はいふりっ! 今日の晴風クッキング!   作:プレリュード

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第7話 医務員の好物!

 

 こんにちは、伊良子美甘です!

 最近はミーナさんに合わせて洋食系が多かったから、今日は和食系にしようかと思っているんです。けどなんでもいいっていうわけじゃないんです。ミーナさんが食べれるようなものにするなら納豆みたいなクセのある食べ物はやめたほうがいいだろうし……。

 だから一般的で、万人受けするお料理を今夜のメニューにしようと思っているんです。今はその準備をしているところなんです

 

「失礼」

 

「うひゃあ!」

 

 急に後ろから声をかけられて飛び上がっちゃうほど驚きました。振り返ると小首を傾げている鏑木美波さんがいます。

 

「ど、どうかしたのかな?」

 

「お湯を分けて欲しい」

 

「お湯?」

 

「医務室にある電気ポットの調子が悪い。だからお湯を分けて欲しい」

 

「いいけど……お茶でも飲むの?」

 

「茶腹も一時」

 

「えっと、ごめんね。私、わかんなくて……」

 

 美波さんはいつも難しい言葉を使うから、たまにわからない時があるんです。艦長とかはわかっているみたいですけど、さすがに私にはちょっと難しすぎます……

 でもすぐにどういうことなのかわかりました。小さくお腹の鳴る音が美波さんから聞こえたからです。

 

「茶腹も一時……つまりいっときのごまかし」

 

「そういう意味なんだ。じゃあ、ちょっと待ってて。すぐに作っちゃうから。今夜は肉じゃがだよっ!」

 

「肉、じゃが……」

 

 ぱあっと美波さんの表情が明るくなります。大きく表情が変わっていることはないが、どこか嬉しそうです。

 

「もしかして好物だったりする?」

 

「……肉じゃがはタンパク質もビタミンもでんぷん質も摂取できる万能食。非常に医学的に考えても良い献立だと考える」

 

「う、うん。そうだね……」

 

 こんなにしゃべる美波さんは初めて見ました。ちょっと美波さんの頬が紅潮しています。

 

「じゃあ作っていきましょう!」

 

 

 

【王道を征く! 肉じゃが】

材料(2人分)

・じゃがいも 大2個

・牛肩ロース切り落とし肉 150g

・玉ねぎ 半個

・にんじん 半分

・さやいんげん 15g

・塩 少々

・サラダ油 大さじ1/4

煮汁

・砂糖 大さじ1

・みりん 大さじ1

・酒 大さじ1

・しょうゆ 大さじ4

・水 1カップ(200g)

 

 

 

「さっそく作っていくよ! じゃがいもは一口大に切って水に6〜7分にさらしていくの」

 

 玉ねぎは縦半分に切って6〜8つのくし切りに、そしてにんじんは乱切りにします。さやいんげんはヘタを取ったら塩を入れた熱湯に。1分から2分ほど茹でたら水にとって半分に切ります。

 

「意外と難しい……」

 

「普段からやっていなければそんなものだよ。でも、できたほうが将来的にはいいと思うし、頑張って!」

 

「やってみる」

 

 そうそう、その調子です。私も包丁を初めて握った時はぎこちなかったんです。すぐにできる人はいません。だからこれは繰り返して使っていくしかないんです。

 

「切れたらお鍋にサラダ油を引いて熱したら、強火で牛肉を炒めていくよ」

 

「鍋底に肉が張り付く」

 

「そういう時はお鍋を火からはずしてふきんの上で一回、冷ますといいよ!」

 

 たぶん牛肉からそんなに油が出なかったことが原因です。こればっかりはお肉の問題になっちゃうから仕方ないですけど。お肉がくっついちゃう量が少なければそこまで気にすることじゃないんですけどね。

 

 牛肉の色が変わったら、水を切ったじゃがいもと、にんじんを加えて火を弱火にして炒めましょう! 焦げないように慎重に炒めてくださいね。

 じゃがいもの油が回ったら、お水を注いで強火で煮立てます。アクが浮いてきたら、網じゃくしとかで、取り除いてください。ぜんぶを一生懸命になって取る必要はありませんよ。

 

「次は?」

 

「て、手際いいね……次は中火にして砂糖、みりん、お酒を入れて」

 

「わかった」

 

