いつもより投稿が遅くなってしまい、すいません。
最近は仕事が忙しいのとFF14に夢中になってしまったのとで、執筆の時間がガッツリ減ってしまいました。
仕事はともかくとして、FF14が面白すぎるんだよ!吉田ぁ!!(褒め言葉)
それはともかくとして、今回はジンガや尊士との敗戦を引きずっている奏夜が秋葉原に帰ってきます。
失意の奏夜は立ち直ることは出来るのか?
それでは、第40話をどうぞ!
魔竜ホラー、ニーズヘッグの復活に必要な眼をジンガと尊士の2人に奪われてしまった。
魔竜の眼を回収したジンガは、さっそく自分の隠れ家へ戻ってくると、その魔竜の眼を眺めていた。
「……本当に禍々しいオーラを感じるな……。こいつが2つ揃えば、恐ろしい程の力を出すに違いないだろう」
ジンガは、魔竜の眼から放たれる、禍々しいオーラに見入っていた。
「はっ……。直ちに、もう1つの眼の在り処も探して参ります」
「まぁまぁ、そう慌てるなよ、尊士。とりあえずはこいつも手に入れたんだ。調べるのはゆっくりいこうぜ」
「……かしこまりました」
ジンガは魔竜の眼を1つ手に入れたことにより、心に余裕が出来たのか、もう1つの眼探しはそこまで急いではいなかった。
「それに、月影統夜や天宮リンドウは手強かったが、どちらにしても俺たちの敵ではないさ」
「そうですな。あの小僧もあれから強くなっているとは思えません。ジンガ様の計画も順調そのものでございましょう」
ジンガと尊士は3人との戦いを分析すると、このようなことを言っており、余裕さを見せていた。
「魔竜が目覚めるのももうすぐだ……!それまでせいぜい、短い命を堪能しておくのだな。愚かな人間共よ……!」
ジンガは既にニーズヘッグを蘇らせるビジョンしか見えておらず、このようなことを呟きながら笑みを浮かべていたのであった。
※※※
ジンガと尊士によって魔竜の眼を奪われてしまい、奏夜は自分のあまりの無力さに責任を感じてしまっていた。
そんな奏夜を見かねた統夜が奏夜を先に秋葉原へ帰しており、奏夜は秋葉原へと戻ってきた。
秋葉原へ戻ってきた奏夜はすぐに穂乃果たちと連絡を取っていた。
奏夜が無事に戻ってきたことを穂乃果たちは喜んでおり、奏夜は翌日の練習から参加することになったのであった。
穂乃果たちと連絡を取った奏夜は、そのまま番犬所へと向かい、魔竜の眼が奪われてしまったことをロデルに報告していた。
「……なるほど、事情はわかりました。それにしても、大変でしたね、奏夜」
「申し訳ありません……。俺が統夜さんやリンドウの足を引っ張ってしまったせいで、魔竜の眼を……」
奏夜はやはり魔竜の眼を奪われたことに責任を感じており、悲痛な表情になっていた。
「奏夜。自分を責めてはいけません。確かに由々しき事態ではありますが、まだニーズヘッグの復活は阻止出来るのです。気をしっかりと持ちなさい」
ロデルは悲痛な表情をしている奏夜を励ましながらも、厳しい言葉もぶつけていた。
「はっ、はい……!」
「あなたがそこまで腑抜けた表情をしていると、μ'sのメンバーにも迷惑をかけてしまいます。彼女たちだってラブライブに向けて躍起になっているのです。一刻も早く気を持ち直すのです」
「は、はい……!」
ロデルは魔戒騎士としての奏夜の身も案じてはいたのだが、どちらかというと、μ'sのために早く奏夜が元気になるよう促していたのだ。
そんなロデルの勢いに奏夜は気圧されながらも返事をしており、報告を終えた奏夜は番犬所を後にした。
この日はゆっくりと体を休めることにして、翌日の練習に備えることにした。
そして翌日、奏夜はμ'sの練習に参加するために神田明神を訪れていた。
午前中はここで基礎体力をつける練習を行い、午後からは学校の屋上にて振り付けの練習を行う。
夏休みの間は、このようなスケジュールで練習が行われることになっていた。
午前中は階段ダッシュを連続して行ったりしていたので、奏夜が思いつめた表情をしていてもどうにか誤魔化せたのだが、振り付けの練習の時はそうもいかなかった。
