牙狼ライブ! 〜9人の女神と光の騎士〜   作:ナック・G

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お待たせしました!第57話になります!

年末年始はリアルでの用事で忙しく、小説も書けず、FF14もあまりプレイ出来ませんでした。

そんな中ではありますが、「牙狼 神ノ牙」を見てきました!

感想は言わずもがなかもですが、最高でした。

やはり1番イイと思ったのは闇照の三騎士が再び集結するところですよね。

GOLD STOME翔にも魔戒列伝にもアグリやタケルは出てこなかったので、今回の登場は本当に嬉しかったです。

さて、前回からラブライブの二期編が始まりましたが、前回は穂乃果のとんでもない発言で終わってしまいました。

ここからいったいどうなってしまうのか?

それでは、第57話をどうぞ!




第57話 「息抜」

穂乃果が新しい生徒会長となり、奏夜たちは新たなる一歩を踏み出していた。

 

そんな中、奏夜たちはラブライブが再び開催されることを知る。

 

今度のラブライブは、予選を勝ち抜いて本戦へ進む形式であり、再スタートしたことによってランキングが下位になってしまったμ'sでも本戦へ進むチャンスがある。

 

しかし、予選でラブライブ前回王者のA- RISEとぶつかることが判明し、一時は絶望ムードが漂う中、一度は目指したラブライブへ出場したいという思いを募らせていく。

 

そんな中、穂乃果はラブライブに出なくても良いのではないかという衝撃的な発言をするのであった。

 

「……穂乃果!ちょっとこっちに来なさい!」

 

「え?ちょっと、にこちゃん!?」

 

にこは穂乃果を部室の隣である広い部屋に連れていくと、穂乃果を鏡の前に置かれた椅子に座らせていた。

 

「穂乃果、自分の顔が見える!?」

 

「そ、そりゃ、見えてるけど……」

 

にこは穂乃果がおかしくなってると判断したからかこのようなことを言っており、穂乃果は困惑していた。

 

「鏡の中の自分は何て言ってますか!?」

 

「え?何って……」

 

海未もこのように問いかけるからか、穂乃果の動揺はさらに強くなっていた。

 

「だって穂乃果……」

 

「ラブライブに出ないって……」

 

「ありえないわよ!穂乃果なら真っ先に出ようって言いそうじゃない!」

 

穂乃果は今までラブライブに向けて真っ直ぐ突き進んでいたため、再びラブライブが行われるのなら積極的な姿勢を見せると思っていた。

 

なので、穂乃果かここまで消極的な姿勢を見せるのは、にこだけではなく他のメンバーも驚きなのである。

 

「穂乃果……。ひょっとして、何かあったの?」

 

「べ、別に何もないけど……」

 

「だったらどうして?」

 

絵里は、真っ先に穂乃果が何か事情があってラブライブ に出なくても良いと言っていると予想したが、それは違うみたいだった。

 

「それは私も思ってました。何故、出なくても良いと思ったのですか?」

 

穂乃果とは幼い頃からの付き合いである海未でさえ、穂乃果の真意はわからなかったのであった。

 

「わ、私は……。みんなと歌って踊れればそれでいいかなって思って……」

 

(……なるほどな。そういうことか)

 

《お?お前にしてはあっさりと事の要因がわかったんじゃないのか?》

 

(まぁ、俺だってμ'sのマネージャーとして修羅場をくぐってきたし、これくらいはな)

 

奏夜は穂乃果が何を思ってラブライブに出ないと言ったのかを察しており、ここからも奏夜の成長を伺うことが出来た。

 

「今まで、ラブライブを目標にして頑張って頑張ってきたじゃない!違うの?」

 

「い、いやぁ、それは……」

 

にこはラブライブに出場しないという穂乃果の言葉が納得できないからか、このように穂乃果に詰め寄っていた。

 

「……まぁ、みんな落ち着けって」

 

穂乃果がにこに詰め寄られて困っていたため、奏夜はこのように助け船を出すのであった。

 

「ちょっと奏夜!あんたは何でラブライブに出ないと言われて冷静でいられるのよ!」

 

奏夜があまりにも冷静にたしなめてきたため、にこは詰め寄る矛先を奏夜に変えるのであった。

 

