ゴールデンウィークになりましたね。とは言っても、仕事仕事でお休みはないんですけど……。
休みの日にFF14とこの小説の執筆を頑張ろうと思っています。
さて、今回はいよいよオープンキャンパスです。
オープンキャンパスで奏夜たちを待ち受けているものとは?
それでは、第30話をどうぞ!
μ'sのメンバーが9人となり、オープンキャンパスまで1週間を切っていた。
そんな中、奏夜たちは尊士と名乗る強大な力を持ったホラーが現れ、奏夜は穂乃果たちを守るために戦った。
しかし、尊士はかなり強く、奏夜は手も足も出すことが出来ず、一撃を与えるだけでやっとだった。
そんな奏夜の危機に、統夜とリンドウが現れて奏夜を救うのだが、奏夜たちの目の前に、ジンガと呼ばれる男が現れる。
ジンガと尊士は、絵里のネックレスを狙っているのだが、そのネックレスは、なんと魔竜ホラー、ニーズヘッグの牙であった。
ジンガはこのニーズヘッグと呼ばれるホラーを復活させようと企んでおり、その力が封印された牙を狙っているのである。
ジンガと尊士はすぐに退いたため、奏夜たちはどうにか無事だったのだが、これから壮絶な戦いが繰り広げられることは奏夜も統夜も予想することは出来た。
そんな中、奏夜は真姫と共に救急車にて西木野総合病院へと連れていかれ、治療を受けることとなった。
奏夜が治療を受けている頃、統夜とリンドウは、番犬所へと向かい、ロデルにジンガや尊士の存在と、ジンガの目的を報告していた。
「……なるほど、魔竜ホラー、ニーズヘッグですか……」
「……はい。あのジンガという男は、恐らくニーズヘッグを復活させ、人界を灰にしようとしているのでしょう」
「そういえば、ニーズヘッグの力は強大で、この世界全てを灰に変えてしまう程の力を持っているんだったよな?」
「あぁ。だからこそ、ニーズヘッグの復活は絶対に阻止しなきゃいけない……!」
このように語る統夜の表情は、使命感に満ちていた。
「それにしても、あの奏夜が完膚なきまでに叩きのめされるとは……」
ロデルは、奏夜が尊士に完敗したことも聞いており、驚きを隠せなかった。
「奏夜だって強くなっているとは思いますが、それだけ尊士という男が手強いってことですね。俺だってまともにやり合って倒せるかどうか……」
魔戒騎士として経験を積んできた統夜でさえ、尊士と戦い、倒し切ることが出来るかどうか自信がなかった。
「それで、例の魔竜の牙は、現在奏夜が持っているということですね?」
「はい。あいつならきっとこの障害を乗り越えてくれる。そう信じておりますので」
「そうですね……。私も奏夜を信じるとしましょう」
ロデルが奏夜のことを信じたところで、ロデルへの報告は終了した。
「それでは、俺は今から元老院に向かいます。グレス様にもこのことを報告しなければいけませんし」
「頼みましたよ、統夜」
「はい。失礼します」
統夜はロデルとリンドウに一礼をすると、番犬所を後にして、そのまま元老院へと向かっていった。
※※※
一方奏夜は、西木野総合病院に連れられ、治療を受けていた。
尊士により強力な攻撃を連続で叩き込まれたからか、肋骨が2本ほど折れており、内臓も少しだけダメージを受けていた。
この状態であれば入院するよう医師にも言われた奏夜だったが、入院することを拒否していた。
しかし、真姫が奏夜の説得を続けた結果、この日1日だけならと病院に留まることを了承していた。
こうして奏夜は、1日だけ西木野総合病院に入院することになってしまった。
翌日になると、奏夜の受けた傷はほとんど癒えており、医師や看護師を驚かせていた。
本来なら1日で治る傷ではないからである。
奏夜は魔戒騎士であるため、このようなダメージの自然治癒力も普通の人以上であるため、ここまで回復が早いのであった。
そんな奏夜に驚いた医師は奏夜の検査を徹底的に行っていた。
しかし、身体の異常は確認されず、奏夜の強い念押しによって、奏夜は退院することになった。
