牙狼ライブ! 〜9人の女神と光の騎士〜   作:ナック・G

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お待たせしました!だけ76話になります!

今回は以前より待たせることはなく最新話を投稿出来ました。

前回さらわれてしまったララでずが、奏夜たちは無事に取り戻すことは出来るのか!?

それでは、第76話をどうぞ!




第76話 「盟友」

ハロウィンイベントが無事終わってまもなく、そのイベント出会った、月間G'sの記者を名乗るアミリが奏夜たちに接触するため、音ノ木坂学院を訪れる。

 

アミリは穂乃果たち2年生組と部室にて話をしようとするも、それはジンガの巧妙な罠であった。

 

穂乃果たちは突如現れたジンガに捕まってしまうのである。

 

ジンガは穂乃果たちと一緒にいたララに魔竜の眼を渡す事を要求。ララはやむを得ず魔竜の眼を渡してしまう。

 

しかし、魔竜の眼は厳重に封印されていたため、ジンガはその封印が解かれない限りは穂乃果を解放しないつもりであった。

 

しかし、その封印解除が出来るララが自ら人質にと名乗りをあげ、そのことで穂乃果は解放されるも、ララが人質になってしまう。

 

その後、ジンガの策によって離れていた奏夜と、教師の仕事で離れていた剣斗が駆けつけるも、既に手遅れだった。

 

奏夜たちはララ救出の策を練るために番犬所へ赴くも、ジンガのアジトの場所はわからなかった。

 

しかし、統夜が事前に用意していた保険によって、アジトの場所に目処をつけていたのである。

 

ララを救出するために、ロデルはアキトに協力して貰えるよう正式に元老院に働きかけをすることを決めたのであった。

 

統夜はアキトと共にジンガのアジトへ偵察を兼ねた下見を行うのだが、そこに剣斗も同行したいと申し出があり、3人でジンガのアジトの調査を行うことになった。

 

アキトは元老院からの要請を受け、奏夜たちに協力することとなり、統夜や剣斗と現地で合流して事にあたることになる。

 

「…どうやら、ここが奴らの拠点のようだな…」

 

統夜たちが訪れたのは、秋葉原某所にある現在は使われていない廃ビルだった。

 

『そうらしいな。ビルの中から、とんでもない邪気を感じるぜ…!』

 

「だけど、このビルの辺りは以前も調査はしてたんだがな。まさか、ここがジンガのアジトだなんて……」

 

統夜がジンガの拠点探しを始めてそれなりに時間が経っていることもあり、捜索可能な範囲はくまなく探していたのだが、その足取りさえ掴めずにいた。

 

現在地もまた、一度は調査した場所なのである。

 

『どうやらジンガの奴には魔戒法師の協力者がいるみたいだな。以前は強力な結界が貼ってあったんだろうな。俺様やどんな魔戒法師でも探知出来ない程のな……』

 

「そう考えるのが無難みたいだな」

 

イルバの冷静な分析に、アキトはウンウンと頷く。

 

「恐らくは、あのアミリとかいう女だろうな。穂乃果たちから聞いた話だと、アミリという女はジンガに忠誠を誓っていると言っていたらしい」

 

「元魔戒法師って訳か……。闇に堕ちた魔戒法師なのか、それとも……」

 

統夜は、母親が元闇斬師という闇に堕ちた魔戒騎士や魔戒法師を討伐する者だったこともあり、ホラーであるジンガに協力しているアミリが闇に堕ちているのでは?と推測をしていた。

 

『その可能性は低そうだがな。お前さんの父親である龍夜と共に闇に堕ちた魔戒騎士や魔戒法師とも戦ったことはあるが、奴らのような邪気は感じていない。あの女が自分の意思でジンガに協力してるんだろうな』

 

イルバもまた、統夜の父親である月影龍夜(つきかげたつや)と契約していた時に闇に堕ちた者との交戦経験があったため、このような推測が行えた。

 

「闇に堕ちてないなら、なんでそこまでジンガの奴に協力してるんだろうな…」

 

『さぁな。直接問いただしたところで答えてくれるかどうか……』

 

「気になるところはたくさんあるが、今はそれどころじゃないな」

 

「うむ。統夜のいう通りだな」

 

アミリが何故ジンガに協力するのか?

 

そこは最大の謎ではあるものの、目の前の問題を解決することにした。

 

「この辺りは以前にも調査はしたことはあるが、確か……」

 

統夜は以前の調査の時のことを思い出し、ビルのどこから潜入すべきかルートを考えていた。

 

『正面突破は得策ではないだろうな。奴がどれだけホラーを従えてるのかもわからないしな』

 

ジンガが何体ものホラーを従え、奏夜たちに立ち向かわせていた。

 

そんなホラーは他にもいると推測されているため、正面突破は難しいのでは?とイルバは推測する。

 

「そこは俺も考えた。確かこのビルには地下からも入れるルートはあったはずだけど、きっとそっちもジンガの奴は抑えているに違いない」

 

統夜は地下からも入るルートがあることを思い出すが、この場所を拠点としているジンガがそれを知らないというのは考えにくいと推測される。

 