「そりゃあ、俺だって驚いてるさ。だが、出る出ないは自由なんだし、穂乃果がそう言うのを責める権利はないだろ?」

 

「あんたねぇ……。さっきはあんなに偉そうなことを言ってたのに何で手のひらを返したようなことを言うのよ?」

 

「まぁ、俺はマネージャーだし、出る出ないはみんなの判断に任せるつもりだったからな」

 

「なんかずるい言い訳だにゃ……」

 

このような奏夜の弁解が納得出来ないのか、凛は唇を尖らせていた。

 

「だけど、穂乃果ちゃんらしくないっていうか……」

 

「やっぱり、挑戦してみてもいいと思うの!」

 

「あ〜……えっと……」

 

にこだけではなく、ことりと花陽もまた、穂乃果の言葉に納得出来ないからか、このように迫っており、穂乃果は返答に困っていた。

 

すると、タイミングが良いのか悪いのか。ぐぅ〜っと穂乃果の腹の虫が鳴きだすのであった。

 

「あ、そうだ!明日からまたレッスンも大変になるんだし、今日は寄り道していかない?」

 

穂乃果はこの話を強制終了させるために、このようなことを提案するのであった。

 

「え?でも……」

 

穂乃果のこの提案に、花陽は困惑しており、他のメンバーも困惑していた。

 

「……ま、たまにはいいんじゃないか?」

 

「はぁ!?奏夜!あんたまで何を言ってるのよ!」

 

「μ'sが再結成してからというもの、みんなそれぞれ忙しくてなかなか遊んだりも出来なかっただろ?ラブライブに出るにせよ出ないにせよ息抜きは必要だろ」

「そうだよ!そーくんの言う通りだよ!だから行こっ!」

 

こうして、穂乃果はラブライブに出ないという話を終わらせて、全員で遊びに行くことになった。

 

ちなみに剣斗も行きたがっていたのだが、教師としての仕事が残ってるため、学校に残らざるを得なかったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

 

今日は練習を行わず、遊びに行くことになった奏夜たちは、まず最初にクレープ屋に立ち寄ることになった。

 

ここで奏夜は、全員分のクレープを奢ることになり、奏夜たちはクレープを食べながら通りを歩いていた。

 

「……ま、この出費は想定の範囲内か……」

 

奏夜はクレープをペロリと平らげると、財布の中身を確認していた。

 

「奏夜君、いつもごめんね。奢ってもらっちゃって……」

 

花陽は度々奏夜に奢ってもらうのが申し訳ないと思っていたからか、控えめにお礼を言っていた。

 

「気にするなって。俺は魔戒騎士なんだし、多少は稼いでるんだからさ」

 

奏夜は花陽を安心させるためにこう言っているのだが、それは事実なのである。

 

魔戒騎士として多くのホラーを討滅してきた奏夜は、番犬所から現金の支給も受けている。

 

最近はその支給額は上がってきたのだが、それでも奏夜は一般サラリーマン並には稼いでいる。

 

「それはわかるけど、いつもいつも奢ってもらうのは悪いよ……」

 

花陽は申し訳ないと思っているからか、少しだけ後ろめたさを感じていた。

 

「ふふっ、ありがとな、花陽」

 

そんな花陽の控えめな態度に、奏夜は穏やかな表情で笑みを浮かべるのであった。

 

「ふぇ!?////……あっ、うん……////」

 

奏夜の笑顔にドキッとしたからか、花陽は頬を赤らめてドギマギしていた。

 

奏夜はそんな花陽に首を傾げながらも、先ほど出していた財布をしまうのであった。

 

クレープを食べながら移動していた奏夜たちは、穂乃果の提案により、ゲームセンターへと行くことになった。

 

ゲームセンターに到着すると、各自で遊びたいゲームを遊ぶことになり、穂乃果、凛は絵里を連れてプリクラコーナーへと向かっていった。

 

奏夜も2人に誘われたのだが、やりたいゲームがあるとのことで、きっぱりと2人の誘いを断っていた。

 

その結果、2人は膨れっ面になってしまうのだが……。

 

「……よし、来たぞ……」

 