 甘みは染み込みにくいから早めに入れるんです。それから塩気、って手順は決まっているものなんですよ。

 2、3分くらい煮込んで調味料が馴染んだら玉ねぎを加えて、玉ねぎにも火を入れます。

 それにしても美波さん、本当に手際がいいです……。これで初めてお料理をしたのなら相当ですよ。ちょっと嫉妬しちゃいます。

 

「どうかした?」

 

「ううん、なんでもないよ! 美波さん上手だなって思ってただけ」

 

 お料理の初心者とは思えません。手先が器用なだけじゃなくて分量を計ってお鍋に入れるスピードも、とってもはやいです。よくわかんないですけど、調剤の作業と似てるところがあるんでしょうか。

 

「次を」

 

「あ、次はしょうゆを入れてきれいに混ざったら落としぶたを落として中火で15分くらい煮込むの」

 

 落としぶたはアルミホイルか、クッキングペーパーで作っても大丈夫です。

 落としぶたは煮崩れを防いだり、まんべんなく味を染み込ませることができるんです。だから煮物を作る時は落としぶたをするんですよ。

 

「そしたら煮汁が⅓くらいまで減っていもがほっくりしてくるまで待ってね」

 

「人事を尽くして天命を待つ」

 

「だいじょうぶだよ。絶対においしくできるから!」

 

 ちゃんとした分量を計って一生懸命に作れば、おいしくならないはずがありません!

 

 それにしても美波さんが手伝ってくれるなんて珍しいです。いつも医務室にいるからなかなか顔を合わせる機会が少ないっていう理由もあると思うけど、それでもあんまりお話する人じゃないなって思ってました。

 

「同じ主計科。気軽に話しかけてくれていい」

 

「ふぇっ? ……もしかして声に出てた?」

 

「出てない。なんとなくわかっただけ」

 

 そんなに顔に出やすいんでしょうか、私は。でもよくわかりやすいって言われるような……

 でも、まさか表情から考えてることまで当てられるなんて思いませんでした。美波さん、エスパーなんでしょうか?

 

「煮汁が減ってきた」

 

「どれどれ? ……うん、これくらいならいいかな。そしたら強火にしてお鍋を傾けたら2、3回くらい大きく返して」

 

「ん。これくらいの塩梅?」

 

「そうそう。そしたらいもが煮崩れる前にさやいんげんを入れてさっと火を入れたら完成!」

 

 あんまり火を入れすぎると、さやいんげんの色が悪くなっちゃうから気をつけてくださいね。

 

「じゃあ、ちょっと食べちゃおっか」

 

「夕食はまだ」

 

「うん。だから味見だよ?」

 

 味見は作った人の特権です。だから私はいつもおいしいか味見してるせいで、晴風クルーの誰よりも食べてることになるわけで……。あは、あははは……はぁ。

 

 気を取り直してっと。ふたつ器を用意したら、さっと盛り付けて片方を美波さんの前に差し出します。

 

「いただきます!」

「いただきます」

 

 じゃがいもには、牛肉から出た旨みと甘辛い味がしっかりとしみてほくほく。にんじんは、そのものが持っている甘味が引き出されています。視覚的にも、さやいんげんの緑とにんじんのオレンジが目に鮮やかだから、彩りになります。

 

 和食の王道、肉じゃが。栄養バランスもばっちりだから、メインに据えてもよし、小鉢ものにしてもよしです!

 

「味、どうだった?」

 

「問題ない。じゃがいもの味もいい。味付けも濃すぎず、薄すぎずでいいと思う」

 

「そっか。よかったよ!」

 

 これで安心してみなさんに提供することができます。やっぱり自分の感覚だけじゃなくて、他の人の感想もあるといいものですね。

 美波さんは素直に感想を言ってくれるから助かります。おんなじ主計科だし、これからはもっと美波さんに話しかけてみようかな。





深夜の更新ですが、そんなわけで今回の更新は超絶天才ロリっ子医務員こと鏑木美波さんと彼女の好物である肉じゃがです。かなり書きながら口調があっているか不安だらけですが問題なかったでしょうか。

そして今回の話は蒼乃翼様からのリクエストに答えさせていただきました! クオリティとしては少しばかり心もとない出来でしたが、楽しんでいただけたのならば幸いです。

それでは次がいつかはわかりませんが、その時まで!
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