はいふりっ! 今日の晴風クッキング!   作:プレリュード

5 / 8
第5話 砲術長とカレー!

 

 こんにちは、伊良子美甘です!

 お昼ごはんが終わって、みんなが食べたあとの食器をすべて洗わなくちゃいけないから大忙しです。私のお仕事はご飯を作るだけじゃないんですよ。

 

 スポンジに洗剤をたらして泡立てて。ひとつひとつ、ていねいに洗っていくと思いのほかに時間がかかるものなんです。

 

「ふぅ……」

 

 手を拭いてひと息。ほっちゃんとあっちゃんが席を外しているから、やっぱり結構かかっちゃいました。

 

 それで、です。さっきからすごく熱い視線を感じるんですけど……

 

「ど、どうしたのタマちゃん?」

 

「うぃ」

 

「ごめん、わからないや……」

 

 『うぃ』だけではさすがにちょっとわかんないです……。というか、艦橋にいなくていいんでしょうか。いや、たしかに今は経済速度で航行しているだけだからひとりくらい外れても問題ないのかもしれませんね。

 

「……カレー」

 

「ふぇっ?」

 

「金曜日は、カレー」

 

「…………あっ!」

 

 金曜日のカレー! そうです、金曜日にはカレーを夕食に出すのが晴風では習慣です。でも大変なことに気づいちゃいました。

 

 仕込みを忘れていたんです。

 

「ど、どどどうしよう!? 今から作ると煮込みの時間がたりないっ!」

 

「カレー、なし……?」

 

 この世の終わりだと言うくらい悲しそうな声色でタマちゃんが言いながらうなだれてしまいました。

 でも今から作れば、満足いく仕上がりのカレーとはほど遠いものになってしまいます。

 

「な、なんとかしなくちゃ……」

 

 少なくともひとり、カレーを待っている人が目の前にいます。それなのに今日はカレーなし、としてしまうわけにはいきません! 主計科のプライドにかけてそれだけはなんとか阻止しなくちゃいけないんです!

 

「よし! 今からなんとかしよう!」

 

「うぃ?」

 

「お願いタマちゃん、手伝って!」

 

 両手を合わせて拝みます。今は時間がないから少しでも人手が欲しいんですよ。

 

「カレー、作るの?」

 

「うん。時間をかけずに作れる煮込まないカレーだよ」

 

「煮込まないカレー?」

 

「そう! これなら時間をかけずにできるから今からでも間に合うよ!」

 

「なら、手伝う」

 

「ありがとっ! じゃあ作るよ!」

 

【炒めるだけ! ドライカレー】

材料(4~6人分)

・豚ひき肉(合い挽きでも可) 200g

・なす 中4個

・玉ねぎ 1個

・ピーマン 2個

・トマト 中1個

・にんにく 1かけ、もしくは半かけ

・しょうが 1かけ

・オリーブオイル おおさじ2

・カレー粉 大さじ2

・塩 小さじ1/3

・こしょう 適量

・水 100cc

・顆粒コンソメ 小さじ2

・ソース(中濃orウスター) 大さじ2

・ケチャップ 大さじ3

・ガラムマサラ 小さじ⅓(なくてもOK)

 

 

「なにを、すればいい?」

 

「タマちゃんはまず、玉ねぎとピーマンを7~8mmくらいのみじん切り、トマトをざく切りにして。私はにんにくとしょうがをみじん切りにしちゃうから」

 

「うぃ」

 

「うん、そんな感じ、そんな感じ」

 

 なすはフライパンに入れる直前に切るから、まだ切らないでください。にんにくとしょうがはけっこう細かく切ってしまって大丈夫です。

 その間に手早くしょうがとにんにくをみじん切りにしたら、水から下の材料(水、顆粒コンソメ、ソース、ケチャップ、ガラムマサラ)をぜんぶ混ぜ合わせちゃいます。すぐに使うわけではないので、別の器で混ぜたらそのまま置いておいてくださいね。

 

「できた」

 

