牙狼ライブ! 〜9人の女神と光の騎士〜   作:ナック・G

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お待たせしました!第79話になります!

今回からジンガとの決戦に向けて話が進んでいきます。

奏夜たちはジンガやアミリを倒し、ニーズヘッグ復活を阻止できるのか?

それでは、第79話をどうぞ!




第79話 「征戦」

魔竜の牙と2つの魔竜の眼を手に入れたジンガは、とある場所に拠点を構え、そこでニーズヘッグを復活させようとしていた。

 

そんな中、奏夜たちは番犬所の調査によってジンガの拠点を突き止めることが出来たため、突入の時までにそれぞれが動き始める。

 

アキトからジンガの過去やニーズヘッグというホラーについての情報を得た奏夜は、打ち合わせが終わると、ララと共にいつも通り登校していた。

 

昨日は剣斗の葬儀があったものの、悲しみを残しながらも日常がまた始まっていくのである。

 

しかし、音ノ木坂学院の生徒たちは、未だに剣斗の訃報のショックが大きいのか、暗い雰囲気な状況が多くみられていた。

 

そして放課後になり、奏夜とララは、部室にて穂乃果たちと過ごしていた。

 

顧問である剣斗がいなくなり、今後どのように活動していくか話し合うためである。

 

穂乃果たちとしても、剣斗の死は受け入れ難いものではあるものの、それも乗り越えて前へ進んで行こうと話し合いにて決めていた。

 

「それにしても、今更かもしれませんが、奏夜とララは今ここにいても大丈夫なのですか?」

 

話し合いがひと段落ついたところで、海未が不意に口を開く。

 

「凄い力のホラーが蘇りそうなのよね?私たちとしては、2人の顔を見れて嬉しいけれど、それどころではなかったんじゃないの?」

 

海未の疑問に絵里も同感だったからか、不安そうに訪ねる。

 

「確かに、状況は切迫してるけど、だからこそみんなの顔を見ときたいと思ったんだよ」

 

「そーくん……」

 

奏夜の言葉を聞き、穂乃果が不安そうな顔をしながら奏夜のことを見ていた。

 

「ちょっと奏夜!あんた、まさかと思うけど、みんなと会えるのはこれが最後だなんて言わないでしょうね!?」

 

穂乃果の不安な感情はにこも感じており、にこはそれを代弁するかのように問いかける。

 

「…まぁ、その可能性も決して0ではないかな」

 

奏夜の言葉に、穂乃果たちは顔を真っ青にしながら息を呑む。

 

「勘違いしないでくれよ?俺は死なない。絶対にみんなのところに帰ってくるさ。俺は、みんなの活動を最後まで見届けなきゃいけないんだから…」

 

「…そーくん…」

 

「ウチはその言葉、信じてるで。奏夜くん」

 

「そうだよ!そーやくん、絶対に帰ってこないとダメなのにゃ!」

 

「私たちは、奏夜くんが帰って来るって信じてるからね?」

 

奏夜の言葉を聞き、希、凛、花陽がこのように声をかける。

 

「奏夜。必ず、帰ってくるのよ…」

 

「あんたは私たちのマネージャーなんだからね?勝手にいなくなるなんて、絶対に許さないんだから!」

 

続けて真姫とにこが奏夜に声かけを行う。

 

「奏夜。これだけは忘れないで下さい。あなたには私たちがついています」

 

「海未の言う通りよ。戦いで辛いこともあるとは思うけれど、そんな時は私たちのことを思い出して欲しいの」

 

そして、海未と絵里は奏夜を励ますかのような言葉を送る。

 

「…そーくん、絶対に帰ってきてね?」

 

「そーくんが私たちのことを応援してくれたように、今度は私たちがそーくんを応援するから!」

 

「みんな……」

 

最後にことりと穂乃果からの言葉を聞き、これだけの人間に支えられているということを、奏夜は改めて認識することになった。

 

「奏夜、これは何があっても生きて帰るしかないわね」

 

「ああ、もちろんだよ」

 

ララは苦笑いしながらこう語りかけるのだが、奏夜も苦笑いしながら返す。

 

(もしもの時は、この命をかけてでも奏夜を守ってみせるわ……。あの時、剣斗がそうしたように…!)