「……1・2・3・4・5・6・7・8!」
絵里が手拍子をしながら掛け声を出して、穂乃果たちはそれに合わせて振り付けをしていた。
しばらく振り付けを続けたところで、絵里は手拍子をやめて、先ほどの動きの分析を行う。
「うん……。みんなだいぶ動きのキレが良くなってきたわね!」
振り付け自体は完成とは言い難いのだが、絵里は穂乃果たちの成長を素直に評価していた。
「エヘヘ……。絵里ちゃんの考えてくれた練習メニューを毎日こなしてるからかな?」
穂乃果たちは基礎体力をつける以外に柔軟や体幹を鍛えるトレーニングも行っており、その積み重ねが、キレの良さに繋がっていた。
「そうですね……。本当に絵里がμ'sに入ってくれて良かったと思います」
「ちょっ、やめてよ////」
海未の褒め言葉が恥ずかしかったからか、絵里は頬を赤らめて照れていた。
「奏夜もそう思いますよね?」
「……」
海未は奏夜にも同意を求めるのだが、奏夜は何か考え事をしているため、海未の言葉が耳に入っていた。
「?奏夜?」
「……」
さらに奏夜は何か思いつめた表情をしていた。
『……おい、奏夜。海未が声をかけてるぞ』
今度はキルバが呼びかけることで、奏夜はハッとして呼ばれたことに気付いたみたいだった。
「あぁ、悪いな。それで、どうした?」
「どうした?じゃないですよ!奏夜、いったい何があったのですか?今日は朝からずっとその調子ではないですか!」
奏夜は上手く誤魔化したつもりだったのだが、穂乃果たち全員は奏夜の異変にすぐ気付いていた。
「別に……。何でもないよ」
「だったらいつも通りにしてなさいよ!ダンスコーチのあんたがそんなんじゃ練習にならないじゃないの!」
「にこちゃんの言う通りね。今の奏夜だったらいてもいなくても変わりはないわ」
「にこ!真姫!そのような言い方は……」
にこと真姫は、練習に集中出来ていない奏夜に厳しい言葉を投げかけており、そんな2人を海未はなだめるのだが……。
「……いいんだよ、海未」
「っ!ですが、奏夜……!」
「……本当に、俺は……」
このように呟く奏夜の表情はどこか悲しげであった。
「……そーくん、疲れてるんだね。今日は私たちに任せてゆっくり休みなよ!」
穂乃果は悲痛な表情をしている奏夜を見兼ねて、このような提案をしていた。
「ちょっと穂乃果!本気ですか!?」
「もちろん本気だよ。そーくんに何があったのかはわからないけど、あえて聞かないでおくね。そーくんは魔戒騎士である前に人間だもん!何か悩むことだってあるよ!」
「……っ!穂乃果……!」
穂乃果は今の奏夜の心情を察してこのようなことを言っており、奏夜は穂乃果の気遣いが嬉しかった。
「……ごめん、みんな。今日は穂乃果の言葉に甘えさせてもらって帰らせてくれないか?明日にはきっといつもの俺になってるから……」
そんな穂乃果の気遣いを無駄にしないために、奏夜は穂乃果の言葉に甘えさせてもらうことにした。
「そうね……。今日のところは私や海未に任せて。私たちなら大丈夫だから」
「そうやで。何があったのかは知らんけど、今度たっぷり聞かせてな♪」
「希ちゃんの言う通りだにゃ!それに、今日のことはラーメン1杯で勘弁してあげるにゃ!」
「り、凛ちゃん!さすがにそれは……」
奏夜の言葉に絵里と希は了承しており、凛は奏夜に見返りを求めていた。
それを花陽が慌てて止めるのだが……。
「アハハ……。わかった。ラーメンでも何でも奢るから」
「そーや君、今の言葉、しっかり聞いたにゃ!だから、嘘はナシだよ!」
何でも奢るという奏夜の言葉に、凛は過剰に反応し、奏夜は苦笑いをしていた。
こうして、奏夜はジンガや尊士との敗戦で思いつめてることを穂乃果たちに明かすことなく、屋上を後にすると、そのまま学校も後にしていた。
「……穂乃果。本当にこれで良かったの?」
「にこちゃんの言う通りよ。無理矢理でも何があったのか聞き出した方が良かったと思うけど」
「だけど、無理矢理聞こうとするのは、そーくんのためにならないと思うけど……」
