牙狼ライブ! 〜9人の女神と光の騎士〜   作:ナック・G

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お待たせしました!第81話になります!

前回は統夜とアミリの直接対決ですが、今回は奏夜とジンガの直接対決になります。

奏夜はジンガを倒すことは出来るのか?

そして、今まさに封印が解かれようとしているニーズヘッグの復活は阻止出来るのか?

それでは、第81話をどうぞ!




第81話 「邪竜」

ニーズヘッグ復活を阻止するため、奏夜たちはジンガの拠点へと乗り込む。

 

リンドウ、大輝、アキトの3人は入り口にてホラーの大群を相手取り、統夜もまた、奏夜やララを先に行かせるために魔獣装甲を身に纏うアミリと対峙する。

 

そして、統夜はアミリを討伐し、奏夜やララと合流するために動き始める。

 

そんな中、ジンガのもとへたどり着いた奏夜とララであった。

 

今まさにニーズヘッグは蘇ろうとしており、それを阻止するために、奏夜はジンガへ戦いを挑む。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

奏夜はジンガに向かって魔戒剣を振るい、ジンガはその攻撃を自身の剣で受け止める。

 

ジンガはすかさず反撃と言わんばかりに奏夜の攻撃を弾き飛ばし、剣を振るうも、奏夜はジンガの攻撃を受け止めた。

 

その後は互いに激しく剣を打ち合うのであった。

 

「お前…少し見ないうちに強くなったみたいだなぁ?」

 

「…それはどうも!!」

 

ジンガは軽口で奏夜を挑発するも、奏夜はそんなジンガの言葉を受け流せるほど冷静であった。

 

「だが…まだ甘い!!」

 

ジンガは奏夜の一瞬の隙をついて、奏夜を斬ろうとする。

 

しかし、奏夜はそんなジンガの動きを読んでいたのか、バク転のような動きで後ろに下がって、攻撃を回避する。

 

ジンガはすかさず追撃をかけるが、奏夜は攻撃を剣や盾で受け止めず、最低限のみ体を動かしたり、足を上げたりしてジンガの攻撃を回避していた。

 

「凄い…!まるで踊っているみたい……」

 

ララは、奏夜の滑らかな動きに驚きを隠せなかった。

 

その動きがまるで踊っているように見えたからだ。

 

そんなララは、奏夜とジンガの戦いが始まってすぐに加勢しようとするも、奏夜から「手を出すな」と言われてしまい、戦いを見守っている。

 

(奏夜がジンガと戦って注意を引いてくれている…。だったら、私に出来ることは…!)

 

ララは魔導筆を取り出すと、現在魔竜の牙と魔竜の眼が置かれている祭壇に向かって法術を放つ。

 

しかし、力がだいぶ満ちてきているのか、邪気がまるでバリアのような役割をして、ララの法術を防ぐ。

 

「ふっ、無駄だ!ここまで力が貯まれば、最早ニーズヘッグ復活は時間の問題なんだよ!」

 

「だったら…!お前を斬ってさっさと封印を解かさせてもらうぞ!」

 

「そいつは無理な相談だな!お前じゃ…俺には勝てない!」

 

ジンガは辺りを包む邪気にて力を蓄えているのか、まるでそれを解き放つかのように衝撃波を放つ。

 

「くっ……!」

 

奏夜はその一撃で吹き飛ばされるものの、すぐに体勢を立て直す。

 

しかし、同様に吹き飛ばされてしまったララは、壁に体を叩きつけられてしまい、その場に倒れてしまう。

 

その衝撃によって、ララは気を失ってしまったのであった。

 

「ララ!!」

 

奏夜はララの身を案じ、視線がララの方を向いてしまうのだが……。

 

「ふん!よそ見をしてる場合か!?」

 

奏夜に出来た大きな隙をジンガは見逃さず、奏夜に接近。

 

奏夜の体に剣を突き刺そうとした。

 

しかし……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何!?」

 

奏夜は自分の体を守るように魔戒剣を咄嗟に動かしており、それによって奏夜はジンガの突きによって傷を負うことはなかった。

 

「悪いけど、今までの俺と…一緒だと思うな!!」

 