 

ララは、自分の命をかけてでも奏夜を守ろうと心で誓うのだが、それを言葉にはしなかった。

 

それを言ってしまうと、奏夜だけではなく穂乃果たちにも余計な心配をかけさせてしまうことをわかっていたからだ。

 

そのような会話をしていると、コンコンと部室のドアをノックする音が聞こえてきた。

 

奏夜が「はい!」と返事をすると、山田先生が入ってきた。

 

「良かった、ここにいたな」

 

山田先生は奏夜の顔を見ながらこう言っていたため、どうやら奏夜に用事があるみたいだった。

 

「?山田先生、どうしたんです?」

 

「如月、お前にお客さんだよ」

 

山田先生がこのように前置きをすると、部室に2人の男性が入ってきたのだが、その人物を見て奏夜は驚きを隠せずにいた。

 

「…!あなたは、剣斗の……」

 

なんと、奏夜を訪ねてきたのは剣斗の父親と、剣斗の兄である小津或斗(あると)であったからだ。

 

「小津財閥の会長がお前に何の用事があるかはわからんが、失礼のないようにな?」

 

山田先生は奏夜にこう耳打ちをすると、部室を後にした。

 

「奏夜くん、急にすまなかったな。番犬所に聞いたら、奏夜くんは音ノ木坂学院にいると聞いてな」

 

「いえ……。それよりも、いったいどうしたんですか?」

 

奏夜は、何故このタイミングで剣斗の父親が訪ねてきたのかわからず戸惑いを見せていた。

 

「君に、受け取って欲しいものがあるのだよ」

 

「?それは…?」

 

「或斗、奏夜くんに例のものを」

 

「はい」

 

剣斗の兄である或斗の手には大型のアタッシュケースが握られており、或斗は奏夜の前に移動すると、そのケースの中身を開けた。

 

「……!?これってもしかして……」

 

アタッシュケースの中に入っていたのは、なんと、剣斗が愛用していた一角獣の紋章が描かれた盾であったのだ。

 

「うむ。この盾は、我が小津家に伝わりし一角獣の紋章が入った盾。これを君に託したい」

 

「!?お、お気持ちは嬉しいのですが、この盾は、剣武の称号を持つ騎士しか使えないのでは?」

 

「その心配は無用だ。この盾はホラーの攻撃を防ぐようソウルメタルで作られている。だが、この盾はいくつか作られているのだよ。我が小津家には、剣武の称号を継いだ騎士が心から盟友と認めた者に同じ盾を渡すという習わしがあってね」

 

「小津家にそのような習わしが…」

 

或斗から受けた説明は初めて聞いたことだったので奏夜は驚きを隠せなかった。

 

「君に託したいと思っているこの盾も、元々は剣斗が君のために用意していた盾なのだ。だから、何も気にせず受け取って欲しい」

 

「!剣斗が……」

 

奏夜は剣斗の思いが込められている盾をジッと見つめると、ゆっくりとその盾を手に取る。

 

「…うむ。その盾には剣斗の心が込められている。息子の魂と共に、ジンガの野望を打ち砕いて欲しい!」

 

「……」

 

剣斗の父親の言葉を聞き、奏夜は再び自分が手にした盾をジッと見つめる。

 

「…本当ならば私が直接君に協力出来ればいいのだが、私は生まれつき体が弱くてね。ソウルメタルはなんとか扱えるが、戦いとなると厳しいのだよ」

 

「そうだったんですね……」

 

「剣斗が亡くなった今、次の剣武の称号を継ぐのは三男の瑛斗(えいと)になるだろう。だが、今すぐ戦えるという訳でもない。君の直接力になれないのは、私も瑛斗も悔しい限りなのだよ…」

 

