最近PS4で使えるキーボードを買いまして、そのおかげで会話を打ち込むのが少し楽になりました。
キーボード使う方がネットゲームをしてる感が出ますしね(笑)
さて、それはともかくとして、今回はUAが10000を越えたことを記念しての番外編となっています。
今回は奏夜の先輩騎士であるリンドウにスポットを当てています。
リンドウはいったいどのような魔戒騎士なのか?
それでは、番外編をどうぞ!
……オープンキャンパスが終わってから数日が経過していた。
μ'sのメンバーが9人となり挑んだオープンキャンパスでのライブだったが、予想以上の出来であり、中学生たちもとても楽しんでいた。
それだけではない。
その時の様子は撮影されており、動画を投稿したのは昨日であった。
投稿されて1日も経っていないのだが、それなりに再生数は伸びており、ランキングも少しだけではあるが上がっていた。
そしてこの日、奏夜たちはラブライブに向けて練習を行っていた。
オープンキャンパスが成功したことに安心して気が抜けている様子もなく、奏夜たちは次の目標に向かって気合を入れていた。
そのため、この日の練習は、とても実りのあるものとなっていた。
「……はい」
練習が終わり、奏夜は穂乃果たちに冷たいスポーツドリンクを手渡していた。
「ありがとう、そーくん!」
「すいません、奏夜。いつもいつも」
「気にするなよ。これもマネージャーの仕事なんだからさ」
全員にスポーツドリンクを渡したところで海未が申し訳なさそうにしていたのだが、奏夜はマネージャーの仕事だからと返していた。
「それにしても、奏夜のマネージャーとしての姿もだいぶ板についてきたんじゃない?」
「そうやなぁ。もう奏夜君はμ'sにとってはなくてはない存在だよね」
絵里と希はμ'sに加入してまだ日は浅いのだが、マネージャーとしての奏夜の姿がとても印象的であった。
「そ、そうですかね……?」
マネージャーとして板についているという言葉が嬉しかったからか、奏夜は少しだけ照れていた。
穂乃果たちも奏夜の存在はなくてはならない存在だと思っているため、ウンウンと頷いていた。
「ねぇねぇ!これからどうする?」
「そうねぇ……。またいつものあそこでハンバーガーでも食べに行く?」
練習も終わり、にこはいつも行っているファストフード店に行くことを提案していた。
本当にそうするべきかと返事を出そうとしたその時だった。
「……よう、お前ら。やってるな」
屋上に奏夜の先輩騎士であるリンドウが現れると、奏夜たちにこう挨拶をしていた。
「リンドウ!?どうしてここに?」
「いやな。エレメントの浄化で近くまで寄ったもんだから、お前らの顔を見にきたって訳だよ」
どうやらリンドウが奏夜たち顔を見にきたのは、たまたまのようだった。
「あなたは、確か奏夜と同じ……」
「おう。俺は奏夜と同じ魔戒騎士だぞ」
「なるほど……」
リンドウが魔戒騎士であることは何となく察していたのだが、改めて正体を聞いて、絵里は驚いていた。
リンドウは統夜と違って穂乃果たちと交流がある訳ではないため、穂乃果たちは少しだけ緊張していた。
「まぁ、そう構えるな。そうだ、お前たちの練習は終わったんだろ?せっかくだから交流を深めようじゃないか!」
「いいですね!」
「それなら、部室に行きましょう!そこなら魔戒騎士の秘密も他の誰かに聞かれることはないハズです」
「おう!そいつはいいなぁ。よろしく頼むぜ!」
こうして奏夜たちはリンドウを連れて部室へ向かうと、部室で色々と話をすることにした。
「……とりあえず部室に来たのはいいのですが……」
「何を話したらいいのかなぁ?」
部室に到着したのは良いものの、魔戒騎士であるリンドウとどのような話をすれば良いかわからず、海未とことりは困惑していた。
そんな中、奏夜は……。
「そういえば、リンドウって色んな新人魔戒騎士を育ててきたんだろ?どんな奴がいたんだ?」
奏夜は、リンドウが新人魔戒騎士の指導をしていたことを知っていたため、その指導した人物がずっと気になっていた。
