘偽りはないようであり、彼女の冷静な対応がそれを物語っていた。
「……まぁ、どうしても知りたければ希にでも聞いてみるといいわ」
絵里は自らの口からそのことを明かそうとはせず、知りたければと、希の名前を出していた。
「……あっ、お姉ちゃん!」
ちょうど絵里がそう言ったタイミングで、自動販売機での買い物を済ませた亜理沙が戻ってきた。
「話は終わったわ。行きましょう」
絵里は亜理沙を連れてそのまま立ち去ろうとしたのだが……。
「……待ってください!」
ここで海未が絵里を引き止めたため、絵里と亜理沙は足を止めていた。
「あなたがどれだけのものを持っているのかはわかりません。ですが、私たちのことを……。そんな風に言われたくありません!」
海未は自分の気持ちを真っ直ぐ絵里にぶつけたのだが、絵里には届いていないようであり、何も答えることなく、絵里はその場を立ち去った。
亜理沙もそんな絵里に付いていくのかと思いきや、亜理沙は奏夜と海未に駆け寄っていた。
「……これ、飲みますか?」
「ありがとうございます……。って……」
「ほう。おしるこか……」
亜理沙が続いて渡してきたのはおしるこの缶であり、海未はそのことに戸惑い、奏夜はおしるこが好きだからか、目を輝かせていた。
「ありがとう。遠慮なくいただくよ」
奏夜は少しばかり嬉しそうにおしるこの缶を受け取り、海未は少しばかり戸惑いながらおしるこの缶を受け取っていた。
「あの……。亜理沙は、μ'sが大好きです!」
「ありがとな。そう言ってもらえると、こちらとしては凄く嬉しいよ」
キラキラとした笑顔でμ'sが好きなことを伝えた亜理沙は、ペコリと奏夜と海未に一礼すると、絵里の後を追いかけていった。
「……なぁ、海未。とりあえず、東條先輩に話を聞かないか?」
「そうですね……」
奏夜と海未は、絵里のことを希から聞き出すために、移動を開始した。
ことりに電話をかけて、希とにこが、ファストフード店で勉強していることを聞いた奏夜と海未は、ファストフード店に直行した。
ファストフード店に入ると、希とにこはすぐに見つかった。
どうやらにこは、数学の問題に悪戦苦闘しているようであり、その度に、希にワシワシされそうになっていた。
「……東條先輩」
「ん?如月君に海未ちゃんか。どうしたん?2人して」
「東條先輩に聞きたいことがありまして……」
「構わんよ。ウチで良ければなんでも聞いたげるな。そういうわけでにこっち。今日の勉強は終わりや」
どうやらここで今日の勉強は終わりのようであり、にこはホッとしながらも疲れ果てていた。
「……とりあえず場所を変えようか」
希は、奏夜と海未から話を聞くために、ファストフード店を離れると、神田明神へと移動した。
ちょうど、神社の手伝いがあるみたいだからだ。
「……それで、話っていうのはエリチのことやろ?」
どうなら希は、2人の話の内容を察しているみたいだった。
「はい。そうなんです。それで……」
「話してあげてもいいけど、ウチも如月君に聞きたいことがあるんや」
「俺に?」
どうやら、ここで希の質問に答えなければ、2人の聞きたいことは聞き出せないみたいだった。
「……これは改めての問いなんやけど、如月君。君は何者なん?」
「!?」
「……」
希の問いかけに、海未は驚きを隠せない様子であり、奏夜は何も答えずジッとしていた。
「如月君は、本当に騎士だったんやな。……まぁ、あんな化け物と戦ってるとは思わんかったけどな」
「!?と、東條先輩……。まさか……」
希の言葉を聞いた奏夜は、さすがに驚きを隠せないようだった。
「うん。実は如月君がよくわからん怪物と戦ってるところや、君が黄金の鎧を身に付けたところも見たんよ」
(……マジか……。よりによって1番知られたら厄介そうな人にバレるとは……)
