牙狼ライブ! 〜9人の女神と光の騎士〜   作:ナック・G

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お待たせしました!第43話になります!

喋るザルバが予約開始しましたが、皆さんは予約しましたか?

僕は牙狼ファンなので、迷わず即予約しました。

やはり人気だからか、11月分の予約はいっぱいになっちゃったみたいですが……。

さて、今回からはようやく本編に戻っていきます。

今回からいよいよ二学期がスタートします。

奏夜たちを待ち受けるものとは?

それでは、第43話をどうぞ!




第43話 「教師」

……ここは全ての番犬所を総括する機関である元老院。

 

元老院の神官の間を、1人の魔戒騎士が訪れていた。

 

「……小津剣斗。呼び出しに応じ、馳せ参じました」

 

その魔戒騎士とは、修練場で教官をしていた1人であり、奏夜、統夜、リンドウと交流をした小津剣斗であった。

 

「よく来てくれましたね、剣斗。あなたの親友である玲二の件は残念でしたね……」

 

そして、剣斗を呼び出したのは元老院の神官であるグレスであった。

 

グレスが話を出していたのは、剣斗の親友であり、サバックの修練場付近の里で魔竜の眼を守っていた飯田玲二であった。

 

玲二は魔竜の眼が危険なものだと知り、秘密裏にそれを処分しようとしていたところを奏夜、統夜、リンドウ、剣斗の4人に 見つかってしまう。

 

統夜とリンドウは玲二をホラーと結託する者と疑いの目を向けていたが、奏夜と剣斗は玲二のことを信じようとしていた。

 

こうして、玲二はそのまま魔竜の眼を持ち去ろうとするのだが、その前に魔竜の眼をジンガに奪われてしまい、ジンガに殺されてしまったのであった。

 

「いえ……。私は亡き玲二の遺志を受け継ぎ、彼の分まで務めを果たそうと思っております」

 

剣斗は、親友を失ってしまい、悲しい気持ちはあったものの、その気持ちを乗り越えて前に進もうとしていた。

 

「そうですか……。それでは、剣斗。あなたはニーズヘッグ復活を阻止するために翡翠の番犬所の管轄に行ってもらいます」

 

「ハッ!小津剣斗!命を賭けて使命に挑みます」

 

「アハハ……。実直なのは結構ですが、程々に頼みましたよ……」

 

グレスは、剣斗のあまりに実直な姿勢を見て苦笑いをしていた。

 

「剣斗、翡翠の番犬所の管轄に行くにあたって、あなたにお願いしたいことがあります」

 

「ハッ!何でもお申し付け下さい!」

 

「頼もしいですね。実は……」

 

グレスは、剣斗に頼みたいと思っている話をしたのだが、その内容にさすがの剣斗も驚いていた。

 

しかし……。

 

「承知しました!この私にどこまで務まるかはわかりませんが、全力でその役目を務めます」

 

「頼みましたよ、剣斗」

 

「ハッ!直ちに翡翠の番犬所の管轄に向かいますので、失礼いたします」

 

剣斗はグレスに一礼をすると、そのまま神官の間を後にして、旅支度を整えた後に秋葉原へと向かっていった。

 

魔戒騎士としての特命を受けて……。

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

 

奏夜が穂乃果たちと共に花火大会に行ってからさらに時間は経過し、今日は二学期の始業式であった。

 

奏夜は朝の日課であるエレメントの浄化を行っていた。

 

夏休みの間はμ'sの練習の合間に行えたが、これからはエレメントの浄化の時間も減るため、出来る範囲だけでもやろうと奏夜は決めていたのである。

 

奏夜がエレメントの浄化を終えて登校したのは、始業時間ギリギリであった。

 

「……ま、間に合った……」

 

奏夜は遅刻を覚悟していたのだが、どうにか間に合ったため、奏夜は安堵をしていた。

 

そして奏夜は教室に入るのだが……。

 

「あっ、奏夜!やっと来ましたか!」

 

「そーくん!遅いよぉ〜!」

 

奏夜がギリギリに登校したのが気に入らなかったからか、穂乃果はぷぅっと頬を膨らませていた。

 

「仕方ないだろ。朝からやることがあるんだから」

 

