そろそろいい加減に書ききりたいと思いますですます。
賑わう繁華街の中を一人の男が歩いていました。
男は見た目青年と言える歳でしょうか。
片手に持つ端末にはパンケーキの店とその地図が載っていました。
キョロキョロと慣れない道を見回しながら進みます。
「……ん?」
ふと足が止まりました。
何かが聞こえた気がしました。
ですが振り向いても流れる人々がいるだけで何もありませんでした。
「……?」
気のせいかと、道を進みだしました。
「ごめんなさい」
「……なっ」
向かいのテーブルに座る彼女が頭を下げて単調にそう言いました。
「……ここは私が持つから、もう、連絡してこないでね……さようなら」
「なっ、まっ!」
席を立って、レジへと向かう彼女を追ようとするとテーブルに膝と腰をぶつけました。
食器が落ちて割れました。
「あっ! 大丈夫ですか!?」
店員が駆けつけてきました。
「あ、すいません! あ、えっと……!」
彼女を目で追うと、店の扉に手をかけた所でした。
店員にもう一度謝って、店を飛び出しました。
見回してもそこに人はいませんでした。
正しく言えば彼女はいませんでした。
兎に角駅へと向かいました。
走って。
その時でした。
向かいから1台のバイクが、走ってきました。
彼女のコートを載せたバイクが。
「…………」
振り向いて見ると、既に遠い彼女は誰かの腰に手を回していて、そのうち見えなくなりました。
その日の夜は酷いものでした。
堂々と酒を飲めるのならどれだけよかったでしょう。
何も出来ずに泣き叫び、気づいた時には眠りについていました。
その筈です。
その筈でした。
なのに――――どうして私はこんな場所にいるのでしょうか。
まるで教室の様な部屋、いえ、ここは教室でしょう。
机の類は見当たりませんが。
ロッカーのみがあるだけでした。
「どこだよここ……」
教室らしい部屋にはスリガラスの窓から光が差し込んでいるだけでした。
扉に手を掛けるとすぐに硬い手応えに変わりました。
鍵がかかっているようです。
「……はぁ?! どーなってんだよ……」
まさかこんな事があるのでしょうか。
ゲームの様です。
しかしよく考えると、これは夢だということがわかりました。
こういう時って、ロッカーを開けるのが得策でしょう。
三つのロッカーのうち二つは鍵がかかっていました。
ですが鍵穴がついてないところを見ると扉が壊れているのでしょうか。
空いている扉に手をかけ、引き開けると。
「…………なんだこれ」
緑に赤が混じったような、血のような色をした服がありました。
手に取ると、ポンチョの様な、マントのような布と、生地の暑く、硬い服とズボンとブーツ。
まるで異世界の戦闘服の様な。
「…………嫌な予感だよな」
夢にしては、あまりにもリアルです。
取り敢えずブーツと服を身につけるとポケットに何かが入ってました、見ると鍵が入っていました。
教室の鍵でしょうか。
急いで鍵を挿して回すと、音を立てて鍵が解けました。
外に出ると、空が赤と黄色の空が、そこにありました。
「…………さすがだよな」
なんてことを呟くと隣の方に気配を感じました。
「…………っ!?」
心臓が止まるかと思いました。
ミッドナイトブルーの俺と同じ服を着た女の子が、そこにいました。
「…………誰?」
「……え?」
「……貴方」
落ち着いた様子の彼女は私を見て言いました。
「え、あ、りょーがって……いいます」
物怖じしました。
割と美人と言うか、可愛い人でした。
「私は、なつ」
「……」
それだけでした。
「こ、ここはどこ?」
「わからない」
お手上げでした。
「……取り敢えず出ないか?」
夢だというのになんだと言うんでしょうか。
けれど、何故だがそう言っていました。
「ん」
と言うとそのまま固まりました。
先に歩けということでしょうか。
廊下を歩けばここが学校だという事がわかりました。
と言うことはこの先に階段はあるでしょう。
「……そう言えばそれは何?」
彼女の腰を指さして言いました。
厚みの薄く、幅の広い何かの入れ物とそれから見えるグリップ。
所謂、刀とか剣とかでしょうか。
「……ロッカーに入ってたから」
「……入ってたっけ」
入ってたらしい。
その時でした。
空を重く鈍く裂きました。
後ろから爆風と熱風が爆音が飛んできました。
「うおっ!?」
「ひゃっ!?」
転びました。
そして、俺はなつという彼女に目を向けました。
「……っ!」
睨まれました。
苦笑いを返すと、2人は前を向きました。
お互いに謎の余裕がありました。
窓から外を覗くと、一人の女性がたっているのが見えました。
ただ違うのはその右肩に緑の筒を担いでいるところでしょうか。
「……カールグスタフ?」
「え?」
なつがそう返しました。
「いやあの筒……」
その先は続けられませんでした。
カールグスタフは謎のコッキングレバーを引くとまたその筒から火炎を吐き出しました。
――――2発だと!? どうなってやがる!?
