捻くれた少年と純粋な少女   作:ローリング・ビートル
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 申し訳ないです。風邪をひいてしまい、更新が遅れました。

 それでは今回もよろしくお願いします。


第7話

「何だかよくわからないけど……楽しそうだね!」

「……お、おう、そうか」

 

 本当によくわかっていなさそうだ。つーか、このリアクション……どっかで見た覚えが……。もしかして、この子もアホの子なのだろうか。

 高校生にしては無邪気過ぎる瞳の輝きに気圧されていると、彼女が注文したチョコレートパフェと、俺が注文したチーズケーキが運ばれてきた。

 満面に笑みを貼り付けた彼女は、チョコレートソースがかかった生クリームをパクリと頬張る。

 

「う~ん、おいし~♪」

「…………」

 

 こちらもそのとろけるような笑顔につられ、チーズケーキを頬張る。うん、美味い。なんかもう、美味しすぎて、このまま材木座をほったらかして帰ってもいいくらいだ。

 

「じぃ~っ」

「?」

「じぃ~っ」

 

 高坂の視線がチーズケーキで固定されている。ここまで本音を隠す気がないと、いっそ清々しい。

 とはいえ、ここで一口食べる?なんてスマートに切り出せるほどのコミュニケーション能力は持ち合わせていない。悪いな、チーズケーキは今度自分で頼んでくれ。

 俺が視線に気づかないふりをして食べ進めていくと、ようやく諦めたのか、自分のパフェを……

 

「えへへっ、一口もーらいっ♪」

「っ!」

 

 彼女はいきなり、巧みなスプーン捌きで、俺のチーズケーキを削り、それを口に運んだ。

 

「ん~、美味しい♪」

「…………」

 

 別に怒っているわけではない。

 ただ……間接キスになるんじゃないか、なんていう単純明快な事実が気になるだけだ。あ、いや、別に意識してるとかじゃなくてですね?やはり年頃の女子として、その無防備は時として残酷になると言いますか……あなた絶対に男子を死地に送り込んだことありますよね?

 すると彼女は、自分のパフェを差し出してきた。

 

「はい!少し取っていいよ!」

「…………」

「どしたの?顔赤いよ?」

「いや、何でもない」

 

 俺はこの子の純粋さを少しだけ心配しながら、パフェの上にポツンと乗っかっているサクランボを取って、勢いよく口に含んだ。うん、これも美味い。そしてナイス判断、俺。これなら間接キスには……

 

「あ、あ、あ……」

「……どした」

「あ~~~~~~~~~~!!!!私のサクランボが~~~~~~~~~~!!!!」

 

 *******

 

「もう、信じらんない!サクランボだよ、サクランボ!」

「いや、嫌いなのかと……」

「最後まで取っといたの!」

「お、おう……悪い……」

 

 会計を済ませ、喫茶店を出てからも、高坂はまだご立腹のようだ。

 

「まあ、いきなりケーキ食べちゃったから仕方ないんだけどさ……あ、そうだ!」

 

 今度はいきなり笑顔になり、何やらチラシを差し出してくる。

 

「μ's、秋葉原ライブ?」

「そ!1週間後だから、良かったら観に来てね!あと穂むらもよろしく!」

「ああ……いつか、その内な」

「その内じゃなくて1週間後だよ!まあ、来れたらでいいんだけどね?」

「……時間は大丈夫なのか?」

「え?……あ~!!もう10分以上過ぎてる!また怒られちゃう!」

 

 時間を確認し、慌てた高坂は電光石火の如く走り出す。その背中が小さくなるのを見送っていると、彼女はぱっと振り返った。

 

「比企谷君!ありがとう、またね!!」

「……お、おう」

 

 弾けるような笑顔の残像を残し、彼女は人混みに消えていった。

 ……そろそろ材木座と合流するか。

 

 

 

 





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