捻くれた少年と純粋な少女   作:ローリング・ビートル

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第16話

「ねえ、穂乃果ちゃん?」

「どうしたの、希ちゃん?」

 

 ストレッチをしていたら、希ちゃんが話しかけてきた。

 その表情には悪戯っぽさが滲んでいて、少し緊張する。も、もしかして……ワシワシしようとしてるのかな?

 警戒していると、希ちゃんは予想外の事を口にした。

 

「穂乃果ちゃんと比企谷君って、付き合ってるん?」

「え?違うけど……」

 

 なぁんだ、そんなことか~。

 別にそんなんじゃ……あれ?

 

「ど、どうしたの、いきなり?」

「ん~?何となく気になっただけ~」

 

 希ちゃんがニヤニヤ笑いながら、ストレッチを続ける。

 どうしたんだろう、一体?

 私と比企谷君が……。

 …………よくわかんないや。

 

「穂乃果、どうかしたのですか?」

「ねえ、海未ちゃん……あ、海未ちゃんもまだだったね。あはは、ごめんごめん」

「な、何なのですか一体?無性に苛立つ感覚がしたのですが」

「じゃあ、そろそろダンスレッスン始めよう!」

「あ、こら!待ちなさい、穂乃果!」

 

 私は何故かいつもよりがむしゃらに体を動かした。

 

 *******

 

「あ、もしもし比企谷君?」

「……悪い。今、ゲーム中だから後でな」

「え?……切れちゃった。比企谷君の薄情者~!」

 

 せっかく電話してあげたのに~!

 こっちが勝手にしてるだけだけど……。

 そこで、雪穂がひょっこり顔を見せた。

 

「お姉ちゃん、うるさいよ……」

「あっ、雪穂。ごめ~ん、うるさかった?」

「ここ最近多いよ?その……比企谷さんって人と話してる時とか特に……」

「それは比企谷君がおかしな事ばかり言うからだもん!」

「……そ、そうなんだ。まあ、いいけど……ふふっ」

 

 雪穂は何故か、希ちゃんみたいにニヤニヤしながら自分の部屋に戻っていった。

 ……どうしたんだろう。 

 

 *******

 

 昨日の希ちゃんや雪穂の表情を思い出しながら、窓の外を眺めていると、ヒデコとフミコとミカがやって来た。

 

「おっす、穂乃果!顔暗いよ?」

「具合悪いの?」

「お腹空いてるとか?」

「え?ち、違うけど……」

 

 お腹空いてるって……私が食いしん坊みたいじゃんか!

 そこでヒデコが、「ははぁ~ん」と意味ありげに笑った。ま、まさか……。

 

「もしかして……恋?」

「ああ~、もう恋はいいよ~!」

 

 やっぱり来た!!

 もう、皆どうしたの!?そんなに気にすることなの!?

 

「「「え?」」」

「?」

 

 あれ?3人共、何で固まってるの?

 何で震え出すの?

 

「こ、恋はいいよって……」

「穂乃果ったら……いつの間に……」

「うんざりするほど恋してたなんて……!」

「え?え?」

「「「その話、詳しく!!」」」

「ええ~!?」

 

 ものすごい表情で迫ってくる3人の誤解を解くのに、しばらく時間がかかっちゃった。

 うぅ……比企谷君のせいだ……。

 


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