奏夜はエレメントの浄化と公言はせずにこう答えていた。

 

奏夜が魔戒騎士であることを他のクラスメイトに知られる訳にはいかないからである。

 

「なるほど、確かにそうですね」

 

事情を察した海未はどうやら納得したようであった。

 

「授業が始まるまでそーくんとお話がしたかったのに……。ねぇ、ことりちゃん?」

 

「……」

 

穂乃果はことりに同意を求めるのだが、何故かことりは浮かない表情をしていた。

 

「……ことりちゃん?」

 

「ことり?どうしましたか?」

 

浮かない表情をしていることりを見て、穂乃果と海未は首を傾げていた。

 

「おい、ことり!」

 

「ぴぃっ!?な、何?」

 

奏夜が声をかけてことりはようやく気付いたようであり、ことりは驚いていた。

 

「ったく、何?じゃないだろ?いったいどうしたんだ?朝から様子が変だぞ」

 

「エヘヘ……。そうかな?今日は寝不足なんだよねぇ。昨日はあまり寝られなかったから」

 

「寝不足って、ことりちゃん大丈夫なの?」

 

「穂乃果の言う通りです。気を付けて下さいよ。学園祭も近付いてるのですから」

 

「そうだよね。気を付けるよ」

 

ことりは苦笑いをしながら何でもないことを主張していた。

 

(ことりのやつ、どうしたんだ?)

 

《さぁな。だが、このまま放っておくわけにはいかないだろうな》

 

(そうだな……。学園祭も近いし、ことりをこのままにしていたらμ'sの活動に影響が出そうだからな)

 

奏夜はμ'sの活動に支障をきたす訳にはいかないと判断し、ことりから話を聞き出そうとしたのだが……。

 

「おい、これから始業式だぞ。お前ら、講堂に移動しろ〜」

 

その前に担任である山田先生が現れると、奏夜たちにこのようなことを言っていた。

 

それを聞いたクラスメイトたちはぞろぞろと講堂へと移動していった。

 

「……私たちも行きましょうか」

 

「……そうだな」

 

奏夜はことりから話を聞き出そうとしたが、始業式があるため、そのまま講堂へと移動することにした。

 

講堂に移動すると、奏夜は2年生が集まっている席に腰を下ろし、穂乃果たち3人もそれに続いていた。

 

全校生徒が席についたところで、始業式が開始された。

 

最初は校歌斉唱と、学校の「式」ではよくあるスタートであった。

 

音楽担当の教諭がピアノ伴奏を行っており、それに合わせて全校生徒が校歌を歌っていた。

 

……奏夜だけはクラスメイトに制止されているせいで口パクなのだが……。

 

奏夜は自身では自覚していないが、極度の音痴なのである。

 

その歌は、某猫型ロボットが活躍するアニメに登場する暴君……ではなくてガキ大将に匹敵する程のものであった。

 

その事実をクラスメイト全員が知っているため、このような場で奏夜を歌わせないよう、クラスメイトたちは必死だった。

 

奏夜はそれを知っているため、歌いたいと思っていても口を噤んでいたのである。

 

こうして、奏夜は歌うことなく、無事(?)に校歌は終了し、続いては理事長の挨拶となった。

 

この手の話というのはネバーエンディングストーリーと言っても過言ではないくらい長いものであるのだが、ことりの母親である理事長はとても美人なため、自然と苦痛と感じさせなかった。

 

しかし、やはり理事長の話は長かったのだが、奏夜は理事長の話を聞いて感じるものがあった。

 

それは……。

 

(……あれ?この学校は廃校の危機なのに、廃校の話が一切出てこないな……)

 

《お前たちμ'sが頑張ってるからな。もしかしたら廃校の話が無くなりつつあるのかもな》

 

(本当にそうなったらいいんだけどな……)

 

廃校というキーワードが一切出てこなかったことであり、夏休み前に行われたオープンキャンパスの成功により、廃校阻止の動きが進んでいるのではないか?と奏夜は微かに期待をしていたのである。

 

こうして、長い理事長の話は終了したのであった。

 

『さて……。突然ですが、本日付けで新しい先生が来ることになりました』

 

理事長は挨拶を終えると、新任の先生が来ることを話しており、それを聞いた生徒たちがざわついていた。

 