奏夜は魔戒剣を横に振るってジンガの攻撃を弾き飛ばすと、そのまま魔戒剣を振るい、ジンガの体を斬り裂く。

 

続けて蹴りを放ち、ジンガを吹き飛ばすのであった。

 

「……やるじゃねぇか……!!この俺に傷を付けるとはな……!」

 

かつて奏夜と戦った時、穂乃果とのゴタゴタによって心が乱れていたのもあって、奏夜は自分の敵ではなかった。

 

しかし、今目の前に対峙している奏夜は、自分と互角に近い力を見せ、現在自分に一撃を与えた。

 

歯牙にもかけていない相手の成長を感じ取り、ジンガは笑みを浮かべる。

 

「いいねぇ!俺と互角に戦えるのは月影統夜だけだと思ったが…。お前もやるじゃないか、如月奏夜!」

 

「今までの俺とは違う…。そう言ったはずだ!」

 

奏夜は魔戒剣を力強く握りしめ、ジンガを睨み付ける。

 

「どうやら、そうらしいな。お前もこの俺を楽しませてみせろ!!俺を倒してニーズヘッグ復活を阻止したいんだろ!?」

 

ジンガはニヤリと怪しい笑みを浮かべながら、奏夜を挑発する。

 

それを聞いた奏夜は……。

 

「お前を楽しませる気はない。だが、お前は斬る!!」

 

「ほう……。だったら斬ってみな!如月奏夜!!」

 

ジンガは奏夜に宣戦布告を行うと同時に、人間の姿から、ホラーの姿へと変化した。

 

「……貴様の陰我、俺が断ち切る!!」

 

ジンガがホラーの姿になったのを確認した奏夜は、魔戒剣を上空に向けて高く突き上げ、円を描く。

 

その部分のみ空間が変化すると、奏夜はそこから放たれる光に包まれた。

 

すると、円の中から牙狼とは異なる金色の鎧が現れ、奏夜はその鎧を纏っていく。

 

こうして、奏夜は輝狼(キロ)の鎧を装着するのであった。

 

それと同時にジンガは奏夜に向かって急速に接近し、剣を振るう。

 

しかし、奏夜はすぐにその一撃を魔戒剣が変化した陽光剣で受け止める。

 

「それにしても、お前がここまで強くなるとはな…。それだけが予想外だったぜ!」

 

「俺には守るべきものがある!だからこそ、そう簡単にお前に負けるわけにはいかないんだよ!」

 

「あの小娘共のことか…!ラブライブとかいったか?あんなちっぽけなもののために必死になるとは本当に滑稽だぜ」

 

これはジンガが心から思っていることでもあるのだが、奏夜を煽るために放った言葉であった。

 

真剣にスクールアイドルを頑張っている穂乃果たちのことを貶すことで奏夜は激昂する。

 

そう予想してのことだったのだが……!

 

「悪いが、お前の挑発には乗らない!!」

 

奏夜は陽光剣を力強く振り抜いてジンガの攻撃を弾き飛ばすと、すかさずに陽光剣による一撃を放つ。

 

「っ!なめるな!!」

 

ジンガは咄嗟に回避行動をとったからか、直撃は免れ、わずかに掠ってしまう程度であった。

 

その後すぐに衝撃波を放ち、奏夜を吹き飛ばす。

 

「お前らの目指す夢などくだらんものだ。そんなもの、俺やニーズヘッグの怒りで破壊してやるよ!」

 

ジンガは力強くこう宣言すると、精神を集中させることにより、背中に羽根を生やす。

 

ホラーになったことにより、飛行能力を有するようになったからである。

 

ジンガは飛翔するのだが、この場所自体が吹き抜けのようになっているからか飛行による移動をしても問題のない広さとなっている。

 

その地形を利用し、ジンガは急降下。奏夜に向かって剣を振るう。

 

奏夜はその攻撃を避けられず、その一撃を受けたことでわずかに怯み、鎧で顔は隠れているが、その表情は歪んでいた。

 

『奏夜!奴は空を飛べる!このままだとまずいぞ!!』

 

「そうだよな…。だからこそ…!」

 

奏夜には何か秘策があるのか、精神を集中させる。

 