《そうだな……。あのお嬢ちゃんは色々と油断ならないからな……》
希がフェンリンとの戦いや、鎧の召還の一部始終を見ていたことを知り、奏夜は頭を抱えていた。
「それに、君のつけてる指輪も、どうやら喋るみたいやしな。ただの指輪ではないとは思ってたんやけど……」
どうやら希は、キルバが喋るところも見ていたようであった。
『やれやれ……。そこまで知られてるなら、黙ってる必要はなさそうだな』
「キルバ!」
キルバがいきなり喋り出したのだが、それを咎めたのは、奏夜ではなく、海未だった。
「へぇ、君はキルバっていう名前なんやな」
『あぁ。俺は魔導輪のキルバだ』
「魔導輪……。やっぱり普通の指輪じゃないんやね」
魔導輪という単語の意味はわからなかったが、希はそれだけで、キルバが普通の指輪ではないことは理解出来た。
「それに……。どうやらμ'sのみんなは君の秘密を知っているみたいやしな」
希は、奏夜の正体を知り、μ'sのメンバーも奏夜の正体を知っているだろうと予想していた。
「はい……。私たちはホラーに襲われたことがありまして、それを奏夜に救われたのです」
「なるほど……。あの怪物はホラーっていうんやね」
「そうです。そして俺は、そんなホラーから人を守る魔戒騎士なんです」
「魔戒騎士……。魔獣を倒して人を守る存在なんやな」
「そんな感じです」
「なるほどなぁ……。まぁ、詳しいことはまた今度聞くことにするわ」
希は奏夜の正体がわかったということで満足したようであり、これ以上の詳しいことは近いうちに聞こうと考えていた。
「それで……。君たちが知りたいのは、エリチのことなんやろ?」
「はい……。生徒会長は、あのA-RISEでさえ素人だと言っていたんです」
「まぁ、エリチならそう言うやろうなぁ。エリチはそれだけのことを言えるだけのものを持っとる」
「それも本当なんですかね?いくらなんでも、あのA-RISEを素人と言えるレベルのものを持っているとは……」
奏夜は絵里に対して、それだけのものを持っていないなら許さないと啖呵を切ったのだが、それも半信半疑であった。
「2人が知りたいのはそこやろ?」
「はい。お願いします」
「わかった。如月君のことも教えてもらったし。教えるわ。エリチのことを」
そう言って希は、携帯プレーヤーを取り出すと、とある映像を奏夜と海未に見せた。
その映像は、バレエの映像なのだが、そこに映っていたのは、幼い頃の絵里であった。
「……!こ、これは……!」
「なるほどな……」
『ほぉ……。こいつはあのお嬢ちゃんがあぁ言うのも納得だな』
舞台を華麗に舞う絵里の姿はとても優雅なものであり、海未はそんな絵里に圧倒され、奏夜もまた、驚きを隠せなかった。
そしてキルバも、絵里があそこまでのことを言ったことにも納得していた。
そして、希が見せた映像は終わったのだが……。
「「……」」
奏夜と海未は、華麗に舞う絵里の姿を最後まで見て、言葉を失っていた。
「……確かにこれならA-RISEが素人と言いたくなるのもわかる。正直なところ、俺よりも上手いしな」
奏夜はダンスが得意なのだが、上には上がいるということを、絵里のバレエを見て思い知らされてしまい、少しばかり浮かない表情をしていた。
「奏夜……」
そんな奏夜を見て、海未はなんて言葉をかけて良いのか、かわらなかった。
「……とりあえず、生徒会長の実力は本物だということはわかりました。これからどうするかはじっくり考えてみるつもりです」
「そう……わかったよ」
奏夜は希に一礼をすると、神田明神を後にして、海未は慌ててその後を追いかけていった。
「……ま、大丈夫やろ。あの子なら……」
希は、少しばかり浮かない表情をしていた奏夜のことが気がかりだったが、奏夜であればこの問題も乗り越えられるだろうと確信していた。
※※※
「……奏夜!待ってください!」
