(パン作りでお世話になったお礼に、家の喫茶店に招待するわ)
という訳で今ラビットハウスの面々で千夜が働く喫茶店に向かっているところだ。
「どんなところか楽しみだね」
「なんて名前の喫茶店ですか?」
「甘兎庵って聞いてるけど」
『甘兎とな!』
「チノちゃん知ってるの?」
「お爺ちゃんの時代に張り合っていたと聞きます」
またこの前と同じ声が……?
◆◇◆◇◆◇
甘兎庵と書かれた木製看板が、周りと微妙にアンマッチな雰囲気を醸し出している。
「看板だけやたら渋い……」
「面白い店だな」
「オレ、ウサギ、アマイ」
「オレ うさぎ あまい……」
「甘兎庵な、俺じゃなくて庵だ
ていうか、なんで真樹もココアも同じこと言ってんだよ」
「コレ、ゼッタイ オレウサギアマイ、オレ、ウソツカナイ」
「はいはい、いいから入るぞ」
綺麗な金属音のドアベルが店内に鳴り響く。
「こんにちはー!」
「みんな! いらっしゃい」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「私も抹茶ラテでラテアートを作ってみたんだけど、どうかしら?」
「わっ! どんなの⁉︎」
「ココアちゃんたちみたいに可愛いのは描けないんだけど、北斎様に憧れていて……」
画狂老人卍に憧れる少女が描いたラテアートには日本髪の女性が描かれていた。
そして真ん中には何やら文字が……
ココアちゃん
どうして今日は
おさげやきん?
千夜
「俳句を嗜んでいて……」
「風流だ!!」
千夜さん
いったい季語は
どこやきん?
真樹
◆◇◆◇◆◇◆
「メニューは何があるの?」
「はい、お品書きよ」
千夜からお品書きを渡され、それを眺めるがどれもこれも漫画の必殺技の様なものだった
なんだこれは、全くわからん
しかし勘で頼んでみるのも面白そうだ、という訳で俺はこれを選ぶぞ!
「俺はこいつにした!!フロォーズン! ウェブァー! グリィ──ン!!!」
「じゃあ私は黄金の鯱スペシャル!」
「そうじゃあ私は海に映る月と星々にするよ」
「私は花の都三つ子の宝石で……」
「じゃあちょっと待っててね」
「和服ってお淑やかな感じがしていいねー」
リゼさんが千夜の方をずっと見ていた。
「もしかして着てみたいんですか?」
「いやっ! そういう訳じゃ……!」
「リゼちゃんならきっと似合うよ」
自分はリゼさんが着物を着てたらどうなるか考えてみた。
うーむ、千夜のような着方より、博徒の姐さんの方が似合ってるな
◆◇◆◇◆◇◆
「お待ちどうさまー」
「きたー!」
「真樹君はフローズン・エバー・グリーンね」
「ほぅ、抹茶アイスパフェか」
「リゼちゃんは海に映る月と星々ね」
「白玉栗ぜんざいだったのか」
「チノちゃんは花の都三つ子の宝石ね」
「あんみつにお団子が刺さってます!」
「ココアちゃんは黄金の鯱スペシャルね」
「鯱=たい焼きって無理ないか?」
「あんこには栗羊羹ね」
千夜はあんこに栗羊羹を与えるが
当のあんこはココアの方をじっと見つめている
「どうしたの?」
「こっちのを食べたいんでしょうか?」
「しょうがないなーちょっとだけだよ、そのかわり後でモフモフさせてね」
と言いスプーンからクリームをすくってさしだす
するとあんこはそんなものには目もくれずパフェ本体へ突っ込んだ
まるで貴様はスプーンのそれで十分だと言わんばかりである。
◆◇◆◇◆◇
「しかしこのパフェ美味しいな」
「うちもこのくらいやらないとダメですね」
「それならラビットハウスさんとコラボなんてどうかしら? 、きっと盛り上がると思うの、コーヒーあんみつとか♪」
「タオルやトートバッグなんてどうかな?」
「私マグカップが欲しいです」
「エプロンとかも良さげだと思う」
「「それだ(です)!」」
「いやいやいやいや、せめて真樹は突っ込んでくれ」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「私が下宿先が千夜ちゃんの家だったらここでお手伝いさせてもらったんだろうなー」
「今からでも来てくれてもいいのよ、従業員は常時募集中だもの」
「それいいな」
「同じ喫茶店ですし、すぐ慣れますね」
「じゃあ部屋を空けておくから早速荷物をまとめて来てね♪」
「誰か止めてよ!」
「ココア!」
「真樹くん!!」
「good luck‼︎」
「そんなのないよぉ〜!!」
◆◇◆◇◆◇◆
「千夜ちゃんまたねー!」
「昔はこのお店とライバルだったんだよね?」
「今はそんなこと関係ないですけどね」
「私たちもお客さんに満足してもらえるように頑張らなきゃね」
「だなー……って真樹はどこへ行った?」
「あれ? さっきまで一緒にいたのに?」
すると後ろの方から何かを抱き抱えながら真樹が走って来た
「お─い!! 忘れ物忘れ物‼︎」
なんと真樹が持っていたのはティッピーだった
「え?! じゃあチノちゃんの頭に乗っているのって……」
チノの頭に乗っていたのはなんと、甘兎庵のあんこだった。
2022年9月8日改修工事