「統夜、他にはルートはないのか?」

 

「ああ。このビルはどっかのビルと繋がってるって訳でもないからな。正面突破するか、地下から潜入するか……」

 

「とりあえず侵入すべきルートがわかったのなら一度番犬所へ戻ろうではないか。そこで策を練った方が確実であろう」

 

「そうだな……。一度番犬所へ戻ろうか」

 

こうして、ジンガのアジトを見つけ、ある程度の侵入ルートを導き出せたため、統夜たちは一度番犬所へ戻ることにしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ジンガに捕らわれたララは、拠点であるビルのとある部屋へ幽閉されていた。

 

この部屋に連れられてすぐ、ジンガから封印解除の術を行うよう迫られるが、ララはそれを拒否。

 

その度にジンガやアミリはララを殴る蹴るなど物理的に痛めつけるのだが、ララは封印解除を行おうとはしなかったのである。

 

「……おい、お前、そろそろ俺たちに協力してくれる気になったか?」

 

「……」

 

ジンガはしばらくララの幽閉されている部屋から離れていたのだが、ララはジンガの言葉を聞くことはなく、沈黙を貫いていた。

 

「……申し訳ありません。この女、なかなか強情で、変わらず拒否の姿勢を貫いております」

 

ジンガが離れている間も、アミリはララに封印解除を迫り、拒否や沈黙のたびに無理にでも協力させようと殴る蹴るなどを行うが、状況は変わらなかった。

 

この部屋に連れられてどれだけの時間が経ったのだろう。

 

それからジンガやアミリに痛めつけられていたこともあり、ララの体は既にボロボロであった。

 

「……やれやれ……」

 

ジンガは変わらずの状況に呆れながらゆっくりとララに近付いていく。

 

そして、ララの前で立ち止まると、その長い脚を活かした蹴りをララの顔面に向けて放つ。

 

「……っ!」

 

ララの表情は痛みで歪むのだが、すぐにジンガを睨みつける。

 

「まったく……。あの小娘の代わりにお前が人質になったというのに、これじゃ、あの小娘を開放した意味がなかったな……。お前のやる気を出させる為にあの小娘も連れて帰るべきだったぜ……」

 

ジンガは、素直にララがついて来るとわかったため穂乃果を開放したが、そのことを後悔していた。

 

「本当ならお前のその手を切り落として封印解除といきたいところだが、それじゃあ、この封印は解けないだろうな」

 

ララの手をかざすだけで封印が解除されるのであれば、ジンガがララの手を切り落とすなどすれば容易いのだが、この封印は複雑な法術を用いてのものであることを理解していたため、それはしなかったのだ。

 

「このまま手をこまねいていたら、いつあいつらが来るかもわからないしな……」

 

ジンガは、統夜が仕掛けた発信機代わりの魔導具の存在には気付いていなかったが、奏夜たちが踏み込んでくるのは時間の問題だということは予想していた。

 

「……こうなったら仕方ないな……。無理にでもお前さんのやる気を引き出さないとなぁ」

 

「…!?一体何をするつもりなの!?」

 

「お前の故郷ってのは、蒼哭の里だろ?かつては魔竜の眼が封印されていたという」

 

「!?」

 

ララはジンガに自分の故郷のことは話していないにも関わらず、故郷がバレており、驚きを隠せず目を丸くする。

 

「くくく……。その顔、なんでわかったんだ?って顔してんなぁ?そりゃそうだよなぁ。お前は故郷のことは隠し通してたんだもんなぁ?」

 

ジンガはまるで全てを見透かしているかのように不敵な笑みを浮かべており、ララは訝しげな目でジンガを睨みつけていた。

 

「まぁ、俺がお前の故郷を知ったのはお前をここへ連れてきてからだけどな?まさか、人知れず魔竜の眼を封印していた里があったなんてなぁ」

 

「…っ!」

 

「これも全ては、魔戒法師だったアミリのおかげだぜ」

 

「ハッ、ジンガのお力になれて、光栄でございます」

 

「あなた…!やっぱり元魔戒法師だったのね……!」

 

「ええ。あなたを一目見たときに、もしやと思ったわあなたの着てる魔法衣に刻まれた紋章……。まさか、あの蒼哭の里に竜の眼が隠されていたなんてね!」

 

どうやら、アミリはララの着ている魔法衣に刻まれた紋章を見て、ララの故郷を見抜いたのだ。

 

「あなた、まさか蒼哭の里を訪れたことがあるの?」

 

「ええ、そうよ。いや、厳密にいえば、入る前に門前払いをくらったってところなんだけどね?」

 

「それってどういう……?」

 

「おっと、無駄なおしゃべりはそこまでだ。お前は、自分の里を守るためにここへ現れ、ここの魔戒騎士たちを利用したってことなんだろ?それにしても酷い話だよなぁ。自分の里を守るために、利用出来るものは利用するなんてなぁ」

 

ジンガはララの目的も見透かしており、まるで煽るような言葉を投げかけており、それを聞いたララは唇を噛み締める。

 

