「今日、比企谷君のせいで酷い目にあったんだからね!」
「言いがかりも甚だしい……」
高坂から謎すぎる因縁をつけられているが、そもそもこういう電話もあり得ない誤解の元じゃないんですかね……。
「…………」
「どした?」
急に声が聞こえなくなったので呼びかけてみると、「う~ん」と考え込むような声が聞こえてきた。え、何なの?まだ俺に関する問題があるの?
「比企谷君、何かあった?」
「はあ?」
いきなりな質問に、何を言えばいいけわからなくなる。こいつは何を……いや、あるにはあったのかもしれない。
先日、由比ヶ浜と交通事故の件やら何やらで、まあすれ違いみたいなことはあった。
自分では既にリセットしたつもりでも、こうして指摘される辺り、まだ切り替えができていないのかもしれない。
気がつけば会話に間が生まれていて、高坂はその間を肯定と受け取ったようだ。
「そっか、なんかごめんね?大変な時に……」
「いや、なんかあったって程でもなくてな……自分でも何と言っていいのか……まあ、あれだ。こうしてた方が気はまぎれる」
「ふーん、そっかあ。じゃあ、今日あった面白い話してあげる。実は今日、海未ちゃんがね……」
高坂の話を聞きながら、俺は自分の選択がどうだったかを、再び自分に問いかけていた。
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大丈夫って言ってたけど、本当かなぁ?
…………あ、そうだ!
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翌日……。
「到着!」
私は千葉駅の構内を出て、見慣れない千葉の街をキョロキョロと眺めた。さてと、比企谷君の通う高校はどっちかな?
今日は先生達の会議で普段より早く学校が終わったのと、比企谷君の部活があるのは確認してるから、学校の場所さえわかれば待ち伏せできるんだけど……。
……やっぱり電話……いや、でもここまで来て……。
勢いに任せてやって来たので、どうしようかと考えていると、前を制服を来た女の子が歩いて行った。
あの制服、もしかして……あ!
じっと見ていたら、ポケットから手帳が落ちるのが見えた。
私はそれをすぐに拾った。
「あの、これ落としましたよ!」
「え?あ、ありがとうございます……」
落とし主の女の子は、私と同い年くらいで、とても可愛かった。顔はもちろん、髪をお団子にしてるのとか……あと、胸がおっきい!
でも、なんか元気なさそう……って今は別のこと考えてる場合じゃないよ!
「あの!」
「?」
「総武高校はどっちですか!?」
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「っ!」
「どうかしたの、比企谷君。いきなり動かれると気味がわるいのだけれど」
「いや、今変な気配が……」