どうやら奏夜をこのまま帰したことににこと真姫は異議があるようであり、奏夜から事情を聞いた方が良いと話していたが、ことりがそれに反対していた。
「ことりちゃんの言う通りだよ。そーくんは魔戒騎士としての強さを持ってるけど、自分自身それを認められない弱さも持ってるんだもん」
「そーくんはμ'sのマネージャーとして、いつも私たちのことを支えてくれたんだもん。こういう時は私たちがそーくんを支えないと」
「……確かに、そうかもしれませんね……」
海未としても、奏夜を帰してしまったのは良しとしていなかったが、穂乃果やことりの言葉を聞いて、確かにそうだと思ったのか、すんなりと納得していた。
「うん。私もそう思うな……。だって、奏夜君がいなかったら、私はきっとμ'sに入ってないだろうし……」
「凛もそうだにゃ!そーや君には感謝してるんだあ♪」
花陽と凛は、μ'sに入るきっかけをくれた奏夜に感謝の気持ちを持っていたのである。
「それは私もそうだけど……」
「……そんなこと言われたら、そうだなと答えるしかないじゃない……」
先ほどまで色々言っていた真姫とにこもまた、穂乃果やことりの言葉を聞いて納得せざるを得なかった。
「とりあえず今は信じましょう、奏夜を」
「そうやね。カードも言うとるよ。今は待つべしって」
絵里と希もまた、奏夜がいつもの奏夜に戻ることを信じていた。
「そうだよ!だからこそ、練習を頑張って、そーくんをびっくりさせようよ!」
『うん!(えぇ)!』
こうして穂乃果たちは、奏夜不在の中、ラブライブ出場を目指して練習を行っていた。
※※※
「……何やってんだろうな、俺は……」
その頃、学校を後にした奏夜はそのまま家に帰ることはせず、秋葉原の街を歩いており、小声でぼそっと呟いていた。
《まったくだ。おい、奏夜。お前は過去の敗北をいつまで引きずってるつもりだ?》
(……っ!そんなこと……)
そんなことはない。
奏夜はキルバの言葉を否定したかったのだが、図星だったからか、反論することは出来なかった。
《挙げ句の果てには穂乃果たちまで心配させて……。今のお前は魔戒騎士失格だな》
奏夜はμ'sのマネージャーとしてではなく、魔戒騎士としても穂乃果たちを守る。
常にそんな決意をしていたのだが、そんな穂乃果たちを心配させている今の奏夜に、キルバは呆れていた。
《そこまで腑抜けていたら、倒せるホラーも倒せないぞ。もっと気を引き締めろ!》
さらにキルバは厳しい言葉を奏夜に投げかけていた。
優しい言葉をかけるのは、奏夜のためにならないと判断したからである。
(わかってるよ!だからこそ、俺は……)
この時奏夜は自問自答をしていた。
今回の戦いは、自分が弱すぎたために統夜とリンドウの足を引っ張ってしまい、敗れてしまった。
だからこそ、統夜やリンドウと並ぶ程の力は欲しい。
しかし、合宿の時に統夜が言っていた力を求め過ぎてはいけないという発言も思い出していた。
そんなことはわかっていた奏夜であったが、そう簡単に割り切れるものではなかった。
自分は弱いままではいられない。もっと強くならなければ……と。
そんな考えが奏夜の頭の中を何度も何度も巡っており、そんなことを考えているからこそ、思いつめていたのであった。
そんなことを考えていたその時だった。
「……あっ!奏夜さ〜ん!!」
誰かが奏夜のことを呼んでいたため、その方を向くのだが、奏夜を呼んでいたのは、金色の長髪に青い瞳の少女であった。
彼女は絢瀬亜理沙。絵里の妹である。
どうやら穂乃果の妹である雪穂も一緒のようであり、亜理沙と雪穂は奏夜の姿を見つけると、奏夜に駆け寄っていた。
「おう、雪穂。亜理沙ちゃん」
奏夜は思いつめていることを悟られないためにいつも通りであると振る舞っていた。
「あれ?今ってμ'sの練習中ですよね?奏夜さん、いったいどうしたんですか?」
「あぁ、実はな。今日は大事な用事があったから休ませてもらったんだよ」
「大事な用事……ですか?」
「あぁ。それが何なのかは秘密だけどな」
亜理沙と雪穂はこのようなところに奏夜がいることに首を傾げていたのだが、用事があると聞いたらどうやら納得したみたいである。
