「はっ……はっ……」
「はっ……はっ……」
私はダイエット仲間の花陽ちゃんと、街中でランニングしていた(花陽ちゃんは遠慮してるけど大事なダイエット仲間だよ!)。
海未ちゃんのトレーニングメニューはハードすぎて挫けそうだけど、周りの温かな支えもあり、何とかこなしていた。
……ランニング中にいつも通りすぎる定食屋には、今度八幡君と来よう。
「ほ、穂乃果ちゃん……っ」
「どうしたの?花陽ちゃん……はっ……はっ……」
「た、楽しそうだね……はぁ……はぁ……」
「そ、そうかなぁ?……えへへ」
「?」
「よ~しっ!ラストスパートだよ!花陽ちゃんっ!」
「えっ?まっ、待って~~!はぁ……はぁ……」
*******
二週間後。俺は穂乃果から、ダイエット成功の報告を受けた。
「そっか……お疲れさん」
「うんっ、八幡君も協力してくれてありがとっ」
「……どういたしまして。てか、生徒会の仕事のほうはもう大丈夫なのか?」
「う、うんっ、今度からは気をつけます……」
ダイエットも佳境に差し掛かったところで、生徒会のほうでもトラブルが起こったらしく、そっちの仕事にも精をだした結果、ダイエットの成功にも繋がったらしい。
「……お前、すげえな」
「え?」
ふいに自分の口から零れた呟きに、彼女は不思議そうな反応を見せる。
「どした?」
「えっ……なんか意外かなって……八幡君が素直に褒めてくれるのが」
「いや、最近はそうでもない気がするんだが……」
「そうかもだけどっ、でも今のはなんか違ったっていうか……うん、八幡君素直になったね♪」
「そ、そりゃどうも……てか、何?今、俺褒められてんの?」
「うん。褒め返したの」
「何だそりゃ」
「あっ、そうだ。八幡君に言っておかなきゃ!」
「?」
「今度、ランニング中に見つけた定食屋に行こうよ!もう私、ずっと我慢してたんだから!」
「あ、ああ……別にいいけど、お前……」
「あぁ、楽しみだなぁ♪あと八幡君からパフェ奢ってもらえるのも楽しみ♪」
「……それ、お前に言ったっけ?」
確かモノローグで語っただけな気がするんだが、僕のきのせいでしょうか?何より……
「そうやって油断してると、また後悔する羽目になるぞ。今回で身に染みたろ」
「でも、その時はまた八幡君も一緒にダイエットしてくれるんだよね?」
「……アホか。でもまあ、その定食屋は何となく興味ある」
「ふふっ、絶対に行こうね。あとお父さんもまた会いたいって言ってたよ」
「えっ?何で?」
何か好感度上がるイベントあったっけ?思い当たる節がなさすぎて怖い。
「そ、そうか……まあ、いつか、そのうちな……」
「あっ、それと八幡君……」
「?」
急に彼女の声色がどこか変わった気がして、つい身構えてしまう。
すると、彼女は意外すぎる単語を口にした。
「……キスって興味ある?」
「……………………は?」