捻くれた少年と純粋な少女   作:ローリング・ビートル

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第70話

「ほ~のかっ!」

「わっ、びっくりしたぁ……な、なぁに?」

 

 お昼休み、席に座って、この前のドレス撮影を思い出していると、突然後ろからヒデコが驚かしてきた。ほ、本当にびっくりしたぁ……。

 

「いや~穂乃果が珍しく恋に悩む乙女みたいな表情してたからつい……」

「っ!」

 

 たまにヒデコは物凄く鋭い。そして、そこに助けられることもあれば、今みたいにギクリとさせられる時もあった。

 私はヒデコの方は見ずに、普段通りを意識しながら口を開いた。

 

「べ、別に?恋に悩んでなんかないんだからねっ」

「いや、私にツンデレしてもあんま意味ないと思うんだけど……」

「ツ、ツンデレじゃないよ!ツンデレっていうのは真姫ちゃんみたいな子の事だもん!」

「まあまあ、落ち着きなって。それより、何か悩みがあるならお姉さんさんに相談してみな?」

「そうそう」

「一人じゃないから」

 

 いつの間にかフミコとミカもいる。うぅ……これじゃ逃げれないよ。海未ちゃんとことりちゃんもいないし……あれ?そういえば……

 

「三人もまだ彼氏とかできたことないんじゃ……」

「「「っ!!」」」

 

 三人共肩をビクンと跳ねさせ、ピタッと固まる。あっ、も、もしかして……私、不味い事言っちゃった?

 内心ビクビクしながらヒデコを見ると、ヒデコはにっこりと笑顔を見せた。よかった、怒ってないぃ!?

 

「ほ~の~か~……」

「い、いふぁい、いふぁい、いふぁい!?」

「言ってはいけない事を言ってしまったわね」

「これはくすぐりの刑、かな?」

「~っ!?」

 

 *******

 

「それでさ、いつの間にか絵里ちゃんまで一緒にくすぐってるんだよ?もう大変だったんだから!」

「……そりゃ災難だったな」

「八幡君も声疲れてるね。久々に運動始めたからかな」

「だろうな。てか、お前いつもこんなのやってんのかよ」

「うんっ、だってラブライブ優勝目指してるもん。でも驚いたなぁ。八幡君からいきなりμ'sのトレーニングメニュー教えてって言われた時は……」

「……まあ、あれだ。ただの運動不足解消みたいなもんだ」

「そっか。じゃあ、一緒に頑張ろうね」

「いつまで続くかはわからんけどな」

「大丈夫。だって八幡君だもん」

「何、その謎の信頼……まあ、やれるだけやってはみるが」

「うんうん、それが大事だよ。そういえば、明日から修学旅行だよね。京都、私も行きたいなぁ」

「いや、この前沖縄行っただろ。てかお土産、どんな食い物がいいんだ?」

「むっ、その言い方だと私が食い意地張ってるみたいじゃん」

「違うのか?」

「むむっ……和菓子以外でお願いします!」

「わかった。まあ、なんか適当なの買っとくわ」

「あっ、でも……」

「?」

「でも、やっぱり八幡君が修学旅行楽しんで来てくれるのが一番嬉しい、かな」

「…………」

「も、もしかして、余計なお世話だった?」

「いや……ありがとな。まあ、善処する」

「……うんっ!」

「じゃあ、そろそろ寝るわ」

「うん、またね。おやすみ~」

「……ああ」

 

 

 

 


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