「それで、さっき用事は終わったんだが、今から練習に行っても間に合わないと思ってな。街を歩いていたって訳だ」
「なるほど、それじゃあ奏夜さんは今暇なんですね?」
「ま、まぁな……」
用事が終わり、奏夜が暇であるとわかると、雪穂は何か企むような笑みを浮かべていた。
「奏夜さん!私たち、これから映画を観に行くんですけど、奏夜さんも一緒にどうですか?」
「映画か……。たまには悪くないかもな」
奏夜はこのままモヤモヤした気持ちでいるくらいなら、気晴らしに何かをした方が良いと前向きな気持ちだったからか、雪穂と亜理沙の提案を受け入れていた。
了承してくれるとは思わなかった2人の表情はぱぁっと明るくなっていた。
「ハラショー♪それじゃあ、行きましょう!奏夜さん♪」
そう言いながら、亜理沙は奏夜の右側の腕を組んでいた。
「ちょっ!?な、何を////」
「亜理沙だけずるい!私も!」
そんな亜理沙の大胆な行動を見て面白くなかったからか、雪穂も奏夜の空いている方の腕を組んでいた。
(や、やばいぞ、これは……。こんなところを穂乃果たちに見られたら……)
《ま、ラーメン奢るだけじゃ済まされないだろうな》
(そうだよな……。だけど、行くと言った手前、覚悟を決めないとな)
《ったく…….。ようやくいつもの奏夜に戻ったか。このラブコメ男が….…》
(変な呼び方はやめてくれよ……)
奏夜は亜理沙と雪穂の2人に引っ張られる形で映画館へと向かったのだが、その道中にキルバとテレパシーでこのような会話をしていた。
2人の美少女と腕を組んでいる光景はあまりにも異様であり、道行く人々から好奇の目で見られていた。
奏夜が女遊びをする軽い男と思われていたのであろう。
それを察した奏夜は、腕組みが解除される映画館までげんなりしながら歩いていた。
「……ところで、何の映画を観るつもりなんだ?」
「はい!これです!」
映画館に着いた奏夜は、何の映画を観るのか聞いてみたのだが、亜理沙が指差した映画は予想外なものであった。
その映画は、日曜日の朝に放送されている、バイクを駆って怪人を倒す特撮番組の劇場版であった。
「……これって、日曜日の朝にやってるやつだよな?俺はてっきり恋愛映画かと思ったよ……」
ちょうど同じ時間に、原作が少女漫画の映画もあったため、奏夜はそっちを観るものだと思って驚いていた。
「私はそっちの方が良かったんですけどね……」
どうやらこの映画を観たいのは亜理沙のようであり、雪穂は恋愛映画の方が希望のようだった。
「だって、格好いいじゃないですか!人知れず悪と戦うジャパニーズヒーロー!見てみたらついハマっちゃいました♪」
亜理沙は特撮ヒーローならではの格好良さに惹かれたみたいであり、スクールアイドルの時と同じように熱っぽく語っていた。
「そ、そうなんだ……」
亜理沙の意外な趣味を知り、奏夜は少しばかり困惑していた。
(まぁ、俺はヒーローではないが、人知れず怪物と戦うってのは重なるところはあるかもな)
どうやら奏夜は、そのヒーローと自分と似てる部分があると思ったのか、少しだけ興味を持ったみたいだ。
「それじゃあ、行きましょう♪」
亜理沙は1番この映画を楽しみにしていたからか、楽しそうにチケット売り場へと向かっていった。
「……俺たちも行くか、雪穂」
「そうですね」
楽しげな亜理沙を見て苦笑いをしながら、一緒にチケット売り場へと向かっていった。
高校生にもなって特撮映画のチケットをくださいというのは気恥ずかしかったが、奏夜は覚悟を決めて3人分のチケットを購入した。
「すいません、奏夜さん。私たちの分のチケットまで買ってもらっちゃって……」
「気にするなよ。これくらいはなんてことないさ」
奏夜は魔戒騎士としてそれなりにもらっているため、映画のチケットを出すくらいはなんてことなかった。
「それじゃあ、飲み物とポップコーンは私たちが出しますね」
「いいっていいって。それも俺が出すからさ」
「それじゃあ駄目です!」
「そうですよ!何でもかんでも出してもらうのも悪いですから!」