穂乃果たちもまた、魔戒騎士のことを知る機会だと考えたからか、その話に興味を向けていた。
「ま、ほとんどは称号を持たない魔戒騎士なんだけどな」
どうやらリンドウが指導した魔戒騎士は称号を持たない魔戒騎士が多かったようであった。
『だけど、称号持ちの魔戒騎士も指導したじゃないですか』
「?今の声、どこから?」
「あぁ、こいつだよ」
誰の声がわからない声が聞こえてきたため、穂乃果は首を傾げていたが、リンドウは穂乃果たちにわかるようにレンを見せていた。
「もしかして、この腕輪ですか?」
『そうです。僕の名前はレン。リンドウの相棒の魔導輪です』
レンは穂乃果たちに自己紹介をしていた。
「男の子っぽい声なんですね……」
「まぁ、魔導輪といっても色々だからな」
魔導輪や魔導具にはキルバのように青年のような声を出すものもあれば、レンのように少年のような声を出すものもある。
「確か統夜さんのイルバも違う感じの声でしたよね?」
「本当に魔導輪って色々なんだねぇ……」
様々な声で喋り、性格も様々なため、穂乃果たちは驚きを隠せなかった。
「それで、話を戻すが、確かに称号を持った魔戒騎士も指導したことはあるんだよ」
「その魔戒騎士って俺も知ってる人なのか?」
「……鷹山宗牙(たかやましゅうが)って知ってるか?」
「鷹山さんってあの!?」
『剣皇騎士奏覇(けんおうきしソウハ)の称号を持つ魔戒騎士か!』
どうやら奏夜は鷹山宗牙という魔戒騎士を知っているため、驚きを隠せなかった。
「……誰?」
「あぁ、鷹山宗牙さんは、20歳の若さで元老院付きの魔戒騎士になった人で、かなりの実力者なんだよ」
「元老院って確か、奏夜のいる番犬所の上の機関……でしたっけ?」
奏夜は番犬所や元老院についての話を穂乃果たちにしており、その話をされてもすぐに理解していた。
「あぁ。誰でも元老院付きの魔戒騎士になれる訳じゃなく、それに相応しい実力をつけないとなれないんだよ」
「なるほどね……」
「……それにしても懐かしいなぁ。あいつと出会ったのは今から4年前。あいつがまだ魔戒騎士になったばかりのヒヨッコだった時だったな……」
こうして、リンドウは語り始めた。
自分が育てた魔戒騎士、鷹山宗牙のことを。
そして、リンドウ自身のことを……。
〜リンドウの過去編〜
奏夜の先輩騎士である天宮リンドウは、神食騎士狼武の称号の家系に生まれた。
リンドウは長男だったため、魔戒騎士になるために幼少の頃から修行に励んでいた。
そして、父親が魔戒騎士を引退し、リンドウが狼武の称号を受け継いだのは18の頃だった。
リンドウは魔戒騎士としての才能があるようであり、メキメキと頭角を現していった。
そんなリンドウが鷹山宗牙と出会ったのは、今から4年前。
リンドウが24の時だった。
「……おう。お前が今日から魔戒騎士になった新人か」
「は、はい。鷹山宗牙です。よろしくお願いします……」
この時の宗牙は18歳であり、魔戒騎士になったばかりだからか、先輩騎士であるリンドウを前にして緊張していた。
「そんなに緊張しなくてもいいぞ。俺は一応は先輩だが、そこまで小うるさいことを言うつもりはないしな」
「は、はぁ……」
「俺がお前に言っておきたいのは3つだ。死ぬな。死にそうになったら俺に任せて逃げろ。そして隠れろ。最後に運が良ければ隙をついて……ぶっ潰せ!……あぁ、これじゃ4つか」
リンドウは他の新人の魔戒騎士にも同じことを言っており、これこそがリンドウの教訓みたいな感じになっていた。
「……ま、後は生きてさえいれば万事どうにでもなる。だからこそ、絶対に無茶はするなよ」
「……わかりました」
宗牙はリンドウのこの教訓を胸に抱き、リンドウと共にホラー討伐の任務についた。
宗牙は魔戒騎士としての才能があるからか、初陣の時もリンドウの手をほとんど煩わせることなくホラーを討伐し、徐々に魔戒騎士として頭角を現していた。
最初の頃はリンドウと共にホラー討伐の任務についていた宗牙であったが、単独で任務に当たるようになるまで、それほど時間はかからなかった。