或斗は、剣武の称号を継ぐであろう者を奏夜に話すことで奏夜を安心させようとしていたが、迫りくる決戦に力を貸せないことに歯がゆさは感じていた。

 

「気にしないで下さい。俺は、戦います。剣斗だけじゃない。小津家の皆さんの思いも背負って……!」

 

「……ありがとう、奏夜くん。その言葉こそ、剣斗への何よりの供養になるし、私たちも救われるよ」

 

奏夜の力強い言葉を聞いた剣斗の父親の表情は穏やかなものになっていた。

 

その時である。

 

『……!奏夜、どうやら時間のようだ』

 

何かを感じ取ったキルバがこのように声をかけると、ロデルの使い魔である鳩がこちらに飛んできたのだ。

 

奏夜は部室の窓を開けると、使い魔から指令書を受け取り、仕事を終えた使い魔は番犬所へと戻っていった。

 

その指令書はいつもの赤い指令書ではなく、拒否することは許されない黒の指令書であった。

 

奏夜が黒の指令書を受け取ったのは、魔戒騎士になったばかりの頃の魔戒騎士狩りがあった時以来だったが、事態が事態故に冷静だったのだ。

 

奏夜は魔導ライターを取り出すと、指令書を燃やして中身を確認する。

 

「……強大なる邪気が蘇ろうとする兆しあり。ただちにこれを殲滅せよ」

 

奏夜が指令書の内容を確認すると、魔戒語で書かれた文章は消滅した。

 

「…そーくん…」

 

改めて決戦の指令が届いたことにより、穂乃果は不安そうな顔を奏夜に向ける。

 

「……心配するな。俺は必ず戻る。信じて待っていてくれ」

 

奏夜の力強い言葉に、穂乃果だけではなく、他の8人もまた無言で頷く。

 

「…ララ、行こう!」

 

「ええ!」

 

こうして、奏夜とララはμ'sの9人だけではなく、剣斗の父親と或斗に見守られながら部室を後にして、ジンガの拠点と思われる場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奏夜とララが訪れたこの場所は、かつてグレゴルと呼ばれる強大なホラーが封印されていた遺跡であった。

 

奏夜が魔戒騎士になる前に、古の人型魔導具である阿号がグレゴルが封印されていた腕をこの遺跡から奪ってしまったのだが、結果的にグレゴルは復活してしまう。

 

それを討滅したのが統夜であった。

 

その後この場所は誰も立ち入ることのない場所となったのだが、そこをジンガに付け入られ、ジンガはここを拠点としたのである。

 

「……まさか、ここに奴がいるとはな……」

 

『お前が魔戒騎士になる前にグレゴルが封印されていた場所だからな。ホラーを蘇らせようとするのにはうってつけの場所なんだろう』

 

キルバは冷静に分析をしており、奏夜はそれに賛同しているからか、無言で頷く。

 

そのような話をしていると、統夜、リンドウ、大輝、アキトが現れて奏夜たちと合流する。

 

「統夜さん、作戦は固まったんですか?」

 

「ああ、一応な」

 

「しっかしまぁ、ジンガのやつ、まさかここを拠点にするなんてなぁ。統夜と初めて会った時のことを思い出すぜ」

 

アキトは、この時の事件をきっかけに統夜と出会い、盟友となったため、かつて統夜とこの地を訪れたことを思い出していた。

 

「そうだな…」

 

統夜はこのように呟きながら、かつて戦った阿号やグレゴルのことを思い出していた。

 

「俺たちが行った時は既にグレゴルが封印されていた腕は持っていかれてたからな。きちんとこの遺跡の調査はしていないんだが、どうやらグレゴルの腕が封印されていた場所のさらに奥には、地下に通じる道があるらしいんだ」

 

「当然ホラーの妨害はあるだろうが、それを蹴散らして地下に行く。きっとジンガのやつはそこでニーズヘッグを蘇らせようとしているだろうしな」

 

統夜とアキトはかつてこの地を訪れたことはあったのだが、ジンガが拠点としている場所へは踏み入ったことはなかった。

 