『それでは、挨拶をよろしくお願いします』

 

理事長が新しく来た先生をステージに呼ぶと、スーツを着た1人の男性がステージに上がってきた。

 

その男性は身長が高く、整った顔立ちをしており、まるでモデルのような見た目をしていた。

 

『それでは、挨拶をお願いします』

 

理事長はこの男性に挨拶をさせるために少し下がると、男性はマイクのある方へと移動していた。

 

そして……。

 

『……私が今日からこの音ノ木坂学院に赴任された、小津剣斗だ!担当は体育。教師としてはまだまだ未熟だが、みんなとはイイ関係を築きたいと思っているのでよろしく頼む!』

 

なんと、新しい先生というのは、奏夜が修練場で出会った魔戒騎士である小津剣斗であった。

 

(け……剣斗!?何でこんなところに!?)

 

《ほぉ、まさか教師として潜り込んでくるとはな……》

 

教師としてこの学校にやって来た剣斗に、奏夜とキルバは驚きを隠せないようであった。

 

そして、剣斗のモデルのような容姿を見た生徒たちは黄色い歓声をあげていた。

 

「格好いい先生だね」

 

「確かに。モデルさんみたい!」

 

穂乃果とことりもまた、剣斗のモデルのような容姿に感嘆の声をあげていた。

 

「そうですか?奏夜はどう思いますか?」

 

「……」

 

海未は穂乃果とことりの言葉に首を傾げており、奏夜に同意を求めるのだが、奏夜は目をパチクリとさせ、口をあんぐりと開けて唖然としていた。

 

「……奏夜?どうしたのですか?」

 

奏夜の様子が明らかにおかしかったため、海未は首を傾げていた。

 

こうして、剣斗の紹介は終わり、その他の連絡事項を伝えられた後に始業式は終了となった。

 

始業式が終わり、生徒たちはぞろぞろと自分の教室に戻っていき、奏夜たちも教室に戻っていった。

 

(……そういえば、元老院から魔戒騎士が派遣されるって話は聞いてはいたけど、まさかそれが剣斗だったなんて……)

 

《それに、教師として潜り込んでくるとはな……》

 

教室に戻った奏夜とキルバは、新任の教師が剣斗だとは思っていなかったからか、驚きを隠せなかった。

 

さらに、元老院から魔戒騎士が派遣されると聞いてはいたのだが、それが剣斗だとは思ってもいなかった。

 

(とりあえず、どうにか剣斗を見つけて話を聞き出さないとな)

 

奏夜は放課後にでも剣斗に会って、色々と話を聞き出そうと考えていた。

 

そんなことを考えていると、担任である山田先生が教室に入ってきた。

 

「おい、お前ら、席につけ!」

 

そんな山田先生の声を聞いたクラスメイトたちは自分の席についていった。

 

「お前ら、今日から二学期だ。学園祭も近いから、色々と決めることもあるからそのつもりでいろよ」

 

二学期になって最初の大きなイベントは学園祭のようであり、クラスメイトたちは口々に「は〜い」と返事をしていた。

 

しかし、山田先生の話はこれで終わりではなかった。

 

「お前ら、運が良かったな。噂の新任教師はこのクラスの副担任になったぞ」

 

山田先生のこの言葉に、クラスメイトたちはざわついていた。

 

(っということは……)

 

「それじゃあ、小津先生!入ってきてくれ!」

 

山田先生が教室の扉の方を向いてこのように言うと、先ほど始業式で挨拶をしていた剣斗が教室に入ってきた。

 

「まぁ、そういう訳で、小津先生。一言挨拶でもしてやってくれ」

 

「承知した。山田先生」

 

剣斗は山田先生に対して頷くと、教壇に立ち、奏夜たちに挨拶をすることになった。

 

「改めて、今日からこの学校の教師となった小津剣斗だ。このクラスの副担任だから、みんなとは関わることも多いだろう。みんなとはイイ関係を築いていきたいと思うから、よろしく頼む!」

 

(アハハ……。やっぱり熱いな、剣斗のやつ……)

 

奏夜は未だに剣斗が先生として潜り込んできたことに実感がわかず苦笑いをしていたが、それは、その苦笑いは剣斗の熱い性格に対してもであった。

 

