牙狼ライブ! 〜9人の女神と光の騎士〜   作:ナック・G

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お待たせしました!第80話になります!

前回、ニーズヘッグ復活を阻止するために戦いを始めた奏夜たち。この戦いに勝利し、ニーズヘッグ復活を阻止する事は出来るのか?

それでは、第80話をどうぞ!




第80話 「熾烈」

奏夜たちは、ニーズヘッグ復活を阻止するために、ジンガが現在拠点にしているとある遺跡に来ていた。

 

ここは、かつてグレゴルと呼ばれる強大な力を持つホラーが封印されていた場所であったが、その封印が解かれて以降は誰も立ち入ることのない場所であった。

 

ジンガはそこを利用してここを拠点にしたのである。

 

奏夜たちが訪れると、それを予想していたジンガは従えていたホラーを差し向ける。

 

素体ホラーの群れはアキト、大輝、リンドウが引き受ける形で奏夜、統夜、ララは先に進む。

 

ジンガのもとまであと少しというところまでたどり着くも、魔獣装甲を纏ったアミリが現れ、奏夜たちの道を阻んだ。

 

そんな中、統夜がアミリの相手を引き受けることになり、奏夜とララは先に進む。

 

こうして、それぞれの戦いは始まっていったのだ。

 

その頃、音ノ木坂学院では…。

 

「…そーくん、大丈夫かなぁ…?」

 

穂乃果たちはアイドル研究部の部室にいるのだが、穂乃果は窓から見える景色を眺めながら不安そうな表情をしていた。

 

「確かに、心配だよね……」

 

「ええ。状況から察するに、私たちが見た時とは比べ物にならないほどの戦いになるのは間違いないと思います」

 

穂乃果の不安げな表情を察したことりと海未がそれぞれ不安そうに言葉を紡ぐ。

 

「大丈夫だよ!奏夜君なら絶対に帰ってくるよ!」

 

「かよちんの言う通りにゃ!それに、そーや君だけじゃない。とーやさんだっているんだよ?」

 

「そうね。それに、奏夜は必ず戻ると約束してくれたもの。私は信じているわ」

 

花陽が不安げな穂乃果、海未、ことりを励ますような言葉を放つと、それに凛と真姫も賛同する。

 

「そうよ!奏夜にはこれからμ'sのマネージャーとして、もっともっと頑張ってもらわなきゃいけないんだもの」

 

「ええ。今は信じて待ちましょう?」

 

にこはにこなりに奏夜を信じていると感じさせる事を言っており、絵里が優しく穂乃果たちに語りかける。

 

そんな中、希が愛用しているタロットカードから1枚のカードを引く。

 

引き当てたカードを、希は真剣な表情で見つめていた。

 

「…?希ちゃん?」

 

「今引いたカードはなんなのですか?」

 

「まさか、不吉なものじゃないよねぇ?」

 

希の真剣な表情を見た穂乃果たちは、不安そうに希にカードの中身を聞いていた。

 

「…この状況が大きく変化するって意味のカードなんよ」

 

希が引き当てたのは、運命の輪という名前のカードであり、希が説明したのは、それが正位置だった場合の意味である。

 

「状況が大きく変化する…ですか?」

 

「それだと、良いのか悪いのかわからないじゃない!」

 

希の説明に海未は首を傾げ、にこは異議を唱える。

 

状況が大きく変化するというだけでは、良い意味としても捉えられるし、悪い意味としても捉えられるからだ。

 

「確かにそうやね。だけどこのカードが正位置ということは、悪い意味じゃなくて良い意味であると思うんやけどね…」

 

「大丈夫よ。状況が大きく変化するということは、奏夜が勝ってこの戦いは終わるわよ!」

 

絵里は希の引いたカードを前向きに捉えることで、不安な気持ちを払拭しようもしていた。

 

「そうだね!確かに、そーくんのことが心配だけど、信じて待とう!そーくんは絶対に帰ってくるよ!」

 

穂乃果がさらに自分だけではなく周りを奮い立たせる言葉を放ち、その言葉に他の8人は力強く頷く。

 

(そーくん…私たちは信じているからね…?)