「ふん、させるかよ!」

 

奏夜の企みを阻止するためにジンガが再び奏夜に接近するが、それよりも早く奏夜の体は光に包まれた。

 

「ぐっ…!」

 

その光に怯んだジンガは後退して距離をとる。

 

光が収まると、輝狼の鎧は金色だけではなく、黒の割合が多くなり、背中にはマントのような羽根が生えた。

 

そう。奏夜は、かつてジンガの部下である尊師を倒した時に変化した姿でもある 「天月輝狼」に再び変化したのである。

 

尊師の時と異なるのは、剣斗から託された盾を装備しているということだ。

 

鎧召還時も盾はそのままであり、この形態になっても、盾の形態は変わっていなかった。

 

「こいつか、あの尊師を倒したっていうのは…。面白い!!」

 

ジンガはかつて自分の部下を倒したと言われている力を目の当たりにし、それを粉砕しようと気持ちが昂っていた。

 

天月の力によって飛行能力を得た奏夜は、空中にてジンガとぶつかるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

上空で奏夜とジンガが激しい戦いを繰り広げる中、ジンガの衝撃波によって気を失っていたララが目を覚ましたのである。

 

「…ん…!」

 

目を覚ましてすぐに、激しく剣と剣がぶつかる音が聞こえてきたため、ララは上を見ると、鎧を着た奏夜とジンガが交戦していたのだ。

 

「そっか…。私、ジンガの攻撃で今まで…」

 

ララは、先ほどまで気を失っていたことに気付くのだが、それと同時に、自分の無力さを思い知る。

 

「ニーズヘッグの復活は私が阻止しないといけないのに、私は何も出来ない…!このままニーズヘッグが蘇るのを見てなきゃいけないの…?」

 

ニーズヘッグ復活の儀式は佳境に入っているからか、祭壇は強大な邪気にて守られており、並の攻撃では儀式の阻止は不可能だった。

 

接近して攻撃を試みるという選択肢もあるが、強大な邪気に包まれた結果、自身に何かが起こる可能性もある。

 

そのため、何もすることは出来ず、ララは立ち尽くすことしか出来なかったのだ。

 

その時である。

 

「ララ!無事か!!」

 

アミリを討滅した統夜が現れ、ララと合流する。

 

「あっ、統夜…。ということはアミリは?」

 

「ああ、この手で倒した」

 

「そっか……」

 

統夜の口からアミリが倒されたことを知るが、現状は予断を許さないのは変わらないため、安堵はしていなかった。

 

『統夜!こいつはまずいことになったぞ!』

 

「?どうしたんだ、イルバ?」

 

『俺たちはひと足遅かったようだ。ここまで儀式が進んじまったら、もう止める方法はないぜ!』

 

「俺たちは間に合わなかったのか…!」

 

ニーズヘッグ復活はほぼ確定だと知り、統夜は悔しさを滲ませる。

 

「…そして、奏夜はジンガと戦ってるか」

 

『どうやら、そろそろ決着がつきそうだな』

 

「そうらしい。その時は俺がすぐにフォローに入る」

 

統夜はいつでも奏夜の援護に入れるように準備を行っていた。

 

(それにしても、お前は自分の弱さという闇を受け入れることであの力を得たんだな。今の奏夜なら、きっと使いこなせるさ)

 

統夜もまた、様々な強敵を相手にした時に自分の鎧が様々な状態に変化したことがあった。

 

奏夜の天月の力もその一環だとわかっており、奏夜ならば力に飲まれることはないと確信していたのだ。

 

 

 

 

 

 

統夜がララと合流した頃、イルバの宣言通り、2人の戦いは決着がつこうとしていた。

 

「まさか、お前がここまでやるとは、楽しいねえ!如月奏夜!!」

 

「悪いが、俺はお前と違って戦いを楽しんでる訳じゃない」

 

奏夜はジンガの言葉に流されることもなく、毅然と言葉を返す。

 

「どうだかな。魔戒騎士は人間を守るために戦うみたいだが、そんなものは建前で、ただ純粋に戦いを楽しんでるだけだろう?」

 