神田明神を後にして、家へと続く道を歩いていた奏夜であったが、そんな奏夜を駆け足で追いかけていた海未は奏夜にようやく追いつき、奏夜は足を止めていた。
「……正直、驚いたよ。A-RISEが素人だなんて、生徒会長の見栄だと思ったけど、そうじゃないんだもんな……」
「そうですね……。私も悔しいです……」
「だからこそ、μ'sは今のままじゃダメなんだと思うんだよ」
「そうは言っても、奏夜には何か考えがあるんですか?」
「……一応な。俺はμ'sのみんなに嫌われようが、生徒会長に認めてもらえるグループにしてやるさ……!」
奏夜はこのようなことを言っていたのだが、その表情は、何か覚悟を決めた表情であった。
「奏夜……」
そんな奏夜の覚悟を感じ取ったからか、海未は奏夜を心配そうに見ていた。
「ま、とりあえずは目の前のテストだな。あの3人が赤点を取っちまったら、それ以前の問題だからな」
「そうですね……。まずはそこをなんとかしましょうか」
「そういう訳で帰ろうぜ。送るからさ」
「はっ、はい。よろしくお願いします」
こうして奏夜は、海未を自宅まで送り届けるために、一緒に海未の家へと向かった。
(……改めて考えてみたら、奏夜と2人きりになるのは滅多にないかもしれませんね……)
奏夜と海未は中3からの付き合いではあるのだが、いつも穂乃果かことりが一緒だったため、2人きりでいる機会はほぼなかった。
(……!な、何故でしょう……。なんで私はこんなにもドキドキしているのですか……?)
海未は奏夜と2人きりでいることで、奏夜を意識しているのか、頬を赤らめながらドキドキしていた。
「……海未、どうした?」
「いっ、いえ!なんでもないです。なんでも!」
「?そうか?だったらいいんだけど……」
奏夜はどうやら、海未と2人きりでいることをそこまで気にしていないようだった。
(やれやれ……。まさか奏夜のやつも、色恋に関しては鈍感ではないよな?そこまで奴に似る必要はないのだが……)
キルバはこのように思っていたのだが、キルバのあげた奴というのは、奏夜の先輩騎士である統夜のことであった。
統夜は、魔戒騎士としては一流であったものの、色恋沙汰に関しては周囲が呆れる程の鈍感なのである。
梓と付き合うようになり、多少はマシになったのだが……。
奏夜が統夜のそんな部分まで似てしまったのではないかとキルバは少しばかり心配していたのである。
「……と、とりあえず!早く行きましょう!」
「そうだな」
海未は過剰に意識をすると恥ずかしすぎると判断したからか、これ以上は意識しないようにしており、2人はそのまま海未の家へと向かった。
海未を家まで送り届けた奏夜は、街の見回りは行わずに帰宅し、試験勉強を行うことにした。
そして翌日の放課後、この日もアイドル研究部のメンバー+希が部室に集まり、穂乃果、凛、にこの3人のテスト対策勉強を行っていた。
希は、大量の問題集を、テーブルの上に置いていた。
「……今日のノルマはこれね」
「「「……鬼……」」」
あまりのノルマの多さに、穂乃果、凛、にこの3人は、唖然としながらこう呟いていた。
「あれ?まだワシワシが足りん子がいるん?」
「「「ま、まっさか〜」」」
希からワシワシという言葉が飛び出してくると、3人は引きつった笑顔で苦笑いをしていた。
この3人は昼休みも部室で勉強する予定だったのだが、サボって練習をしようとしていた。
それを希に見つかってしまい、ワシワシという名のお仕置きを受けたのであった。
だからこそ、ワシワシという単語がトラウマとなってしまったのである。
そんな中、この日はずっと浮かない表情をしていた海未が、ゆっくりと席を立った。
「……ことり。穂乃果の勉強をお願いします……」
「え?う、うん……」