それを理解した上で、このような作戦を立てるのである。

 

「確かに…。ニーズヘッグ復活のためにきっとジンガは大量のホラーを用意してるでしょうね。俺もその作戦には賛成です」

 

奏夜は統夜とアキトの立てた作戦に賛同しており、ララも無言で頷く。

 

「……とりあえず急ごう。かつてグレゴルの腕が封印されていたのはこの先だ」

 

統夜とアキトは、かつての記憶をたよりに移動を開始しようとしたのだが……。

 

『……どうやら、お出迎えが来たようだぜ』

 

『奏夜、気を付けろ!』

 

『リンドウも油断しないで下さい!』

 

最初に統夜の魔導輪であるイルバが邪気を探知したのだが、間髪入れずにキルバとレンも相棒に警告をする。

 

それと同時に現れたのは、多数の素体ホラーであった。

 

「やれやれ…。手厚い歓迎なこって」

 

リンドウは苦笑いをしながらも咥えていたタバコに火を付ける。

 

「まずはこいつらを蹴散らさないと先には進めなさそうだな」

 

「そういうことなら、とっとと蹴散らしてしまおうぜ!」

 

アキトの言葉に奏夜たちは頷くと、全員がそれぞれの武器を構える。

 

「……行くぜ!」

 

統夜のかけ声と共に、奏夜たちは素体ホラーの群れに向かっていったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃……。

 

「……ジンガ様。奴らが現れました」

 

「ああ、どうやらそうらしいな」

 

アミリはジンガに奏夜たちが現れたことを報告する。

 

現在、ジンガはニーズヘッグ復活の準備を完全に終えたところであり、これからニーズヘッグを復活させようとしていたところであった。

 

「…私の命に代えても奴らを足止めします。ジンガ様はニーズヘッグの復活を」

 

「ああ、頼りにしてるぜ、アミリ」

 

「はっ!」

 

アミリは、奏夜たちを足止めするために、その場を離れるのであった。

 

「……力を感じるぜ、ニーズヘッグ。もうすぐだ……!お前の復活は近いぜ……!」

 

ニーズヘッグの牙と2つの魔竜の眼が互いに共鳴を始め、それを核にしてニーズヘッグは蘇ろうとしていた。

 

ニーズヘッグ復活に必要なものたちが共鳴することで、ニーズヘッグの持つ強大な力を、ジンガは感じ取ったのである。

 

「俺もお前も、人間に対して怒りを抱えている。一緒にこのくだらない世界を蹴散らそうぜ!」

 

ジンガは共鳴している竜の牙と竜の眼を眺めつつ、ニーズヘッグ復活の時を今か今かと待ち構えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ニーズヘッグ復活が始まろうとしている中、奏夜たちは立ちはだかる素体ホラーたちを次々と蹴散らしていった。

 

「……剣斗。俺に力を貸してくれ!」

 

奏夜は剣斗の父親から託された盾をさっそく使用しており、ホラーからの攻撃をこの盾で防いでいた。

 

「その盾……。そういうことか」

 

小津家の習わしについて以前から知っていたからか、統夜は奏夜の持つ盾を見ながら笑みを浮かべる。

 

『奏夜!お前は盾を使っての戦闘には慣れていないはずだ。無茶はするなよ』

 

「大丈夫だ。確かに慣れてはいないが、剣斗の思いがそこをカバーしてくれてる!」

 

奏夜は盾を防御に使うだけではなく、ソウルメタルで出来ているこの盾をホラーに向けて投擲することで、まるでブーメランのように盾を駆使していた。

 

ソウルメタルで出来た盾を受けた素体ホラーの体は真っ二つとなり、再び奏夜の手に戻っていく。

 

「それにしても、とんでもない数だぜ、こいつは」

 

アキトは、魔戒銃を放ち、法術を放つというのを繰り返しながら素体ホラーを倒していっているのだが、なかなかホラーの数が減らないことに驚いていた。

 