 

穂乃果は不安は完全に拭いされないものの、奏夜を信じて、奏夜の帰りを待つことにしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、奏夜、統夜、ララの3人を行かせるために、大量の素体ホラーたちを相手取るリンドウ、大輝、アキトは、疲労を見せることなく、ホラーを倒していった。

 

「……やれやれ……。ちょっとは休憩させてくれよ……。煙草を吸う暇もないじゃねぇか」

 

リンドウは1体の素体ホラーを斬り裂いた後に、ぼやくように呟く。

 

『リンドウ!そんな暇はないですよ!ホラーは完全に全滅させた訳じゃないんですから』

 

「まぁ、リンドウがぼやきたくなる気持ちはわかるがな!」

 

大輝もまた、リンドウの言葉に賛同しつつ素体ホラーを斬り裂いていく。

 

「泣き言は言ってられないぜ!リンドウ!大輝のおっさん!」

 

「…だからおっさんはやめろ」

 

アキトは魔戒銃を放ち、ホラーを倒しつつ2人を激励するが、大輝は自身のおっさん発言を良しとしておらず呆れていた。

 

「とにかく、今の俺たちに出来るのは、こいつらを抑えて奏夜たちが心置き無くジンガと戦えるようお膳立てをすることだ!」

 

「そうだな!あいつらならきっと勝てるさ!だからこそ踏ん張らないとな!」

 

リンドウはぼやきが思わず出ながらも、奏夜たちの勝利を信じており、己を奮い立たせていた。

 

「当然!こっからが正念場だぜ!」

 

それは大輝やアキトも同様であり、3人は次々もホラーを蹴散らしていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、奏夜とララを先にジンガのもとへと行かせた統夜は、目の前に立ちはだかる漆黒の鎧…アミリを鋭い目付きで睨みつけていた。

 

「…月影統夜……。貴様の実力はジンガ様も一目置いていた。だからこそ、貴様をここで始末する!」

 

ジンガに忠誠を誓っているアミリは、統夜の話をよくジンガから聞いており、その実力を驚異と感じていた。

 

「それに、如月奏夜如きの力では、ジンガ様には絶対に勝てない。それなのに、奴を行かせたのは悪手だったな」

 

アミリは、ジンガの絶対的な力を信じているため、奏夜ではジンガを倒すことは出来ないと感じていた。

 

しかし…。

 

「……ふっ、それはどうかな?」

 

「……なんだと?」

 

統夜は飄々と笑みを浮かべており、そんな統夜の態度に苛立ちを感じているのか、訝しげな目で統夜を睨みつける。

 

「お前をこの手で倒すために奏夜を先に行かせたが、今の奏夜ならジンガを倒せると信じてるから俺はあいつを行かせたんだぜ」

 

剣斗の命を奪ったアミリを倒す。

 

それも統夜の本音ではあったが、自分の力がなくても今の奏夜ならジンガに勝てる。

 

統夜はそう確信していたからこそ、自分のやりたいことを優先させることが出来たのである。

 

「あの小僧がジンガ様を倒せるだと…。寝言も大概にするのだな!」

 

統夜の言葉を良しとしなかったのか、アミリは右手の甲に剣のような刃を展開すると、統夜に向かっていった。

 

統夜はアミリを攻撃をかわそうとするのではなく、魔戒剣で受け止め、正面から向かっていったのである。

 

「そんなんで、俺を斬れると思うな!」

 

アミリは魔獣装甲にて強化されているとはいえ、剣術のイロハのない魔戒法師であるため、統夜に簡単に動きを見切られてしまい、攻撃を弾かれた隙を付かれてしまい、統夜の放った蹴りによって吹き飛ばされる。

 

「ぐぅ…!おのれ…!」

 

アミリはすぐに体勢を立て直すが、怒りに満ちた目を統夜に向ける。

 

『統夜!魔獣装甲の力は未知数だ!油断はするなよ!』

 

「ああ。あれがあいつの全てだとは思ってないさ」

 

統夜は先制攻撃を制したものの、どのような攻撃を繰り出してくるかわからないアミリに最大限に警戒はしていた。

 