どうやら亜理沙と雪穂は、全部を奏夜に出してもらうのは申し訳ないと思っていた。
「……わかった。それじゃあ、遠慮なくご馳走になるよ」
そんな2人の気持ちを汲んだ奏夜は、飲み物とポップコーンはご馳走になることになった。
こうして上映時間が近付き、奏夜たちはこの映画が上映されるスクリーンまで移動し、席についていた。
「……楽しみですね♪奏夜さん♪」
「あっ、あぁ……。そうだな」
「私はあまりこういうの見たことないんだけどな……」
雪穂は特撮番組を見ることはほとんどなく、本来はこの映画を観るのは乗り気ではないのだが、親友である亜理沙の楽しそうな表情を見たら、そんなことはどうでも良くなっていた。
亜理沙がこれから始まる映画に期待しながら、まずは映画の予告編が始まった。
予告編は話題の洋画から、雪穂が見たかった恋愛映画の予告もあったりと、様々な映画を紹介していた。
最後に、映画の撮影や録音を禁止することを伝えるCMが流れていた。
それが終わると、いよいよ映画の本編が始まった。
未知の怪人が人類を襲っており、そんな怪人を倒すために主人公が仮面の戦士に変身して戦うといった話であった。
映画の序盤でも、怪人が人間を襲っており、バイクに乗った主人公が登場し、怪人の前に立ちはだかった。
主人公はベルトのようなものをつけていた。
そして……。
『変身!!』
変身ベルトから軽快な音楽が流れてると、主人公の体は人間から、仮面の戦士へと変わっていった。
それを見ていた亜理沙の表情はぱぁっと明るくなっていた。
(……それにしても、特撮って奴も案外凄いんだな)
奏夜は仮面の戦士と怪人との戦いを見て、素直にそう思っていた。
《そうか?やはり臨場感が足りないと思うがな。お前も魔戒騎士なら本当の戦いはこんなもんじゃないと知ってるだろ?》
(まぁ、映画ならこんなもんだろ)
奏夜もまた、魔戒騎士として戦っているため、本物の戦いの臨場感は知っているものの、これは映画であると納得をしていた。
今奏夜たちが見ているこの作品は、仮面の戦士の戦いも注目のポイントではあるが、主人公が織りなすドラマパートも注目すべきポイントであった。
その中、奏夜はとあるところが気になっていた。
(この主人公……。なんか俺と重なるところがあるな……)
この主人公もまた、立ちはだかった強敵に手も足も出ず敗れてしまい、そのことに対して思い詰めていた。
そんな主人公の姿が、今の自分と重なってしまったのである。
主人公は思い詰めながらも仲間たちに支えられ、本来の自分を取り戻していった。
(穂乃果たちも俺のことを支えてくれるのはわかってる。でも……俺は……)
奏夜は未だにジンガや尊士との敗戦を引きずっており、未だに立ち直れてはいなかった。
映画も終盤となり、主人公はボスである敵に立ち向かうのだが、やはり叩きのめされてしまっていた。
しかし、主人公はどれだけやられても立ち上がって敵に向かっていった。
『何故だ……!何故貴様は何度でも立ち上がれるのだ!?貴様では我は倒せないというのに……』
『俺は何度だって立ち上がる!大切な人を……守るために!』
大切な人を守るために戦う。映画のスクリーンに映る主人公の姿勢は、まるで魔戒騎士のようであった。
奏夜は大切な人を守るために何度でも立ち上がるという主人公の言葉に、感じるものがあるみたいであった。
魔戒騎士である奏夜は、ホラーから人を守る「守りし者」であるため、今見ているこの仮面の戦士と似ているところはあった。
相違点があるとするならば、魔戒騎士は人を守るが、決してヒーローではないということだ。
人を助けても、大きな力を持つ故に恐れられたり、蔑まされることがあったりするからである。
(……俺だって、みんなを守るために戦ってるさ……。だけど、今のままじゃ駄目だよな。もっと強くならないと……)
本当の戦いは、今実際に見ているヒーロー物のようにはいかないため、奏夜は穂乃果たちを守るために強くならなければと強く考えるようになっていた。
