問題児たちが異世界から来るそうですよ?(十六夜君改変) 作:皇たる機械龍
さてさて、今回は作者の都合上お話を前半と後半で区切らせて頂きました。どうかご容赦を。
それでは、ごゆっくりお楽しみ下さい。
現在、黒ウサギは驚愕していた。だが、それも当然である。ただの人間が蛇神を素手で倒したのだ。驚くなと言う方が無理な話である。そして、黒ウサギは彼らを召喚するギフトを与えてくれた主催者[ホスト]の言葉を思い出す。
「彼らは間違いなく、人類史上最高のギフト所有者よ、黒ウサギ。しかもその内の一人は、他の二人とは格が違うとても異質なものを感じるわ。」
彼女は信用出来る者ではあったが、黒ウサギはその言葉をただのリップサービスだと思っていた。
(彼女の言葉は、あながち嘘では無いようですね・・・。さっきの戦闘を見る限り、本当に最高クラスのギフトを持っているかも知れません。もしそうならば、私たちのコミュニティ再建も、夢じゃ無いかもしれない・・・・・!)
そんな風に黒ウサギが考えを巡らせていると、
「おーい、どうかした黒ウサギ?」
その言葉と共に、十六夜の顔が眼前まで迫っていた。
「えっ・・・、きゃあ!」
それを理解した黒ウサギは、瞬時にとび退く。その頬は僅かに赤くなっていた。
「?本当に大丈夫?」
「は、はい!別に何もありませんよ!?で、ですからお気になさらず!」
再度問い掛ける十六夜に、黒ウサギは動揺しつつ答える。それを見た十六夜は一瞬疑問を感じるが、すぐに笑顔を浮かべて、
「そっか。それならよかったよ。」
と言った。そして、その笑顔を見た黒ウサギは胸の鼓動が速くなるのを感じてした。
(・・・こ、この気持ちは何でしょう・・・・・?)
再び思考を始めるが、それを振り払うように十六夜に問いかける。
「と、ところで十六夜さん。あの蛇神様は生きてらっしゃいますか?」
「もちろん。殺す気で蹴った訳じゃ無いしね。頭に血が昇ってる状態じゃまともに話が出来ないから、一回気絶させてから、そのことも含めて正式に謝罪するつもりだったんだよ。」
「そうですか・・・。じゃあ黒ウサギがそのことを伝えるついでにギフトも頂いてきましょう。
「いや、流石にそれはまずいんじゃないか?」
「確かに、十六夜さんのお話を聞く限りはこちらに一方的な非がありますが、十六夜さんは一応勝者ですから、何かしら貰えるかもしれません。基本的に神仏とゲームを行う際はそれ相応の相手が用意されますが、今回はご本人を倒されたので、もしかしたら凄いものが貰えるかもしれません♪」
そう言って、黒ウサギは嬉しそうな雰囲気で蛇神に近づき、何かを話しはじめる。それを見ていると、周囲に光が満ちていく。
「やりましたよ十六夜さん!こんなに大きな水樹の苗を頂きました!どうやら、自分を打ち倒したことと、冷静に話を聞かずに一方的に攻撃を加えたことへのお詫びだそうです♪これで私たちのコミュニティは水を買う必要が無くなります!!」
そう言いながら黒ウサギは奇声を上げて喜ぶ。それをしばらく見届けたあと、十六夜は黒ウサギに問いかける。
「黒ウサギ、ちょっといいかな?」
「はい!・・・どうかしましたか?」
十六夜の真剣な表情を見た黒ウサギは、喜ぶことをやめて気を引き締める。緊張の中、十六夜が問う。
「黒ウサギ、何かを隠してるよね?」
時は遡り、黒ウサギが十六夜を追って飛び去った直後。
飛鳥、春日部はさらに詳しい話を聞くためにジンと共に箱庭の中を歩いていた。
「あら、そう言えば自己紹介がまだだったわね。」
そう言って、飛鳥は自己紹介を始める。
「私の名前は久遠飛鳥よ。それで、そこで猫を抱えているのが」
「春日部耀。」
「ジン=ラッセルです。若輩ですが、よろしくお願いします。」
ジンは軽く会釈した。飛鳥と春日部もそれに倣って会釈を返す。
「ところで、軽い食事でもしながら話を聞きたいのだけれど、何処かオススメのお店はあるかしら?」
そう言いながら飛鳥は辺りを見回す。そこには、清潔感が漂う洒落た店がいくつも並ぶ。だが、ジンは困ったような顔をしながら返答する。
「すいません・・・・・。段取りは全て黒ウサギに任せていたので、良かったらお好きなお店を選んで下さい。」
「そう。随分太っ腹なことね。」
飛鳥がそう言ったあと、三人と一匹は近くにあった"六本傷"の旗を掲げたカフェテラスに座った。すると、注文を取るために猫耳の少女が素早く近付いてくる。
「いらっしゃいませ~。御注文はどうしますか?」
「えーと、紅茶を一つに緑茶を二つ。それと、軽食にこれとこれをお願い。」
「あと、ワシにネコマンマを!」
はいはーい、ティーセットが三つにネコマンマが一つですね。」
繰り返された注文内容に飛鳥とジンが首をかしげる。しかし、春日部だけが驚いた表情を見せる。