「そしたら、フライパンにオリーブオイルを入れてあっためたら、刻んだにんにくとしょうがを炒めながら、挽き肉をほぐしていくよ」

 

 にんにくとしょうがを炒めて、すこし香りがしてきたら挽き肉を入れてください。ただし、あんまり火を入れすぎちゃうとにんにくから苦味がでてくるから気をつけましょう。

 

「挽き肉がパラッとしてきたら、玉ねぎを入れて炒め続けて。それで、適当に火が入ってきたらなすを1cm角に切ってから入れて、お塩とこしょうを加えたらしんなりするまで……」

 

「炒める?」

 

「そう!」

 

「しんなりしてきたら?」

 

「そしたらカレー粉とさっき合わせた調味料を投入して混ぜ合わせて。ここできれいに混ぜないと、一部だけ味が濃かったり、薄かったりとムラが出ちゃうからしっかりとね」

 

「うぃうぃ」

 

 どうにも掴みづらいです。たぶん『うぃ』はうん、とか了解、とかそういう意味なんでしょうけど。

 でもよほどカレーが好きなんでしょうか。さっきからすっごく一生懸命です。うわさによると2週間、3食をカレーで過ごしたらしいですけど、はたして本当なんでしょうか。私がそんなことしたら、体がカレーになっちゃいそうです。

 

「次」

 

「えっ?」

 

「次は、どうする?」

 

「え、えっと……そう! トマトとピーマンを入れて味が馴染むまで炒めたら、カレー粉とかお塩で好みの味に調節して完成だよっ」

 

 どこにでもあるもので作れて、しかも時間がかからないんです。どっちかっていうと、日本のカレーよりもインド系のカレーに近い感じになるかもしれませんね。

 

「これ、カレー?」

 

「あはは。まあ、いつものカレーと比べるとちょっと違う感じがするよね」

 

 でもご飯との相性はいいんですよ。しょうがが体をポカポカにしてくれますし、味のしみたなすもとってもおいしいんです。

 

「ほら、とにかく食べてみてよ」

 

「うぃっ」

 

 ほかほかのご飯にドライカレーをかけてタマちゃんに差し出します。スプーンを握りしめてご飯とドライカレーを一緒にすくって、ぱくっと口に運びます。

 

「っ!」

 

 わぁ、心なしかタマちゃんがキラキラしてます。スプーンを動かす速度が早くなってきたのを見ると、気に入ってもらえたのかもしれません。

 

ちなみに一工夫して、出来上がったドライカレーを食べる直前に目玉焼きとかを落としても合いますよ! 味はカレーですから、カツカレーみたいにしたり、ピザチーズを入れてみたり。

 

「辛さはだいじょうぶ?」

 

「うぃ」

 

「ならよかった!」

 

 カレー粉やガラムマサラ、しょうがの量で辛さは調節できるので、辛いのが苦手な人は少なめに、辛いのが好物な人は多めに入れてください。ただ、増やす場合は味の様子を見ながらにしないと、ものすごく辛くなっちゃうから注意してくださいね。

 

 そしてこのドライカレー、冷凍して一週間くらいならとっておけます。作りすぎちゃってもそんなに長くなければまた今度に食べることができるから一人暮らしの人とか楽ですよ。

 

「ちなみにトーストに乗せて焼けば、カレーパンみたいになるよ」

 

「おかわり」

 

「え、もう!?」

 

 タマちゃん、まさかのスピードです。これは本当に2週間カレー生活のうわさが信憑性を帯びてきました。

 

 でも気に入ってもらえたなら今夜の金曜カレーはこれでだいじょうぶそうです。それに、たまにはちょっと違うカレーでもいいよね?





はい、今回はタマちゃんでした。
で、ひとつ謝罪を。だいぶ更新に間が空きましたが、実はこの原稿、先週の土曜日に完成していたんですよね。ただ純粋に金曜カレーに合わせたかっただけなんです。
そして投稿処置をかけて思ったんですが、タマちゃんに「うぃ」って言わせすぎた感がすごいですね。反省します。
でもタマちゃんかわいくない? 個人的にはみかんちゃんの次くらいに好きです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。