問題児たちが異世界から来るそうですよ?(十六夜君改変) 作:皇たる機械龍
では、さっそくお詫びを。話の中で空気になっているキャラがいますが、ご容赦下さい。
さて、お詫びも済んだところで本文です。
それでは、ごゆっくりお楽しみ下さい。
現在、黒ウサギは対応に困っていた。だが、それもそうだろう。隠していたコミュニティの現状を十六夜に悟られたからである。それでも黒ウサギは十六夜に知られまいと、なるべく平静を繕って答える。
「・・・どうしてそう思われるのですか?」
「まあ、これは俺の推測の域をでないから、聞き流してくれても構わないよ。俺がこの推測に至った理由は、黒ウサギが必死に見えることかな。それに、俺達を呼び出したことや、俺がコミュニティへの所属を拒否したときに本気で怒ったこと、これらのことをまとめた結論としては、黒ウサギのコミュニティは何かとても重大な問題を抱えていて、俺達はそれを解決するために呼び出されたってところかな?」
十六夜の発言に、黒ウサギは心の中で舌打ちすると同時に、激しく動揺した。まさか、彼がここまで頭の回る者だとは思いもしなかったのだ。そして、彼の推測は完璧に当たっていた。ここは素直に自分達のコミュニティの現状を打ち明けるべきかと思ったとき、
「まあでも、言いたくないことなら別に言わなくても構わないよ。」
と十六夜が言った。その発言に、黒ウサギは目を丸くする。
「あ、あれ?追及しないんですか?」
「もちろん。誰だって、言いたくないことの一つや二つはあるし、それを無理矢理聞き出すのは俺としては気が引けるしね。だから、言える時が来てからで構わない。本当のことを教えて欲しいんだ。」
そう言って、十六夜は頭を下げる。その行動に、黒ウサギは後悔した。これから仲間として共に行動する者達を、ましてや自分達のコミュニティの現状を半ば察してなおこちらを気遣ってくれる者がいるのに、その者達を騙すなど、なんと失礼なことであろうか?黒ウサギはそう思い、十六夜に謝罪をする。
「十六夜さん、まずはあなたたちを騙そうとしたことを謝らせて下さい・・・。黒ウサギはどうかしていました。これから仲間となる方々を騙そうとするなんて・・・。あなた方を召喚した者としてあるまじきことです。だから、今度こそはきちんと責任を果たし、他のお二人も含めてしっかりと本当のことを伝えさせて頂きます。」
黒ウサギがそう言うと、十六夜は、
「りょーかい。」
と言って先ほどまでの表情を崩し、また笑顔を見せた。そして、十六夜は続ける。
「さて、それじゃ帰ろうか。何だか俺のせいで色々と迷惑かけちゃったみたいだしね。」
それに対して黒ウサギは、
「自覚があるなら勘弁してください!」
と言う。それに対して十六夜は、
「それは無理だ!!」
と笑顔で返す。そして黒ウサギはあらためて自覚させられる。彼もまた、問題児であることを。
そんなことを思っていると、十六夜が発言する。
「それじゃあ、急いで帰ろうよ。多分、歓迎会とかの手筈をしてあるんでしょ?」
「はい、もちろんです。」
「じゃあ、なおさらだね。せっかく用意してもらったのに、無下にするのはもったいないし。」
そう言うと、十六夜は跳躍の姿勢を取るが、ふと何かを思ったのかその姿勢を崩して黒ウサギの方に振り返り、
「黒ウサギ、俺についてこれる?」
と聞いた。その問いに黒ウサギは不敵な笑みを見せながら、
「"箱庭の貴族"と言われる黒ウサギを侮ってもらっては困りますよ。」
と言った。その言葉に十六夜は、
「へえ、それなら問題無いね。」
と返して、大きく跳躍する。すると、黒ウサギも平然とついてくる。それを見た十六夜は新たな好奇心の対象に胸を踊らせながら、箱庭の都市に急ぐのだった。
「要するに、ジン君のコミュニティは魔王に目を付けられて断ることの出来ないギフトゲームに参加させられ、たった一夜にして名も、旗印も、かつての仲間も全て奪われたということ?」
「はい、その通りです。」
話をまとめた飛鳥に対して、ガルドは頷く。そして、ガルドは再び話を始める。
「ところで、話は変わりますが、私から提案があります。お二人とも、私のコミュニティに来られてはいかがですか?どうやらお二人は素晴らしい才能[ギフト]をお持ちのようですが、こんな弱小コミュニティに置いておくのはもったいない。だから-----」