(……やれやれ……。奏夜のやつ、この映画を見て守りし者が何なのかを思い出すかと思ったが、それに至らなかったか……)
キルバはこの映画自体は興味なかったのだが、色々と思い詰めている奏夜には良い結果をもたらすことを期待していた。
しかし、奏夜の考えが変わることはなく、そのことにキルバは頭を悩ませていた。
奏夜とキルバがそんなことを考えながらもストーリーは進んでいき、主人公は自らの力を高める強化アイテムを用いて強化フォームとなり、その力でボスを討伐したのであった。
こうしてボスを倒し、映画はエンディングへと突入していき、この映画は終了した。
「いやぁ、最高でしたね♪」
映画が終了し、映画館を後にした奏夜たちであったが、亜理沙がこのような感想を言っていた。
「私はあまりこういうのは見ないけど、面白かったかな」
特撮作品をあまり見ていない雪穂であったが、ストーリーが秀逸だったみたいであり、素直に面白いと思っていた。
「あぁ。俺も良い気分転換になったよ」
奏夜は穏やかな表情で微笑みながらこう答えていた。
「奏夜さん、付き合ってくれてありがとうございます♪」
「また、3人で遊びたいです♪」
「あぁ、今日はありがとな」
奏夜は穏やかな表情で笑みを浮かべると、映画を見終えた亜理沙と雪穂の2人と別れていた。
「……」
亜理沙と雪穂の姿が見えなくなるまで奏夜は2人を見送っていたのだが、2人の姿が見えなくなると、奏夜は再び浮かない表情をしていた。
たまたま見た特撮作品の映画が、奏夜の考えを改めるきっかけになると思われたのだが、この映画を見て思うところはあっても、考えを改めるには至らなかった。
(あの映画は本当に面白かった……。だけど、俺はあの主人公のようなヒーローじゃないし、ヒーローにはなれない……)
《やれやれ……。そんなの当たり前だろう。お前さんだって今までヒーローになりたくて魔戒騎士の仕事をしていた訳じゃないだろう?》
(まぁ、確かにそうだけど……)
《今お前がどうするべきか、もうお前はわかってるハズだ。だから、よく考えてみるんだな。お前が今、何をするべきか》
(俺が……。すべきこと……)
奏夜も今のままではいられない。
そんなことはわかっていた。
しかし、奏夜は今何をするべきなのか、わからずに再び思い詰めていた。
そんな奏夜であるのだが、無意識ではあるのだが、自分のすべきことを察しており、まだそれに気付いていないみたいだった。
(あっ、そういえば魔戒剣の浄化を忘れてた。時間もあるし、行っとかないと……)
奏夜はロデルに魔竜の眼を奪われたことを報告した時に番犬所へ寄ったのだが、報告することで頭がいっぱいで、さらに気持ちに余裕がないからか魔戒剣の浄化を忘れていた。
そのため、奏夜は番犬所へ向かうことになった。
未だにジンガや尊士との敗戦をひきずる奏夜であったが、奏夜にとって大いなる試練の時が近付いていたのである。
そのことを、奏夜は知る由もなかった……。
……続く。
__次回予告__
『やれやれ。お前にもいよいよこの時が来たか。今の奏夜の状態では乗り越えられるとはとても思えないが……。次回、「試練」。大いなる試練、乗り越えろ、奏夜!』
奏夜はロデルや穂乃果たちに心配をかけながらも立ち直ることはまだ出来ませんでした。
そんな奏夜ではありましたが、ラブコメ属性は消えてはいないみたいでした(笑)
そして亜理沙が特撮好きという意外な事実が明らかに。
亜理沙ってこういうのを見たらハマりそうだなと思ってこういう設定にさせてもらいました。
それは違うんじゃないの?と思う方もいるかもしれませんが、そこはご了承ください。
奏夜たちが見た仮面の戦士が活躍する映画のモデルはもちろんあれですが、どの作品がモデルかは決めていません。
どの作品をモデルにしたら1番しっくり来ますかね?それは皆様のイメージにお任せします。
さて、次回は奏夜がとある試練を受けるみたいですが、そうです。奏夜もあの試練を受けるのです。
未だに敗戦を引きずって思い詰めている奏夜ですが、無事に試練を乗り越えることが出来るのか?
それでは、次回をお楽しみに!