海未はことりに穂乃果のことを託すと、そのまま部室を後にしており、ことりはそんな海未に少しだけ戸惑っていた。
「……海未先輩……。どうしたんですか?」
「さぁ……」
真姫とことりは、明らかに様子のおかしい海未の様子を心配していた。
(……ったく……。海未のやつ、昨日のことをまだ引きずってやがるな……)
海未は今日1日ずっと元気がなく、奏夜はその原因が、絵里のバレエを見たからであると察することが出来た。
そんな状態の海未を、奏夜は放っておけないと思っていた。
だからこそ……。
「……ことり、悪い。俺もマネージャーの仕事があるから、後のことは頼むな」
「え?そ、そーくんも?」
そんな海未をフォローするために、穂乃果のことをことりに託した奏夜は、部室を後にすると、海未を追いかけていった。
「……おい、海未!ちょっと待てよ!」
すぐさま海未に追いついた奏夜は、どこかへ向かおうとした海未を引き止めていた。
「……海未。お前まさか、生徒会長に会おうって考えてないだろうな?」
「!?な、何でそれを……!」
奏夜は海未が何をしようとしているのかを察しており、それを見透かされた海未は、驚きを隠せなかった。
「……ったく……。俺もそうだったからわかるんだけど、ショックを受けたんだろ?生徒会長の踊りを見て」
「……はい。そうです」
海未は、昨日見た絵里のバレエの映像に大きな衝撃を受けており、その分ショックも大きいようだった。
「……正直言って、悔しいです!自分たちのやってきたことはいったいなんだったんだろうって……」
それだけではなく、海未は自分たちの未熟さを実感したため、悔しさを滲ませていた。
「やれやれ……。確かにお前たちはまだまだだけどさ、今までやってきたことは本当に無駄だと思うのか?」
「……!そ、そんなことは……」
「それに、昨日も言ったろ?これからμ'sをあの生徒会長に認めさせるってさ」
奏夜もまた、絵里のバレエの映像を見て衝撃を受けていたのだが、今のままではラブライブ出場は無理だと確信していた。
そのため、μ'sを絵里に認めさせるために何とかしようと考えていた。
「海未。生徒会長に会ってどうしようと思ったんだ?」
「……はい。ダンスコーチをしている奏夜には申し訳ないと思いましたが、生徒会長にもダンスを教わりたいと思っていました」
どうやら海未は、生徒会室に向かって、絵里にダンスを教わろうと考えていた。
「……まぁ、μ'sのことを考えるなら、俺以外の奴にもダンスを教わるのは悪いことじゃないよな」
「私もそう思ってのことなんです。今のみんなが、生徒会長の半分でも踊れるようになったら、本当の意味で人を引きつけられるのにって……」
「……俺としては、ちょっとは解せないところはあるけど、μ'sのことを思ってのことなら、俺は何も言わないさ」
今までダンスコーチは奏夜がやってきたので、他の誰かにダンスコーチをお願いすることは、奏夜としては面白くない展開だが、μ'sの未来を考えると、そうも言っていられないと思っていたのである。
「だけど、順番が違うだろ?」
「順番……ですか?」
「試験まであと5日だぞ。ここを乗り越えないと生徒会長にダンスを教わるどころかラブライブのエントリーも出来ないんだからな」
「!そ、そうですよね……。まずは目の前の問題を何とかしないといけませんもんね!」
「ま、そういうことだ。とりあえず部室に戻るぞ」
こうして、海未を目の前の問題へ目を向けさせると、2人は部室に戻ることにした。
「……穂乃果!」
「……あっ、海未ちゃん。そーくん……」
海未と奏夜が席を立ってからそこまで時間は経っていないのだが、穂乃果、凛、にこの目にはクマができており、既にグロッキーになっていた。
「おいおい。このわずかな時間で何があったんだよ……」
希がどれほどのスパルタ指導を行ったのかわからなかったため、奏夜は苦笑いをしていた。