奏夜はなるべく早く退院したいと思っていたが、検査を行っていたため、奏夜が西木野総合病院を後にしたのは、ちょうど放課後になるかならないかの時間であった。
奏夜は急いで学校へと向かうのだが、その時はすでに放課後になっていたため、下校する生徒もちらほらと出てきていた。
玄関に入り、奏夜はまっすぐ屋上へと向かおうとするのだが……。
「……あれ?奏夜君?」
奏夜とは同じクラスであるヒフミトリオの3人が奏夜の姿を見つけたからか、声をかけていた。
「奏夜君、大丈夫なの?怪我をして病院へ行くから今日は休むって言ってたけど……」
どうやら穂乃果たちが奏夜が今日休んだ理由をこう言ってくれていたみたいであり、奏夜はそのことがありがたいと思っていた。
「まぁ、怪我っていってもそんなにたいしたことはないんだけど、みんなが病院に行け行けうるさいから今日はとりあえず病院に行ったって訳だよ」
「アハハ……。いったいどんな怪我をしたっていうのさ……」
奏夜の顔に治療したと思われる絆創膏が貼られていたため、怪我をしたことは信じていたものの、怪我の程度がわからないため、ヒフミトリオの1人であるミカは苦笑いをしていた。
「ま、とりあえずオープンキャンパスも近いんだ。ゆっくりは休んでられないって訳だよ」
奏夜はオープンキャンパスの練習を行うため、どんな怪我だろうと練習だけは休む訳にはいかないと思っていた。
「そういう訳だから、またな!」
奏夜はヒフミトリオの3人に別れの挨拶をすると、そのまま屋上へと向かっていった。
奏夜が屋上に着いた時には、穂乃果たちはすでに準備運動を終えたところであった。
「……!そ、そーくん!?大丈夫なの!?」
昨日はかなりのダメージを受けていた奏夜が、何事もなかったかのように現れたため、穂乃果たちは驚きを隠せずにいた。
「まぁな。俺は魔戒騎士だからな。あれくらいの傷なら一晩寝れば治るさ」
奏夜の言葉には嘘はないようであり、本当に一晩で傷は癒えていたのである。
「私はゆっくり入院してなさいって念押しをしたんだけどね……」
真姫は奏夜と病院に行った時からゆっくり入院しろと言っていたが、奏夜はそれを聞き入れようとは思っていなかったのである。
「そうもいかんだろ。オープンキャンパスは今度の日曜なんだ。ゆっくり休んでいる暇はないだろ」
「ダンスだったら私や海未も見れるのだから、もうちょっと体を休めていても良かったのに……」
「そうも言ってられんだろ。全体のバランスだって見なきゃいけないだから。やっぱり俺が抜けるわけにはいかないんだよ」
奏夜は穂乃果たちのパフォーマンスの質を上げるためにどれだけ自分がボロボロになろうとも、休むつもりはなかったのである。
「……止めても、聞きそうにないですね」
「そうね。その方が奏夜の気も済むでしょうし」
海未と絵里は、奏夜が昨日の完敗を引きずっているのではと心配をしていたため、それで気が紛れるならと考えていた。
「そーや先輩がいないとなんか落ち着かなかったし、これはこれで良かったと思うにゃ!」
「そうだね!奏夜先輩がいてくれた方が私も安心だし!」
「ま、にこは奏夜がいなくても問題なく練習は出来るけどね」
「……よく言うわ。昨日奏夜君が病院に送られてから、にこっちはずっとソワソワしていたくせに」
希はニヤニヤしながら奏夜が病院に送られてからのにこの様子をバラしていた。
「ちょっ!?変なこと言わないでよ!希!!」
知られたくないことを知られてしまったにこは、顔を真っ赤にして恥ずかしがっていた。
「……ま、ウチも気が気じゃなかったけどな。奏夜君が何でもなくて安心したわ」
希も奏夜のことを心配していたため、にこからの応酬が来る前に本音を明かしていた。
「ぐぬぬ……!!」
どうやら希の方が1枚上手であり、にこは悔しそうに希を睨んでいた。
「まぁ、奏夜を心配してたのは2人だけじゃないわ。私だって心配だったもの」
絵里も奏夜のことを心配しており、他の6人も、絵里の言葉を聞いてウンウンと頷いていた。
「みんな、ごめんな。心配かけて。だけど、今度あいつに会った時は絶対に負けない。その時までに俺も強くなってみせる。みんなを守れる程の力を得て……」