「以前の拠点にもホラーを従えていたが、まさかここまでのホラーを従えているとはな…!」

 

大輝はホラーを倒しながらも、多くのホラーを使役しているジンガの存在を脅威に感じていた。

 

単独ではなく、複数のホラーを使役しているホラーは存在するものの、ここまでのホラーを従えているケースはあまりに稀だからである。

 

「ここって確か強いホラーが封印されてたんだろ?その陰我に引っ張られて出てきてる奴らもいるんじゃないのか?」

 

リンドウがこのように推測する通り、この地はかつてグレゴルと呼ばれる強大なホラーが封印されていたということもあり、そのホラーはいない現在でも、邪気はなくなった訳ではない。

 

それだけではなく、ニーズヘッグが復活しようとしていることで陰我が集まり、あちこちでゲートが開いて素体ホラーが現れているのだ。

 

『このまま戦っててもジリ貧ですね……!』

 

そのことをレンも分析しているため、このままでは必然的にこちらが不利になると判断していた。

 

「……奏夜。そして統夜!お前たちは先に行け!」

 

「ララ、お前もな!」

 

リンドウとアキトがこのような提案をするのだが、先に行けと提案された3人はそれぞれ驚いていた。

 

『このまま奴らの時間稼ぎを受けては、ニーズヘッグが復活してしまいます。ここはリンドウと大輝。そしてアキトの3人で抑えますから!』

 

『奏夜。この先から強大な邪気を感じる。迷ってる暇はないぞ』

 

『統夜!まずはニーズヘッグ復活を阻止するぞ!』

 

キルバとイルバがニーズヘッグのものと思われる邪気を探知したことにより、先に進む決心を固める。

 

「…奏夜、ララ!行くぞ!!ニーズヘッグ復活を阻止するんだ!」

 

「はい!」 「ええ!」

 

統夜のかけ声に奏夜とララが頷くと、迫り来るホラーを倒しながら、先に進む事にした。

 

ホラーたちはそんな奏夜たちを追いかけようとしたのだが……。

 

「おっと!こっから先は通行止めだぜ!」

 

アキトはとある弾を装填した魔戒銃を発砲すると、奏夜たちを追おうとしていたホラーたちに着弾し、それと同時に爆発を起こした。

 

それを受けたホラーたちは消滅していく。

 

その隙を見逃さず、奏夜たちはかつてグレゴルの腕が封印されて場所へと急ぐ。

 

「ここを通りたかったらな…」

 

「俺たちを倒してからにしな!」

 

大輝とリンドウがホラーたちの前に立ちはだかり、そのままホラーたちと戦闘を始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アキト、大輝、リンドウの3人のおかげで先に進む事の出来た奏夜たちは、グレゴルの腕が封印されていた場所へと辿り着いた。

 

「…ここに、グレゴルが封印されてたんだな…」

 

奏夜は、自分が魔戒騎士になる前にここにホラーが封印されていたことを実感しつつ、周囲を見渡す。

 

「…どうやら、あの奥から地下へ行けるみたいだな」

 

今いる場所の奥に通路があり、そこから地下へ通じる道が存在した。

 

「それなら、急ぎましょう。時間がないわ」

 

 

ララの言葉に奏夜と統夜は頷き、そのまま進もうとしていたのだが……。

 

『奏夜、待て!』

 

『どうやら、そう簡単には先に進ませては貰えないみたいだぜ!』

 

キルバが奏夜たちを引き止めるのだが、その後に何者かが接近してくることをイルバが感じ取っていた。

 

すると、奏夜たちの前に1人の女性……アミリが立ちはだかっていた。

 

「お前は…!」

 

「アミリ……!」

 

「こいつが剣斗を…!」

 

アミリは剣斗の命を奪った仇敵であり、奏夜たちは怒りの表情をアミリに向ける。

 

「お前たちをここから先に通す訳にはいかない……!」

 

アミリは、奏夜たちのことを鋭い目で睨み返すと、精神を集中させ、その身体に漆黒の鎧を纏った。

 