そんな中、海未は……。
「……今日から穂乃果の家に泊まり込みます!」
「あぅぅ……。海未ちゃんの鬼……」
これからの5日間、海未のスパルタ指導が待っていると感じた穂乃果は、がっくりと肩を落としていた。
「アハハ……。大変だとは思うが、頑張れよ……」
奏夜は苦笑いをしながら、そんな穂乃果を励ましていた。
このように奏夜が穂乃果を励ましていると……。
「……奏夜。可能な限りで良いので、あなたにも参加して欲しいのですが……」
「はぁ!?俺もか!?」
まさか自分も参加しろと言われるとは思わなかったので、奏夜は驚きを隠せなかった。
「勉強のこともありますが、奏夜は一人暮らしですよね?こういう時くらい、誰かのお世話になっても良いと思うのです」
「そうだよ!そーくん!そーくんがいてくれた方が安心するし、お母さんたちも喜ぶからさ!」
奏夜は高坂家の人間に気に入られているため、このように泊まるということは、大歓迎だった。
「それは確かにありがたいんだけど……。若い男が女の子の家に泊まるというのは……」
奏夜としても、ありがたい提案ではあるが、同級生の女の子の家に泊まるということには抵抗があったのである。
「大丈夫だよ!私はそーくんを信じてるから!」
「そうですね。奏夜は私たちが引くくらいの変態ですが、嫌がる相手に手を出すようなことをする人ではないですからね」
「おいおい……。酷い言われようだな……」
海未の容赦ない言葉を聞いた奏夜は、苦笑いをしながら海未を見ていた。
『それに、奏夜は魔戒騎士としての使命もあるからな。泊まるとなると細心の注意を払わなければいけないしな』
「ちょっとキルバ!希がいるのに何で喋ってるのよ!」
希が部室にいるのにキルバは普通に喋っており、にこはキルバに異議を唱えていた。
「別に問題ないよ。だってウチは如月君が魔戒騎士……やったっけ?そのことは知ってるし、如月君が戦ってるところも見たからな」
「えぇ!?希先輩も知っちゃったんですか!?」
どうやら希までが奏夜の秘密を知ることになるとは思わなかったようであり、穂乃果は驚きを隠せなかった。
「まぁ、そういうことや。とりあえずにこっちのことはウチに任せて、穂乃果ちゃんは頑張りなよ」
希は継続してにこの勉強を見てくれることになり、厳しい勉強が待っていると予想したにこは、表情が真っ青になっており、表情が引きつっていた。
「凛は私と花陽に任せて!泊まり込みまではしなくても、何とかしてみせるから」
「アハハ……。お手柔らかに頼むにゃあ……」
凛も、先ほどのにこ同様、厳しい勉強が待っていると予想したからか、表情が引きつっていた。
「さぁ!穂乃果!帰って準備をしますよ!」
「あぅぅ……」
こうして、穂乃果の勉強はここで中断して、穂乃果の家に泊まるメンバーは、1度家に帰って泊まる準備を始めることにした。
凛とにこも、それぞれの先生の指導のもと、自分の苦手教科の勉強を行っていた。
試験まであと5日。
ここからが正念場である。
……続く。
__次回予告__
『やれやれ……。人間とは面倒だな。こんなに勉強をしなければいけないとはな……。次回、「勉強」。勉強のし過ぎには要注意だぞ!』
亜理沙ちゃんマジ天使過ぎる。
1番の推しは穂乃果なんですが、亜理沙も好きなんですよね。
希が奏夜の正体を聞き出しました。
遅かれ早かれこんな展開にはなると思いましたが、思ったよりは早かったのかな?と思っています。
そして、絵里の秘密を知った奏夜と海未ですが、これからどうしていくのか?
さらに、海未へのフラグが少し経ってしまいましたが、そこもどうなっていくのか?
さて、次回はオリジナル+牙狼メイン回となっています。
穂乃果の部屋に泊まることになった奏夜ですが、そこで待ち受けているものとは?
それでは、次回をお楽しみに!