「そーくん……」
「奏夜……」
奏夜は力を求めているようにも見えたため、穂乃果と海未はそんな奏夜を心配そうに見ていた。
「……さて、この話はここまでだ。オープンキャンパスまで時間がないから、今日も気合入れて練習するぞ!」
『うん(はい)!!』
奏夜は自分の話をここで終わらせると、このように号令を出し、穂乃果たちはそれに答えていた。
絵里に関しては魔戒騎士やホラーに関することをもっと聞きたいと思っていたが、今はオープンキャンパスに専念することにした。
こうして、この日の練習にも熱が入っていた奏夜たちは実りある練習を行うことが出来て、間近に迫ったオープンキャンパスに備えていた。
※※※
それから時は流れ、オープンキャンパス当日を迎えた。
この日はこの街に住んでいる中学生とその親が、音ノ木坂学院を訪れ、この学校についての様々な説明や体験授業が行われていた。
そんな中、中学生ではない6人組が音ノ木坂学院を訪れていた。
「ここに来るのも久しぶりだねぇ♪」
その6人組というのは、奏夜の先輩騎士である統夜と、彼が所属していた軽音部の5人である。
統夜たちは1度音ノ木坂学院を訪れたことがあり、今回はオープンキャンパスということで、再びこの場所を訪れたのであった。
ちなみに、唯たち5人は、この日のためにバイトなどの予定を入れることなく、この場所に来るのを楽しみにしていた。
「それにしても、オープンキャンパスって、中学生が対象だろ?今更だけど、私たちが来ても大丈夫だったのかな?」
澪は少しだけ不安そうな表情を浮かべながら周囲の景色を眺めていた。
「大丈夫よ♪私、ことりちゃんのお母さんでとある理事長と知り合いなのだけれど、事前に許可はもらっているから♪」
「アハハ……。さすがはムギ。抜け目ないな……」
しっかりとオープンキャンパスの会場に入れる手筈を整えていた紬の手際の良さに、統夜は苦笑いをしていた。
「そういえば、μ'sのライブは何時からでしたっけ?」
「確か、お昼からじゃなかったか?体験授業が終わって、部活動紹介の最後の方だったと思うぞ」
律は事前にライブがいつ行われるのかを穂乃果から聞いていたため、梓の問いかけにすぐ答えることが出来た。
「だったら、まだライブまで時間があるよな?俺、行きたいところがあるんだが、いいか?」
統夜は何度かこの音ノ木坂学院を訪れたことがあるのだが、どうしても寄りたい場所があるみたいだった。
「え?どこどこ?そこに行ってみようよ!」
「そうですね!統夜先輩の行きたいところなら私も行きたいです!」
唯と梓はどうやら、統夜の行きたいところに行ってみたいようである。
「おやおや?唯はともかくとして、梓は相変わらず統夜とラブラブですなぁ♪」
「ちょっ!?からかわないで下さい!////」
律はニヤニヤしながら梓のことをからかっており、梓は顔を真っ赤にして恥ずかしがっていた。
「そうだぞ、律。何当たり前なことを言っているんだよ」
統夜は一切恥ずかしがることなく、真顔でこのようなことを言っていた。
「……何と言うか……」
「そこまでハッキリ言われると……」
「流石に引くな……」
統夜のハッキリとした物言いに、澪、紬、律の3人はドン引きしていた。
統夜はもともと色恋に関してはあり得ないほど鈍感であり、梓と付き合うようになってからはそれが解消されたかのように思われた。
しかし、時々このように天然のような発言をするようになり、よく律や澪を呆れさせて、梓を恥ずかしがらせていた。
梓は今回も恥ずかしがっていたため、顔を真っ赤にしていた。
「統夜先輩!そこまでハッキリ言わないでください!恥ずかしすぎます!」
「む……。そうか?そういうことなら……」
ハッキリ言われると恥ずかしいと言われたことにより、統夜はこれ以上の発言を控えていた。
「とりあえず行こうぜ。こっちだ」
統夜は唯たちを連れて音ノ木坂学院のとある場所に向かった。
その場所とは……。
「……なぁ、統夜。お前が行きたい場所ってここなのか?」
