灰の大狼は騎士と会う   作:鹿島修一

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気分転換に投稿。

久しぶりで口調とか読み返してました。




日曜日の午後

「太陽戦隊!」

『ヨンキシャー!!』

 

デデドン!!

 

そんな効果音と共に彼等は私のルームに飛び込んで来た。

 

一体何事かと驚きながら寝転んでいたベッドから転がり出して扉の先に顔を向けると、各々のポーズを取っている四人の騎士がいた。

 

「闇を払う無双のナイト!アル・・ぐんじょーーアオレンジャー!」

 

2回程言い直しているけど突っ込みどころ満載、そもそも騎士甲冑に青の要素がマントと首の部分しかない青レンジャーもといアルトリウス。

多分色が思いつかなかったんだろう。

後、ナイトでは無く騎士の方がカッコいいと思った。

 

 

「墓を護る守護系灰色狼!グレイ!では無く、・・・・グレインジャー!!」

 

 

もう何処から突っ込んで良いのか分からない。

堂々とグレイと色だけ言っている、その後に無理矢理〇〇ジャーと付け足した名乗りを上げたのは灰色の大狼シフの人型形態。

鎧では無く灰色の装束を纏った頭の上に狼の耳を付けた偉丈夫。

名乗りに墓を護るとか言って良いのかな?

 

 

「・・・闇を駆ける暗殺系ヒロイン」

「キアラン!?」

「や、闇を駆ける!暗殺系ヒロイン!!ヤミレンジャー!!!」

 

 

なんかもうヤケクソじゃないか。

そんなキャラを壊してまでやる事なのかな、これ?

暗殺系ヒロインとか物騒な言葉が飛び出して来たのはアルトリウスの妻(私が勝手に思ってるだけ)のキアラン。

 

なんか、お疲れ様です。

 

 

そして最後の一人。

 

 

「身体を!ソウルを燃やす!アカレンジャー!」

 

 

まさかの最後の名乗りが赤。

しかも最後が薪に身体を捧げると言う終わり方なだけに自虐と言うか何というか余りにも酷すぎる。

騎士鎧が赤く燃えてるのって、それ身体の内側が燃えてると思うんだけど。

兎に角、特異点で私達を助けてくれた不死の騎士であるリンクス。

 

 

 

『四人揃って!ヨンキシャー!』

 

ババーン!

 

 

いや、最初にもそのポーズ決めてたよね?

 

なんかもう、どうすれば良いのかなぁ。

 

 

「それ、どうしたの?」

 

とりあえず何故この様な事になっているのかを知りたかった。

 

「むっ、知らないのか立花殿。にちあさなる物に映るせんたいものだぞ?」

 

いや、それは知ってるんだけど。

 

「じゃなくて、なんでそんな事してるのかって事ね」

 

「なに、私達も共に誰かを護る者だ。それにカッコ良いではないか」

 

そんな事を平然と言ってしまうアルトリウスに対して、キアランは疲れた様な顔をしているし、シフは忠犬だし。

リンクスに至っては「懐かしい、騎士の様な・・・」とか昔を思い出しているし。

 

ああ、キアラン以外は割と乗り気だったんだなと思うと少しだけキアランが不便だ。

 

「やめろ、そんな顔で私をみるな」

 

「・・・ごめんね」

 

「辛い」

 

私にはそれが限界だった。

 

闘ってる時はそれはもう理想の騎士をしている彼等は、ある意味円卓並みにポンコツであった。

 

 

「マスター、飯時だぞ。ーーーー何をやっているのかね君達は?」

 

 

流石、オカン。こんな時でも私を助けてくれるなんて。

 

「むっ、エミヤ殿。もう飯時の時間か、まあ立花殿に三時間考えた私達のぽーずを見せたから満足だな。行こうかシフ、キアラン、リンクス殿、カルデアの母の夕飯が待ってるぞ」

 

そう言って部屋を出て行く彼等を眺めていると、苦笑いしが出てこない。まあ、彼等が楽しそうで何よりなんだけどね。

 

 

「母では無いのだが。いや、マスター。アレは一体なんだったんだ?」

「なんかアルトリウス達がニチアサにやる戦隊の名乗りを考えたから見せに来てたんだよ」

「そ、そうか。しかし、ジャックやナーサリーが楽しみにしていた理由が分かったな」

 

はて、何かあったのだろうか。

 

「どうやら彼等は何かやるみたいなのだが、流石に私も把握しかねている」

「まあ、変な事にはならないよ。だってアルトリウスだし」

「そうだな。それよりマスター、飯が冷める前に食う事をお勧めするよ。ではな」

 