すると、剣斗は奏夜の存在に気付いたようであり……。

 

「おぉ!奏夜ではないか!この学校にいればお前に会えると思ってはいたが、まさかこのクラスとはな!」

 

奏夜を見つけた剣斗の表情はさらに明るくなり、親しげに奏夜に話しかけていた。

 

「なんだ、如月。小津先生と知り合いか?」

 

「えっ、えぇ……まぁ……」

 

剣斗が奏夜に親しげだったのが気になった山田先生は首を傾げながらこう奏夜に問いかけており、奏夜は苦笑いをしながら答えていた。

 

「副担任として奏夜のクラスに関わることになるとは、イイ!とてもイイぞ!」

 

剣斗はさらに熱くなっているようであり、あまりに熱血な剣斗のキャラに、クラスメイトたちは少しだけ戸惑っていた。

 

「教師と生徒。立場は違えど、同じ学舎にいるのだ。これからは熱く語り合っていこうではないか!我が友よ!」

 

「ちょっ!?おまっ!」

 

新任教師が1人の生徒のことを「友」と呼んでいるのはあまりに異様であり、クラスメイトたちは様々な憶測を奏夜に向けていた。

 

「あ、アハハ……」

 

そんな目を向けられた奏夜は、もはや苦笑いをすることしか出来なかった。

 

そして奏夜はジト目になりながら剣斗に対して「後でちゃんと説明をしろ」と口パクで伝えると、剣斗は無言で頷いていた。

 

こうして、始業式とホームルームは終わり、剣斗は音ノ木坂学院の体育教師として赴任することになったのであった。

 

ホームルーム終了後は予想通りといえば予想通りなのだが、生徒たちが剣斗の前に集まり、質問攻めをしていた。

 

剣斗は生徒たちの質問に丁寧に答えており、その度に黄色い歓声があがっていた。

 

「……」

 

奏夜はそんな剣斗の様子をジト目で眺めていた。

 

「それにしても驚いたなぁ。そーくんが小津先生と知り合いだなんて」

 

「それに、友って言ってたもんね」

 

奏夜と剣斗が知り合いであり、なおかつ剣斗が奏夜のことを「友」と公言したことに穂乃果とことりは驚いていた。

 

「奏夜、小津先生とはいったいどのような関係なのですか?」

 

「あぁ、それは放課後に部室に集まった時に話すよ。あいつも呼び出すつもりだから」

 

「わかった。色々と気にはなるけど、それまでは我慢しておくね」

 

穂乃果は今にでも奏夜と剣斗の関係を知りたかったが、それは放課後の楽しみにしておくことにした。

 

「奏夜。あなたが小津先生と友人なのはわかりましたが、学内では教師と生徒。あまり馴れ馴れしい態度は良くないですよ」

 

「まぁ、わかってはいるんだけどな」

 

海未の言葉は重々理解はしているものの、奏夜は剣斗に出会った時からタメ口で話していたため、今更小津先生と呼んで他の先生と同じように振る舞うことは出来ないのであった。

 

「まぁまぁ、いいじゃんいいじゃん!私たちだって先輩禁止をしてるんだもん」

 

「そ、それはそうですが……」

 

「まぁまぁ♪もうすぐ授業も始まるし、話の続きは後にしようよ」

 

休み時間はあっという間に過ぎてしまい、間もなく授業が始まろうとしていた。

 

「確かにそうですね。それでは、詳しいことは今日の放課後にでも」

 

海未も納得したところで、授業開始の時間となり、クラスメイトたちや他のクラスの生徒たちは残念そうにそれぞれの居場所に散らばっていった。

 

その後もやはり剣斗と話す機会は得られなかったため、奏夜は剣斗を放課後アイドル研究部の部室に呼び出し、事情を話してもらうことにした。

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

 

そして放課後になり、奏夜たちはアイドル研究部の部室に集まっていた。

 

μ'sのメンバーは全員揃っており、今この場には剣斗もいた。

 

1年生組と3年生組は何故剣斗がこの場にいるのかわからず驚いていた。

 

なので、剣斗は奏夜への事情説明を兼ねて、自らの素性を明かすことにしていた。

 

奏夜は剣斗を呼び出す時に予め穂乃果たちμ'sのメンバーがホラーや魔戒騎士について知っているということも伝えていた。

 