「そうだけど、何か問題があるのか?」
「メェ〜♪」
統夜が行きたいと言っていた場所とは、音ノ木坂学院にあるアルパカ小屋であり、統夜はアルパカと戯れながら淡々と律の質問に答えていた。
「確かに珍しいけど、なんでアルパカ小屋なんだよ……」
律はアルパカと戯れている統夜を見て呆れていた。
「えぇ!?可愛いからいいじゃん!」
「そうですね!可愛いです!」
「うんうん♪凄く可愛いわ♪」
どうやら唯、梓、紬の3人は、アルパカを気に入ったようである。
「メェ〜♪」
「……」
統夜、唯、梓、紬の4人は、白いアルパカと茶色のアルパカと戯れていた。
律と澪の2人は、少し離れたところからその様子を見ていた。
「……澪、お前は行かなくてもいいのか?」
「わ、私はいいよ」
「そうか?澪だったら食いつきそうだと思ったんだけどな」
「確かに白いアルパカは可愛いけど、あの茶色のアルパカはちょっと怖いかも……」
澪は茶色のアルパカがちょっと怖いと感じていたため、アルパカに近付くことを躊躇していた。
すると、茶色のアルパカはただ鳴いてるのか威嚇をしてるのかわからない声をあげていた。
「ひぃっ!?」
そんなアルパカに怯えた澪は、律の後ろに隠れていた。
「ったく……。そんなに怖がらなくてもいいだろ?」
統夜はそんな澪に呆れながら茶色のアルパカの頭を撫でていた。
茶色のアルパカは統夜に撫でられて嬉しいのか、統夜に甘えるような素振りをしていた。
「……。うん、可愛いな、お前」
統夜は穏やかな表情で笑みを浮かべると、さらに茶色のアルパカは統夜に甘えていた。
どうやら、このアルパカは統夜に懐いたみたいだった。
「おぉ、アルパカちゃんがやーくんに甘えてる!」
「さすがは統夜先輩……」
統夜は実は動物が大好きという意外な一面を持っており、唯たちがそれを知ったのは統夜たち5人が高3の時である。
「うんうん♪可愛いわね♪」
「確かに……。可愛いな……」
先ほどまでは茶色のアルパカのことを怖がっていた澪も、今は可愛いと感じるようになっていた。
こうして統夜たちはしばらくの間、アルパカ小屋でアルパカたちと戯れており、他の場所を見学する時間がなくなってしまっていた。
※※※
その頃、奏夜は生徒会の手伝いとして、オープンキャンパスのスタッフとして働いていた。
生徒会のメンバーでもある絵里と希もスタッフとして参加してるのだが、2人のたっての希望で、手伝いをすることになっていた。
残りのメンバーはこれから行われるライブの準備を行っている。
「……奏夜、悪いわね。あなたにもお手伝いを頼んで」
「気にしないで下さい。俺だってこのオープンキャンパスを成功させたいんです。やれることならなんだってしますよ」
「ふふっ、ありがとね、奏夜」
絵里は穏やかな表情で笑みを浮かべながら奏夜に礼を言っていた。
「とりあえずやることをさっさと終わらせてみんなに合流しましょう」
「そうね。私だって早くライブの準備をしたいと思っているしね」
こうして奏夜と絵里は自分たちの仕事を手早く終わらせると、穂乃果たちと合流してライブの準備に入っていた。
その時には2人とは別の仕事をしている希も合流しており、これでμ'sは全員揃っていた。
全員が揃い、準備が整った時にはライブの開始まであと15分となっており、すでに会場となっているグラウンドには多くの人が集まっていた。
「……おぉ、人がいっぱいだねぇ」
「凄いにゃ!これだけの人が凛たちのライブを見に来てくれたんだね!」
多くの人が見に来てくれたことに、穂乃果と凛はキラキラと目を輝かせていた。
「あぅぅ……。人がいっぱい……」
「は、恥ずかしいです……」
ここまで多くの人を前にしてパフォーマンスをすることは初めてだったため、花陽と海未の2人はかなり緊張していた。
「あんたたち、腹をくくりなさい。このステージこそμ'sの正念場なのよ」
「にこ先輩の言う通りだな。これだけの人に見てもらえる機会なんてそうはないからな。大丈夫。みんなならきっとやり遂げられるさ」
