「・・・おじいちゃん、私コーヒーの匂い大好きです、緑茶とハーブの匂いも
素敵です
・・・でも最近安心する匂いが増えたみたいです、 だけど硝煙と溶剤の匂いは苦手です・・・」
◇◆◇◆◇◆
歌いながら真樹はラビットハウスへ向かう。
「 こんちはー」
真樹が店内へ入ると、聞き慣れない声で
挨拶をされた。
「あ、いらっしゃいませー」
「あれ?」
其処には見知らぬ女の子がいた。
(店間違えたかな?)
するとカウンターには、もう一人知らない子がいた。
「チノー このモコモコしたの可愛いなっ!、倒したら経験値上がりそう!」
(よく見たら二人の制服着てるし・・)
「マヤさん、ティッピーを返してください」
奥からチノちゃんも出て来る。
「こんちは、チノちゃん」
「あ、真樹さん」
「この子らは誰だい?」
「二人は私のクラスメートです」
「マヤだよ!」
「メグです〜」
そんな二人の自己紹介が行われていると
「・・誰?!もしかしてリゼちゃん?!こんなにちっちゃくなって・・・」
ココアがやって来てマヤに駆け寄る、
どうやらリゼさんの制服を着ていたのでよく分からない勘違いをしたようだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「えっと、ココアさん・・・」
「私の事はお姉ちゃんって呼んでね」
「気にしなくていいので・・」
「チノちゃん羨ましいなー、こんな優しそうなお姉さんと一緒に暮らせて」
「お料理も上手い・・・!どうしてこんな素敵な人って教えてくれなかったの?!」
「ココアさんはパンしかまともに作れないんですよ?!」
◆◇◆◇◆
「すまない!部活の助っ人に駆り出されて・・・!」
そう叫びながらリゼがやってきた。
するとココアがマヤとメグを抱き寄せ、
「私の新しい妹です♪」
「状況がよくわからないが、よくわからない嘘をつくな」
◆◇◆◇◆◇
「おぉー、戦車だ!」
マヤはカウンターの隅に置いてあるプラモデルに興味を示した。
「それはね、マサキくんが作ってきたんだよ!」
「ヘェ〜!凄いじゃん!」
「カッコいい戦車だよね!」
そう言いながら[マルダー2]を見ながら話していた。
それを見ていた真樹は・・・
(それは戦車では無い!!それは自走砲でだな!)
何か言ってやろうとウズウズしていたが、そこにリゼがやってきて肩に手を置いた。
「真樹、普通の人には戦車と自走砲の違いなんて分からないぞ」
「ぐぅぅ」
◇◆◇◆◇
「ねぇ!パン祭りをしようよ!」
ココアの提案により、今度の土曜日にラビットハウスでパン祭りを行うこととなった。
「と言うわけで、これからチラシを作るよ!」
現在ココアはやたらと張り切ってチラシを描いている。
因みにリゼさんはチラシ配り担当、
自分はチラシの印刷担当だ。
しばらくした後・・・
「真樹くん!チラシ出来たよ! 印刷お願い!」
「ギョイギョイー(御意)」
そういうと真樹はココアからチラシを取ると、プリンターへ向かった。
「どれ、どんな感じ?」
真樹はチラシを眺める。
「うぇるかむかもーんだってw」
とだけ言って鼻で笑いながらプリンターにかける。
(うおォン 俺はまるで人間印刷所だ)
ラビットホースと書かれたチラシはどんどん刷り上がっていく。
「よし、出来た」
それをリゼさんが配る籠に入れる。
「それじゃあ、配りに行ってくる」
そう言ってリゼさんは出かけた。
◇◆◇◆◇◆◇
その後はココア、チノと一緒に、仕事とパン祭りの仕込みを行なっていたのだが、突然余ったチラシを見ていたチノが
何かに気付いた。
「ココアさん、ラビットハウスのスペル間違ってます、 これハウス(家)じゃなくてホース(馬)です。」
「やっちゃった!」
「真樹さんもしっかり確認してください。」
「すんません・・」
「あっ! 看板に馬を付けたら解決!」
「しませんよ」
「こうしちゃいられん! 早く回収しにいくぞ!」
「急がないと私のうっかりが知れ渡る!」
店をタカヒロさんに任せ、三人はチラシ回収の為に外に飛び出した。
◇◆◇◆◇◆
その後リゼの元に行き、何とか回収できたと思った矢先に強風でチラシが飛ばされ、回収作業に奔走する事となる。
◆◇◆◇◆
翌日・・・・
パン祭りは無事成功した、自分が作ったドムパンのジェットストリームアタック
セットも無事売れてよかった。
「千夜ちゃん、今日はパン祭りに来てくれてありがとね」
「無事に成功して良かったわね」
我々は千夜を家まで送ったついでに、来れなかったシャロにお裾分けする為にパンを持っていた。
「なぁ千夜、シャロの家知らないか?」
「今日来れなかったからお裾分けしたいんだよ」
(マサキの紙袋には目玉として作ったがキモくて売れなかったアッザムパンが入っている)
「きっと赤い屋根の大きなお家に住んでるとおもうんだー」
などと勝手に色んなことを言っている最中・・・
千夜の店の隣にあった物置からシャロが出て来た。
◇◆◇◆◇
「千夜ちゃん家の物置からシャロちゃんが出て来た」
ココアはすらっと言ったが、当のシャロは顔を真っ赤にしており、マサキとリゼ、チノは若干顔が青くなっていた。
(((もしかして私(自分)達は大きな勘違いをしていた・・・?)))
「い、今まで勝手に妄想を押し付けを・・・、おっ、お嬢様とか関係なく私の憧れなのでっ!」
(気遣わせちゃってる)
「ところでシャロちゃん家はどこ?」
この流れでココアのこの発言、マサキは思わずココアの頭を疑う。
(コ!コホォーー!!(ココアの奴まだ気付いてないのか、あのアホォー!!))
「この物置よ!!!」
シャロも堪らず大声で叫んでしまった。
◇◆◇◆◇
今日は無事にパン祭りが終わって良かった。
私は部屋に戻り、電気をつける。
ベットの上の棚には銃を背負ったワイルドギースが置いてある。
最初はぬいぐるみに銃を背負わせる事が、おかしい趣味だと思っていた。
が、やって来た真樹は明らかに人肌が多い女の子のプラモデルに銃を背負わせていたのだ。
(・・・意外と、言うほど気にすることでもないのかな)