リンドウと別の任務につくようになってからも、宗牙は魔戒騎士として成長しながらホラーを狩っていったのである。
それから月日が経ち、1年半程が経過していた。
そんな中リンドウは、元老院からの指令を受けてとあるホラーの追跡を行っていた。
そのホラーはかなりの力を持っているからか、討伐の任務に当たっていた魔戒騎士を何人も返り討ちにしてしまうほどであった。
リンドウは元老院付きの魔戒騎士ではないのだが、その実力は番犬所も元老院も一目置かれているため、実力のあるリンドウにそのホラー討伐の任務が与えられたのである。
それからまもなくしてリンドウはそのホラーを発見し、魔戒騎士として大きく成長していた宗牙も、リンドウの応援に入り、そのホラーの討伐へと向かっていった。
「……追い詰めたぞ、魔刃ホラー……ラーヴァナ!!」
リンドウが追いかけていたホラーというのは、ラーヴァナと呼ばれる刃を司るホラーであった。
ラーヴァナの力は、使徒ホラーに匹敵すると言われており、腕に自身のある魔戒騎士たちを次々と蹴散らしていった。
「……また、愚かな魔戒騎士が私に挑むか!」
「ふっ……。そういうのは俺たちを倒してから言うんだな」
「それが望みならばそうさせてもらおう。貴様らを倒し、私の餌としてくれるわ!」
ラーヴァナは強き者を追い求めるホラーであるため、一般人を喰らうことをしなかった。
ラーヴァナが餌にしていたのは力のあるもの……。魔戒騎士や魔戒法師だった。
多くの魔戒騎士や魔戒法師がラーヴァナに敗れ、餌になってしまったのである。
『……リンドウ!奴はそこら辺にいるホラーとは比べものになりません!気を付けてください!』
「どうやら……そのようだな……」
リンドウの魔導輪であるレンは、リンドウに警戒するよう伝えていた。
いつもであれば煙草を吸って飄々としているリンドウであったが、今回はそんな余裕はないようであった。
『……宗牙!お前も気を付けろよ。あいつは相当にやばいホラーだぞ』
「わかってるさ。俺だって、奴の餌になるつもりはない」
そして、宗牙の指にはめられた魔導輪であるノルバもラーヴァナを警戒していたが、宗牙もまた、負けるつもりはないと思っていた。
リンドウと宗牙が魔戒剣を構えて警戒していると、ラーヴァナは両手に握られている剣を振るい、その一撃をリンドウと宗牙はかわしていた。
「……宗牙!行くぞ!!」
「わかった!」
リンドウはラーヴァナに生じた隙を見逃すことはせず、そのままラーヴァナへと向かっていった。
2人は同時に魔戒剣による一撃をラーヴァナに叩き込むが、ラーヴァナの体に傷をつけることは出来なかった。
「ちっ……!さすがに魔戒剣じゃ傷もつかんか……!」
「ふん……。なめるな!!」
ラーヴァナにダメージを与えられず、リンドウは舌打ちをするのだが、ラーヴァナはそんなリンドウと宗牙に反撃と言わんばかりの一撃を叩き込んだ。
その一撃を2人は魔戒剣で受け止めるものの、その威力はかなりのものであり、2人は近くの壁に叩きつけられてしまった。
「くっ……!こいつ……。なかなかやる……!」
宗牙はすぐさま立ち上がり、ラーヴァナを睨みつけていた。
「宗牙!ここは鎧を召還して奴を叩くぞ!」
「了解した!」
「……ふん。来るがよい!!」
ラーヴァナは2人を攻撃する隙はあったものの、あえて攻撃を仕掛けてこなかった。
その隙にリンドウは魔戒剣を前方に突きつけると8の字を描いた。
その後、魔戒剣を上空に突きつけると、8の字は上空に移動すると、1つの円となり、そこから放たれる光にリンドウは包まれた。
そして、宗牙は魔戒剣を高く突き上げると、円を描いた。
その部分だけ空間が変化すると、宗牙はその空間から放たれる光に包まれた。
2人が描いた円から鎧が出現していたのだが、リンドウの鎧は漆黒の鎧であった。
宗牙の鎧は赤い鎧であり、2人はそれぞれの鎧を身に纏った。
こうして、リンドウは神食騎士狼武の鎧を身に纏い、宗牙は剣皇騎士奏覇の鎧を身に纏った。
「……お前らも称号持ちの魔戒騎士か……。少しは楽しませてくれよ!」