「奏夜先輩……」
「奏夜……」
奏夜の真っ直ぐな励ましを聞いた花陽と海未はここでようやく腹をくくることが出来たのか、先ほどまでの緊張は消え去っていた。
「ねぇ、みんな!集まって!」
穂乃果がこう促すと、奏夜以外の8人が集まり、穂乃果たちは円陣を組んでいた。
そして、9人はピースの形をした右手を前に出すと、その指で星を形成していた。
しかし、その形は完成しておらず、穂乃果たちの円陣も、1人分のスペースが空いていた。
奏夜はその光景に驚き、穂乃果たちはそんな奏夜のことをジッと見ていた。
「……俺も入ってもいいのか?μ'sはお前たち9人のグループだっていうのに……」
「まったく……。奏夜、あなたは本当に馬鹿ですね……」
「そうだよ!だって、そーくんがいてこそのμ'sなんだよ?」
「だから……そーくんもおいでよ!」
穂乃果たち2年生組が奏夜を歓迎しており、残りの6人も、穏やかな表情で頷いていた。
「……あぁ!」
奏夜は力強く返事をすると、円陣の中に入り、同じようにピースの形をした右手を前に出していた。
こうして、穂乃果たちの円陣は完成し、指を使った星も完成していた。
「みんな!μ'sが9人になって最初のライブ、思い切り飛ばしていこう!」
穂乃果の言葉に、奏夜たちは「おう!」や「はい!」などと力強く答えていた。
そして……。
「1!」
「2!」
「3!」
「4!」
「5!」
「6!」
「7!」
「8!」
「9!」
「……10!」
穂乃果、ことり、海未、真姫、凛、花陽、にこ、希、絵里の順番に数字を言っていき、一呼吸置いてから奏夜も数字を言っていた。
そして……。
「μ's!!」
『ミュージック……スタート!!』
奏夜の掛け声に、9人の女神の掛け声が合わさり、奏夜たちの気持ちと言葉は1つになっていた。
こうしてライブ開始の時間となり、穂乃果たちはステージへと向かっていき、奏夜は特等席でライブを心待ちにしている統夜たちと合流することにした。
「あっ、奏夜君だ!」
唯は奏夜の姿を見つけると、ブンブンと手を振っていた。
「アハハ……。どうも」
奏夜はそんな唯に苦笑いをしながら統夜たちと合流した。
「統夜から奏夜が派手にやられたって聞いてたけど、大丈夫なのか?」
「えぇ。その時のダメージはもうありません。俺はこの通り元気ですよ」
唯たちは統夜から尊士やジンガの話を聞いており、澪は奏夜の体調を気遣っていたが、奏夜はすでに尊士から受けたダメージは完全に癒えたようだった。
「アハハ……。さすがは魔戒騎士だね……」
どれだけのダメージを受けたかはわからなかったが、すぐに治ったことは理解したようであり、梓は苦笑いをしていた。
「ところで、穂乃果ちゃんたちの仕上がりはどうなの?」
「えぇ、俺が言うのもあれかもしれませんが、バッチリですよ。今のあいつらなら、最高のパフォーマンスをしてくれるはずです」
「それは楽しみね♪」
「あぁ、私も楽しみだ♪」
奏夜から穂乃果たちの仕上がり具合を聞き、紬と澪はライブを心待ちにしていた。
「……おっ、どうやら始まるみたいだぞ」
律は穂乃果たちの準備が終わったことを告げると、奏夜と統夜たちの視線はステージに集中していた。
(……頑張れよ、みんな……)
奏夜は、心の中で穂乃果たちにエールを送っていた。
「……皆さん、こんにちは!私たちは、音ノ木坂学院のスクールアイドル、μ'sです!」
穂乃果が司会を務めるようであり、μ'sが音ノ木坂学院のスクールアイドルだということを説明していた。
生徒会長と副会長である絵里と希が加入したことにより、μ'sは正式に音ノ木坂学院のスクールアイドルということになったのである。
「私たちは、この音ノ木坂学院が大好きです!この学校だから、このメンバーと出会い、この9人が揃ったんだと思います!」
穂乃果たちが抱いている思いを伝えると、その場にいた人たちは目をキラキラとさせながらステージに釘付けになっていた。
「それだけじゃありません!今の私たちがあるのは、どんな時でも私たちを信じ、支えてくれた人がいるからなんです!」