「そこについてどうこう言うつもりはないさ。だが、自分の里を守るために竜の眼を持ち出したというのに、帰る場所が無くなるのは本末転倒だろう?」

 

「っ!?あなた、まさか……!!」

 

「俺が言いたいのは最悪のことは起こしたくないだろう?ってことさ」

 

ジンガは、ララに竜の眼の封印を解除させるために、ララの故郷でもある蒼哭の里を滅ぼすことも辞さないことをほのめかしていた。

 

「くっ……!」

 

「もっとも、お前が協力しないのならば、そこだけじゃ済まないかもしれないがな」

 

ジンガは、ララの協力を促すために、さらに言葉を続ける。

 

「あの小娘共は、ラブライブとやらを目指しているのだろう?そのラブライブとやらが中止にせざるを得ないことになればどうなるだろうなぁ?可哀想になぁ……。せっかく大きな舞台でのパフォーマンスを夢見てたのに、お前のせいでその夢が断たれるんだもんなぁ」

 

「……くっ……!!」

 

ジンガは、ララの故郷だけではなく、大切な仲間である穂乃果たちの夢さえも人質に取ろうとしていたのだ。

 

「…さて、どうする?俺としてはどちらでも構わないんだがな?」

 

ジンガは、ララに必ず協力させるために卑劣な手を使っていた。

 

ララは、悔しさを露わにしながらも、魔導筆を取り出し、魔竜の眼の封印解除を始めるのであった。

 

「そうそう。最初からそうしてれば良かったんだよ」

 

ようやくララが協力してくれたため、ジンガはウンウンと頷いていた。

 

「…それにしても、あの時お前を助けたことがこんなところで役に立つなんてなぁ」

 

「私の故郷はホラーに滅ぼされ、深手を負った私は蒼哭の里に助けを求めました。ですが、あの里の人間は余所の人間を入れることを拒み、私を門前払いしたのです。私の命は本来あそこで尽きているハズでした。だからこそ、あなたに救われたあの時から、貴方へ忠誠を違うことを決めたのです」

 

アミリは、かつてとある里の魔戒法師であったが、その里はホラーの襲撃を受けて壊滅。

 

その際に深手を負いながらもどうにか蒼哭の里にたどり着き、助けを求めるも、蒼哭の里は、かつてより自分の里を守ることのみを考えていたため、余所の里の人間であるアミリを助けることを良しとはしなかった。

 

蒼哭の里に見捨てられたアミリは、里を滅ぼしたホラーに襲われ、危うくホラーに喰われるところだったが、たまたま通りかかったジンガによって救われたのである。

 

「ま、あの時はただの気まぐれだがな。俺は餌であるホラーを探していたしな。それに、お前を見た時にホラーになる前の頃の自分を思い出してなぁ?それでお前を拾ったって訳だ」

 

「いかなる事情であれ、私はジンガ様のためにこの命を捧げるつもりです」

 

「ふっ、期待しているぜ。アミリ」

 

「はっ!」

 

アミリは深々と頭を下げて、ジンガへの忠誠を改めて露わにする。

 

「さてと、あの女の見張りは任せたぜ」

 

ジンガは、ララが封印の術をちゃんと行うかの見張りをアミリに任せてその場を離れようとしていた。

 

「かしこまりました」

 

「俺は、もうじき来るであろう客人をもてなす準備でもしてくるさ」

 

ジンガは、もうじき奏夜たちが踏み込んでくると予想していたため、その対策を行うための準備を行うことにしたのだ。

 

ララが捕われている部屋を後にしたジンガは、そのままどこかへと移動するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ジンガの拠点の下見を終えた統夜たちが番犬所へ戻ってきたため、ララ救出のための作戦会議を行うことにしたのだ。

 

「…とまぁ、さっき報告した通り、そこにジンガたちは潜んでいる。イルバもホラーの邪気を探知してたから間違いはないさ」

 

「それにしても、そのアミリとかいう女が魔戒法師だなんてなぁ」

 

「ああ。それに、結界まで貼ってあったとは、厄介な協力者だな」

 

統夜からの報告を聞いたリンドウと大輝は、今までジンガの拠点を見つけられなかったことに合点はいったものの、アミリの存在に脅威を感じていた。

 

「だが、アミリがどんな力を持っていようと関係ない。あいつがジンガに力を貸すというのなら斬る。ホラーに手を貸してるということは、闇に堕ちているのと変わりはないからな」

 

奏夜は、アミリを斬ることに躊躇う様子を見せておらず、そんな奏夜の言葉に統夜たちも頷いている。

 

「うむ。ララを救出し、そのままジンガも倒す。その為に我々はここにいるのだから…」

 

剣斗が翡翠の番犬所に滞在しているのも、ジンガが企むニーズヘッグ復活阻止のためであり、そのためにもジンガを討滅するという決意を改めて露わにしていた。

 

「とりあえず、奴の拠点にしているビルへの侵入経路はふたつ。正面からのルートと、地下からのルートだ」

 

統夜は改めて、ジンガの拠点に侵入するルートの確認を行っていた。

 

