もう、2度とお前らは見たくない   作:水面ノ鏡

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第6話

現代を生きるヒトというのは、娯楽がないとストレスが溜まる。その娯楽は人それぞれであろう。

例えば、トレーニングをすることだったり、ゲームで遊ぶこと。俺で言うのであれば、物語を書くこと。

そんな中でも、俺は娯楽を親に取り上げられた。

その時、俺はまだ幼かったのであろう。また新しい娯楽を探し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「あ、野口先輩! 私彼氏ができたんです!」

 

「お、おう。おめでとう、でいいんかな?」

 

「はい!」

 

正直、そんなことを俺に報告されてもどう反応すればいいのだろう。後輩の言い方的にこの返し方で正解なのだろう……か?

 

「んー、誰と付き合ってるん?」

 

そんなことを報告されると、誰と付き合っているのか気になるのが人の性。まあ、全人類共通ではないとは思うけれども、大半の人は気になるだろう。

 

「えーと……」

 

「恥ずかしくて言われへんねんやったら別にいいんやで? 無理強いしてるわけじゃないし」

 

「いや、そんなわけじゃないんですけど、付き合ってるの、牧野先輩です」

 

は?

牧野? 牧野と言ったか?

牧野は俺とかなり仲がいい男子だ。後輩と一番距離が近いと言えるだろう。しかし、俺が問題視しているのはそんなことからではない。

牧野は既に、彼女がいる。何回か物語に出てきている、藤本だ。そろそろ付き合い始めて1年になる頃だろう。学校内でもかなり有名なカップルとなっている。

 

「え、どっちから告白したん?」

 

「牧野先輩からでした」

 

あーあ、馬鹿じゃねえの、あいつ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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『なあなあ、聞いてーや!』

 

『どうしたん?』

 

とある同級生とのラインの会話である。今では名古屋市の方に引っ越ししたため、会って話すことはできない。

しかし、仲がまあまあ良かったので、ラインで話すことは出来ている。

 

『牧野君と付き合うことになった!』

 

はは、付き合うとか彼氏ができたという報告で同じ苗字の人が出てくるとは思わなかった。牧野君ってのは名古屋の学校の生徒だろう。こちら側の、俺の友達であり、なおかつ藤本の彼氏、そんでもって後輩の彼氏疑惑がある牧野ではないだろう。

そんな期待を込めて、聞いてみた。

 

『牧野って、大阪の方にいる剣道部の牧野?』

 

『うん!』

 

この時、俺の中での牧野の評価は最底辺すれすれまで落ち込んでいた。

 

『ほら、告白されたラインのスクショ』

 

そのスクショは確かに牧野の名前、アイコンが示されていた。疑いようがない。

コラの可能性、というのも考えることは出来るかもしれないが、俺はその当時、そんな知識があるわけでもなかった。

 

『へー、おめでとう。って言ったらいいんかな?』

 

『ありがとう!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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その2人からの報告があった次の日、部活は平常運転。稽古しながら、男女の対立を肌で感じながら、中立の立場を貫くだけの2時間半。

 

「あーあ、ほんと牧野、馬鹿なことやってんなー」

 

何気なく呟いてみた。特に、何の意図もない。ただのぼやき。

 

「え、牧野何したん?」

 

その声は藤本。正直に言っていいものなのだろうか。付き合い始めて、1年がもう目と鼻の先にある。

そんな時に、伝えてしまって……。

 

いや、悪と見なされる友の行為を正すのも、友の役目。その役目を果たしてやろう、どんな形であったとしても。

 

「藤本にはかなりキツい話やけど、それでも聞く?」

 

「そんなヤバいことしたん? あいつのことやし、ある程度の覚悟はいつでも出来てる。聞こかな」

 

藤本にはどんなことがキツいのかが、全く分からない。俺は淡々と、藤本に告げた。

 

 

「え、は、え?」

 

「まあ、今牧野早退しておらんしな。何か抗議でもあるんやったら帰ってからしてみたら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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その週は藤本は来なかった。まあ、理由は何となく分かるが。

 

そして、次の週の土日。部長である泉が休んでおり、副部長の墨田は大阪府の強化選手として別の場所で稽古がある。

そのため、全体の指揮は剣道部の中で強さで上から2番目か3番目に位置する牧野へと降っていた。

そして、藤本は来た。

その時に牧野は俺に指揮を変わってほしいと言ってきた。

 

「なんで? お前の方が声は通るし、引き分ける剣道をやってる先輩より、毎回派手に勝ってきてるお前の方が適任やろ」

 

「いや、そんな問題ちゃうねん」

 

「どうしたんや?」

 

「俺、あいつに会わす顔がないねん」

 

「そんなん知ったこっちゃない。お前の自業自得なんやろが」

 

ああ、なんだ。こいつ結果別れたのか。

俺はこの時が初めてだろう。友だちのことを、ゴミクズ、人間の形をした何かだと認識したのは。

そして、この時何物にも代え難い何かが、俺を襲っていた。

人って、こんなにも簡単に関係は崩れ去るものなんだ。ありもしないことではない。全て事実であるがゆえに、それは途轍もなく効果を発揮する。

何も、狙ってやったわけではない。

しかし、その状況を俺は楽しんでいた。人の関係を崩すということに楽しみを感じていた。

 

人のことを人間のクズだと言っていたが、本来であるならば俺の方が人間のクズと言われるべきであろう。

人として友人を正しい道を提示しようと思っていたら、まさか自分が人として外れかけていた。

この時は、自分の中の何かが狂っていたのだろう。それをもたらしたのはこの剣道部だ。

 

 

これは、ただのお前らへの報復だ。




今となってはこの行為は治っているのでご安心を。
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