そうだよ、オカンのご飯を食わなきゃ。

 

そんな謎の使命感にも駆られた様な物があるがエミヤの料理は美味い。

高級な店のシェフとメル友だぜと豪語するだけの事はある、まあ現代の英雄だから仕方無いけど本当だったらどうしよう。

 

その所為だろうかエミヤの評価は非常に高い。主に円卓とアルトリウス達からの評価は高いのだ。

 

円卓も酷いがアルトリウス達の方が酷い。

シフは狼だから食べれれば良いとか言ってたし生肉でも問題なく食していたけどリンクスは涙を流していた。

マトモな肉を食ったのは何十年ぶりだろうとか言ってた気がする。

 

うん、リンクスの食生活に関しては聞くんじゃなかったと後悔している。

 

まず、あの時代に食える物が余り無いという事に気がついた。

デーモンの肉を焼いて食った話し、自分より大きなキノコを焼いて食った話し、二足歩行の蛇の鱗を砕いて焼いて食って毒で死んだ事、下水道に住み着く鼠やバジリスクすらも食した事。

大抵の物は焼いて食うしか方法が無く毒性の強い物が多く、そもそもマトモに食えないらしい。それでも餓死はなるべくしたく無いらしく腹に溜まればもう亡者でも良いらしい。

 

うん、聞きたく無かった。

 

そんな訳で彼等からしてみたらご飯の時間は基本的に大人しい。別に普段も比較的大人しい部類に入るのだが彼等は何かの拍子に変な事を始める。

 

リンクスが召喚されてからは余計に酷い気がする。

それと言うもの英霊達は常識が少しばかり私とは合わないのだから仕方ないと諦めているし、私も楽しいのだから何も言わない。

そんな風に回っているのだカルデアは。

 

 

「生きてて良かったなぁ」

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

アルトリウス達が修練場に集まっている。

 

後ろにはナーサリーにジャック、ジャンヌ・オルタ・リリィの姿が見える。

 

ああ、これはやるんだろうなぁと思いながらもその光景を見ていた、

 

「好きにやって良いよ」

 

だからそう指示を飛ばしてみたけど、彼等は割と好き勝手に動くから指示なんて飛ばしても本当に意味が無いのだけども。

でも3人、或いは二人揃っての行動だから変に指示を出すよりも彼等が動いた方が圧倒的だろう。私はサポートをすれば良い。

 

 

「行くぞ!」

 

『応!!』

「・・・おう」

 

 

キアランがテンション低めに返事をして前に飛び出す。

 

 

「闇を払う無双の騎士!アオレンジャー!!」

 

「友を守る灰の大狼!グレンジャー!!」

 

グレンジャーってもう色ですら無いよ。

 

「闇に舞う黄金の残滓!クロ、レンジャー!!」

 

「絶望を焼き尽くせ!アカレンジャー!!」

 

 

『四人、揃ってぇ!!』

 

『太陽戦隊!ヨンキシャー!!!』

 

 

結局ヨンキシャーからは変わらなかったんだね。

 

ポーズを取った事で四人の後ろからは紅蓮の炎が吹き上がる。

リンクスが地面に手を付けてたのはその為かと思いながらもその光景を見ていると隣で鑑賞している3人娘達は目を輝かせて拍手を送る。

 

 

「行くぞ、闇を払え!!」

 

 

その拍手に呼応する様にアルトリウスが号令を上げる、でも敵は闇では無くて擬似エネミーのスケルトンだ。ある意味では闇なのだけど。

 

 

「食らうが良い!ブルーナイツソード!!」

 

技名だっさいなアルトリウス!?

技名とは裏腹にスケルトンの腹に大剣を捩じ込むと言った割と酷い技だった。

 

「おおおぉ!ウルフレジェンド!!」

 

おお、シフの技名はカッコいいぞ!

でもやってる事は飛び上がっての兜割りなんだよなぁ。

スケルトンが無残にバラバラになってしまう。

 

「闇に舞う我が王の刃、見切れるか?」

 

乗り気で無いキアランが一番カッコいいよ。

黄金の刃の軌跡を残しながら駆け抜けてスケルトンを一閃。

でもその後に追撃する辺り慈悲が無い。

 

「私のこの手が真っ赤に燃える!立ち塞がる敵を燃やせと輝き放つぅ! はあああっ! 大・炎・上おぉおおおおお!!!」

 

技名もそうだけど色々と酷いよ!?

しかもヒーローがやる技じゃないよねえ!

