ライブ終了後、会場が混雑していたのと、場所がUTXということもあり、俺達はそのまま帰路に着いた。
そして、帰宅してから色々やることを済ませ、もう寝ようかと思った頃に携帯が震え出した。
相手が誰なのか、何となく予想をつけながら、そのまま画面を確かめもせずに携帯を耳に押し当てる。
「……はい」
「あっ、もしもし八幡君!こんばんは~!今大丈夫?」
「お、おう……てか、テンション高いな……」
「うんっ!すっごくテンション上がってるから、まだちっとも眠くならないんだぁ」
「そっか。まあ、今日はお疲れさん」
「えへへ、ありがと♪」
「結果はいつわかるんだ?」
「明後日。皆で放課後に部室で確認することになってるよ」
「すぐじゃねえか。その割にはあんま緊張してないんだな」
「うん、今はあんまり。思ったよりずっといいライブにできたからかな。でも、発表の日になると緊張しちゃうかも……」
「……そっか」
「ねえ、八幡君」
「?」
「……その……どう、だった?」
「何が?」
「今日のライブに決まってるじゃんっ!わかってて言ってる?」
「ああ、悪い。…………まあ、その……今までで一番よかった」
「……そっかぁ……じゃあ、よかった。てっきり、あんじゅさんばかり見てて、私達の時見てなかったらどうしようって思ったよ~」
「いや、さすがにそこまで失礼な真似はしない。それに……」
「それに?」
「本当によかった……何つーか、感動した」
「っ!……そ、そう?えと……八幡君、感動したの?」
「ああ……お前が2番の出だしで歌詞を間違えたとこ以外はな」
「も、もうっ!そんなところにはすぐ気づくんだから!八幡君のイジワル!」
しばらく他愛のないやりとりをしていると、いつの間にか穂乃果の寝息が聞こえてきたので、「おやすみ」とだけ呟いて、通話を終えた。
ちなみに、明後日にμ'sの予選突破を知った時は、さらにヤバいテンションだったとだけ付け加えておく。
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数日後、μ'sが予選を突破したので、穂乃果と約束していたメロンパンの店に行くことになった。まあ、財布の中身は心許ないが、メロンパンを奢るくらいなら何とかなるだろう。
秋葉原駅を出ると、彼女の姿はすぐに見つかったのだが……
「あっ、来た!八幡く~ん!!」
「っ!?」
ボッチとしてこれまでにメンタルを鍛えてきた俺が、普通に挨拶するよりも、驚きが先に出てしまった。
……そう、いつもと雰囲気の違う服装の穂乃果が、こちらに向かって手を振っていた……綺羅ツバサさんと一緒に。