「ほ~のかっ!」
「わっ、びっくりしたぁ……な、なぁに?」
お昼休み、席に座って、この前のドレス撮影を思い出していると、突然後ろからヒデコが驚かしてきた。ほ、本当にびっくりしたぁ……。
「いや~穂乃果が珍しく恋に悩む乙女みたいな表情してたからつい……」
「っ!」
たまにヒデコは物凄く鋭い。そして、そこに助けられることもあれば、今みたいにギクリとさせられる時もあった。
私はヒデコの方は見ずに、普段通りを意識しながら口を開いた。
「べ、別に?恋に悩んでなんかないんだからねっ」
「いや、私にツンデレしてもあんま意味ないと思うんだけど……」
「ツ、ツンデレじゃないよ!ツンデレっていうのは真姫ちゃんみたいな子の事だもん!」
「まあまあ、落ち着きなって。それより、何か悩みがあるならお姉さんさんに相談してみな?」
「そうそう」
「一人じゃないから」
いつの間にかフミコとミカもいる。うぅ……これじゃ逃げれないよ。海未ちゃんとことりちゃんもいないし……あれ?そういえば……
「三人もまだ彼氏とかできたことないんじゃ……」
「「「っ!!」」」
三人共肩をビクンと跳ねさせ、ピタッと固まる。あっ、も、もしかして……私、不味い事言っちゃった?
内心ビクビクしながらヒデコを見ると、ヒデコはにっこりと笑顔を見せた。よかった、怒ってないぃ!?
「ほ~の~か~……」
「い、いふぁい、いふぁい、いふぁい!?」
「言ってはいけない事を言ってしまったわね」
「これはくすぐりの刑、かな?」
「~っ!?」
*******
「それでさ、いつの間にか絵里ちゃんまで一緒にくすぐってるんだよ?もう大変だったんだから!」
「……そりゃ災難だったな」
「八幡君も声疲れてるね。久々に運動始めたからかな」
「だろうな。てか、お前いつもこんなのやってんのかよ」
「うんっ、だってラブライブ優勝目指してるもん。でも驚いたなぁ。八幡君からいきなりμ'sのトレーニングメニュー教えてって言われた時は……」
「……まあ、あれだ。ただの運動不足解消みたいなもんだ」
「そっか。じゃあ、一緒に頑張ろうね」
「いつまで続くかはわからんけどな」
「大丈夫。だって八幡君だもん」
「何、その謎の信頼……まあ、やれるだけやってはみるが」
「うんうん、それが大事だよ。そういえば、明日から修学旅行だよね。京都、私も行きたいなぁ」
「いや、この前沖縄行っただろ。てかお土産、どんな食い物がいいんだ?」
「むっ、その言い方だと私が食い意地張ってるみたいじゃん」
「違うのか?」
「むむっ……和菓子以外でお願いします!」
「わかった。まあ、なんか適当なの買っとくわ」
「あっ、でも……」
「?」
「でも、やっぱり八幡君が修学旅行楽しんで来てくれるのが一番嬉しい、かな」
「…………」
「も、もしかして、余計なお世話だった?」
「いや……ありがとな。まあ、善処する」
「……うんっ!」
「じゃあ、そろそろ寝るわ」
「うん、またね。おやすみ~」
「……ああ」