もう、2度とお前らは見たくない 作:水面ノ鏡
それ以降の部活は何も変わらなかった。
顧問は副顧問の先生に渡され、部員が2人休部しているという点を除けば。
俺は至って普通に過ごしていた。
何か立場を求められても受け流し、誤魔化し、中立の立場を貫いていた。
数日が経ったある日、警察から話があった。
その話というのは、このことは黙っていてほしい。
どんなことがあっても、既に知っている大人は仕方がないが、身内にも、学校の先生にも言わない。
これは、どういうことなのだろう。
俺はこの時、警察というものがこのことをどのように事態を運ぼうとしていたのか、予想することが出来なかった。
____________
夏の大会も終わり、濱田、藤本も部活に来るようになった。
みんなが一丸となって何かを成し遂げようとすることは、とても良いことなのだろう。
事実、後輩も引退試合に向けて、後輩たちなりに出来ることをやってくれて、俺ら3年は試合に集中出来る。
これまでの伝手が無くなったというのもあり、練習試合がほぼ無い。
試合経験は全て、校内試合のみとなった。
夏休みが終わり、1週間経ったある日のことだった。
いつも通りの稽古を終え、とうに日の暮れた道を歩いていた。
「今さ、大会に出れるかどうか不安やんなー」
濱田は暗い表情で言った。
今現在、歩いているのは濱田と俺だけである。
その他の3年は早退し、後輩は校外学習ということで休みになっていた。
もし、出ることが出来ないとなれば、俺たちの世代は引退試合がなくなるということになるからだ。
俺は濱田の言葉に対して、そうやな、と返事を返した。
「なぁ、泉らってさ、うちらのこと嫌いなんかな?ずっと、女子ん中話しとったんやけど」
「知ってる。部活前もずっとその話してんもんな」
俺はかなり目が悪い。
そのため、耳の方に通常の生活を傾けていた。
だから、地獄耳と言われるぐらいには耳が良かった。
「やっぱ野口って耳良いなぁ」
「けど、嫌やで、耳良いの」
俺の中で突如、湧き上がった感情は口を勝手に動かしていた。
「不必要な情報拾うし、聞きたくもないことも聞こえる。お前らの愚痴も、全部、全部聞こえる」
俺の感情は止まることを知らなかった。
濱田が何か言おうとしても、それに覆い被さるように言葉を重ねた。
「耳が良くて良かったって思ったことなんか一つもない。お前らの愚痴とか1年同士の悪口とか、聞きたくもなかった。いっそのこと、聴覚がなくなればいいのに」
「それは……。耳が聞こえへん人にとっては、失礼やで」
「そんでもいいわ。1年には不安にさせんように、笑顔を続けとかなあかん。そんだけで俺の精神やられかけてんねん。俺はさ」
俺の頰には、ツウッと一筋の水が流れた跡があった。
その道を辿るように、双眸から涙が溢れ出てくる。
「いつまで嘘の笑顔を、吐き続けなあかん…?」
その言葉は強風で濱田に届くことはなく、周りの空気を微かに震わせただけだった。
「ん?なんか言った?けど、ここで曲がるから。バイバイ!」
「うん、バイバイ」