もう、2度とお前らは見たくない   作:水面ノ鏡

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第11話

俺らにとって、最後の大会になるかもしれない秋季大会。悔いの残らない試合はないと思っているけれども、やはり悔いの少ない試合をしたいと願っていた。

 

秋季大会は1日目と2日目に分かれて行う。

1日目は女子団体戦の準々決勝まで、男子新人団体戦を行う。2日目は男子団体戦の準々決勝までを行い、女子団体戦、男子団体戦の準々決勝、決勝を行うという形だ。

そのため、1日目は3年男子は明日のための準備運動と応援に努めることとなっている。

結果を先に言ってしまおう。

男子新人団体戦は初戦敗退、女子団体戦は2回戦敗退だった。

新人は仕方がない。なにせ相手の大抵は2年だ。経験差ややってきた時間が違う。それを相手に、うちの1年の大将が一本をとったことに喜びを感じるべきだ。

次に女子は3年が3人しかいない。それに加え、試合経験を積ませるという目的に1年が2人、入っている。無論、1年に勝利を求めているわけではない。試合経験を積ませるため、そしてあわよくば、一本負けか引き分けに持ち込むことが出来れば御の字という狙いもある。1回戦は3年の3人全員が二本勝ちをしたため、難なく次に駒を進めることが出来た。しかし、2回戦は優勝候補とあたり、ストレートで負けてしまった。

 

「ナイスファイトー!!」

 

こんな言葉を投げかけても、なんの慰めにもならないことは分かっている。むしろ残酷な言葉だということも。

物書きとして恥ずかしい話であるが、これ以外の言葉をかけるべきかが分からない。どんな言葉が最適なのだろうか。

そこから30分ほど、彼女たちは姿を見せなかった。

 

 

 

___

 

 

 

2日目の朝、いつも仲良くしてもらっている学校からこんな情報を得ることが出来た。小山らしき人物が近くにいた。俺たちの中学の女子団体が終わると同時に帰った。

その情報を聞いたとき、3年は怒りに包まれた。思うことは皆一つだった。

 

どのツラ下げて見に来たんだクズが。

 

述べていなかったが、女子団体戦の後に男子新人戦だった。女子団体が終わると同時に帰ったというのであれば、新人戦は見ていない。一応レベルでも、指導をした部員の初試合、見ないとはどういうことか。そのことにも怒りの原因はある。

 

「小山とは限らんねんやし、俺らは目の前の試合に集中しよ!」

 

そう言ったのは部長の泉だった。彼も彼で、切り替えはちゃんとは出来ていない。しかし、その言葉のおかげか俺たちは落ち着くことは出来た。

 

もし、部活を少しでも長く続けたいのであればベスト8まで残ることが必要だ。ブロック予選では1位で俺たちは通過出来ていたため、シード権を獲得していた。必要勝利数は3回。

結果から言うと、ベスト16で敗退だった。

あと1回勝つことが出来れば、と思ったが、0勝4敗1分け。圧倒的なまでに負けたのだ。簡単に言えば、俺たちはベスト16まで行くことは可能でも、ベスト8に行くことは、よほど運が良くなければ行けないレベルなのだ。

そのことを痛感し、俺たちの中学における部活動を終えた。

その時、皆は悔しさ、寂しさ、色んな感情を入り混ぜながら泣いていた。勿論、俺も泣きたかったけれども見栄を張って、彼らの見えないところで泣いていた。感情のない機械のように扱われた時期もあったのだが、ホンモノはまだここにいた。


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