「そんな魔戒騎士も確かにいるかもしれない。だが、俺は大切なものを守るために戦ってるんだ。誰かにとってはちっぽけなものなのかもしれない。それでも!俺はそれを守るために戦っているんだ!守りし者として!」

 

奏夜はジンガの言葉を否定するだけではなく、自分の本音を毅然とジンガに言い放つ。

 

「そんな綺麗事を!!」

 

魔戒騎士としての奏夜の言葉をジンガは全力で否定したいと思っているのか、怒りに満ちた表情で剣を振るう。

 

だが、そんなジンガの攻撃を奏夜は軽々と受け止める。

 

「何だと…?」

 

「少し前の俺だったら、きっとここまでのことは言えなかったし、お前の口車に乗ってただろうな。だが、俺は負けるわけにはいかないんだよ!多くの人を守るだけじゃない。穂乃果たちの大きな夢を守るために、ニーズヘッグは復活させる訳にはいかないんだからな!」

 

奏夜は度重なる強敵との敗北や、大切な盟友との死別を乗り越えてきたことで、魔戒騎士として大きな成長を遂げた。

 

ジンガの言葉に揺さぶられず、毅然とした態度をとれるのはその証拠でもあるだろう。

 

奏夜はジンガの攻撃を弾き飛ばすと、陽光剣でジンガを切り裂き、蹴りによる一撃でジンガを吹き飛ばした。

 

「ジンガ!これで終わりだ!!」

 

すかさず奏夜はジンガにトドメを刺すために、全身に橙色の魔導火を纏い、烈火炎装の状態となった。

 

「貴様ごときに負ける俺ではないわ!!」

 

ジンガは体勢を整えると、剣の切っ先に漆黒の炎を包ませていた。

 

ホラーになったことにより魔戒騎士の力は失われてはいるものの、それに近い力は残っていたため、ジンガは烈火炎装ではないが、剣に炎を纏わせることくらいは出来たのであった。

 

奏夜は素早い動きで陽光剣を一閃し、ジンガはそれを受け止める。

 

黒い炎と橙の炎は激しくぶつかり合い、2つの力は拮抗していた。

 

「ぐっ……!」

 

ジンガはホラーとしてはかなりの力を持っており、この一撃にはそれが込められていた。

 

そのため、奏夜はそんなジンガに押されそうになっていたものの、どうにか自身の全力にてそれを受け止めている。

 

「…!?奏夜とジンガの力は、互角!?」

 

上空にて、2人の攻撃が拮抗しているのを眺めていたララは驚きの表情を見せていた。

 

しかし、統夜は……。

 

「……いや、もう決着はつくさ。奏夜の勝利でな」

 

驚く素振りは一切見せず、奏夜が勝つことを統夜は確信する。

 

そんな2人が見守る中、奏夜とジンガの鍔迫り合いは今も続いていた。

 

「ぐぅぅ……!!」

 

「どうした!その程度か!?如月奏夜ぁ!!」

 

ジンガは渾身の力を込め、奏夜にトドメを刺そうとする。

 

しかし、そんなジンガに押されながらも、奏夜も負けてはいない。

 

「俺は…!絶対にお前を倒す!!穂乃果たちのためだけじゃない!!俺のために命をかけてくれた人たちのためにも!!」

 

奏夜は先輩騎士のテツや盟友の剣斗と、自分のために命をかけてくれた人がいたからこそこの場に立っている。

 

そのことを負い目に感じたりもしていたが、そのことこそが奏夜にとって大きな力をくれたのであった。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

奏夜はまるで獣のような咆哮をあげると、ジンガの攻撃を抑えるのに精一杯だった状況をひっくり返し、逆にジンガに迫る。

 

「ばっ、馬鹿な!!こいつ、ここまでの力を!?」

 

自分が奏夜に競り負けることが予想外だったのか、ジンガは驚きを隠せずにいた。

 

その驚きが大きな隙を作ってしまったのか、奏夜は陽光剣をそのまま振り下ろし、ジンガの体を切り裂く。

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

奏夜によって切り裂かれたジンガが断末魔をあげると、そのままニーズヘッグ復活のための祭壇の近くへと墜落した。

 

奏夜はその近くへ着地すると、鎧を解除する。

 

「…奏夜!」

 