どうやらラーヴァナが倒した魔戒騎士の中には称号を持たない魔戒騎士もいたようであり、2人が称号を持つ魔戒騎士と知ると、胸を躍らせていた。
「……行くぞ!」
「あぁ!」
リンドウと宗牙は魔戒剣が変化した剣を構えると、そのままラーヴァナへと向かっていった。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
リンドウは魔戒剣が変化した機神剣を。宗牙は魔戒剣が変化した覇皇剣(はおうけん)を一閃した。
2人の一撃はラーヴァナの体を斬り裂いたのだが、大きなダメージを与えることは出来なかった。
「くっ……!」
「やはり、こいつは……!」
鎧を召還しても決定打を与えることは出来ず、2人は少しだけ焦りを見せていた。
そんな中、ラーヴァナは反撃と言わんばかりの攻撃を仕掛けるが、リンドウはラーヴァナの剣を機神剣で受け止め、宗牙はラーヴァナの剣をかわしていた。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「宗牙!無茶するな!」
勢いよくラーヴァナに向かっていく宗牙に、リンドウは警告するが、宗牙は聞く耳を持っていなかった。
宗牙は連続で覇皇剣を振るい、ラーヴァナに攻撃を仕掛けていた。
どうやらこの攻撃は多少は効いているようであり、ラーヴァナは少しばかり怯んでいた。
「おのれ……。小僧!!」
ラーヴァナの視線は完全に宗牙に釘付けになっており、ラーヴァナは2本の剣で宗牙に攻撃を仕掛けており、宗牙はラーヴァナの攻撃をかわしていた。
「あいつ……」
『どうやら、宗牙も成長しているみたいですね』
「あぁ。あいつ……強くなってやがるな。俺が見ない間に……」
リンドウは、自分の知らない間に宗牙が成長していることを知り、驚きを隠せずにいた。
「こいつでぇぇぇぇぇぇぇ!!」
宗牙はラーヴァナの攻撃をかわすとすかさず烈火炎装の状態となり、白い魔導火を纏った刃をラーヴァナに叩きつけた。
「ぐぅぅ……。小僧が……調子に乗るな!!」
宗牙の烈火炎装による攻撃は、ラーヴァナに決定打を与えることは出来なかったものの、確実にダメージを与えていた。
そんな攻撃に激昂したラーヴァナは、炎を纏った衝撃波を放ち、宗牙はそれをまともに受けてしまった。
「ぐぁっ!!」
その一撃で驚く程の勢いで吹き飛ばされた宗牙は、再び壁に叩きつけられて、その衝撃で鎧が解除されてしまった。
「……宗牙!」
「くっ……。くそっ……!」
宗牙はどうにか立ち上がろうとしたのだが、ダメージが大きいからか、一気に立ち上がることは出来ず、ゆっくりと立ち上がった。
「宗牙!後は俺に任せろ!一気に決めてやる!」
宗牙が命がけで作ってくれた突破口を開こうと、リンドウは奮起していた。
「愚かな……。脆弱な魔戒騎士如きが私を倒せると思うな!」
「ふっ……。それは俺を倒してから言うんだな!」
リンドウは機神剣を構えると、ラーヴァナに向かっていった。
そんなリンドウを迎え撃つべくラーヴァナは両手の剣を振るうのだが、リンドウはラーヴァナの攻撃をかわしていた。
『リンドウ!宗牙の攻撃した部分を狙って下さい!そこに勝機があるハズです!』
「あぁ、わかってる!」
宗牙の決死の攻撃により、ラーヴァナの一部にはダメージが残っており、そこを突くことで突破口を開こうと考えていたのである。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
リンドウは全力で機神剣を一閃し、宗牙がダメージを与えた場所を的確に攻撃していた。
「ぐぅぅ……。魔戒騎士風情が……!」
「吹っ飛べ!!」
リンドウの攻撃は確実に効いているようであり、ラーヴァナは怯んでおり、リンドウはすかさず機神剣を振るい、ラーヴァナを吹き飛ばした。
「まだまだだ!!」
リンドウは間髪入れずに烈火炎装の状態になると、吹き飛ばしたラーヴァナのもとへと向かっていった。
「くそっ……。調子に乗るな!!」
ラーヴァナはリンドウを迎撃するために炎を纏った衝撃波を放つのだが、リンドウはそれをまともに受けながらもラーヴァナに向かっていった。