「……恐らくジンガは俺たちがこれから踏み込んでくると予想して、両方のルートにホラーを配備する可能性が高いと思います」

 

奏夜は、侵入経路の話を聞いて、そう簡単に侵入は出来ないことを予想していた。

 

「片方に戦力を集中させる作戦もありかもしれませんが、それだともう片方にいると思われるホラーが挟撃してくる可能性もありますし、真正面からジンガへ向かっても、ララを盾にされてしまったら手が出せなくなると思います」

 

「そうなっちまったらせっかくララを助けに行こうってのに意味がないからな……」

 

奏夜の考える懸念に、アキトは大いに賛成しており、ウンウンと頷く。

 

「そこで、戦力を2つに分けて、正面から突破し、ジンガを目指すルートと、地下から侵入し、ララを救出するルートで行くことを提案します」

 

「うむ!その作戦で行くのが良さそうだな!さすがは奏夜だ!」

 

剣斗は奏夜の作戦を称賛しつつ、それを全力で支持する。

 

「俺もその作戦には賛成だ。ジンガを抑えるのとララの救出。同時に行うことでよりその作戦の成功率は上がると思うからな」

 

統夜もまた、奏夜の立てた作戦を支持しており、この作戦に反対意見を出すものはいなかった。

 

「地下から侵入するルートは私が行こう。奏夜たちが心置きなくジンガと戦えるようララを救出してみせる!」

 

「それなら、俺も地下ルートへ行くぜ。正面突破は若い連中に任せるぜ」

 

「む……となると、俺も地下ルートになる訳だな」

 

正面突破は若い連中というリンドウの言葉に、釈然としない気持ちがありながらも、大輝もまた、地下ルートのメンバーになることを了承する。

 

「ということは、正面から突入するのは、俺とアキト。それに奏夜の3人。剣斗、リンドウ、大輝さんは地下から侵入だな」

 

「はい。それで行きましょう!恐らくどちらのルートにもホラーはいると思います。ホラーを倒しつつ、ジンガを抑えながらもララを救出する」

 

「これは私の勘ですが、ジンガはもう既にララに封印の法術を行わせていると考えた方がいいでしょう。だとすれば、一刻の猶予もありません。なので、即刻ジンガのアジトへ突入し、作戦を行って下さい」

 

これまで奏夜たちの作戦を聞くだけだったロデルは、話がまとまったことを確認すると、改めて神官として指令を下す。

 

そんなロデルの言葉に、奏夜たちは無言で頷くのであった。

 

「ララもまた、私たちの大切な仲間だ。絶対に救い出そうではないか!」

 

「ああ!もちろんだ!」

 

「奏夜!私はこの一角獣の紋章が入った盾に誓おう。どれだけお前たちの夢を阻むものたちが現れようと、この盾で抑えてみせると!」

 

「剣斗……」

 

「これは、魔戒騎士としてだけではない。お前の友としての言葉でもあるさ」

 

剣斗は、小津の家紋が刻印されている盾を掲げ、このように奏夜へ誓いを立てる。

 

魔戒騎士としてだけではなく、奏夜を1人の盟友として道を切り開いて欲しいという思いを込めて。

 

「さあ、みんな急ぐぞ!どうやら一刻の猶予も無さそうだからな」

 

統夜の言葉にここにいる全員が頷き、番犬所を後にする。

 

そして、ララを救出するために、ジンガのアジトへと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジンガのアジトへ到着した統夜たちは、予め決めておいたチームに分かれ、それぞれのルートから侵入するのであった。

 

「…どうやら、結界は解除してあるみたいだな…」

 

統夜たちが偵察した時も結界は解除してあったのだが、現在もまた結界は解除されたままであった。

 

「恐らくは俺たちが踏み込んで来る事はわかってて、おもてなしするためにわざと結界はしてないんだろ」

 

「ええ。そう考えるのが無難かもしれませんね」

 

ジンガがどのような意図で結界を解除してるかは不明だが、それでも奏夜たちは足を止めることはせず、正面からビルに入るのであった。

 

『……どうやら、本当にこの先にジンガはいるみたいだな』

 

『ああ。奥からとんでもない邪気を感じるぜ』

 

魔導輪であるキルバとイルバは、このビル内に漂う強大な邪気を即座に探知していた。

 

「となると、油断は出来ないな…!」

 

統夜と奏夜は同時に魔戒剣を抜き、どこからホラーが現れてもいいように対応していた。

 

すると……。

 

『……!統夜!来るぞ!』

 

『奏夜!油断するな!』

 

イルバとキルバが、迫り来る邪気の存在をそれぞれのパートナーに告げるのと同時に、複数の素体ホラーが現れるのであった。

 

「どうやら、おもてなしの準備はバッチリらしいな……」

 

「ああ。とっととこいつらを蹴散らして先に行くぞ!」

 

「ああ!」 「はい!!」

 

統夜たちは迫り来る複数の素体ホラーに対して攻撃を仕掛けるのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それと同時刻、ララは魔竜の眼の封印解除の術を現在も行っているのだが、あと少しで封印が解けるといったところまで来ていた。