「おのれ…!これならばどうだ!」

 

アミリは先程の刃を振り下ろすと、それはまるで蛇腹剣のようにうねりのある刃に変わり、それをまるで鞭のように統夜へ向けて放つ。

 

「っ!」

 

統夜は横に動いてアミリの攻撃をかわすが、アミリの攻撃は激しさを増しており、近付く隙はなかった。

 

『まさか、あの刃にあんなギミックが隠されてるなんてな…』

 

「イルバ!感心してる場合じゃないっての!」

 

統夜は攻撃をかわしながらアミリの刃のまるで蛇腹剣のようなギミックに感心しているイルバをたしなめる。

 

(さて、どうする…?どうにかあれを無効化出来ればチャンスはあるが…)

 

統夜は攻撃をかわしながら、反撃の糸口をみつけようとしていた。

 

(…!これなら多分行けるぞ!)

 

統夜は何か策を思い付いたのか、アミリの攻撃を回避した直後に接近を試みる。

 

「愚かな…!これで貴様に引導を渡す!」

 

アミリは近付いてくる統夜にとどめを刺そうと剣を統夜に向けて振り下ろす。

 

統夜はそれを見てニヤリと笑みを浮かべながら…。

 

「こいつで!!」

 

統夜は自身の魔戒剣の鞘をアミリに向かって投げつける。

 

「!?」

 

魔戒剣の鞘はアミリの刃に直撃し、それはまるでブーメランのように統夜の手元へと戻っていく。

 

一方、アミリの刃は、放たれた鞘の衝撃にて照準が大きくずれてしまい、大きな隙が出来てしまう。

 

「そこだ!!」

 

統夜はその隙を見逃さずにアミリに接近すると、魔戒剣をアミリの刃目掛けて振り下ろした。

 

蛇腹剣のようになっている刃のワイヤー部分の根元を狙っていたため、簡単に刃は切り落とされてしまう。

 

「しまった!?だが、まだだ!」

 

アミリはすぐに体勢を整えると、

 

左手を統夜に突き出し、まるで銃のようになっている砲身を統夜に向けた。

 

「この距離ならば!」

 

攻撃直後で統夜に隙があると判断したのか、アミリは統夜に対して砲撃を行う。

 

しかし、統夜はその前には体勢を整えており、魔戒剣と鞘を合わせてそれを盾代わりにアミリの攻撃を防いでいた。

 

それでも完全に攻撃を凌げた訳ではなく、統夜は後ろずさってしまう。

 

「馬鹿な…!あの距離での砲撃を凌ぐだと!?」

 

今の攻撃を防がれたのはアミリも想定外だったのか、驚きを隠せずにいた。

 

「この鞘も使わなかったらさすがにやばかったけどな」

 

統夜は魔戒騎士になったばかりの頃に、銀牙騎士絶狼の称号を持つ涼邑零から修行を受けており、その時に鞘を用いた二刀流の技術を習得していた。

 

魔戒剣と鞘。この2つを巧みに使い分ける戦い方により、統夜は何度も危機を脱することが出来ていたのである。

 

「おのれ!!これならば!!」

 

アミリは左手の砲身から砲撃を何度も放つも、統夜は魔戒剣と鞘を巧みに使い、その攻撃を凌いでいた。

 

「くっ…!おのれ…!」

 

アミリの攻撃は激しいものであるが、それを難なく凌がれてしまい、アミリは焦っていた。

 

しかし、焦りは隙を作るものであり、統夜はその隙を見逃さなかった。

 

統夜は素早くアミリに接近すると、左手の砲身を真っ二つに切り裂き、砲撃による攻撃を無力化する。

 

すかさず魔戒剣を振り下ろし、アミリ本体に攻撃を仕掛けるが、アミリは両腕を使って統夜の攻撃を受け止める。

 

「これ以上貴様の好き勝手にはさせんぞ!そんなもので私を斬れると思うな!」

 

アミリは統夜の攻撃を防ぐと、すぐさま統夜に向かって蹴りを放ち、統夜を吹き飛ばす。

 

「くっ……!」

 

統夜はすぐに体勢を立て直すが、アミリは再び接近し、格闘戦を仕掛けてくる。

 