「くっ……!」
しかし、ダメージはあるみたいだが、リンドウは歩みを止めなかった。
リンドウは烈火炎装により青紫色の魔導火を全身に纏っているため、それがダメージを緩和してくれたからである。
『リンドウ!もう時間がありません!一気に決着をつけて下さい!』
「わかってる!」
この時、鎧の制限時間は20秒を切っており、これ以上の戦闘継続は難しかった。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
リンドウは青紫色の魔導火を纏った刃を振るうのだが、これだけの一撃でもラーヴァナを倒すことは出来なかった。
「貴様……!」
ラーヴァナが反撃をしようとしたのだが、その前にリンドウは2度機神剣を振るうことで両手を切り落とし、ラーヴァナの反撃を防いでいた。
「すげぇ……」
『天宮リンドウ……。その実力は本物みたいだな……』
リンドウの奮戦ぶりに宗牙とノルバは驚きを隠せなかった。
「まだだ!!」
リンドウは機神剣を力強く振るうことでラーヴァナを上空へと吹き飛ばした。
『リンドウ!1度鎧を解除してください!もう時間がありません!』
「奴を倒す千載一遇のチャンス……。逃せねぇよ!!」
鎧の制限時間は残り10秒。
本来なら鎧を解除しなければ危険な時間だが、リンドウはラーヴァナを倒すチャンスを生かすためにそれをしなかった。
リンドウはラーヴァナよりも高く飛翔し、青紫色の魔導火を纏った機神剣を一閃した。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
リンドウは獣のような咆哮をあげながら力を込めていたのだが、ついにリンドウの一撃で、ラーヴァナを真っ二つに斬り裂くことが出来たのだった。
「馬鹿な……。この俺が……。だが、お前も、もう……!!」
自らが倒されたことに驚愕するラーヴァナだが、あることに気付いていたため、不敵な笑みを浮かべながら消滅していった。
青紫色の魔導火は消えさり、リンドウが地面に着地しようとしたその時……。
鎧の制限時間である99.9秒を過ぎてしまった……。
「……うっ……くっ……!」
リンドウが地面に着地をすると、リンドウは苦しみだしていた。
「り、リンドウ!?」
『あいつ……。まさか……!』
宗牙は何が起こったのかを理解していなかったが、ノルバはこれから何が起こるのかを理解していた。
リンドウは未だに苦しんでおり、そのため、機神剣を床に落としてしまった。
その直後、リンドウの身の丈に合っていた狼武の鎧が少しずつ変化していった。
腕……脚……身体と、徐々にその体は人間のものとは思えない大きさになっていった。
「……っ!り、リンドウ!」
『やはり……あいつは……』
目の前で起こっている状況に宗牙とノルバが驚く中、リンドウの体は魔戒騎士の鎧から巨大な獣のような姿に変わっていった。
この姿は心滅獣身(しんめつじゅうしん)。鎧の制限時間を越えた魔戒騎士がこの姿となり、巨大な獣の姿になる。
この姿になると、圧倒的な力を得ることは出来るのだが、この状態が続くと、その体と魂を鎧に喰われてしまう。
リンドウは今まさに体と魂を喰われそうになっていたのである。
「……!?まさか、あれは……」
宗牙はここでようやく事態が飲み込めたようであった。
『宗牙!ここは退け!!お前1人では心滅になったものを止めることは不可能だ!』
「馬鹿言うな!リンドウを見捨てろっていうのか!?このままだとリンドウの体と魂が喰われるんだろ!?」
宗牙は心滅になった魔戒騎士の末路について聞いたことがあったため、このまま逃げることをしたくなかったのである。
『ダメだ!心滅になった奴の力は、恐らく先ほどのラーヴァナ以上だ。お前如きでは太刀打ち出来ん。殺されるだけだぞ!』
心滅になったリンドウと宗牙の力の差は歴然であり、まともに戦うことを良しとはしなかった。
「だけど!紋章を突いたら助けることが出来るんだろ!?」
宗牙は心滅になったものを救う方法も聞いていたため、リンドウを救うことを諦めてはいなかった。