 

「…アミリ、首尾はどうだ?」

 

奏夜たち迎撃の準備をしていたジンガが戻ってくると、現在の状況をアミリから聞く。

 

「はっ!封印解除の術は佳境のようで、眼の封印が解けるのも、時間の問題かと」

 

「そうか。それはちょうど良かったぜ。どうやら今しがた、奴らが現れたみたいだしな」

 

「!?あいつら、もう来たのか……!」

 

アミリは、奏夜たちがここまで早く踏み込んでくるとは思わなかったからか、驚きを隠せずにいた。

 

「そんなに驚くことはないさ。むしろ想定の範囲内だ。その為にわざと結界を解いてやったんだからな」

 

ジンガは、奏夜たちがこのタイミングで踏み込んで来る事も予想していたため、動じることはなく至って冷静であった。

 

「ここから入れるルートは2つ。奴らは戦力を分けてその2つから来るだろうな」

 

なんと、ジンガは奏夜が立てた作戦さえも予想していたのである。

 

「恐らくは、眼の封印が解けて間もなくこの小娘の救出しに地下からの奴らが来るだろう。地下からならここからは近いからな」

 

ジンガは、奏夜たちがこのビルのルートを把握していることも想定していたのであった。

 

「そこでだ。俺にいい考えがある。確実に奴らの戦力を削る策だ」

 

ジンガはこのように前置きをすると、アミリにその作戦を伝える。

 

「あの小僧は恐らく正面から来るだろう。だが、今日が奴の命日になるさ……!」

 

どうやらジンガは奏夜を狙っており、その作戦もまた、奏夜を葬るためのものであったのだ。

 

「俺は客人をもてなす準備をする。お前は眼の封印が解け次第、さっきの指示通り動いてくれ」

 

「はっ!かしこまりました!」

 

「くくく……!俺の足元には及ばないが、お前のその知力は目障りだからな。如月奏夜……!」

 

ジンガは、奏夜が魔戒騎士の中でも頭が切れることを感じており、それを多少なりとも驚異に感じていた。

 

こうしてジンガは再び今の部屋を後にして、どこかへと移動を開始したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジンガが秘密裏に作戦を立てていることなど知る由もなく、地下からビルへの侵入を試みた剣斗たちは、すぐさま素体ホラーたちの妨害を受けるが、その数は多いわけではなかったため、速やかにホラーたちを殲滅する。

 

「……おかしい……」

 

「ん?どうした?剣斗」

 

「恐らく、正面から入った奏夜たちもホラーと戦ってはいるだろうが、こちらの警備が明らかに手薄だとは思わないか?」

 

「それは一理あるかもな。本気で俺たちを中に入れたくないのなら、ホラーの数を増やすなり、手練を用意するなりやるだろうしな」

 

剣斗は、今迎撃したホラーが予想より遥かに少ないことに違和感を感じており、それに大輝も同意をする。

 

「奴さんが罠を仕掛けてるとでもいうのか?」

 

『その可能性はあるかもしれませんね。ですが、僕たちは足を止めてる場合ではありません』

 

ジンガが何か仕掛けていることは予想出来たものの、それを確かめる時間がないことを、リンドウの魔導輪であるレンが忠告混じりで伝えた。

 

「うむ。理由はともあれ、まずはララを救出しないとな」

 

こうして、立ちはだかるホラーたちを蹴散らした剣斗たちは、そのままビルへと侵入し、ララが捕われている部屋を探すのであった。

 

ララは魔竜の眼の封印解除の術を行っていたため、その大きな力を魔導輪であるレンが探知していたため、ララが捕われている部屋を探しあてるのに、そこまで時間はかからなかった。

 

「…ララ!無事か!?」

 

剣斗は施錠されている扉を蹴破って中に侵入すると、魔導筆を手にへたりこんでいるララを発見した。

 

「剣斗……。それにリンドウに大輝さんも……」

 

今まではジンガに捕われていたため、見知った顔を見てララは少しだけ安心していた。

 

「…その顔、だいぶ奴らから歓迎を受けたらしいな」

 

大輝は、ララの顔のあちこちに出来ている傷や痣を見て、どんな目にあったのかを察する。

 

「それで、魔竜の眼はどうなった?」

 

『ここにはそれらしき気配はありません。ということは……』

 

レンは、既に魔竜の眼の封印が解除されてしまったことを予想し、そんなレンの言葉に、ララは無言で頷く。

 

「くっ、間に合わなかったか……!」

 

魔竜の眼の封印が解かれてしまったことを知り、剣斗は悔しさを露わにする。

 

「いや、あのジンガって奴はこれも計算の範囲なんだろうな」

 

『ええ。リンドウの言う通りです。恐らく、わざと結界を解除していたのも、私たちを誘い出すだけではなく、私たちがララを救出する頃には魔竜の眼の封印は解除出来ると踏んでいたのでしょう』

 

レンはこのような予想をしていたのだが、そんなレンの言葉を聞き、ララはハッとしたのか目を丸くする。

 