「三毛猫の言葉が分かるの?」
「そりゃ分かりますよー私は猫族なんですからー。」
猫耳娘はそう言って、三毛猫と談笑を始める。そして、ジンは興味深そうに春日部に聞く。
「もしかして、春日部さんは生きている物だったら誰とでも意志疎通が可能ですか?」
「うん、出来るよ。」
「それは心強いですね。言葉の壁があるこの世界において、それはとても重宝しますよ。」
「そうなんだ。」
「春日部さんはとても素敵な力を持っているのね。」
飛鳥がそう言うと、春日部は困ったように頭を掻く。そして、憂鬱な表情を浮かべる飛鳥に問う。
「久遠さんは-----」
「飛鳥で良いわ、春日部さん。」
「わ、分かった。飛鳥はどんな力を持ってるの?」
「それは酷いものよ・・・。だって-----」
飛鳥が答えようとしたそのとき、
「おんやぁ?これはこれは。誰かと思えば、東区画の最底辺コミュニティ"名無しの権兵衛"のリーダーのジン君じゃないですか。今日は、黒ウサギの代わりにそちらのお嬢さん方がお守りですか?」
品の無い声が割って入ってくる。三人が視線をそちらに移すと、二メートルの巨体をタキシードで包む男がいた。それを確認した瞬間、ジンは顔をしかめる。
「僕らのコミュニティは"ノーネーム"ですよ。"フォレス・ガロ"のガルド=ガスパー。」
「黙れ、名無し風情が。聞くところによると、新しい人材を召喚したそうじゃないか。コミュニティの誇りであり証でもある名と旗印を奪われておいて、よくもまあコミュニティを存続させよう等と考えたもんだ。そう思わないかい、お嬢さんたち?」
ガルドと呼ばれた男は、飛鳥の座る椅子の隣に勢いよく座り込む。その様子に、飛鳥が物申す。
「同席するのなら、氏名と一言添えるのが礼儀じゃないかしら?」
「おっと、これは失礼。私は箱庭上層に陣取るコミュニティである"六百六十六の獣"の傘下であるコミュニティのリーダーをしているガルド=ガスパーという者です。以後おみ知りおきを。」
そして、ガルドは一礼する。それと同時に、ジンが茶々を入れる。
「烏合の衆ですけどね。」
その言葉に、ガルドが反論する。
「黙れ小僧。たとえ烏合の衆だろうと、お前らのコミュニティの状況よりはマシだ。」
「はい、ちょっとストップ。」
言い争いが激化しそうになったところを、飛鳥が仲裁に入る。
「二人とも仲が悪いのは分かったけれど、その前に私たちのコミュニティの状況を説明してくれるかしら?」
飛鳥がそう聞くと、ジンは言葉に詰まる。
「そ、それは・・・。」
「まさか、新たな同士達に自分達のコミュニティの状況を説明していないとは。呆れた話だな。どうです、お嬢さん方?よろしければ、私がそれを客観的に説明させて頂きますが。」
ジンの反応を見て呆れたガルドが、そう飛鳥達に聞く。飛鳥は少し考えたあと、
「・・・・・ええ、お願いするわ。」
と答えた。それを聞いたガルドは頷き、話を始める。
「承りました。ではまず、コミュニティのことから話しましょう。コミュニティとは、複数名で作られる団体の総称です。そして、コミュニティを作る際には箱庭に"名"と"旗印"を申告する必要があります。特に旗印は縄張りを主張する大事なものです。あそこに掲げられている大きな旗がそれです。」
ガルドは、店先に掲げられた旗を指差す。
「ちなみに、自分達のコミュニティを大きくしたいのであれば、相手のコミュニティに両者合意で「ギフトゲーム」を仕掛ければいいのです。私のコミュニティは、そうやって大きくしましたから。」
そう言って、タキシードに刻まれた虎の刺繍を指差した。
「さて、次はお嬢さん方のコミュニティの問題です。実は数年前まで、お嬢さん方のコミュニティはこの東区画で最大のコミュニティだったんですよ。まあ、リーダーは彼ではなく人間でしたがね。それでも、彼らは快挙ともいえる数々の功績を手にし、名を刻みました。」
「それじゃあ一体何があったの?」
飛鳥がそう聞くと、ガルドは静かに笑いながら言った。
「滅ぼされたんですよ。箱庭史上最悪の天災である"魔王"によって。」
今回もお読み頂き、ありがとうございました。
ここでちょっと余談を。
体育祭終わりの日焼けが死ぬほど辛いです。
湯船に浸かりたくても浸かれません・・・・・。風呂好きとしては地獄です。そして筋肉痛。私のような大人しい眼鏡君にとってはもう予測出来た展開でした。しかし、私に200m走を走らせたクラスにも責任があります。いっそのこと眼鏡君体育祭非参加権とかくれませんかね・・・・・。
さてさて、このままだと話が終わらなくなってしまうのでそろそろ次回予告を。
次回は今回の話の続きです。
それでは皆さん、さいなら~。