 

スケルトンの胸元を燃えた掌が貫き、上に持ち上げるとその名の通り大炎上した。

 

なんなのだろうか、彼等は一体カルデアに召喚されてから何をしていたと言うのか。

 

 

突っ込む所が多い所為もあってか忘れていた、そう言えば模擬エネミーには今回ちょっとした改造がされていた事を。

 

 

「ーーーえっ?」

 

ガシッと何かに腹を掴まれた、と言うか身体を鷲掴みにされた。

 

その手は骨で出来ていた、その体は普通のスケルトンよりも大きい。

 

そしてーーーー

 

 

「ふはははは、ヨンキシャー共めこうすればどうにも出来まい!?」

 

「しゃ、シャベッターー!?!!」

 

顎をカタカタと鳴らしながら多分勝ち誇った表情の巨大スケルトンである。

まあ、よくあるヒーローショーの様な細工がされているだけなのだが。

 

何が不味かったかって?

 

これは立花とダ・ヴィンチちゃんの悪ふざけであってアルトリウス達には知らされてない事だろう。

 

もう一度言おう、アルトリウス達はこうなる事を知りません。

 

 

「シフ」

「任せてくれ」

 

加減が無くなります。

 

ガゴン!

 

無言でリンクスの構えた大弓から放たれた石の矢がスケルトンの腕を砕き、立花が掴まれている腕が落ちるとシフが立花を救出する。

 

するとどうだろうか、遥か上空に飛び上がったアルトリウスがスケルトンの頭に獲物を振り下ろす。

 

そう、リンクスから手渡された巨大なハンマーがスケルトンの頭を完全に砕くと轟音と共に地面に着地した。

 

 

えっ、ナニコレコワイ。

 

 

「すまない立花殿。模擬エネミーに遊びだと思ってか気が緩んでいた様だ、弁解の言葉は言わない」

 

「うん、ありがとう。私も分かってたから大丈夫だよ」

 

「そうか。なら今度は俺達にもちゃんと伝えてくれマスター」

「うん、シフもありがとう」

 

ナチュラルに許してくれるシフは優しい。

 

そして四人は3人娘達にどうだったかと聞いている。

 

 

うん、皆楽しそうで良かった。

 

 

それに、意外と戦隊カッコよかった。

今度はもう少し洗練された口上とか考えてあげようと思う。

 

キアランも何だかんだアルトリウスやシフの為ならやってくれるし、リンクスも楽しそうだ。

 

 

私は繋がれたパスによって時折彼等の、英雄達の夢を見る事がある。

 

楽しかった日々も、辛かった時も、悲しかった時も、彼等にはあると理解出来ている。

 

あの3人が欠けて行く姿を見た事もあった。

 

シフがどんな気持ちで墓を護っていたかも少しだけなら見た。

 

 

 

だから、こうして笑えている姿は何処か尊いと感じてしまうものだった。

 

どの英雄達もクセは強いし、我儘な事もあるけど、楽しいならそれで良いんじゃないかな。

 

 

「立花殿!」

 

おっと、呼ばれたみたいだ。

 

「どうしたの?」

「どうだった、私達の口上は。中々様になっていたのではないか?」

 

「そうだなぁ、カッコよかったよ」

 

「そうだろう。みろ、私の考えた口上はカッコいいんだぞ?」

「そうだな、もうそれで良い」

「あはは、私は今度魔術で演出してみようかな?」

「俺も狼の時の事も考えないとダメか?」

 

 

 

そうして彼等の新しい試みは試されていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サーヴァント ランサー、オーンスタインだ。我が槍は王の為だが、今暫く我が槍はマスターに捧げよう」

 

「待っていたぞ友よ。イエローのオーンスタイン」

 

「ああ、またお前と共に戦場を・・・イエロー?」

 

 

 

 

 

「闇を払いし太陽の騎士!アオレンジャー!!」

 

「友と駆ける一陣の風!グレイレンジャー!!」

 

「や、やや、闇に舞う黄金の残滓!!クロレンジャー!!」

 

「魂を熱く燃やす者!!アカレンジャー!!」

 

 

『さあ、新たな仲間よ!!』

 

「何をやっているんだお前達はっ!?」

 

『さあ!!』

 

「俺はやらんぞっ!!」

 

『さあさあさあ!!!!』

 

「俺は、やらん!!」

 

 

 

 

・・・・・

 

・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「い、雷『四人揃って、ヨンキシャー!!』

 

「なんなのだ貴様らぁ!?!!」

 

 

こんな事もあるかもね。





いやぁ、3人娘出したは良いけど一言も喋らせて無い。
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