「!?穂乃果……」
穂乃果の言っていた支えてくれた人というのは自分であることをすぐに理解した奏夜は、そんな言葉が嬉しかった。
それと同時に、ここまでμ'sを支えてきて本当に良かったという思いも抱いていたのである。
「これからやる曲は、私たちが9人になって初めてやる曲です!私たち9人と……。私たちを支えてくれた1人の思いが合わさった、スタートの曲です!」
『聞いてください!「僕らのLIVE 君とのLIFE」!』
こうして、曲のイントロが流れると、穂乃果たち9人のパフォーマンスが始まった。
〜使用曲→僕らのLIVE 君とのLIFE 〜
「凄いですね……」
「えぇ。動画で見た時とは随分と見違えた気がするわ……」
「あぁ。あたしらはダンスは素人だけど、そこはわかる気がするよ」
「うん!みんなすっごく可愛い!!」
「あぁ!みんな輝いているな!」
穂乃果たち9人によるパフォーマンスに、梓、紬、律は圧倒されており、唯と澪はキラキラと輝いている穂乃果たちを見て目をキラキラと輝かせていた。
「……なるほどな。あいつらも成長したって訳か。奏夜、お前も成長しないとな」
「……っ、そうですね……」
統夜は穂乃果たちがスクールアイドルとして成長していることを実感し、奏夜を焚き付けるような発言をしていた。
そのことは重々承知だった奏夜は、一瞬眉をしかめながらもこう答えていた。
(そうだ……。俺はもっと強くならなきゃいけない……。みんなを守れるほどの力を得るためにも……)
「……」
奏夜は穂乃果たちを守れるほどの力を得たいと考えており、統夜はそのことを感じ取っており、そんな奏夜を心配していた。
(……奏夜の奴、随分と力を追い求めてるようだな……。これからは奏夜のことを気を付けて見ないとな……)
《そうだな。でなければあいつは闇に堕ちる可能性があるからな》
統夜とイルバは、奏夜が何かしらのきっかけで闇に堕ちる可能性があると思っていたため、奏夜のことを心配していた。
《……おい、奏夜。今はあいつらのパフォーマンスに集中しろ。それがマネージャーの役目だろ?》
(っ!確かにそうだな……)
力を追い求めている奏夜を見かねたキルバは、奏夜の関心をライブに向けさせると、ハッとした奏夜はライブに集中していた。
奏夜はステージの上でキラキラと輝く穂乃果たちをジッと見ていた。
(……確かに、みんな成長したな……。みんながここまで輝けたのは絵里先輩が入ってくれたからだよな……。それにしても……)
奏夜は、絵里に注目すると、絵里は今まで見たことないほど生き生きとしたな表情で踊っていた。
(絵里先輩……。凄く生き生きしてるな……。これこそが、本当に絵里先輩がやりたかったことなんだよな……)
絵里だけではなく、他の8人の表情もキラキラとしていたのだが、特に絵里がキラキラとしているように見えたのが、奏夜には印象的だった。
そして、穂乃果たち9人の気持ちは1つになり、パフォーマンスは終了したのであった。
すると、穂乃果たちのパフォーマンスを見ていた中学生たちから大きな拍手と歓声があがり、「可愛い!」などといった黄色い歓声も聞こえてきていた。
最後まで全力でパフォーマンスをやり切った穂乃果たちは汗だくになっていたのだが、最後までやり切った満足感からか、とても生き生きとした表情をしていた。
特に絵里は、本当に自分のやりたいことを見つけたからか、その満足感は他のメンバー以上であった。
こうして、穂乃果たちのライブは終わり、奏夜と統夜たちは最後まで全力でパフォーマンスをやり切った穂乃果たちのもとへと向かっていた。
「……みんな、お疲れさん。最高に良かったぞ」
「そーくん……」
穂乃果たちにとって、奏夜からの労いの言葉が何よりも嬉しかった。
そのため、満足そうに微笑みながら奏夜のことを見ていた。
「みんな!凄く良かったわよ!」
「うん!すっごく可愛かった!」
「今までで最高のライブだったよ!」
「本当に良かったぞ」
「みんな、本当にお疲れ様!」