穂乃果と凛の誘いを断ってまで、奏夜がプレイしようとしているゲームとは、なんと、ガンシューティングゲームであった。

 

銃の形をしたコントローラーを扱い、画面に現れる敵を狙い撃つというゲームであり、そのジャンルの最新作であった。

 

『おい、奏夜。お前はまたこのゲームをやるのか?よく飽きないな……』

どうやら奏夜はこのゲームを度々プレイしているみたいであり、それを知っているキルバは、少しだけ呆れていた。

 

「当たり前だろ?このゲームは結構難しいけど、魔戒騎士として、反射神経を鍛えるのにいいんだよ」

 

どうやら奏夜は、ゲームで遊びながら、魔戒騎士として鍛錬もするみたいであった。

 

『おいおい。遊びと鍛錬を一緒にするなよな……』

 

遊びながらも鍛錬を行うという奏夜の姿勢に、キルバはさらに呆れていた。

 

奏夜は100円を投入し、ゲームを始めようとしたのだが……。

 

「あ、奏夜。ここにいたんですね」

 

「よう、海未。どうしたんだ?」

 

「いえ。歩いてたら奏夜を見かけたので声をかけたのです」

 

海未は何かゲームをする訳ではなく店内を歩いていたのだが、奏夜の姿を見つけたので、こちらへやってきたのだ。

 

「俺は今からこのゲームをやろうと思ってたんだよ」

 

「銃を使うゲームなんですね……。「バンバンシューティング」?」

 

奏夜が今からしようとしているゲームは、「バンバンシューティング」と呼ばれるタイトルだった。

 

「そうそう。このゲームは、近未来の都市を舞台に、迫り来る敵を銃で倒すシューティングゲームみたいだぜ」

「こんなゲームがあったんですね……」

 

「このゲームは最近置かれるようになったんだけど、敵の隊長を倒さないと敵がどんどん湧き出てくるみたいで、かなり難易度が高いゲームみたいなんだよ」

 

奏夜の説明通り、このバンバンシューティングは、設置直後からそれなりに人気のあるゲームとなったのだが、あまりに難易度が高く、本当にクリア出来るのかと疑問視する声がある程である。

 

「難しそうですね……」

 

「まぁ、やってみるから見てな」

 

そう言いながら奏夜は100円を投入し、ゲームを開始した。

 

『バンバン!シューティング!!』

 

ゲームのタイトルが宣言され、ゲームは始まっていくのだが……。

 

『このタイトルコール……。聞けば聞くほど月影統夜の魔導輪に聞こえるのだが……』

 

「ああ、イルバか?確かに、言われてみればそうかもな」

 

タイトルコールの声と、統夜の魔導輪であるイルバの声がとても似ており、キルバはそこに反応していた。

 

奏夜は苦笑いをしながら銃のコントローラーを手に取り、敵が迫り来ることに備えていた。

 

すると、さっそく最初のステージが始まり、敵が出現するのだが……。

 

「!?これ、本当に最初のステージなんですか?」

 

最初のステージというのは、敵の数は少なく、チュートリアル的な内容なのがセオリーなはずなのだが、最初のステージとは思えない程敵がたくさん出てきており、海未は驚いていた。

 

この難易度こそが、このバンバンシューティングの魅力であり、ここをクリアしてからが本当の戦いなのである。

 

開始十数秒でやられ、そのまま全ライフを失ってゲームオーバーになるというのもよくある話であり、一部のプレイヤーからはクリア出来ないクソゲーと言われているのであった。

 

「……なんの!これくらい!」

 

奏夜は何度もプレイしているから慣れているのか、手際良く狙いを定めて敵を倒していった。

 

しかも、その射撃は正確であり、全ての攻撃が「HIT!」と表示されていた。

 

「す、凄い……!」

 

海未は、奏夜のあまりの神プレイに言葉を失うのであった。

 

そんな中、手こずることなく雑魚敵を倒していった奏夜は、ボスである隊長を見つけ出し、ボスと対戦。

 

ボスとの対戦中も、迫り来る雑魚敵を手際よく倒しながらボスの体力を削っていく。

 

その結果、奏夜は1度もやられることはなく、ボスを撃破するのであった。

 