戦いの決着を見届けたララと統夜が奏夜に駆け寄る。

 

「やったな、奏夜。ついにジンガのやつに一矢報いることが出来たじゃないか」

 

奏夜にとっては自分が敵わなかった相手と戦っての勝利だったため、統夜はそこを祝福する。

 

「ええ、そうですね…。そして、統夜さん。あいつは…」

 

「ああ、もちろんだ。お前の気持ちも受け取ってたんだ。何があろうと負けるわけにはいかんからな」

 

奏夜は、統夜が今ここにいる意味を察しており、統夜は簡単にアミリを倒したことを報告した。

 

『お前たち、ゆっくり話をしてる場合じゃなさそうだぞ』

 

『ああ!まだ終わりじゃないぜ!!』

 

キルバとイルバがそれぞれの相棒に警戒するよう促すと、ジンガが墜落したことによって発生していた煙が晴れてきた。

 

そこから姿を見せたのは、未だに無傷の祭壇と、奏夜の一撃を受けてボロボロになった、人間態のジンガだった。

 

「こいつ…!まだ生きていたか!!」

 

奏夜としては、ジンガを斬った時に手応えは感じていたため、ボロボロでありながらもジンガが生きていたことに驚きを隠せなかった。

 

「俺は、そう簡単には死なんさ…!俺の怒りは、そんな簡単に消えるものじゃないからな……!!」

 

ボロボロのジンガをここまで突き動かしていたのは、家族を奪われたことにより、この世界に対して向けられた止めどのない怒りである。

 

「まさか、俺がお前如きに遅れを取ることだけは予想外だったがな…!それでも、まだ俺の想定内だぜ…!」

 

「なんだと…!?」

 

ジンガの放った言葉がただの強がりに見えなかったからか、統夜は鋭い目付きでジンガを睨み付ける。

 

「俺が復活させようとしているニーズヘッグを突き動かしているのは怒りなんだよ…。俺もこの世界に対して怒りを抱いている。俺自身がニーズヘッグ復活の核となることで、ニーズヘッグは完全に復活するんだよ…!!」

 

なんと、ジンガは自らの身体を差し出すことによって、ニーズヘッグを完全に復活させようとしていたのだ。

 

『そうか…!確かに、ニーズヘッグの核となるのは、怒りの陰我が満ちたゲート。奴がそのゲートとなることで、完全な形でニーズヘッグを蘇らせるつもりなんだ!』

 

イルバが、ニーズヘッグ完全復活のための仕組みを説明したことで、奏夜たちは驚きを隠せずにいた。

 

「なるほどな、怒りの権化とも言われているほどのホラーだ。怒りの感情がゲートになるというのは合点がいくぞ」

 

「そうですね…」

 

統夜と奏夜は、驚きながらも、ニーズヘッグ復活の仕組みを冷静に解釈する。

 

「そして今!!全ての準備が整った!!俺がこいつと一体化し、ニーズヘッグは復活するのだ!」

 

どうやら、祭壇には完全に力が蓄えられてしまったようであり、今まさにジンガはニーズヘッグを蘇らせようとしていた。

 

「っ!?させるかよ!!」

 

統夜はジンガを祭壇へ近付けないように接近するのだが、ジンガは祭壇のすぐ近くにいたため、間に合わなかった。

 

ジンガが力の蓄えられた祭壇に触れると、そこに奉られていた2つの魔竜の眼と魔竜の牙がジンガの体内へと吸い込まれる。

 

すると、ジンガの体を包み込むかのように魔法陣が現れると、ジンガはその魔法陣の中に吸い込まれていった。

 

『奏夜!その魔法陣は真魔界へ繋がっている!その中へ入り、ニーズヘッグを止めるぞ!!』

 

『統夜!もうニーズヘッグは復活したも同然だ!キルバの言う通り、中に入って直接奴を叩くしかないぜ!』

 

ニーズヘッグが完全に復活しようとしている今、直接ニーズヘッグを討滅するしか方法がないため、キルバとイルバはこのようにそれぞれの相棒へ伝える。

 

「この魔法陣は真魔界へ繋がってるっていうなら、私がこいつを抑えるわ!だから、2人はニーズヘッグを!!」

 