紬、唯、梓、律、澪は、ライブが終わった穂乃果たちにこのような言葉を送っていた。
「あっ、統夜さん!皆さん!」
「来てくれたんですね!」
「本当にありがとうございます!」
穂乃果たち2年生組は、統夜たちが来てくれたことを特に喜んでいた。
「えっと……。あなたたちは……?」
絵里だけが唯たちと初対面だったため、少しだけ困惑していた。
「こいつらは俺と同じ高校だった俺の大切な仲間だよ。今日はオープンキャンパスがあるって聞いて来たんだ」
統夜が絵里に説明をすると、唯たちは口々に「よろしく!」と言っていた。
「こ、こちらこそ、よろしくお願いします……」
絵里は少し困惑しながらも挨拶を返していた。
「さて、ライブも終わったことだし、オープンキャンパスも終わるだろ?終わったら打ち上げを兼ねてご飯でも食べに行かないか?」
ここで律は、統夜たちと奏夜たちで一緒に食事に行くことを提案していた。
「おっ、いいね!」
「はい!私もそうしたいって思ってました!」
律の提案に、唯と穂乃果が乗っていた。
「みんなも行こうぜ!もちろん奢るからさ。……統夜が」
「ったく……。お前は最初からそのつもりだったんだろう?」
「いいじゃんいいじゃん!だって統夜はムギの次に金を持ってるんだから!」
律の言う通り、統夜は魔戒騎士としてかなりの実績を残しているため、月単位でもかなりの金額を番犬所から支給されていた。
年収にすればかなりの額になると思われる。
「ま、高校生にお金を出させるのは忍びないと思ってたし、そのつもりだったけどさ」
統夜はみんなで食事に行くなら奢るつもりだった。
「でも……。本当にいいんですか?」
「そうですよ!みんなの分となると、凄い金額になっちゃうんじゃ……」
「そこは気にしないでも大丈夫だ。律も言ってたけど、俺はこう見えてもだいぶ稼いでいるからな」
「確かに、統夜さんは俺以上に稼いでますよね……」
奏夜も番犬所からそれなりに貰ってはいるのだが、統夜とは貰っている金額は比べ物にならないくらいだった。
「そういう訳で、金のことは気にするな。みんなで楽しもうぜ」
統夜は穂乃果たちを心配させないように金銭面は問題ないことを強調していた。
「ま、まぁ……。そういうことなら……」
金銭面の心配をしていた海未やことりが納得し、他のメンバーもウンウンと頷いていたため、全員で食事に行くことが確定した。
「決まりだな。みんなはとりあえず着替えてきな。俺たちは撤収の手伝いでもさせてもらうさ」
「え!?いいんですか!?」
「ま、これくらいはな。……ムギ、どこか良さげな店を選んでくれないか?」
「うん♪任せて♪」
紬は携帯を取り出すと、店の選択を行っており、穂乃果たちは着替えるために部室へと移動していた。
その間に奏夜と統夜たちはステージの撤収を行い、穂乃果たちが戻ってくるまでには全て終わらせていた。
こうしてオープンキャンパスは無事に終了し、μ'sのライブも大成功だった。
奏夜たちと統夜たちは打ち上げを兼ねて、秋葉原某所にある店で食事を取ることにした。
その店は隠れ家的な店であり、店を貸し切ったため、気兼ねなく食事や話を楽しむことが出来た。
μ'sは9人となり、これから人気が出てくることが予想され、多くの苦難も待ち受けていることが予想された。
しかし、奏夜はどんなことがあっても穂乃果たちを支え、穂乃果たちを守っていこう。
奏夜は改めて心に誓うのであった……。
……μ's結成編・終
無事にオープンキャンパスが終了しました。
穂乃果たち9人のライブは大成功だったと思います。
そして再び登場したけいおんメンバー。
唯たちもまた、穂乃果たちを応援する人になっていると思います。
無事にμ's結成編が終了しました。新章からは牙狼サイドのストーリーを進めていきたいとは考えています。
活動報告にも書きましたが、牙狼ライブ!のUAが10000を越えました。
そのため、次回は記念の番外編を投稿しようと思います。
奏夜の先輩騎士であるリンドウにスポットを当てる予定です。
それでは、次回を楽しみに!