「さてと……」

 

奏夜は最初のステージをクリアしたことに満足することなく、すぐに次のステージに備えていた。

 

そして、次のステージなのだが、先ほどのステージ以上に難易度が上がっており、敵の数もかなり増えていた。

 

それだけではなく、このステージからは敵が奇襲を仕掛けてくることもあるため、それも対応しないと、大きく自分のライフを削られる結果になってしまう。

 

奏夜は冷静に状況を見極めながら敵を倒していっていた。

 

奏夜のプレイが凄いからか、ギャラリーが増えていき、あっという間に人だかりが出来るのであった。

 

海未はこの状況に驚くが、奏夜はそれも視界に入っていないのか、ゲームに集中していた。

 

ゲーム開始からおよそ40分。まだラストステージには到達していないのだが、奏夜はあるステージをクリアすると、携帯を取り出して時間を確認した。

 

「……今日はこの辺にしておくか」

 

奏夜的には続けたい気持ちはあったものの、このまま続けたら明らかに他のメンバーを待たせることになりそうだったので、ここでゲームを辞めることにした。

 

奏夜が操作を辞めた途端、プレイヤーキャラのライフがゴリゴリ削られていき、あっという間にライフはゼロになるのであった。

 

奏夜はコンティニューしなかったため、そのままゲームオーバーとなり、ゲームは終了した。

 

「ふぅ……」

 

奏夜は一息ついてから後ろを振り向くのだが、いつの間にか人だかりが出来ており、驚愕していた。

 

奏夜が人だかりに気付いたのと同時に、ギャラリーたちは一斉に拍手していた。

 

「あんた、このゲームをここまでプレイ出来るなんて凄いな!」

 

「あそこで辞めてなかったらクリア出来たんじゃないのか?」

 

「あのプレイング……。もしかしたら、噂の天才ゲーマーMとタメをはれるかもな!」

 

ギャラリーたちは奏夜のプレイをここまで絶賛していた。

 

そんな中、奏夜は天才ゲーマーMというキーワードに首を傾げるのであった。

 

その天才ゲーマーMというのは、その名の通り、天才的なプレイスキルを持つゲーマーであり、様々なゲームの大会で優勝している、生ける伝説と呼ばれるゲーマーである。

 

「奏夜……。そのMとかいう人は、スクールアイドルでいうところのA- RISEのような立ち位置の人なんでしょうか?」

 

「どうやら、そうみたいだな」

 

ギャラリーたちの言っている天才ゲーマーMという人物がどれだけ凄いのかはわからなかったが、A- RISEに例えたことにより、少しは凄さを理解したみたいだった。

 

ギャラリーたちは奏夜のプレイを賞賛し、あっという間に人だかりはなくなるのであった。

 

「やれやれ……。悪いけど、ちょっと外の空気を吸ってくるよ」

 

人だかりにげんなりした奏夜は、気分を落ち着かせるために一度外に出ることにした。

 

「わかりました。私はみんなを探して合流しますね」

 

奏夜は海未にこう伝えてからゲームセンターの入り口の方に向かっていき、海未は店内に残る他のメンバーを探し始めた。

 

「ふぃ〜……。疲れたっと……」

 

バンバンシューティングの難易度が高く、それなりに良い鍛錬が出来た奏夜は、大きく伸びをしていた。

 

すると、ゲームセンターから見ることが出来るUTX高校のモニターを眺める穂乃果の姿があった。

 

「……?穂乃果?」

 

「……あ、そーくんだ!どうしたの?」

 

穂乃果は何か考えてる様子だったが、奏夜の存在に気付き、いつものように人なつっこい笑みを浮かべていた。

 

「俺はさっきまでゲームしてたからな。休憩と思ってな」

 

「もう!せっかくそーくんとプリクラ撮りたかったのに、断ってどっか行っちゃうんだもん!」

 

穂乃果は未だにプリクラを断られたのが不満だったのか、ぷぅっと頬を膨らませていた。

 

「悪い悪い。魔戒騎士の鍛錬を兼ねてシューティングゲームをしてたからさ」

 

『ったく、お前ってやつは、魔戒騎士の鍛錬をなんだと思ってるんだよ……』

 

