もう、2度とお前らは見たくない 作:水面ノ鏡
「話ってなんなん?」
「部活の話なんやけどな?」
こうして、俺は友人に普段のことを話した。
俺がこの友人を信用できると思っていた理由は2個ぐらいある。まず一つ目は、こいつは元剣道部であったこと。元々は剣道部に所属していたが、喘息で剣道をしていると命の危険もあったためやめたのだ。
そして二つ目。
こいつは嘘をつく。
普通であれば、それは信用できない人物としての捉え方をするだろう。俺もまともであれば、嘘つきなんかは信用したくない。けれども、この時は全部がストレスとなっていた。まともな考えもなくなっていた。嘘をつくことに信用できると評価した理由はもう一つ。この時には俺は愚痴や悪口が耳へと流れ込んできていた。
愚痴や悪口というものは大抵がその人物の本心からの言葉であることが多い。一切の矛盾も偽りのない、純度100%の言葉なのだ。
その中に誇張が入ることは仕方ない。けれども、大体は本心なのだ。
俺は本心を聞きすぎた。それが悪いことだとは俺は一切思っていない。信頼してくれていることの証明だとも思う。ただ、本心しか話してくれない。そのことに疲れた。嘘をついてほしかった。たったそれだけのことがこの友人を信用する理由だった。
「ずっとずっとずっとずっと、あいつらのことを俺は聞き続けて、ずっと前から積もっとった」
友人は一切、俺の言葉に口を挟まない。
聞いているのかいないのか、どうでもいい。
俺は今、俺がやられて嫌なことを友人に向けて言っている。本心を友人に伝えている。
「それが嫌やった、苦痛やった。けどもう逃げられへんねんやろうなって感じたんよ。だから一つ一つ聞いとった。やっぱ耐えるのが精一杯やった。精一杯がそれやったとしても、後輩には不安を煽ったらあかんと思って、笑顔浮かべたり声も普段通りに努めてる」
やはり、前回と同じ内容だ。
前回と異なる点を挙げるとするならば、言葉を続けると、壊れていた感情の栓がどんどんと修復されて落ち着いていく。
「いつまで俺は、本心から話したいと思ってる相手に嘘つき続けなあかんの?」
「……言いたいことってそんだけか?」
「まあ、もうちょい言いたいことあったような気がすんねんけど、何やったか忘れたわ」
事実である。
「とりあえず俺から言えることはな、勝手に独りで背負い込みすぎてるんちゃう?今のお前、ゴミ捨て場がないようなもんやろ。学校に確か相談出来る人おったやろ」
「あー、おった気がするけど……。いつやってるか覚えてないし、お前やからこう言えるわけやし」
「まあ、これで少し気持ちは楽になったやろ。言葉にするだけでほんまにすっきりするしな」
言われて初めて気付く。まだ重荷は肩の上から降りようとはしていなかったが、気持ちは多少、落ち着いていた。
「なんかゲームするか?」
「それやったらスプラやらせてもらってもええか?」
「合点承知」
この時はただのゲームやラノベが好きなオタクの男子中学生でいられた。