統夜は魔戒剣の鞘を魔法衣の裏地にしまい、魔戒剣は手にしたまま、アミリと真っ向からぶつかっていった。

 

最初はアミリの猛攻に統夜は防戦一方だったが、攻撃を防いでいる間にアミリの攻撃を見極め、その隙をついて反撃する。

 

「ぐっ、貴様は鎧を召還していないのに、魔獣装甲の私が押されているだと…!?」

 

「お前の魔獣装甲の力は確かに凄い。だが、俺はそれ以上の敵とも戦ってきてるんだ!」

 

統夜は現在20歳という魔戒騎士としてはまだまだ若手ながらも、様々な強大なホラーを討滅しており、その経験が統夜の何よりの強さであった。

 

統夜は拳による一撃をアミリに叩き込むと、すぐさま蹴りを放ち、アミリを吹き飛ばす。

 

「アミリ!貴様の陰我、俺が断ち切る!」

 

統夜は魔戒剣を上空に突き上げると、円を描く。

 

その部分のみ空間が変化し、そこから放たれる光に統夜は包まれる。

 

すると、その空間から白銀の鎧が現れると、統夜はその鎧を身に纏う。

 

こうして、統夜は白銀騎士奏狼(ソロ)の鎧を身にまとったのであった。

 

統夜の手にしていた魔戒剣は、専用の剣である皇輝剣へと変化する。

 

「鎧を召還したか…!ならば私も、全力をもって貴様を討つ!!」

 

統夜が鎧を召還したのを確認したアミリは、精神を集中させると光の槍のようなものを呼び出して構える。

 

『…!統夜!気を付けろ!!あいつは!!』

 

「ああ…!あれが剣斗を……!」

 

アミリは光の槍のようなもので奏夜を殺そうとするのだが、奏夜を守ろうとした剣斗を貫いたものであった。

 

その時の出来事を鮮明に思い出し、統夜は鋭い目付きでアミリを睨み付ける。

 

「俺は、負ける訳にはいかないんだよ!俺自身のためだけじゃない。本当ならこの場にいたかった奏夜のためにも!!」

 

奏夜は、自分以上に剣斗のことを盟友だと思っていた。

 

そのことはわかっていたが、自分の気持ちを優先させて奏夜にジンガのもとへ向かわせた。

 

だからこそ、自分はあの光の槍に負ける訳にはいかない。

 

統夜はそう強く心に誓っていた。

 

「貴様もこいつの威力は知っているだろう?ソウルメタルでさえ貫くこの槍の力…思い知れ!!」

 

アミリは統夜に向かって光の槍を放った。

 

それと同時に統夜は自身の魔導火である赤の魔導火を全身に纏い、烈火炎装の状態になる。

 

迫り来る光の槍を、統夜は赤の魔導火で纏われた皇輝剣で受け止める。

 

「ぐぅ……!!」

 

光の槍はソウルメタルを貫くほどの威力であるということもあり、統夜の表情は歪みながらもどうにか光の槍を受け止めていた。

 

「無駄だ!貴様がどれだけ頑張ろうと、そいつを防ぐことは出来ない!」

 

アミリは、ソウルメタルで出来た剣斗の盾を剣斗もろとも貫いたことがあることから、統夜にこの攻撃を防ぐことは出来ないと確信していた。

 

しかし、統夜はそうは思っておらず…。

 

「ま、負けて…たまるかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

統夜はまるで獣のような咆哮をあげると、そんな統夜の言葉に呼応したのか、皇輝剣に纏われた赤い魔導火がさらに激しく燃え盛るのであった。

 

「何!?」

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

統夜は再び獣のような咆哮をあげると、普段以上に燃え盛る魔導火の力もあり、光の槍を真っ二つに切り裂く。

 

「ば、馬鹿な!?」

 

アミリはまさかの出来事に狼狽しつつも、再び光の槍を呼び出す。

 

統夜は勢いを止めることなくアミリに接近すると、皇輝剣を振り下ろすが、アミリは光の槍にてそれを受け止める。

 