「お誘いはありがたいけど結構よ。私は今の現状で間に合っているから。」
ガルドの言葉を遮るように飛鳥が言う。そして、その言葉にジンもガルドも目を丸くした。しかし、その様子に構うことなく飛鳥は春日部に聞く。
「春日部さんはどう思う?」
「私はどっちでもいい。そもそもの目的は、この世界に友達を作りに来たことだから。」
「あら、そうなの?じゃあ私が友達一号に立候補しても良いかしら?」
「うん、良いよ。私も、飛鳥となら上手くやっていけそうだし。」
「そう言ってくれて嬉しいわ。そういう訳だから、私も久遠さんもお断りするわ。」
飛鳥はそう言った後、さらに続ける。
「それと、あなたに聞きたいことがあるのだけれど、あなたが行ったコミュニティをチップにするギフトゲームは、一体どうやって取り付けたのかしら?」
飛鳥がそう聞くと、ガルドは僅かに動揺する。
「・・・・・先ほど説明した通りです。両者合意で」
「黙りなさい。」
飛鳥がそう言うと、発言していたガルドの口が勢いよく閉じられる。突然のことに驚きながらも口を開こうとしたが、その口は開かない。その様子に構わず飛鳥は、
「私はそんな出まかせの理由なんか聞いていないわ。私が知りたいのは真実よ。だから、本当のことを教えてもらえるかしら?」
と続いて質問する。すると、先ほどまで閉じられていた口が何か言葉を紡ぎ出そうと動き始める。ガルドは必死に言葉を発しまいとするが、その意志に反して口は動く。
「ゲームをする前に、相手のコミュニティから数人子供を人質にとって、それを理由にゲームを仕掛けた。人質にとった子供達は泣き叫ぶ姿がうるさくて殺した。死体は全て埋めて隠してある。」
ガルドの話を聞いた飛鳥は見るからに不機嫌そうな顔色になり、
「よくもそんな外道なことが出来たものね。素直に感心するわ。ねえ、ジン君。彼を裁く方法はあるの?」
と聞く。するとジンは、
「裁くことは出来ますが、彼が箱庭の外に出てしまったら裁くことは出来ません。」
と返答する。その答えに飛鳥は、
「そう。それは残念だわ。」
と言って指をパチンと鳴らす。すると、ガルドを縛っていた力が消え去る。力が消えたことを感じたガルドは、パニックによって抑えられて怒りを爆発させた。
「ふざけるなよ、この小娘がぁ!!」
そう叫びながら、ガルドはタキシードがはじけ飛ぶほどに身体を豹変させて飛鳥に襲い掛かる。しかし、飛鳥にガルドの拳が届くことはなかった。
「おいおい、女性に手を上げるのはどうかと思うぜ?」
黒ウサギと共に急いで戻って来た十六夜がガルドに襲われそうになっている飛鳥を発見し、瞬時に飛鳥を庇うように前に立ちはだかってガルドの拳を受け止めたからである。
「てめぇ、邪魔すんじゃねえぞ!!」
ガルドは、掴まれていない左腕で十六夜に殴り掛かる。しかし、十六夜は少しも動じることなく掴んでいた手を右方向に捌き、隙だらけの脇腹に蹴りを叩き込んだ。
「ご・・・・・あ・・・。」
あまりの衝撃と激痛に、ガルドは蹴られた場所をおさえて崩れ落ちる。その様子に構わず十六夜は飛鳥の方に振り返り、
「久遠さん、大丈夫?」
と飛鳥に問う。飛鳥は少し戸惑いながらも答える。
「え、ええ、大丈夫よ。でも、彼はほっといていいの?」
「大丈夫だよ。ただ蹴った訳じゃ無いしね。それより、なんでこんなことになったの?」
「詳しくは後で説明するけど、簡単に言うと彼の働いた悪事を白状させて裁こうとしたらああなったってところかしら。」
「なるほど・・・。」
十六夜は考える。このままでは、双方が引き下がることは無いだろう。ならば、公平に決めるにはどうすればいいか。すると、十六夜の頭に一つのひらめきが生まれる。十六夜はそれを実行するために、うずくまるガルドに近づき言う。
「よし、じゃあ俺達とあなたとでギフトゲームをしよう。あなたの無実と、俺達の断罪を賭けて。」
今回もお読み頂き、ありがとうございました。
ここでちょっとした報告を。最近、Twitterを始めました。皇たる機械龍で何かつぶやいているので、よろしければフォローの程をよろしくお願いします。
さてさて、では次回予告を。
次回はギフト鑑定です。十六夜君のギフトをお楽しみに。
それでは、さいなら~。