捻くれた少年と純粋な少女   作:ローリング・ビートル

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第20話

 

 千葉にいる比企谷君に会いに行ってから、早くも3日が経った。悩みは解決したのかなぁ?ちょっとくらいメールで教えてくれてもいいのに!もう、比企谷君のバカ!

 そんな事を考えながらベッドに倒れ込むと、ケータイが震えだした。

 画面を見ると、彼の名前が表示されていた。

 

「もしもしっ!」

「っ!お、お前、いきなりどうした……」

「比企谷君が悪いんだよ!」

「何がだよ……」

「だってどうなってるのか全然教えてくれないし」

「ああ、まあ、何つーか……色々あったんだよ」

「色々って?」

「まあ、それはさておき……」

「誤魔化した!!」

「その……この前相談したやつ、解決した」

「え?」

「そ、相談のってくれてありがとな。助かった……」

「……ど、どういたしまして」

 

 意外なくらい素直な比企谷君に、つい言葉が詰まってしまう。な、何だろう、この感じ……ちょっとだけ、胸がきゅっと鳴ったような……。

 

「その、なんだ……今度、また……ほむまん買いに行く」

「う、うん。何ならパンを奢るとかでもいいんだよ?」

 

 今パンを食べたかったわけじゃないけど、とりあえず何か言っておかないと、とても落ち着いていられなかった。海未ちゃんからは、いつも落ち着きがないってよく言われるけど、そういうのとは違う感じ。

 

「別にパンくらいなら構わん。てっきり、期間限定のアホみたいに高いパフェとかお願いされると思ったが」

「え、そんな高いの奢ってくれるの?」

「奢らん。虫歯になるぞ」

「私の虫歯に絶対に心配してないよね!?自分のお小遣いの心配したよね!?ま、いいけど。比企谷君の問題が解決したなら」

「……お、おう」

 

 何故か比企谷君が慌てているような気がした。

 

「ん、どうかした?」

「いや、何でもない……」

「そう?あ、そうだ!今度、文化祭でライブやるから絶対に観に来てね!キラキラ輝くライブにするから!」

「そして輝く……」

「ウルトラソウル♪……って話変えないでよ!ライブ絶対に来てね!」

「…………わかった」

「今、行かない言い訳考えなかった?」

「んなわけ……あるか」

「あーひどい!希ちゃんに言いつけよっと!」

「何で東條さんなんだよ」

「だって比企谷君、胸大っきな女の子好きでしょ?」

「え、俺ってお前の中でそんなキャラになってんの?」

「うん。あとは絵里ちゃんとか、花陽ちゃんとか……」

「…………」

「あれ、違うの?」

「……否定はしないが、特に推しメンみたいなのは決まっていない。強いて言うなら、優木あんじゅとか」

「μ'sじゃないじゃん!比企谷君の浮気者!あれ?浮気、なのかな?もういいや、浮気者!」

「どっちなんだよ……ライブ、一応行く。まあ、こっそり応援しとく」

「普通に応援してよ」

「……気が向いたらな。じゃあ、もう切るわ」

「あ、うん。またね!」

「ああ」

 

 話し終えると、心の中が温かいような、散らかったような、不思議な気分になる。比企谷君って、本当によくわからないなぁ。

 一応って言ってたけど、来てくれるよね?

 ……ライブ、絶対に成功させなきゃ。

 

 

 

 


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