こうして、剣斗は自分が魔戒騎士であることを穂乃果たちに伝えていた。

 

すると……。

 

「えぇ!?小津先生も魔戒騎士ダッタノォ!?」

 

新しく赴任した剣斗が魔戒騎士であると知り、花陽は驚きを隠せなかった。

 

それは他のメンバーもそうなのだが……。

 

「うむ。私は元老院という機関に所属する魔戒騎士だ。とある指令を行う奏夜たちを援護するために派遣されたのだ」

 

「それにしても、何で先生なんかになってるんだよ」

 

「確かに……。教師の仕事をしていては、魔戒騎士の仕事もままならないのでは?」

 

奏夜は何故先生としてここへやって来たのかが疑問であり、海未ももっともな疑問を投げかけていた。

 

「うむ。ただ元老院の応援として秋葉原に行くのではなく、教師として秋葉原に潜り込んだ方がいいだろうというグレス様の判断でな」

 

どうやら、剣斗が教師として音ノ木坂学院に潜り込んだのはグレスの判断であるみたいだった。

 

「それに、ジンガや尊士の動きも気になるだろう。出来る限り奏夜の側にいた方がいいという私の本音もあるのだ」

 

さらに、剣斗はこのような気持ちを抱えているからこそ、グレスの話を了承していたのである。

 

「そういう訳で、私はお前と共に戦うこともあるだろう。これからもよろしく頼んだぞ、奏夜」

 

「あぁ、こちらこそよろしく頼んだぞ、剣斗」

 

奏夜と剣斗はこれから共に戦っていく仲間として互いを歓迎し、穏やかな表情で笑みを浮かべていた。

 

「奏夜、さっきからずっと気になっていたのだけれど、奏夜は小津先生に対して親しげに話しているわよね?小津先生は教師なんだからあまりよろしいとは言えないと思うのだけれど」

 

「それは私も思っていました」

 

絵里と海未は、奏夜が剣斗に対してタメ口で話していることに違和感を感じていた。

 

「まぁまぁ、そんなに気にするなよ。俺たちだって先輩禁止をしてるんだからさ」

 

「それとこれとは話が違うわ。だって小津先生は教師なんだもの。さすがに教師にタメ口は……」

 

「そこまでにしてくれ。私は教師である前に奏夜の友なのだ。だから私は気にはしていない」

 

奏夜は剣斗が自分のことを友と呼ぶ前からこのような喋り方であったのだが、剣斗が奏夜のことを友と呼んでいる今は、口調が自然と親しげになっていたのである。

 

「まぁ、小津先生が良いならいいのですが……」

 

「だけど奏夜。μ'sとして活動している時以外は小津先生のことは先生として接しなさい。わかったわね?」

 

「……まぁ、努力はするよ」

 

奏夜は改めて剣斗に敬語が使えるか微妙だったが、授業の時などは先生として接する努力はしようとしていた。

 

「まぁ、この話はこれまでにしておこう。もう1つ、みんなに話しておかなくてはならないことがあるからな」

 

「?それっていったい?」

 

「先ほど理事長から頼まれたのだが、私がアイドル研究部の顧問を引き受けることになった」

 

「へぇ、剣斗がウチの顧問に……。って!えぇ!?」

 

剣斗はサラッとアイドル研究部の顧問であることを伝えており、そのことに奏夜たちは驚きを隠せなかった。

 

「私としてはその方が動きやすいから良かったのだがな」

 

剣斗の本業は魔戒騎士であるため、アイドル研究部の顧問になれば、奏夜たちの近くにいられるため、とても都合が良かったのである。

 

「そ、そういえば私たちの部活には顧問はいなかったわよね」

 

「ですが、顧問の先生がいてくれるのは私たちにとっても活動の幅が広がりそうですしね」

 

アイドル研究部には顧問の先生はいなかったため、教師である剣斗がアイドル研究部の顧問になってくれるのは、奏夜たちにとっても都合のいい展開であった。

 

「……それよりも、奏夜。ロデル殿から聞いたのだが、お前は魔導馬の力を得たようだな」

 

「あぁ、なんとか魔導馬を得ることが出来たよ」

 