宗牙がここまで心滅について詳しいのは、自分よりも若い魔戒騎士が心滅し、黄金騎士牙狼や銀牙騎士絶狼に救われたという話を聞いたことがあるからであった。
リンドウを救うか見捨てて逃げるか。
このことで宗牙とノルバが問答をしていたその時だった。
「しゅ……宗牙……。早く逃げろ……!」
リンドウは現在、かろうじて自我を保っており、その自我で、宗牙を逃がそうとしていた。
「!?だけど、リンドウ!!」
「ノルバの言う通りだ……。今の俺は力を制御出来ん。戦えば間違いなくお前を殺すことになる……」
リンドウも心滅のことは知っているため、戦って宗牙を殺すということは避けたかったのである。
「……それに、これは自分で蒔いた種だ……。自らの罪はこの命で贖うさ……」
いくらラーヴァナを倒すためとはいえ、鎧の制限時間を越えて心滅になったことを、リンドウは自分の命を差し出すことで償おうとしていた。
「ぐぅぅ……!宗牙!早く逃げろ!!これは命令だ!」
今まで先輩騎士として宗牙に命令をすることはなかったリンドウが、ここで初めて宗牙に命令をしていた。
これ以上は自我を保つことが難しいからである。
そんな中、宗牙は……。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
突然獣のような咆哮をあげていた。
「リンドウ!そう簡単に諦めるなよ!お前を助ける方法があるんだぞ!?最後の最後まで足掻けよ!お前らしくもない!」
宗牙は、生きることを諦めてしまったリンドウに喝を入れていたのであった。
「宗牙……」
「逃げるな!生きることから逃げるな!!これは……命令だ!」
生きてさえいれば万事どうにでもなる。
このリンドウの教えを忠実に守ってきた宗牙だからこそ言える言葉であった。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
宗牙はリンドウに向かっていきながら鎧を召還し、奏覇の鎧を身に纏った。
この時、リンドウは自我を保てなくなり、まるで竜の獣のような姿になったリンドウは、咆哮をあげていた。
そして、リンドウは宗牙に向かって拳を叩き込むが、宗牙はその一撃をかわしていた。
「はぁ!!」
宗牙はリンドウの動きを止めるために覇皇剣を一閃し、その一撃によってリンドウは怯んでいた。
すかさず宗牙は攻撃を叩き込もうとするのだが、リンドウは先ほどラーヴァナが放っていたような炎を纏った衝撃波を放っていた。
「くっ……!」
その衝撃波の威力は先ほどのラーヴァナ以上だったのだが、リンドウを救いたい。
そんな気持ちが宗牙を突き動かしていた。
そして、宗牙は全身に白い魔導火を纏うことで烈火炎装の状態となり、リンドウに向かっていった。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
宗牙は決死の覚悟でリンドウに向かっていき、覇皇剣を腰の部分の紋章に叩き込もうとしていた。
しかし、リンドウから放たれる衝撃波はさらに威力を増していき、宗牙の鎧にもダメージが蓄積していた。
『宗牙!これ以上は危険だ!お前の体がもたんぞ!』
「諦めて……たまるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
最後まで絶対に諦めない。
そんな宗牙の強い思いがリンドウの衝撃波をかき消したのである。
「今だ!!」
衝撃波をかき消したことで烈火炎装は解除されてしまったものの、宗牙は渾身の力を込めて覇皇剣をリンドウの紋章に突き刺した。
心滅になった者を救うには紋章を突かなければいけないのだが、鎧の装着者を突き殺す勢いがなければ鎧を解除することは出来ないのである。
「うっ……!くっ……!」
どうやら宗牙の渾身の一撃は決まったようであり、リンドウの動きは止まった。
そして、全ての力を使い切った宗牙もまた、鎧を解除し、その場で膝をついていた。
しばらくリンドウの動きが止まると、心滅の鎧は解除され、リンドウがその場で膝をついていた。
