捻くれた少年と純粋な少女   作:ローリング・ビートル

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第40話

 夏休み最終日。

 特にやることもなく、いや、あえて何もせずに過ごした。何もしないという贅沢。そうか、ボッチとはこんなにも優雅だったのか……。

 そんな優雅なひとときを邪魔するように携帯が震えだす。

 

「はい、もしもし」

「大変!大変だよ、比企谷君!」

「どした?あんま大変じゃなさそうだが……」

「何で決めつけるの?まだわかんないじゃん!」

「本当に大変なら俺のところに電話なんてしないだろ」

「確かにそうだけど!」

「そ、そうか……いや、言ったの俺だけど」

「とにかく聞いてよ!もう夏休みが最終日なんだよ!2ヶ月足りないんだよ!」

「……それは大変だな。話を聞こう」

「変わり身はやいよ!と、とにかく、夏休み最終日なんだよ!それで海未ちゃんに2ヶ月足りないって言ったら、怒られちゃった……」

「容易に想像できるな……正座させられて説教されてそうだ」

「違うもん!筋トレを倍に増やされただけだよ!」

「……より悲惨じゃねえか……つーか、何で俺に電話したんだ?お前の主張には全面的に同意なんだが……」

「だって小町ちゃんが言ってたよ?比企谷君が『2ヶ月足りないー』って言ってたって」

「え?今の俺の物真似?まったく似てないんだけど……」

「そうかなぁ、結構捻くれてた言い方になってた気がするんだけど」

「捻くれた言い方ってなんだよ……てかお前夏休みの課題終わったのか?」

「うん!今さっき終わったんだぁ♪」

「……まあ、宿題終わったんならいいんじゃねえの?お疲れさん」

「ありがと♪あっ、そういえば林間学校はどうだった?小町ちゃんは楽しかったって言ってたけど」

「…………ああ、まあ、ぼちぼちだ」

「ん?どうかしたの?」

「いや、それよか次のライブの予定は決まってんのか?」

「まだだよ。えっ、なになに?そんなに待ってくれてるの?」

「……何となく聞いてみただけだ。別にA-RISEとの共演がいつになるかが気になったわけじゃないし……」

「そこ目的でしょ!自分からばらしてるじゃん!もうっ」

「いや何つーか、あれだ……当日行けるかはわからんが、チケットぐらいは買う」

「ふ~ん、じゃあ当日行けるかわからないとか言わずに絶対来て欲しいなぁ」

「……善処する」

「ふふっ、ありがと♪やっぱり応援してくれる人がいるっていいなぁ。じゃあ、今度お礼に比企谷君を応援してあげるよ!」

「い、いや、遠慮しておきます……」

「何で敬語なの……?でも、決めた!私、比企谷君応援するよ!」

「何を応援するんだよ……」

「色々!」

「それなら戸塚とか材木座みたいな夢がある奴応援してやれよ……材木座は怪しいけど」

「うん、それはもちろんだよ!でも比企谷君も!」

「……そうか、あ、ありがとな。てか、もう遅いから寝るわ」

「あっ、うん。いきなりごめんね?」

「いや、大丈夫だ。じゃあな」

「うんっ、おやすみ!」

 

 通話が途切れると、嵐が過ぎ去ったかのような静寂が訪れる。

 ……なんかこの感じも慣れてきた気がする。良くも悪くも。

 ふと時計に目をやると、既に8月は終わり、9月が始まっていた。

 

 *******

 

 翌日になり、当たり前だが2学期は始まる。まだ夏の名残のような暑い陽射しに照らされながら、多くの学生はのろのろと学校までの道のりを辿る。

 もちろん俺もその中の一人だ。ボッチ通学なのはいつもと変わらないが。

 そんな風に思索に耽っているうちに、じわり汗を滲ませながら学校に到着する。

 そして、久しぶりに上履きに履き替えていると、背後に人の気配を感じた。

 振り向くと、川……何とかさんがそこにいて、こちらに鋭い視線をなげかけている。

 まったく反応しないのもあれなので、会釈だけしておく。別に、久々に見た川崎のヤンキーみたいな雰囲気にびびったわけではない。

 特に話題があるわけではないので、そのまま教室に向かおうとすると、「ねえ」と声をかけられた。

 もう一度振り向くと、さっきの鋭い雰囲気はどこへやら、何やらもじもじと恥じらう純情乙女みたいな表情をしている。

 

「アンタさ……この前……」

 

 いや、新学期なんだよそのテンション。うっかり何か始まっちゃうのかと思うだろ。高度なツンデレかよ……。

 

「……いや、ごめん。やっぱ何でもない」

「そ、そうか……」

 

 川崎はスタスタと足早に去っていった。

 ……何だったんだ、あいつ?

 まあ、何はともあれ新学期が始まった。

 

 *******

 

 よーしっ、今日から新学期!

 昨日は比企谷君と色々言ったけど、気持ちを切り替えて、ラブライブに向けて頑張ろっ♪

 しかし、予想外の出来事が……

 

「えっ?わ、私が生徒会長?」

「そう。お願いできるかしら」

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