「やはりな!あれから少しだけ時間が経ったが、お前は強靭になったと思っていたのだ!」

 

剣斗は奏夜の成長を実感しており、表情は明るくなっていた。

 

「お前の佇まい1つ1つから成長を感じる!その成長こそ、奏夜が若さ溢れる何よりの証拠だ!イイぞ!ますますお前から目が離せん!」

 

「アハハ……。大げさだな……」

 

剣斗は奏夜の成長が嬉しいようであり、興奮気味に語っていたのだが、奏夜は苦笑いをしていた。

 

そして、穂乃果たちもまた、剣斗のあまりに熱い語りに若干引き気味であった。

 

「それはそうと。私はこの学校に赴任すると決まった後、ロデル殿に教えてもらいながらμ'sのことを調べたのだよ」

 

どうやら剣斗はμ'sのことを事前に調べていたようであった。

 

「それで、どうですか?私たちは」

 

穂乃果がμ'sのメンバーを代表して、剣斗の感想を聞こうとしていた。

 

すると……。

 

「……イイ!とてもイイ!!」

 

「お、小津先生……?」

 

先ほど以上に剣斗は興奮しているようであり、穂乃果たちは困惑していた。

 

「最初は3人からのスタートだったが、メンバーが増えるにつれ徐々に成長していく。まさに若さと情熱に満ちたグループだ。ロデル殿が夢中になるのも納得だ!」

 

(アハハ……。ロデル様はμ's以外のグループも好きなんだけどな……)

 

《確かにな。普通にA-RISEや他のグループの動画も見てるしな》

 

ロデルは今やμ'sの大ファンなのだが、以前からファンだったグループの動画の視聴も熱心に行っていたのである。

 

「若さと情熱って……。私たちってそんなにスポ根ドラマみたいなグループじゃないんだけど」

 

「そうよそうよ!私たちはアイドルなのよ?もっと可愛らしい評価をしてもらわないと」

 

どうやら真姫とにこは剣斗のμ'sに対する評価が気に入らないようであり、唇を尖らせていた。

 

「スポ根か……。あながち間違いじゃなさそうだよな」

 

真姫の例えを聞いた奏夜は、穏やかな表情で笑みを浮かべていた。

 

「確かにそうですね。私たちはそう言ってもいいくらいの練習量と困難を乗り越えて来たのですから」

 

そんな奏夜の言葉に同意をしていた海未もまた、笑みを浮かべながらこのように答えていた。

 

「ま、そういうことよ。これからは小津先生が顧問として頑張ってくれるのだから、私たちもより一層頑張らないとね」

 

「そうだな。ラブライブのランキングだって……」

 

絵里がこのように気合を入れる中、奏夜は部室のパソコンを立ち上げ、現在のμ'sのランキングを確認していた。

 

すると……。

 

「……!!また上がってる……!」

 

数日前にもランキングはチェックしていたのだが、それよりもランキングは上がっており、奏夜は驚いていた。

 

「どれどれ……?……って!!」

 

穂乃果はパソコンの画面を覗き込むのだが、画面に映っている数字を見て驚愕していた。

 

「……に、21位……!!」

 

「!?本当ですか!?」

 

穂乃果が現在のランキングを呟くと、海未もパソコンの画面を覗き込み、他のメンバーもパソコンの画面をチェックしていた。

 

「凄い!ラブライブ出場の20位まであと少しです!」

 

「前は30位くらいだったのに、一気に上がったわね……」

 

「合宿の後に撮った動画がそれだけ反響が良かったってことやのかな?」

 

穂乃果たちは合宿終了後にもμ'sの存在をアピールするために動画を作って投稿したのだが、その動画の反響が大きいからか、ランキングも徐々に上がっていった。

 

そして今、ランキングは21位と、ラブライブ出場が現実味を帯びてきているのであった。

 

「だからこそ、今まで以上に頑張らないとね!」

 

ラブライブ出場が現実味を帯びてきたことを知り、穂乃果はより一層気合が入っていた。

 

そんな穂乃果の言葉に奏夜と剣斗以外の全員が頷いていた。

 

「その通りだ!焦らず確実に前に進んでいこうではないか!お前たちは今までだってそうしてきたのだろう?」

 

