ゴチウサ 怒りのパン製作
「今日はドライイーストを使うよ!」
「ドライイースト!? 食べて大丈夫なんですか?!」
「ドライイーストは酵母菌なんだよ、これを入れなきゃパンがふっくらしないよー」
((攻歩菌……!?))
チノちゃんさっきからどうしたのだろうか? まさかドライイーストを知らんとは何と勘違いしているのか?
「そんな危険なものを入れるくらいならパサパサパンで我慢します!!」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「パンをこねるのってすごく時間がかかるんですね」
「腕が……もう……動かない……」
「こんなんでへばってられんよ」
「リゼさんは……平気ですよね」
「なぜ決めつけた?」
「ココアさんは……」
な! なんだあれはッ! ココアは燃える人間パン捏ね器
と化しているではないかッ!
「このときのパンがもちもちしてて
凄く可愛いんだよ!!」
「凄い愛だ!!」
「こいつ! 小麦粉キメてやがる!!」
「パンへの愛情火の如くね」
パンをこね始めて暫くして……
「千夜ちゃん大丈夫? 手伝おうか?」
「! いいえ大丈夫よ!」
「健気ってやつだね」
「頑張るなぁ」
(ココアちゃんに手間を取らせるわけにはいかないもの、皆についていけるって事を見せなきゃ!)
「ここで折れたら武士の恥ぜよ!
息絶えるわけにはいかんきん!!」
「健気?」
「真樹はどうだ? お前は男だから平気だろう」
「もげそう」
◆◇◆◇◆◇
「チノちゃんはどんな形にするの?」
「おじいちゃんです、小さな頃から遊んでもらっていたので……」
「おじいちゃん子だったのね」
「コーヒーを入れる姿はとても尊敬していました」
そう言うと何故か頭の毛玉が誇らしげな顔をする
「みんなーそろそろオーブン入れるよー」
「……では、これからおじいちゃん
を焼きます」
ノォーーー!!!
爺ちゃん焼かれちゃった……はて、どこからかダンディーな声が聞こえたが……気のせいかしら。
◆◇◆◇◆◇
「リゼちゃんはウサギパン!?」
「焼けたらチョコで顔を描いて完成だな」
「真樹くんは……何これ?」
「……ドムです」
「……どむ?」
「そう、MS-09 ドムです」
「……へぇ〜」
ココアがハイライトが消えかかった目でそう答える。
(やめて!なんかリアクションして‼)
自分の趣味に走り過ぎたことに猛烈に恥ずかしくなってきたぞ俺、誰か介錯してくれ。
◆◇◆◇◆◇◆
チノちゃんと自分はオーブンへ張り付いていた
何かを調理している過程を眺めるのは、楽しいものである
「パンを見ててそんなに楽しいか?」
「はい、どんどん大きくなってきてます」
「おっ! ココアと千夜のパンが一番大きいな!」
「おじいちゃんもガンバレー!」
「自分のパンが一番小さい……」
「真樹さん! もっと頑張ってください」
「無茶言わんてくれよ……」
◆◇◆◇◆◇◆
「千夜ちゃんにおもてなしのラテアートだよ!」
「まぁ! 素敵!」
「今日のは会心の出来なんだ」
「味わっていただくわね」
そう言って千夜が飲もうとした時
「あっ! 傑作が……」
ココアが心底残念そうな声を上げる。
(の……飲みにくい)
千夜も困り顔だったので助け船を出してみた。
「チヤ=サン、ラテアートはね、出された瞬間表面をすするのがサホーデス」
「おい、嘘をつくな」
リゼさんに突っ込まれている内に如何やら焼きあがったようだ。
「焼けたよー! 早速食べよー!」
みんなのパン綺麗に焼きあがっている
が、残念なことに自分の作ったドムパンは焼いてる途中に膨らんでしまい算数セットの花のおはじきみたいになってしまった。
「あああ、膨らんでしまった」
「でもおいしいよ!」
「……いけますね」
「パンは美味いが胡瓜がちょっと……」
「さすが焼き立てだな」
「これなら看板メニューに出来るよ!」
「「「この」」」
「焼きうどんパン」
「梅干しパン」
「いくらパン」
「どれも見事に食欲がそそられない!!……真樹はどうなんだ、そのご○んですよパン。」
リゼに問われた真樹は、海苔べったりの歯茎を見せながら怪しく笑う。
「フヒヒ……これはね、無しです。余りにもしょっぱい、塩分過多でこれは死ぬね」
「だろうと思ったよ…」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「じゃーん! ティッピーパン作ってみたんだ!」
「看板メニューはこれで決定だな」
「食べてみましょう」
「モチモチしてる……」
それぞれ食べ始める
自分はティッピーの顔からかぶりついた
「むぅ! 中に入ってるのはイチゴジャムか」
意外とイケるじゃないかとムシャムシャ食っている隣でリゼはティッピーの口や目からイチゴジャムが飛び出しているのをみて
(……なんかエグいな)
隣で貪り食ってる真樹を獣の類が
ウサギを捕まえて喰らっているような錯覚を覚えたという。
2022年9月7日改修工事