捻くれた少年と純粋な少女   作:ローリング・ビートル

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第96話

「はっ……はっ……」

「はっ……はっ……」

 

 私はダイエット仲間の花陽ちゃんと、街中でランニングしていた(花陽ちゃんは遠慮してるけど大事なダイエット仲間だよ!)。

 海未ちゃんのトレーニングメニューはハードすぎて挫けそうだけど、周りの温かな支えもあり、何とかこなしていた。

 ……ランニング中にいつも通りすぎる定食屋には、今度八幡君と来よう。

 

「ほ、穂乃果ちゃん……っ」

「どうしたの?花陽ちゃん……はっ……はっ……」

「た、楽しそうだね……はぁ……はぁ……」

「そ、そうかなぁ?……えへへ」

「?」

「よ~しっ!ラストスパートだよ!花陽ちゃんっ!」

「えっ?まっ、待って~~!はぁ……はぁ……」

 

 *******

 

 二週間後。俺は穂乃果から、ダイエット成功の報告を受けた。

 

「そっか……お疲れさん」

「うんっ、八幡君も協力してくれてありがとっ」

「……どういたしまして。てか、生徒会の仕事のほうはもう大丈夫なのか?」

「う、うんっ、今度からは気をつけます……」

 

 ダイエットも佳境に差し掛かったところで、生徒会のほうでもトラブルが起こったらしく、そっちの仕事にも精をだした結果、ダイエットの成功にも繋がったらしい。

 

「……お前、すげえな」

「え?」

 

 ふいに自分の口から零れた呟きに、彼女は不思議そうな反応を見せる。

 

「どした?」

「えっ……なんか意外かなって……八幡君が素直に褒めてくれるのが」

「いや、最近はそうでもない気がするんだが……」

「そうかもだけどっ、でも今のはなんか違ったっていうか……うん、八幡君素直になったね♪」

「そ、そりゃどうも……てか、何?今、俺褒められてんの?」

「うん。褒め返したの」

「何だそりゃ」

「あっ、そうだ。八幡君に言っておかなきゃ!」

「?」

「今度、ランニング中に見つけた定食屋に行こうよ!もう私、ずっと我慢してたんだから!」

「あ、ああ……別にいいけど、お前……」

「あぁ、楽しみだなぁ♪あと八幡君からパフェ奢ってもらえるのも楽しみ♪」

「……それ、お前に言ったっけ?」

 

 確かモノローグで語っただけな気がするんだが、僕のきのせいでしょうか?何より……

 

「そうやって油断してると、また後悔する羽目になるぞ。今回で身に染みたろ」

「でも、その時はまた八幡君も一緒にダイエットしてくれるんだよね?」

「……アホか。でもまあ、その定食屋は何となく興味ある」

「ふふっ、絶対に行こうね。あとお父さんもまた会いたいって言ってたよ」

「えっ?何で?」

 

 何か好感度上がるイベントあったっけ?思い当たる節がなさすぎて怖い。

 

「そ、そうか……まあ、いつか、そのうちな……」

「あっ、それと八幡君……」

「?」

 

 急に彼女の声色がどこか変わった気がして、つい身構えてしまう。

 すると、彼女は意外すぎる単語を口にした。

 

「……キスって興味ある?」

「……………………は?」

 

 


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