そんな奏夜に、キルバはただただ呆れるばかりだった。

 

「……それはそうと、穂乃果はこんなところで何をしていたんだ?」

 

「希ちゃんにジュースを渡そうと思って外まで探してたの。もう希ちゃんは店の中に入ったんだけど」

 

「そっか」

 

奏夜はあっさりと答えると、これ以上何も追求はしてこなかった。

 

穂乃果は、さらにしつこく何かを聞かれると思っていたため、少しだけ拍子抜けしていた。

 

「……ねぇ、そーくん。聞かないの?穂乃果がラブライブに出なくていいって思ってるのかを」

 

「そりゃ、聞きたいに決まってるさ。だが、それを聞いて素直に教えてくれるか?」

 

「そ、それは……」

 

「……ま、そういうことだ」

 

奏夜は、穂乃果の口から直接ラブライブに出なくても良いと思っている理由を聞き出したいと思っていた。

 

しかし、奏夜は穂乃果の気持ちを察しており、聞いたところで答えないと考えたため、追求はしなかったのである。

 

「……そーくんは、やっぱりラブライブに出たいって思う?」

 

「んー……。出るといっても俺は直接パフォーマンスをする訳じゃないしな。だからこそ、みんなの意思を尊重したいと思ったんだ」

 

「そーくん……」

 

奏夜は奏夜なりに気を遣っており、それを感じることが出来た穂乃果はただただ嬉しい気持ちでいっぱいになるのであった。

 

「ただ、これだけは頭に入れておいてくれ。ラブライブは来年の3月に行われる。3月には3年生は卒業し、4月には雪穂や亜理沙は音ノ木坂に通わなかったとしても高校生になる」

 

「……!」

 

「その意味は……わかるよな?」

 

「……」

穂乃果は奏夜の言葉の意味を考えているのか、何も語ることなく俯いてしまった。

 

奏夜は穂乃果に考える時間を与えるため、そのままゲームセンターの中に入ろうとしたのだが……。

 

「……奏夜、穂乃果。ここにいたのですね」

 

海未は他のμ'sメンバーと共に外に出て、奏夜や穂乃果と合流したのであった。

 

「ああ、悪い悪い。もうちょっとしたら店に戻ろうと思ってたところだったんだよ」

 

「私も……。まぁ、そんな感じかな?」

 

「だいぶ暗くなってきたし、そろそろ帰らない?」

 

「あ、うん。そうだね」

 

花陽は今日は解散しようと提案しており、穂乃果はそれに乗ることにした。

 

そのため、そのまま解散になると思われたのだが……。

 

『……おい、奏夜。残念ながら指令のようだ。ロデルの鳩がこちらに向かっているぞ』

 

キルバは、指令書を運んでいるロデルの使い魔である鳩の存在を察知し、それを奏夜に伝えていた。

 

「そうみたいだな……」

 

鳩の姿は遠くて見えにくいものの、奏夜は鳩の存在を目視していた。

 

「みんな、悪い。どうやら指令が来たみたいだから、俺はこれで……」

 

「そーや君、またお仕事なんだね……」

 

奏夜がこれからホラーと戦いに行くことを知り、凛は悲しそうな表情をしていた。

 

「凛、そんな表情はするなって。明日学校で会えるさ。信じて待っててくれ」

 

「うん……。凛はそーや君のこと、信じてるからね!」

 

命を落としてもおかしくないホラーとの戦いではあったが、奏夜は凛を安心させる言葉を送っており、その言葉に、凛だけではなく他のメンバーも頷いていた。

 

「それじゃあ、みんな。また明日な」

 

“また明日”

 

この言葉は、穂乃果たち安心させるにはかなり効果的な言葉であり、そんな言葉を残しつつ、奏夜は穂乃果たちと別れるのであった。

 

そしてすぐにロデルの使い魔である鳩から赤の指令書を受け取ると、その鳩は番犬所に向かって飛んで行くのであった。

 

奏夜は魔導ライターを取り出すと、指令所を燃やし、魔戒語の文章を浮かび上がらせることで、指令の内容を確認するのだった。

 