「はぁ……はぁ……。や……やったぞ……」
宗牙は最後まで諦めず、リンドウを救ったことを喜んでいた。
「……助かったぜ……。強くなったな……。宗牙……」
リンドウは疲弊しながらも自らを救ってくれたことに感謝し、宗牙が成長していることも伝えていた。
「……ありがとう、リンドウ……」
伝えたいことを伝えた2人はその場で倒れ込み、意識を失っていた。
それから間もなくして番犬所から派遣された魔戒法師によって2人は救出され、回復までにはかなりの時間を要していた。
この事件がきっかけとなり、宗牙は魔戒騎士としてさらに成長していくこととなった。
今から2年前。宗牙が20歳の若さで元老院付きの魔戒騎士になれたのも、この事件がきっかけだったと思われる。
宗牙はその年に行われたサバックという牙狼に次ぐ最強の魔戒騎士を決める大会に出場することとなり、見事にベスト4という好成績を残していた。
準決勝で戦った銀牙騎士絶狼こと涼邑零に手も足も出ずに敗れてしまったのだが、この敗北もまた、宗牙をより成長させるものであると予想することが出来た。
一方のリンドウは心滅になった件に関しては、ラーヴァナを討伐した功績により不問となったのだが、違う番犬所へ派遣され、魔戒騎士として戦ってきた。
リンドウもサバック出場の案内状が来たのだが、リンドウはサバックに出場せず、会場で魔戒騎士の試合を見ることもしなかった。
自分がやるべきなのは魔戒騎士としてホラーを討滅して人を守る。
ただ、それだけだからであった。
その番犬所にて多くのホラーを狩ってきたリンドウはその功績を認められ、奏夜のいる翡翠の番犬所へ派遣されることになり、今に至る。
〜過去編終わり〜
『……』
リンドウの壮絶な話を聞き、奏夜や穂乃果たちは驚きのあまり言葉を失っていた。
「……ま、今俺がこうしていられるのも宗牙がいてくれたからだな。うん」
リンドウはこう言っておどけながら話をまとめていた。
「それにしても、凄いな、宗牙さんは。心滅になったリンドウを1人で止めるなんて」
『それに、使徒ホラーと互角の力を持つラーヴァナを倒すとは、お前さんの力は未知数だな……』
奏夜とキルバはリンドウの話を聞いてその実力を改めて思い知ることになり、驚きを隠せずにいた。
「それにしても、魔戒騎士の鎧には制限時間があっただなんて……」
「それに、それを過ぎちゃったら怪物になるなんて……」
奏夜は穂乃果たちに魔戒騎士の鎧について詳しく話していなかったため、驚きを隠せずにいた。
「前にも話したとは思うけど、魔戒騎士の鎧は魔界から召還されるものなんだ。それで、鎧には99.9秒っていう制限時間がついちゃうんだよ」
「魔戒騎士の鎧って特撮ヒーローのスーツみたいにずっと着けられるわけじゃないんだぁ。ちょっとびっくりだにゃ」
「魔戒騎士の弱点をあげるとするならばその部分になると思うんだ」
「それに、その時間を過ぎたら怪物になるんやろ?」
『そうだ。もし心滅になった場合、速やかに紋章を突いて鎧を解除してやらなければ、そいつの肉体と魂は鎧に喰われてしまう。リンドウが助かったのも運が良かっただけなんだよ』
心滅になった者はリンドウの他にも何人かいるのだが、リンドウのように全員が助かった訳ではなかった。
心滅の圧倒的な力の前に救うことが出来ずに命を落としてしまうものや、速やかに鎧を解除したものの、邪気に体が耐えられずに息絶えた者もいた。
さらには心滅の力を闇の力によって抑え込み、暗黒騎士という禁忌の力を手に入れた者もいた。
これだけでもわかるように、心滅というのはとても危険なのである。
「……本当に心滅は危険なんだ。なっちまったら命の保証はないしな……」
「そーくん。そーくんは絶対にそんなことにはならないでよ。最近のそーくんは力を求めてるみたいだから……」
「……!」
奏夜は尊士に敗北した後、みんなを救えるほど強くなりたいと願っており、そんな気持ちが陰我になりかねなかった。
そのことを穂乃果は見透かしていたため、奏夜は驚きを隠せなかった。