「貴様の執念がここまでとは……。だが!私もジンガ様のために負ける訳にはいかない!!」

 

アミリは、自分が信じているジンガのために自らを奮い立たせていた。

 

「悪いな。俺だって負ける訳にはいかないんだよ!剣斗の事云々じゃない。お前たちを倒し、ニーズヘッグの驚異から多くの人を守るために!」

 

しかし、統夜もまた、守りし者としてここで負ける訳にはいかないという強い気持ちをもっており、それが統夜自身を後押しする。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

統夜は獣のような咆哮をあげながら皇輝剣を振り下ろす。

 

アミリはどうにか受け止めていたのだが、統夜の力は徐々に強くなっており、どうにか耐えていた。

 

しかし、すぐに限界は訪れてしまい、統夜は力強く皇輝剣を振り下ろすと、光の槍を再び真っ二つに切り裂き、今度は光の槍だけではなく、アミリの体も切り裂く。

 

「ぐあぁぁぁ!!」

 

烈火炎装による攻撃のダメージはかなりのものなのか、統夜の切り裂いた部分の傷は残っており、らアミリは痛みで苦悶の表情を浮かべる。

 

しかし、魔獣装甲の力はかなりのものなのか、これでもまだ鎧を破壊するには至らなかった。

 

しかし……。

 

「これで……終わりだ!」

 

統夜の烈火炎装の状態はまだ続いており、皇輝剣を横に一閃すると、そのままアミリの体を再び切り裂いたのだ。

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

この一撃により、アミリの身にまとっていた鎧は粉々に砕け、人間の姿に戻ったアミリはその場に倒れるのであった。

 

それと同時に統夜は鎧を解除するのだが、魔戒剣は納刀することなく、未だに構えており、警戒は怠っていない。

 

「こ、これが…月影統夜の力……。ジンガ様が警戒するのも頷ける……!」

 

アミリは、統夜と戦うことにより、改めてその強さを思い知ることになってしまった。

 

「ジンガ様…。それでも貴方はこいつらに負けるハズがないと信じております……!貴方の崇高な目的が果たされるのを……。私は心から祈っておりま……す……」

 

アミリはこう言葉を残すとそのまま息絶えるのだが、魔獣装甲の力に飲み込まれたしまったアミリはホラーのような存在になってしまったため、その体は少しずつ消滅していったのである。

 

「……あんたは信じるものさえ間違えなければ、きっと誰よりも優れた魔戒法師になっていただろうな……」

 

統夜は、アキトから聞かされたアミリの過去を思い浮かべつつ、彼女に黙祷を捧げる。

 

『…統夜、急ぐぞ!あの小僧がどれだけジンガを抑えられてるか分からんからな!』

 

「そうだな、行こう!」

 

統夜は感傷に浸る暇もなく、奏夜やララと合流するために先に進むのであった。

 

(剣斗……。お前の仇は取ったぜ……。ジンガの野望も俺と奏夜で必ず阻止する。だから、ゆっくり休んでくれよ……)

 

統夜は心の中で亡き剣斗にアミリ討伐を報告し、追悼の意を表していたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

統夜がアミリと戦っている頃、奏夜とララはジンガのもとへ向かうために先に進んでおり、突き当たりにあったエレベーターのような装置を使用し、ジンガがいるであろう地下へと向かっていた。

 

「…統夜、大丈夫かな…?」

 

ララは、1人でアミリと戦っている統夜の身を案じていた。

 

それも無理はない。

 

魔獣装甲という未知の力だけではなく、剣斗の命を奪った光の槍という切り札もある。

 

ララ自身、統夜の力はよくわかっていたものの、それでも心配なのであった。

 

しかし……。

 

「……大丈夫。統夜さんならすぐに俺たちに追いつくさ」

 

統夜のことを心から信頼している奏夜は、統夜が必ず勝つと確信していた。

 

『そうだな。あの男ならきっとな……』

 

「本当なら俺がアミリを倒したかったけど、そんな俺の思いを統夜さんは受け取ってくれた。だから大丈夫だと信じられるんだよ」

 

「…そうね。私たちは私たちに出来ることをしましょう!」

 

「ああ!!」

 