魔獣装甲を身にまとったアミリが立ちはだかりり、奏夜と統夜は魔戒剣を構え、ララは魔導筆を構えていた。

 

アミリを倒さなければこの先にいるジンガの元へは進めない。

 

だが、ニーズヘッグはまもなく復活しようとしている。

 

それは3人とも感じ取っており……。

 

「…統夜さん、ララ。2人は先に行って下さい。こいつは、俺が倒します」

 

奏夜は、自分より実力のある統夜をジンガのもとへ向かわせた方がいいと考えたからか、自分がアミリと戦う意思を伝えた。

 

「奏夜……」

 

「それに、俺はこいつの奇襲を受けたことでそれを庇った剣斗が命を落としたんです。だから…」

 

奏夜はそれだけではなく、剣斗の命を落としたのは自分にも非があると考えていたため、自分の命を狙ってきたアミリをこの手で倒したいと考えていた。

 

しかし……。

 

「…奏夜。悪いが、それは聞けないな。こいつは、俺が倒す」

 

「!?何を言ってるんですか!ジンガはかなりの力を持つホラーです!だからこそあなたが…!」

 

「心配するな。とっととこいつを蹴散らしてすぐにお前らと合流するさ」

 

「…っ!でも!」

 

統夜がアミリを倒すと宣言したのだが、いくら尊敬する先輩騎士とはいえ、それは聞けないと思っていた。

 

しかし……。

 

「……剣斗を盟友だと思ってたのはお前だけじゃないんだ」

 

「え?」

 

「俺にとっても、剣斗は盟友なんだ。そんな剣斗の命を奪ったこいつを倒す。いくら奏夜とはいえ、これは譲らねぇよ?」

 

「統夜さん…」

 

統夜もまた、剣斗のことを大切な友だと思っており、アミリを倒したいという気持ちは奏夜と同じくらい持っていた。

 

しかし、これだけは譲れないということを鋭い目付きで強調する。

 

「お前ら2人はさっさとジンガのところに行け!俺もすぐに追いつく!!」

 

「分かりました!統夜さん…お願いします!こいつを倒して下さい!」

 

奏夜は、自分がアミリを倒したいという思いはあったものの、今は統夜に託して使命を果たそうと判断した。

 

そのため、ララと共に先に進むことを決心する。

 

「頼むぜ、奏夜!ララ!!」

 

統夜はアミリに突撃し、魔戒剣を振るうのだが、頑丈な腕にてそれを受け止める。

 

その隙を見逃さなかった奏夜とララは、全力で駆け出して、地下にいるジンガの元へと向かう。

 

「…っ!しまった!」

 

「逃がさねぇよ!」

 

アミリはすぐに奏夜とララを追いかけようとするが、すぐに統夜に邪魔をされる。

 

「おのれ…!月影統夜!こうなったら、貴様から始末してくれる!」

 

「悪いが、俺はやられる訳にはいかない。お前を倒さないといけないからな!」

 

統夜は鋭い目付きでアミリを睨みつけると、再びアミリに魔戒剣を振るう。

 

こうして、奏夜たちはそれぞれの場所で戦いを始めた。

 

こうしている間にも、ニーズヘッグは蘇ろうとしている。

 

果たして、奏夜たちはニーズヘッグ復活を阻止出来るのか…?

 

 

 

 

 

 

 

……続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──次回予告──

 

『やれやれ、こうも敵の妨害が激しいとはな。だが俺たちはそれを跳ね除けて前へ進むしかないな!次回、「熾烈」それぞれの戦いが激化する!!』




奏夜が剣斗の使っていた盾を託され、戦闘スタイルがやや変化しました。

盾を装備するようになり、奏夜はこれからどのような戦いを繰り広げていくのか?

そして、次回は戦いがさらに激化していきます。

統夜とアミリの直接対決が始まりますが、統夜はアミリを倒すことは出来るのか?

それでは、次回をお楽しみに!

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