「…?ララ、どうしたんだ?」

 

「みんな!奏夜たちはもしかして正面から入ってジンガを?」

 

「ああ。そういう作戦だからな」

 

「!?このままじゃ、奏夜が危ない!!」

 

ララの穏やかではない言葉を聞き、剣斗たちは驚きを隠せなかった。

 

「奏夜が危ないって、どういうことだ?」

 

「説明してる暇はないわ!早くみんなと合流しましょう!」

 

「了解したが、ララは大丈夫なのか?」

 

「大丈夫ではないけれど、今はそんなこと言ってる場合じゃないわ」

 

ララの鬼気迫る表情を見て、今はララを気遣っている場合ではないことを察した剣斗たちは、ララと共にこの部屋を後にして、奏夜たちと合流するために動き始めたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、素体ホラーたちの襲撃を受けた奏夜たちであったが、その脅威を払った後であった。

 

「…どうやら、素体ホラーたちはこれで全部らしいな」

 

『ああ。それにしても、なかなかのホラーを配置してやがったな。奴さんもそう簡単には中に入れてくれないらしいな』

 

『そのようだな。地下から侵入してる剣斗たちも、同じようにホラーの妨害を受けてると思っていいだろう』

 

キルバはこのような推測をするが、地下の方はホラーの数がこちらより手薄なことは知る由もなかった。

 

『統夜!奴さんは屋上にいるみたいだぞ!』

 

「どうやら、そこで奴は俺たちを迎え撃つみたいだな」

 

「そうですね…。何か罠を仕掛けてる可能性もありますが、それでも行かないと!」

 

「そうだな……」

 

イルバがジンガの位置を探知するのだが、奏夜はジンガが何かを仕掛けようとしていたことは予想していた。

 

しかし、ララを救出してジンガを討滅するために、奏夜たちはジンガのいる屋上へと向かうのであった。

 

屋上へ向かう際にも素体ホラーが妨害してくるのだが、その数は多いとはいえない数であったため、奏夜たちは奏夜ホラーを倒しつつながら移動し、屋上へ到着するのであった。

 

「……よう、お前ら。思ったより遅かったじゃないか!」

 

「ジンガ……!!」

 

ジンガの姿を発見すると、奏夜は怒りに満ちた眼でジンガを睨みつける。

 

ララをさらったのは当然ながらも、そのために穂乃果たちを人質にしようとしたことも奏夜には許せなかったのである。

 

「…おいお前!ララは無事なんだろうな!?」

 

「さあな。お前ら、戦力を分けて来たんだろ?今頃お前のお仲間が助けた頃なんじゃないのか?」

 

「くっ…!やはり俺たちの作戦を予想してたか!」

 

奏夜は、ジンガが自分たちがふたつのルートを使って侵入することを想定してると予想していたため、その予想があたっていたことはやはりといったところではあるものの、悔しさを滲ませていた。

 

『お前さん、随分と余裕そうだな。まさか……!』

 

「ああ!そのまさかさ!」

 

イルバの言葉にジンガは頷くと、どこからか魔竜の眼を取り出したのであった。

 

その首には奏夜から奪った魔竜の牙がネックレスのようにかけられており、両手にはそれぞれ魔竜の眼を手にしていた。

 

「くっ、ニーズヘッグ復活のための素材が揃っちまったか…!」

 

統夜は元々ニーズヘッグ復活を阻止するために動いていたため、ジンガがニーズヘッグ復活に必要なものを全て手にしているのを確認し、唇を噛み締める。

 

「その通りだ!これでニーズヘッグ封印の道具は揃った!後はニーズヘッグを復活させるだけさ!」

 

「そんなこと、させるものか!!」

 

奏夜は魔戒剣を構えると、鋭い目付きでジンガを睨みつける。

 

「お前たちはこいつを取り戻したいんだろ?だったら……!力ずくで奪いに来いよ!」

 

ジンガは奏夜たちを挑発しており、まるで自分を狙ってこいと言っているようだった。

 

「言われるまでもない!お前を倒し、それらは改めて封印するさ!!」

 

「ああ!行くぞ、奏夜!アキト!」

 

「はい!」 「おうよ!!」

 

統夜の掛け声と共に、奏夜、統夜、アキトの3人はジンガに向かっていった。

 

それを見ていたジンガはニヤリと笑みを浮かべており……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ぐっ!?」

 

突如奏夜たちの前に何者かが現れたかと思うと、奏夜たちは突然現れた乱入者の攻撃を受けて吹き飛ばされてしまう。

 

奏夜たちはすぐさま立ち上がるのだが、乱入者は女性のような体型であるものの、漆黒の鎧を身にまとっていた。

 

『!?こいつは、魔獣装甲か!?』

 

イルバが驚いている通り、この乱入者は魔獣装甲と呼ばれる鎧を身にまとっていた。

 

魔獣装甲というのは、魔戒騎士が身に纏う鎧とは異なるものであり、鍛錬さえ積めば魔戒騎士でなくても装着出来る。

 