奏夜とララはジンガを必ず止めると決意をしたところでエレベーターのような装置は止まり、地下へと到着した。

 

2人はそのまま先を急ぐのだが、たどり着いたのは、吹き抜けになっている広場のような場所であった。

 

そこの奥には祭壇があり、そこに魔竜の牙と、2つの魔竜の眼が置かれ、現在、そこに力が注ぎ込まれているところだった。

 

そして……。

 

「……よう、お前ら。思った以上に早かったじゃないか!」

 

ニーズヘッグ復活の儀式を行っていたジンガが、奏夜とララの前に立ちはだかる。

 

「ジンガ……!!」

 

奏夜にとってはジンガは因縁の相手であり、鋭い目付きでジンガを睨み付ける。

 

「やれやれ。そんな目をしやがって……。ま、俺に殺されかけたんだからな。そうなるのも当然か」

 

奏夜は学園祭直前にジンガと戦ったのだが、周りが見えていなかった穂乃果のある発言で動揺してしまい、そのことが原因でジンガに敗北。危うく命を落としそうになる。

 

「そんなことはどうでもいい!お前を倒し、ニーズヘッグ復活の儀式は阻止させてもらう!」

 

「ふん!出来るかな?お前如き未熟な魔戒騎士が!」

 

「ああ!俺は、あの時の俺とは違う!!」

 

ジンガは奏夜を挑発し、冷静さを奪おうとするが、奏夜は一切動じることはなかった。

 

「家族を理不尽に殺されたお前の気持ちはわかる。だけど、その怒りを世界にぶつけようとしているお前は、間違っている!」

 

アキトからジンガの過去を聞かされていたため、そこには同情はするものの、ニーズヘッグの力により、世界を壊そうとするジンガの思想を奏夜は否定する。

 

すると……。

 

「貴様のようなガキに何がわかるっていうんだ!!」

 

奏夜の言葉が気に入らなかったのか、ジンガは初めて奏夜に感情的な一面を見せる。

 

「この世界は理不尽に満ちているんだよ…!だからこそ俺はこんな世界は許せないんだ!!だからこそ、壊してやるんだよ!!」

 

「そんなこと、絶対にさせない!!」

 

奏夜は魔戒剣を構えて、鋭い目付きでジンガを睨み付ける。

 

「お前はニーズヘッグの復活を阻止したいんだろ?だったら!!力づくで止めてみな!!」

 

「ああ!最初からそのつもりだ!!」

 

ジンガもまた剣を構えており、奏夜を睨み付ける。

 

そして、奏夜はジンガのもとへと向かっていき、魔戒剣を振るう。

 

ジンガもまた剣を振るい、それを迎え撃つ。

 

こうして、奏夜とジンガとの戦いは幕を開けたのだ。

 

奏夜はジンガを倒し、ニーズヘッグ復活を阻止することは出来るのだろうか?

 

 

 

 

 

 

……続く。

 

 

 

 

 

──次回予告──

 

『ジンガのやつ、やはり手強い相手だな。だが、奏夜。お前だっていつまでも負けてられないだろ?次回、「邪竜」、怒りに満ちた邪気が目覚めようとしている!!』

 




タロット占いのところはめっちゃ難しかった!

希がタロットのカードを見るところは、実際のタロット占いのカードをググりながらそれらしいものを発見しました。

もしかしたら若干意味合いは変わっている可能性はありますが、そこはご了承ください。

そして、今回は統夜vsアミリがメインでした。

魔獣装甲アミリの外見はおおよそはオクタヴィアをモチーフにしていますが、鎧は漆黒で、使用武器も違います。

まさかのガリアンソードのような武器を使っていましたが、難なく統夜に防がれてしまいました。

久しぶりに鞘を用いた二刀流を披露しつつ、アミリを撃破した統夜でしたが、今回は統夜の強さがより顕著に出ていた回だと思います。

そして、次回は奏夜vsジンガがメインになってくるとは思いますが、奏夜はかつて敗北したジンガを相手に勝つことは出来るのか?

今まさに甦ろうとしているニーズヘッグの復活は阻止出来るのか?

それでは、次回をお楽しみに!

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