「……銃に魅入られしホラーが出現し、人を襲っている。ただちに殲滅せよ。……か」

 

『ホラー、ガンホードか。ホラーのくせに飛び道具の武器が好きで、最近は銃に魅入られてる変わり者のホラーだ』

 

「銃に魅入られたホラー……か」

 

キルバのホラー解説を聞いた奏夜は、何故かニヤリと笑みを浮かべていた。

 

『?どうしたんだ?奏夜』

 

「キルバ。さっき俺はゲームで特訓しただろ?それが無駄じゃなかったってことを証明してやるよ」

どうやら奏夜は、先ほどの特訓の成果をキルバに見せつけようと考えていた。

 

『ったく……。勝手にしろ』

 

そんな奏夜にキルバは呆れながらも、ホラーの捜索を開始するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

 

 

奏夜がホラー捜索を始めてからおよそ1時間が経過していた。

 

外は既に暗くなっており、ホラーが行動を開始する時間帯となるのであった。

 

そんな中、秋葉原某所にある今は使われていない廃工場にて、銃を持った男同志の物騒な争いが行われようとしていた。

 

男の1人がその銃を発砲しようとするのだが、その前にもう1人の男が素早い動きで接近し、男をなぎ倒すのであった。

 

男は、そのまま気絶し、手にしていた銃は床に転がり落ちるのだが、もう1人の男がその銃を拾うのであった。

 

「グヘヘ……。なかなかいい銃じゃねぇか……」

 

先ほど倒した人間から奪った銃を眺めながら、男はうっとりとするのであった。

 

「やっぱり拳銃はこうでなくちゃな……。早く試し撃ちがしてぇ!」

 

どうやらこの男は銃に魅入られているようであり、それだけでは飽き足らず、その銃の性能も確かめようとしていた。

 

「こいつの頭をぶち抜けばいいか。それで食っちまえば証拠は残らねぇ。まさに一石二鳥だな」

 

男は奪った銃を使って気絶している男を射殺し、食らおうと物騒なことを口走っていた。

 

そんな中、男は銃を構えてそのまま銃を発砲しようとするのだが……。

 

「……それはちょっと待った方がいいな」

 

「あぁん?なんだぁ?」

 

いきなり声が聞こえてきたため、男はその方を向くと、茶色のロングコートを着た少年が立っていた。

 

その手にはライターが握られており、少年はそのライターから火を放つのであった。

 

その火は男の瞳を照らすのだが、男の瞳からは不気味な文字のようなものが浮かび上がってきた。

 

「……ったく……。銃が好きで、試し撃ちがしたいだなんて、あまりに趣味が悪過ぎるよ……」

 

この茶色のロングコートを着ている少年は奏夜であり、奏夜はホラーの気配を追って、ここまでたどり着いたのである。

 

「それに、ずいぶんとひどいことを……。って言いたいところだけど、この人も銃を持ってた訳だし、いいお灸にはなったのかな?」

現在気絶している男は、明らかに暴力団系の男であり、奏夜はそこまで気絶している男に同情はしなかった。

 

「てめぇ……!魔戒騎士か!ちょうどいい!!てめぇ相手に銃の試し撃ちをさせてもらうぜ!」

 

男は銃口を奏夜に向けると、すかさず銃を発砲した。

 

奏夜は至近距離であるにもかかわらずその銃撃を回避し、すぐに蹴りを放って男を吹き飛ばすのであった。

 

「て、てめぇ……!よくもかわしやがったな!」

 

男は、奏夜が銃による砲撃をかわすとは思っていなかったため、驚きを隠せなかった。

 

「ふふん……。来いよ!」

 

「てめぇ!ぶっ殺す!」

 

奏夜はあからさまな挑発を行っていたのだが、男はそれを受けて怒りを露わにしており、銃を連続で発砲するのであった。

 

奏夜は魔戒剣を抜くと、2度3度と魔戒剣を振るい、全ての銃撃を防ぐのであった。

 

「何!?てめぇ……!」

 

「わかりやすい軌道だな。こりゃ、ゲームの敵の方が狙いがややこしかったぜ」

 

バンバンシューティングに登場する雑魚敵も、普通に銃による攻撃を仕掛けてくるため、奏夜はこのようなことを言っていた。

 