かつて、冴島鋼牙と戦った東の番犬所の神官たちを守るコダマや、その三神官の真の姿であるガルムが装着したこともあるものであった。

 

しかし、魔獣装甲は誰でも装着出来るものではなく、強大な力を得られるものの、鎧に体が耐えられずその肉体を食われるケースもある。

 

そういったケースもあることから、魔獣装甲は禁忌の力の1つであるのだ。

 

「魔獣装甲って、確か……!」

 

統夜もまた、かつて黄金騎士牙狼の称号を持つ冴島鋼牙が戦った相手のことを思い出していたが、その間もなく魔獣装甲を纏った乱入者は衝撃波を放ち、3人を吹き飛ばす。

 

3人はそれぞれ別方向に吹き飛ばされるのだが、魔獣装甲を纏った乱入者は、奏夜に狙いを定めていた。

 

「…如月奏夜!その命もらった!!」

 

魔獣装甲を纏った乱入者は、その手から光の槍のようなものを呼び出すと、それを手に奏夜へと向かっていった。

 

「…!?まずい!」

 

統夜はすぐに立ち上がり体勢を立て直そうとするものの、ダメージがあることと、奏夜から少し距離がらあることから助けようにも間に合わない距離であった。

 

「させるかよ!」

 

アキトは魔戒銃を構えて発砲し、乱入者を奏夜から遠ざけようとしていた。

 

しかし、それは読まれていたのか、乱入者は手にしていた槍をアキト目掛けて放つと、的確に魔戒銃を貫き、破壊した。

 

アキトは咄嗟に手を離していたため、軽い出血程度で済んだが、あのまま魔戒銃を持ったままだったら、その手も一緒に吹き飛ばされていただろう。

 

「ぐっ…!」

 

それを証明するかのように、アキトは痛みによって表情が歪んでいた。

 

「アキトさん!」

 

奏夜は立ち上がって迎撃しようとするも、統夜同様にダメージがあるからか、すぐに立ち上がることは出来なかった。

 

そんな中、乱入者は再び光の槍を呼び出して構える。

 

「…如月奏夜。これで終わりだ!」

 

乱入者は奏夜にとどめを刺すために向かっていった。

 

しかし……。

 

「…!?奏夜!!」

 

屋上に現れた剣斗が魔戒剣を前方に突きつけて円を描き、その円の中に入るかたちで、自らの鎧である剣武(ケンブ)の鎧を身に纏うと、奏夜を守るために駆け出し、盾を突き出す。

 

その盾は、間一髪のところで間に合い、乱入者の光の槍は剣斗の盾を貫こうとしていた。

 

「…!?剣斗……!」

 

間一髪のところで剣斗に救われた奏夜は、自分を必死に守ろうとしている剣斗を見守りながらも援護するためにどうにか立ち上がろうとしていた。

 

しかし、体が思うように動かず、立ち上がるのに時間がかかっていた。

 

剣斗の盾と乱入者の光の槍。

 

両者の力は拮抗しており、奏夜たちだけではなく、剣斗と共に屋上へやってきたリンドウ、大輝、ララの3人もこの様子を見守ることしか出来なかった。

 

だが、それも束の間であり、乱入者の光の槍が徐々に剣斗の盾を貫こうとしており、少しずつその盾にヒビが入っていく。

 

「…まずい!」

 

このままでは剣斗が危ない。

 

そう感じた統夜は立ち上がり、剣斗を助けるために動き始める。

 

それだけではなく、大輝とリンドウもまた、剣斗を援護するために向かう。

 

しかし、それらは全て遅すぎたのであった。

 

乱入者の光の槍は、剣斗の盾を貫き……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……そのまま剣斗の身体も貫くのであった。

 

「がはっ!!」

 

その身体が貫かれたことにより、鎧は解除されてしまい、剣斗は口から血を吐き出す。

 

「!!?」

 

「そ、そんな……!!」

 

目の前に広がる光景が信じられず、統夜、リンドウ、大輝は足を止めてしまう。

 

そして、自分の目の前で体を貫かれてしまった剣斗の姿を、奏夜は呆然と見つめることしか出来なかった。

 

「……狙いは外したか。まぁ、いい」

 

乱入者はこう吐き捨てると、光の槍を手放し、軽い身のこなしでジャンプして、ジンガのそばへと移動した。

 

光の槍は消滅したことにより、剣斗の身体から大量の出血が起こっており、剣斗はその場に倒れてしまった。

 

「剣斗!!!」

 

自分を守って倒れた剣斗を見た奏夜の慟哭が、この空まで響いていた。

 

そんな中、乱入者は魔獣装甲の鎧を解除すると、その正体を露わにしたのである。

 

「……!?貴様は……!」

 

奏夜たちは乱入者の正体に驚きを隠せずにいた。

 

その正体とはなんと、ジンガに忠誠を誓う魔戒法師のアミリだったのだ。

 

何故アミリが魔獣装甲を身にまとっているのか?

