マギ 六十億年生きた女   作:支倉貢

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みんな死んじまう

「……はは……おいおい、冗談だろ……?」

 

目の前に聳える巨大な化け物に、思わず乾いた笑い声が上がる。そうでもしないとやってられなかった。

頭を過るのは、絶望の二文字。

そりゃそうだ。この世界のあらゆるものからルフを奪って強くなれる。そんなチート野郎にどう勝てってんだ。

 

僕も魔力(マゴイ)が少なくなってきてるし、もうこの浮遊魔法と重ねて弱い魔法しか使えない。僕の身の内の魔力(マゴイ)は、そこまで多くないってのに……!

 

これはかなりヤバい。アルマトランでは72人がかりだったものを、たった6人でやろうとしてるんだ。元々無謀だった、としか言いようがない。

かと言って……あの黒いバケモンを、地上に降ろさせるわけにはいかない。でも、もう戦える力は残ってない。

どうする……どうする⁉︎

 

巨大化した依り代がまず最初に襲ったのは、白瑛とアラジン。二人を地面に殴りつけ、そこには大きなクレーターができていた。アラジンの防壁魔法(ボルグ)のおかげで、そこまでダメージは大きくならなかったようだが、白瑛は意識を失い倒れてしまった。

 

それに、応戦して、紅玉が攻撃を仕掛ける。しかし、もう水の刃は防壁無しでも効かなくなった。

逃げ遅れた紅玉が、足を掴まれてしまう。紅覇が手を斬って助けたが、その彼も依り代の手に捕まってしまった。

そこは紅炎が斬ったものの……地面に落ちた二人は、あまりにもひどかった。特に紅覇は全身の皮を剥がされ、意識もままならない。

 

今度は紅明が、転送魔法で近くにあった岩山一つを丸ごと転送させる。それで依り代を押し潰そうとしたが……無傷だった。

 

ああ、もう、ダメだ。

空に広がる無数の手を見て、本当にそう感じた。

魔力(マゴイ)が切れる寸前まで戦ったのに。敵はあまりにも強大すぎて。

千年前はどうやって奴らを倒したんだっけ?あの時と比べて、今の僕らは魔力(マゴイ)も力も何もかもが足りない。

 

依り代がイル・イラーを引きずり降ろそうとしてるのに……必死に立ち向かってるのに、もう奴には傷一つつけられない。何もできない自分に苛立ち、焦燥でまともに考えられなくなる。

 

「やめろ……」

 

一刻一刻と、近づいてくる。

 

「やめろ…………」

 

破滅の時が。

 

「やめろ………………」

 

あの時、僕だけが生き残ってしまった世界。

 

黒い死体だけが転がる、あのーー死者達の街(ネクロポリス)が、脳裏を過った。

 

 

「やめろおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーピカッ!

 

ドォォン‼︎

 

「⁉︎」

 

突如空を突き抜けて落ちてきた、雷。この大きさは、明らかに魔法だとわかった。

一体誰が。雷を放った正体は、暗雲に隠れてよく見えない。

 

「………………あ……」

 

あれは。あの青い雷は……

 

「シ…………‼︎」

 

「『雷光剣(バララーク・サイカ)』!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ドォオンッッ‼︎

 

 

 

「ーーシンドバッド!!!」

 

先程よりも大きな落雷が、依り代を襲った。

 

「おじさん!!!」

「シンドバッドさん!!?」

「シンドバッドだと⁉︎あの男が…………」

 

アラジン達も、シンドバッドを見上げる。

その時、ルフが僕に言った。まだ、希望は捨てちゃいけないって。

どういうことだ、と空を仰ぐと……シンドバッドが、七海連合の金属器使い達を引き連れてやってきていたのだ。

 

「なっ……ダリオス!アールマカン!ミラ!ラメトト!お前ら、何っ……」

 

よく見れば、王だけでなく、眷族まで揃えてきやがった。シンドバッドの所に至っては、あのドラコーンが出陣している。

何で、どうしてここに。そう訊きたかったが、疲労でぐらりと視界が歪む。その時、背後に心地よい気配がまわった。

 

「……大丈夫?アルト」

「!ユ……ユナン……!」

 

抱きとめてくれたのは、ユナンだった。まさか、ユナンがこの危機を察して、シンドバッドに呼びかけを……?

 

「おい……これは、お前が……?」

「ううん、僕だけじゃないよ」

 

スッ、とユナンの細い指が、一点を指す。その先を見ると……アリババをお姫様抱っこしている赤髪の可愛い女の子が。

 

「あの娘は……」

「モルジアナ。アリババくんの眷族だよ」

「眷族⁉︎そうか、あの足の鎖は眷属器か……」

 

確かによく見てみると、あの鎖でどうやら飛んでいるらしい。

熱で気流を操ってるのか……。確かにこの分だと、無駄に魔力(マゴイ)を放射するより効果的だ。ファナリスには向いてる……ってことか。

ぎゅ、とユナンが抱きしめてくる。

 

「ごめんね、アルト……。もっと早くに到着できればよかったんだけど……」

「……いや、気にするなユナン。ようやく、一縷の希望の光が差し込んだ……それだけでも充分だぜ」

 

眉を下げ俯くユナンの頬に、手を添える。

これだけの力があれば、きっと依り代を倒せる。それを集めてくれたお前らには、感謝しかないよ。

 

……さて、僕もやるべき事をしなくちゃ。あの依り代の核となった人物。それを探り出すんだ。

 

一人、候補がいた。マグノシュタットで、ここまでの力を使える奴は……きっと、あいつしかいない。

そいつは僕の古い知り合いだ。とても優しい心を持ってる奴だった。

でも、魔導士でない人間への憎悪に駆られ……そこを、組織につけ込まれた。

 

そいつは……マグノシュタット学院学長、マタル・モガメット。




お気に入り、ひゃ、150件、ですか……。
な、なんかすごいことになってる⁉︎お、おおおおお!(興奮)

ありがとうございます!
全く成長が見られない拙い文章ですが、これからもどうぞよろしくお願いします。
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