「このガキが、調子に乗りやがって……。ぶっ殺してやる!」

 

奏夜の余裕な態度に激昂した男は、その姿を徐々に変えていき、ホラーの姿へ変わるのであった。

 

『奏夜!こいつがガンホードだ!油断するなよ!』

 

「ああ、わかってる!」

 

奏夜は改めて魔戒剣を構えると、ガンホードを睨みつけていた。

 

「生意気なガキめ……!てめぇの体にいくつも風穴を開けてやるぜ!」

 

ガンホードの両手はそれぞれ銃の形になっているのだが、奏夜を仕留めるためにそれらを交互に発砲するのであった。

 

奏夜は魔戒剣を振るったり、横に飛んだりしながらガンホードの攻撃を全てかわすのであった。

 

「チッ……。ちょこまかと……。だったら、こいつはどうだ!」

 

ガンホードは奪った銃を呼び出し、それによる攻撃を仕掛けることが可能なのだが、二丁の銃を奏夜の背後に設置し、それを発砲した。

 

「……!」

 

奏夜はどうやら背後の銃の気配に気付いていたのか、足を数歩ずらすことで二丁の銃の弾をかわすのであった。

 

「嘘だろ!?明らかにてめぇの背後を狙ってたのに……」

 

「銃による奇襲攻撃はあのゲームでもよくある手だからな……。むしろそっちの方が軌道が読めなくて厄介だぜ」

 

奏夜はガンホードの攻撃パターンが単調であることを推測しており、背後から攻撃が来ることを予想していたのであった。

 

「くそっ……!!だったら、こいつでどうだ!」

 

ガンホードは自分の近くに今まで奪ってきた銃を全て呼び出すのであった。

 

銃は拳銃だけではなく、軍や自衛隊が使うようなライフル銃や、ミニガンのような重火器も存在していた。

 

「ひぃ……ふぅ……みぃ……っと。やれやれ、ずいぶんと集めたもんだな……」

 

奏夜はガンホードが集めた銃の種類に少し驚きながらも、銃への異常な執着ぶりに少しだけ呆れていた。

 

「生意気な魔戒騎士のガキ!今度こそ風穴を開けてやるぜ!」

 

「悪いけど、そうはいかないな!」

 

奏夜がこのように啖呵を切ると、ガンホードは呼び出した銃を一斉に放つのであった。

 

さすがに全てを防げるわけではない奏夜は、横っ飛びで回避をすると、近くにあった物陰に隠れるのであった。

 

しかし、奏夜の隠れている場所も、銃弾によってゴリゴリ削られており、ここに隠れられるのも僅かであった。

 

「この銃弾の嵐は意外と厄介だな……。だけど!」

 

銃弾の嵐が止まない中、奏夜は魔戒剣を前方に突きつけると、そのまま円を描いた。

 

その部分のみ空間が変化し、奏夜は一瞬の隙を突いてその円に向かっていった。

 

円の中に入った奏夜は一瞬で黄金の輝きを放つ輝狼の鎧を身に纏うのであった。

 

しかし、その直後にガンホードの放つ銃弾が着弾し、奏夜は鎧を纏った状態ではあるものの、ガンホードの銃撃にさらされるのであった。

 

「ハハハハハ!!鎧を召還しようとしたみたいだが、所詮は小僧。俺の敵じゃねぇよ!」

 

激しい銃撃により、煙が立ち込めて奏夜の姿は見えなくなったのだが、ガンホードは勝ち誇っていたのであった。

 

しかし……。

 

「……それはどうかな?」

 

「!?何!?」

 

立ち込める煙から奏夜の声が聞こえ、ガンホードは驚愕するのであった。

 

やがて煙が晴れると、魔法衣を身に纏った奏夜の姿はそこにはなかったのだが、黄金の鎧に身を纏う奏夜の姿があるのであった。

 

「……!!馬鹿な……!あれだけの攻撃を受けて無傷だと!?」

 

鎧を纏ってから、銃弾の嵐を浴びたにもかかわらず、輝狼の鎧に傷1つついておらず、ガンホードは驚愕していた。

 