 

その謎を明らかにしたいところではあっのだが……。

 

「アミリ、行くぞ。ニーズヘッグを復活させないとな」

 

「はっ!かしこまりました!」

 

目的を果たしたジンガは、アミリと共にどこかへと姿を消すのであった。

 

「てめぇ、よくも剣斗を!!」

 

剣斗の体を貫いたアミリに怒りを露わにする統夜であったが……。

 

「待て、統夜!今から追いかけても無駄だ!」

 

既にジンガとアミリは姿を消していたため、追撃は不可能だった。

 

アキトの言葉にハッとした統夜は剣斗のもとへ駆け寄り、その体を抱きかかえた。

 

それに奏夜たちも続き、奏夜たちは剣斗を囲むように駆け寄っていた。

 

「……くっ!これじゃ、治癒の法術を使っても……!」

 

アキトは、すぐに剣斗の傷の具合を確認するが、アミリの光の槍は、剣斗の体を完全に貫いており、治癒の法術を使っても助かる見込みのない程であった。

 

以前、奏夜がジンガに体を貫かれた時は、ここまで傷が深くはなく、急所を外れていたからこそ、治癒の法術で応急処置が行えた。

 

今回の場合は、剣斗の急所となる臓器も的確に貫かれているため、どれだけ治癒の法術に長けた魔戒法師でも、傷を癒すことなど不可能であろう。

 

そんな状況に、アキトは唇を噛み締めて悔しさを露わにしていた。

 

「……剣斗……っ!」

 

奏夜は、悲しげな表情を剣斗に向けていた。

 

そんな中、剣斗はゆっくりと奏夜の方を向き……。

 

「そ、奏夜……。無事…だったようだな……。良かった……」

 

剣斗は、奏夜を無事を確認すると、安堵の笑みを浮かべていた。

 

「全然良くねぇよ!!どうして、俺を……!」

 

「当然だ……。お前は、私たち……だけではない……。μ'sの……希望なんだ……。お前を…死なせる訳には……いかないからな……」

 

「だからって!!お前がいなかったら俺は…!」

 

剣斗はもう助からない。

 

奏夜はそれがわかってるからこそ、感情が爆発し、剣斗の手を強く握りしめていた。

 

「……お前は……μ'sを導く……灯台のような男だ……。お前に……そんな顔は……似合わんぞ……」

 

「……え?」

 

「…お前の……笑顔は……とてもイイ……!」

 

「……」

 

奏夜の表情は悲しみに満ちていたが、自分の笑顔がいいと言ってくれた剣斗のために、精一杯の笑顔を剣斗に向けていた。

 

笑顔ではあるものの、悲しみは隠しきれてはいなかったが、剣斗は奏夜の笑顔を見て、満足したのか、穏やかな表情になり、ゆっくりと目を閉じていった。

 

そして、剣斗の力がゆっくりと抜けていき、そのまま息を引き取ってしまった。

 

「……剣斗……!」

 

「……馬鹿野郎が……!使命を果たすために、死んだら……ダメだろうがよ……」

 

「ああ……。死ぬのは俺みたいな魔戒騎士でいいはずだ。それなのに……!」

 

「……」

 

剣斗の最期を見届けていたアキト、リンドウ、大輝、ララはそれぞれ反応は異なるものの、リンドウの死を悲しんでいた。

 

「……くっ……!」

 

統夜もまた、穏やかな顔をしている剣斗から目を背け、涙を堪える。

 

「……けん、と……!」

 

そして奏夜は、目に涙を溜めたまま、剣斗の手を強く握りしめる。

 

こうして、今回の戦いは、ジンガの手に魔竜の眼が渡っただけではなく、剣斗を失う結果となってしまい、奏夜たちの完全なる敗北に終わってしまった。

 

しかし、ジンガはニーズヘッグをすぐにでも復活させようとしているため、足を止める訳にはいかない。

 

これからさらに激しい戦いが待ち受けていることは奏夜たちにも予想は出来たが、今はただ、大切な盟友の死を前に、悲しみにくれていたのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

……続く。

 

 

 

 

 

 

──次回予告──

 

『まさか、ここで剣斗を失ってしまうとはな……。おい、奏夜。ここで足を止めてる場合じゃないぞ!次回、「鎮魂」!英霊の魂よ、安らかに眠れ!』

 

 




ここで剣斗が退場というかたちになってしまいました。

この展開は皆さんは予想出来なかったとは思いますが、実は僕は剣斗を初登場させた時からこんな展開にしようと考えてはいました。

そして、まさかアミリが魔獣装甲を付けて現れるとは。

この辺も牙狼本編とは明らかに異なるため、予想外だったと思います。

アミリは何故魔獣装甲を身に纏うようになったのか?

それは次回以降で明らかになっていきます。

今作でアミリ初登場時にも触れましたが、今作のジンガとアミリの関係は、炎の刻印のメンドーサとオクタヴィアに似てるようなもので、この展開も考えていました。

魔獣装甲を付けたアミリ…。かなりの強敵なのは予想出来ると思います。

次回は、剣斗を失ってしまった奏夜たちがいったいどう動くのか?

そして、ニーズヘッグ復活の準備をしようとするジンガやアミリの行方は?

それでは、次回をお楽しみに!!

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