「剣斗の言う通りだ!みんな、焦らず確実に前へ進んでいこう!」

 

『うん(はい)!!』

 

剣斗と奏夜のこの言葉に、穂乃果たちは力強い返事をしていた。

 

こうして、剣斗がアイドル研究部の顧問になった経緯の話は終了したのだが、穂乃果たちにはまだ気になることがあった。

 

「ねぇ、奏夜。さっき小津先生が言ってたロデルって人は誰なの?」

 

「その人が私たちのことを小津先生に教えたんだよね?」

 

にこと花陽は、先ほど会話に出てきたロデルが何者なのかわからないため、その疑問をぶつけていた。

 

「あぁ。ロデル様は俺の所属する翡翠の番犬所の神官で、俺はロデル様から指令を受けてホラーを討伐するんだ」

 

「つまり、奏夜の上司という訳ですね?」

 

「あぁ、その例えは間違いじゃないかな」

 

番犬所の神官を会社の上司と同じ風に考えるのは奏夜としては疑問だったが、例えとしてはわかりやすかったため、特に海未の言葉を否定しなかった。

 

『それだけではなく、ロデルは番犬所の神官としてはかなりの変わり者でな。スクールアイドルにハマっているんだよ』

 

「えっ!?そうなんですか!?」

 

ロデルがスクールアイドルにハマっていると知り、花陽は驚きを隠せなかった。

 

「それに、部室に置いてあるあのDVD。「伝伝伝」……だっけ?ロデル様はそれも入手していたみたいなんだ」

 

「!?そ、それは本当ですか!?」

 

どうやらロデルが「伝伝伝」を持っているという事実に、花陽は驚愕しているみたいだった。

 

「にこは3セット持ってるけど、それを入手したってことは、本物のアイドル好きみたいね」

 

「そのロデルさんという方に1度会ってみたいです!」

 

「そうね。アイドルについて熱く語り合えそうな気がするわ」

 

「確かに……。この3人が集まったら濃いトークが出来そうだよな……」

 

花陽、にこ、ロデルの3人が集まれば、アイドルについて内容の濃いトークが出来るだろうと予想していた奏夜は苦笑いをしていた。

 

「確かに、その人には1度会ってみたいよね。そーくんがかなりお世話になってると思うし」

 

「そうですね。アイドルが好きだからこそ、合宿行きを許可してくれたりしてくれたと思うので、1度会ってお礼を言いたいです」

 

「うむ。その旨をロデル殿に伝えておこう。会えるかどうかはわからぬが、その言葉を聞いただけでロデル殿はお喜びになるだろう」

 

剣斗は、穂乃果たちがロデルに会いたがっていることを伝えようと考えていた。

 

「よし!それじゃあ、さっそく練習しようよ!」

 

「そうだな。それじゃあ、みんな。準備を終えたら屋上に集合な」

 

『うん(はい)!!』

 

こうして練習が行われることになり、穂乃果たちは練習着に着替えようとしているため、奏夜と剣斗はアイドル研究部の部室を後にして、先に屋上へ向かうことにした。

 

着替えを終えた穂乃果たちは順次屋上へと移動し、いつものように練習が行われた。

 

ラブライブ出場を目指して。

 

そのラブライブ出場グループが確定するまであと2週間とちょっとであるため、奏夜たちμ'sだけではなく、他のグループも、ラブライブを目指して躍起になっていた。

 

ラブライブに出場するため、ここからが正念場となる。

 

しかし、大きな波乱が目の前に迫っていることを、奏夜たちは知る由もなかった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

……続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__次回予告__

 

『もうじきラブライブ出場グループが決まるか。ここからが正念場ではあるんだがな……。次回、「気合」。そして、青銅の刃が煌めく!』

 

 




修練場で登場した剣斗が音ノ木坂の先生としてやって来ました。

剣斗はかなり熱い男なので、いったいどのような授業をするのやら……。

さらに、穂乃果たちが初めてロデルのことを知り、花陽とにこが食いついていました。

この3人ならアイドルについて熱く語れそうですよね(笑)

今回は二学期初日のみでしたが、次回からラブライブ!の第11話の話になっていきます。

波乱な学園祭が迫っていますが、いったいどうなってしまうのか?

それでは、次回をお楽しみに!

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