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それでは今回もよろしくお願いします。
「……連絡先?」
「そっ!連絡先だよ!」
「ああ……」
「あ、ごめん……いきなりすぎた?」
この距離の詰め方は、世の男子達を積極的に送りにいくスタイルとしか思えないのですが、それは……。
しかし、こいつ……どこかやりづらい。
何というか……純粋すぎるのか、無防備すぎるのか……。
言葉の裏側を読み取ろうと思っても、言動の奥底にあるものを覗こうと思っても、何もないのだ。
勿論、俺には読心術の心得もないし、超能力も持っていない。しかし、他人からの悪意に関しては人一倍敏感なつもりだ。
それでも、彼女からはそれらしいものが見えてこない。まだ出会って間もないから、なのだろうか?
「比企谷君?」
「……いや、何でもない」
俺はこんがらがりそうな思考を振り払い、高坂に携帯を渡す。
彼女はそれを見て、呆けた顔をしたが、すぐにその意味に気づいた。
「あ、なるほど!」
俺から携帯を受け取り、テキパキと登録を済ませ、携帯が戻ってくる。
「ありがと♪」
「礼言われることでもないんだが……」
「そうかな?じゃあ、ほむまん買って行ってよ!」
「じゃあって……繋がりが全く見えないんだが……」
「いいからいいから♪お安くしときますよ~」
「んな勝手な事言ってると、自分の母ちゃんや妹に怒られるんじゃないのか?」
俺の言葉に、高坂の顔が一瞬凍りついた。
「……あ、そうだ!私、この後友達と会う予定があるんだけど、まだもうちょっと時間があるんだ!比企谷君が暇なら付き合ってくれないかな?」
「誤魔化しやがった……」
「あはは……あ、でもお友達待ってるんだよね?」
「……いや、まあ……大丈夫だ。どうせ向こうも忘れてるだろうしな」
「そう……かなぁ?」
「ああ、つーか時間潰すだけなら、その辺の喫茶店で十分だろ」
「うん……じゃあ、行こっか!」
喫茶店の中は休日の昼の割には空いていて、外の喧騒とは切り離された空間になっていた。
適当な席に腰を下ろし、先程まで自分達がいた通りに目をやると、不思議な気持ちになるくらいだ。
いや、それより不思議なのは、お互いに時間潰しの為とはいえ、この組み合わせで喫茶店にいることだろうか。
まあ、当事者の片方はさっさと注文をチョコレートパフェに決めてしまったが……
「比企谷君は部活とかやってるの?」
「……一応、奉仕部だ」
「ほーし部?」
多分、この言い方は奉仕の意味がわかっていないっぽい。
とりあえず、雪ノ下の言葉を借りる事にする。
「ああ、あれだ。腹減った奴に、魚をやるんじゃなくて、魚の捕り方を教えるんだよ」
「へえ、釣りをするの?」
「…………」
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