「穂乃果ちゃんの言う通りや。力を求めるのはええけど、強すぎる力は身を滅ぼす。これは魔戒騎士に限った話やないはずや」
こう語る希の言葉には不思議と説得力があり、奏夜はさらに驚いていた。
「私たちを守ってくれるのは嬉しいですが、あなたがそれにより変わってしまうことを私たちは望みません」
「そうにゃそうにゃ!そーや先輩はそーや先輩でいてくれないと!」
「確かにね。いつぞやの奏夜みたいになったらたまらないわ」
「あんな奏夜は確かに見たくないわね」
真姫とにこが言っていたのは、絵里のバレエを見て焦るあまり穂乃果たちにきつく当たった奏夜のことであった。
当時のことを思い出し、奏夜は苦笑いをしていた。
「……なんだか、今になって申し訳ないって思うわ……」
奏夜がそうなってしまったのも、A-RISEですら素人同然だという自分の発言からだと予想していたため、絵里は申し訳なさそうにしていた。
「私たちは、奏夜先輩に無茶はして欲しくないです!だって、奏夜先輩は私たちμ'sのマネージャーさんだから!」
「花陽の言う通りね。私のネックレスを守ってくれるのは嬉しいけれど、私たちはいつものあなたでいることを望んでいるわ。だから……」
「みんな……」
穂乃果たちの言葉を聞き、奏夜は自らのことを恥じていた。
力を追い求めようとはしなくても、これだけ自分を心配してくれる人がいる。
それだけで自分の力になるということを思い出したからだ。
「……みんな、ごめんな。俺、大事なことを忘れてたみたいだよ」
奏夜は力を追い求めていたことに対して穂乃果たちに謝罪をしており、それを聞いた穂乃果たちは安心したからか表情が明るくなっていた。
「……これなら統夜の心配も杞憂に終わりそうだな……」
穂乃果たちによって目を覚ました奏夜を見て、リンドウはこのように呟いていた。
「……さて、俺は指令を受けてるんでそろそろ行くとするよ」
どうやらリンドウはエレメントの浄化を行っている合間に番犬所から指令を受けているようであり、音ノ木坂学院に来たのも、時間潰しを兼ねてだった。
「指令があるなら、俺も……」
「いーや。お前さんはお嬢ちゃんたちとゆっくりしていろ。お前さんは魔戒騎士である前に高校生なんだ。今この時間を大切にしろよ」
「リンドウ……」
リンドウは奏夜が魔戒騎士として仕事をこなすのは良いと思っていたが、高校生として、当たり前の日常も体験して欲しい。
そんな願いがあり、それはもう1人の先輩騎士である桐島大輝も同じ気持ちだった。
「ま、そういうことで俺は行くぜ。ありがとよ、俺の話に付き合ってくれて。……あっ、そうだ」
何かを思い出したリンドウは、魔法衣の裏地から財布を取り出すと、一万円札をボンとテーブルに置いていた。
「それで美味いもんでも食ってこい。これは俺の暇つぶしに付き合ってくれたお礼ってやつだ」
それだけ言うと、リンドウは奏夜たちが引き止めるのを聞かずにアイドル研究部の部室を後にして、音ノ木坂学院も後にした。
奏夜たちはせっかく置いてくれたからということで、ファミレスへ行くことになり、料理を食べながら談笑を楽しんでいた。
そして、リンドウは魔戒騎士としてホラーを発見。
それを迎え撃った。
守りし者として……。
飄々とした態度の中にも守りし者として熱い思いを持っている。
これこそが、神食騎士狼武こと天宮リンドウであった……。
……終。
__次回予告__
『どうやらこの街には「萌え」なる感情が蔓延してるみたいだな。ま、俺には理解出来ない代物だがな。次回、「給仕」。何故人間はメイドとやらに夢中になるのか……』
まさかの使徒ホラー並の強敵の出現(笑)
宗牙のアシストがあったとはいえ、そんなラーヴァナを倒したリンドウが凄すぎる。
さらに、心滅したリンドウを1人で止めた宗牙も凄すぎる。
ちなみに狼武の心滅獣身のモデルは、「GOD EATER」シリーズに登場したハンニバル侵食種になっています、
さて、前回のオープンキャンパス終了でμ's結成編は終了し、次回からは新章に突入します。
牙狼サイドの話も進めていきたいと考えていますので、次回も楽しみにしていてください!