「この鎧はソウルメタルで出来てるんだ。そんな攻撃で傷を付けられると思うな!」

 

ガンホードの呼び出した銃は普通の銃であるため、ソウルメタルで作られた輝狼の鎧にダメージを与えることは出来ないのである。

 

「てめぇ……!鎧を纏ったからなんだって言うんだ!てめぇの体に風穴を開けてやるよ!」

 

奏夜の体に傷1つ付けられなかったガンホードは焦りを見せながらも、先ほど呼び出した銃を再び放つのであった。

 

奏夜はガンホードの放つ銃弾を受けながらもゆっくりとガンホードに接近するのであった。

 

「……くそ!何でビクともしねぇんだ!くそっ!くそぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

徐々に弾幕は激しくなるのだが、奏夜は歩みを止めなかった。

 

「……ホラー、ガンホード!銃に取り憑かれた貴様の陰我、俺が断ち切る!」

 

奏夜はガンホードの攻撃を全て受け止めながら接近すると、魔戒剣が変化した陽光剣を構えるのであった。

 

ガンホードが使っているのは銃であり、それを無計画に放っているため、すぐに弾切れを起こすのであった。

 

「くっ!弾切れか!」

 

弾切れによってガンホードは隙だらけになるのだが、奏夜はそこを見逃さなかった。

 

ガンホードへ一気に距離を詰めると、陽光剣を一閃し、ガンホードの体を真っ二つに切り裂くのであった。

 

「この俺が……こんな、小僧に……!」

 

奏夜のことを小僧と侮っていたガンホードは、このような言葉を残しながら消滅するのであった。

 

ガンホードが消滅したことを確認した奏夜は、鎧を解除すると、魔戒剣を緑の鞘に納めるのであった。

 

「……キルバ、今日の特訓は無駄になってないだろ?」

 

『確かにそうかもしれないが、最後は鎧でごり押ししただけだろ……』

 

難易度の高いゲームでの特訓により、奏夜はガンホードの攻撃全てを完璧に見切っていたのだが、最後は鎧で敵の攻撃を防いでおり、そのことにキルバは呆れていた。

 

「まぁまぁ。とりあえずは仕事は終わったんだ。帰るぞ、キルバ」

 

『ま、そうだな』

 

こうして、ホラー、ガンホードを討滅した奏夜は、そのまま帰路につくのであった。

 

しかし、穂乃果はラブライブに出ないことを表明しているが、他のメンバーは納得していなかった。

 

このままラブライブには出場しないのか?

 

またはこれから出場することになっていくのか?

 

全員が納得する形で事が収まるのは、もう少し先の話である……。

 

 

 

 

 

 

 

 

……続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__次回予告__

 

『やれやれ……。穂乃果以外の全員はラブライブに出たいみたいだな。奏夜、穂乃果。どうするつもりだ?次回、「太陽」その輝きは、闇をも照らす!』

 




唐突に現れた仮面ライダーエグゼイド要素(笑)

原作では「バンバンシューティング」は難易度が高くて製品化には至ってないみたいですが、今作では一部の店舗にのみ置かれた高難度のゲームという設定にさせてもらっています。

何故いきなり仮面ライダーネタを入れたかと言うと、来月でこの牙狼ライブは投稿開始から1年が経過します。

それを記念して前々からやりたいと思っていた仮面ライダーとのコラボをやろうと考えています。

内容についての詳細については活動報告で触れようと思っているのでそこを参照ください。

今回現れたホラーは、銃に取り憑かれたホラーですが、このホラーは、漫画版の「牙狼 魔戒ノ花」や、この作品の前作である白銀の刃に登場したヴェイケンナというホラーの銃バージョンというイメージになっています。

ヴェイケンナは、刃物の武器に取り憑かれたホラーであり、雷牙や統夜にあっさりと倒されたホラーでした。

このホラーも、奏夜にあっさりと倒されてしまいましたが……。

さて、次回はいよいよ二期の1話の終わりまで行きます。

太陽というタイトルは、1話を見た人なら「あっ……」と思うはずです(笑)

ここから先の展開と、来月投稿予定の1周年記念の番外編を是非たのしみにしていてください。

それでは、次回をお楽しみに!



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