とにかく隣にいた彼女を抱く、と言うより引っ張るというか投げるに近い要領でその場から2人共々崩れていない方へと転がりました。
半回転もすれば背中を炎と爆風が撫でました。
「ぐっ……」
普通なら動けない程のダメージだとそう思いました。
榴弾の炸裂を5m程の距離でその身に受けたのです。
まだ息をしているのはその榴弾の中に鉄の玉やら釘やらが入っていなかった事です。
しかし、なんでまだ生きているのでしょう、それどころかなぜ……。
「痛くない……?」
振り返ってみても無惨な程に瓦解した廊下とそれに縋る炎があるのみでした。
「うう……っ」
視線を戻すとすぐ側に彼女が居ました。
「うおっ……ん?」
「ぐっ……」
どうやらに身体を打ち付けた様です。
あの爆発です無理もありません、そもそも死んでもおかしくないのですから。
「……っ」
瓦解した廊下の壁からチラッと外を、もっと言えば校庭を覗きました。
「…………」
ボソッと何事かを呟くとカールグスタフを下ろし砲撃魔はその場から立ち去りました。
「行ったか……おい、立てるか?」
「ぐぅぅ……」
どうやら聞こえていない様です。
泣かないのは凄いと思いますが。
「……仕方ないか」
倒れる彼女の脇に腕を通して出来るだけゆっくりと素早くその小さな身体を抱き起こします。
けれど、俺は急救命士でもメディックでも無いのでそんな見本の様な救助は出来ないのですが。
「つっ……」
ガクンと彼女の上半身が折れました。
死んだのかと思いました。
聞こえていないと言うより気絶している様でした。
「…………はぁ、仕方ない仕方ない」
右腕で抱き抱えてる身体の腰に肩を当てて、左腕で足をすくい抱き抱えました。
両腕にズシッとした重みが伝わりました。
「いや、重いわ……」
気絶した人間は普段抱えた時の体感重量の何倍になるのだったか。
ただでさえどれだけ軽かろうと40キロはある人間は重いと言うのに。
早くおろしたいところですが高さ的にここは2階ですので保健室何てものはありはしないでしょう。
そもそも教室には鍵がかかっているでしょう。
「……夢だしどうにかなりそうだけどな」
もう腕が悲鳴を上げつつあります。
「……教室に戻るか」
瓦解した廊下を振り返ると渡るには危険な匂いがしました。
窓は格子のない吹き抜けへと変わり吹き飛んだ壁が大小様々な大きさの瓦礫へと変わっていました。
床が無事なだけ奇跡的でした。
「……人抱えては無理だな」
そんな事は火を見るより明らかでした。
「背負って下まで行くか……」
ここで一つ問題が起きました。
下ろしてどうやって傷ついた人間を背中に背負うかと言う問題でした。
Thank you for reading……。