「ありがたい!頼んだぞ、ララ!」

 

「任せといて!これが私の今やるべきことなのだから!」

 

「ララ!こいつを片付けて音ノ木坂に戻ろう!穂乃果たちのこれからを見守るために!」

 

「当然!だからこそ、必ず生きて帰るのよ、奏夜!!」

 

こうして、ララが真魔界へ繋がる魔法陣が閉じないよう努め、その隙に奏夜と統夜が真魔界へ乗り込むことになった。

 

「奏夜行くぞ!ニーズヘッグを倒すんだ!」

 

「はい!統夜さん!!」

 

統夜と奏夜は同時に魔法陣の中へ入り、その身体は吸い込まれる形で真魔界へと入っていった。

 

「さあ!頼んだわよ、2人とも!私はこの命を賭けてもあなたたちの退路を守ってみせるわ!それこそ、魔竜の眼を渡して封印を解いてしまった私の贖罪だもの!!」

 

ララはララで覚悟を決めており、魔法陣を閉じさせないように法術にてこの魔法陣を強制的に開いたままの状態にする。

 

これから徐々に魔法陣は閉じようとするため、その時にララにかかる負担はかなりのものになるだろう。

 

しかし、ここの魔法陣が閉じられてしまえば、統夜と奏夜は真魔界から出られなくなってしまう。

 

ララは、自分が魔竜の眼の封印を解いたことも気にすることなく、自分を信じてくれた奏夜や統夜のために力を使う。

 

それがララ自身を奮い立たせていたのだ。

 

奏夜と統夜が魔法陣の中に入り、真魔界へ突入してすぐのことであった。

 

力を蓄えた2つの魔竜の眼と魔竜の牙をその身に宿したジンガであったのだが、ジンガの身体から禍々しいほどの邪気が放たれると、ジンガはその邪気に包まれていった。

 

そして、その邪気は大きな身体へと姿を変えており、漆黒の竜へとその姿を変えていた。

 

この竜こそが、怒りの権化とも言われている邪竜ホラー、ニーズヘッグの真の姿であったのだ。

 

『感じる…感じるぞ……!我の眠りを覚ました、このホラーの若造の底の見えない怒りが…!そうだ…!この感じだ……!!』

 

禍々しいほどの邪気を放つ漆黒の邪竜は、自らが取り込んだジンガの怒りの感情を感知し、その怒りに同調していた。

 

ニーズヘッグはかつては今の魔導輪のように人間に力を貸していたホラーの一体であったのだ。

 

しかし、ニーズヘッグをここまでの怒りの権化へと変えたのは、自身が力を貸すと決め、信じた人間の裏切りがあったからだ。

 

ニーズヘッグには、かつて友と呼べる竜のホラーがいたのだが、当時の魔戒騎士や魔戒法師は、卑劣な策略によってそのホラーを消滅させてしまう。

 

信じていたものに裏切られ、大切なものを失う。

 

そのことに絶望したニーズヘッグは憎しみに支配され、怒りの権化と呼ばれるほどの邪気を持つホラーとなってしまったのだ。

 

ジンガの怒りに触れたニーズヘッグは、その時の感情を思い出し、人間に対して更なる憎悪を抱いていた。

 

こうして、ニーズヘッグは真魔界にて復活を果たし、奏夜と統夜は、そんなニーズヘッグを迎え撃とうとしていたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……続く。

 

 

 

 

 

 

 

──次回予告──

 

『怒りに満ちた漆黒の邪竜。だが、その怒りを金と銀の輝きで包み込む。次回、「聖光」! その怒りの邪気、切り裂く刃となれ!!』

 




奏夜は魔戒騎士としてかなり成長したことがわかる回となりました。

過去に交戦経験はあるものの、手も足も出なかったジンガ相手に互角の戦いをみせるほどだし。

ジンガの飛翔態と天月輝狼の対決となりましたが、ここは取り入れようと考えていました。

そんな中、ついに復活してしまったニーズヘッグ。

統夜と奏夜の2人が相対することになりますが、怒りの権化とも呼ばれる強大なホラーを2人は倒すことは出来るのか?

それでは、次回をお楽しみに!

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