Fleet Collection 業火が燃え広がる世界 作:夜間飛行
思い付きで書いてみた作品です。好きなゲームなのでこんな作品があったらいいななんて思いながら書いてみました。
それではお楽しみください。
救助任務
2035年
???"鎮めるんだ心を"
声?
金剛(???)"思考を解き放て"
金剛さん?
瑞鶴(???)"嫌な思い出は消せ"
今度は瑞鶴?
北上(???)"安らぎが訪れんことを"
いや違う。
大井(???)"お前は大丈夫だ"
誰?
吹雪(???)"思い描け・・・凍てつく森を"
凍てつく森?
加賀「ん・・・」
目覚めるとそこは第五遊撃部隊の部屋だった。
加賀「何だ、夢か。」
寝間着は汗でじっとりと濡れていた。加賀は額の汗を拭いもう一度床に就いた。
加賀「変な夢だった・・・。」
彼女は航空母艦加賀、艦娘である。艦娘は1962年に突如出現し世界の海を瞬く間に制圧した深海棲艦に対抗できる唯一の存在である。深海棲艦には通常兵器は通じずイージス艦、原子力空母なんかはすぐに撃沈されていった。艦娘が現れると国際連合は国際統連合軍(International Allied Joint Force:通称IAJF)を組織。各国陸海空軍がこれに参加した。日本もシーレーンが壊滅的打撃を受けていたことでこれへの参加を決定した。
加賀「それにしても凍てつく森って何だろう・・・」
翌日
提督室に粕屋龍一提督と最近新設された第五遊撃部隊の面々のすがたがあった。第五遊撃部隊にとって今回が初の任務となる。そのためか作戦説明には他とは比べ物にならない緊張感が漂っていた。
吹雪「フィリピン?」
粕屋「ああそうだ。パンパンガ州にあるクラーク空軍基地に向かってほしい。ここは深海棲艦にとってフィリピンをまとめる重要な基地なんだ。そこで海軍元帥が捕虜になっている。」
金剛「ココをattackすればいいんデスネー?」
粕屋「いや、攻撃をすると元帥が殺される恐れがある。だから最初のうちは出来る限り攻撃はしないでほしい。」
加賀「提督、侵入方法はどうするんですか?」
粕屋「それについては大淀から説明がある。」
大淀「えー、侵入方法についてなんですが、先日拿捕した敵輸送船に装甲車両がありました。それで通過します。」
瑞鶴「通過するときにバレるでしょ・・・」
大淀「それについては問題ありません。夕張さんと明石さんが開発に成功した『第183号薬品』を服用すれば、姿、声が一時的にではありますが深海棲艦になることができます。通過の時はこの偽の許可書を渡してください。統連合軍のサイバー部隊が深海棲艦のネットワークに侵入して当日の予定を書き加えておいたので怪しまれることはあり得ません。侵入後はA班とB班に分かれてください。A班は吹雪さんと加賀さん、B班は金剛さん、瑞鶴さん、大井さん、北上さんです。」
加賀「それで私たちA班は管制塔を奪取して着陸する敵航空機を撃ち落とし、大混乱の中警備が手薄になっているうちに収容施設に潜入すると。」
北上「B班は情報センターへの侵入とA班の合流地点である格納庫の確保だね?」
大淀「ええ。情報センターへの侵入後は機密データを盗んできてください」
瑞鶴「機密データ?」
粕屋「つい先日インドで作戦展開中の我が軍のヘリ部隊が謎の攻撃を受けて壊滅した。B班には敵の秘密兵器について調べてきてほしい」
大井「ていうか私たちの最初の任務はサイバー部隊に任せればいいんじゃないの?」
加賀と北上が自分たちの任務を確認し大井が自分の任務に対して文句を言った。
大淀「ネットワークは情報センターだけ完全に独立していてアクセスするには直接行くしかありません。」
吹雪「合流した後はどうするんですか?」
大淀「山間部のポイントAに向かってください。ここに回収ポッドがありますのでこれに乗り込みドローンが回収します」
粕屋「説明は以上だ。質問はあるか?」
「それから加賀と吹雪!お前達には特に期待しているよ。アトラス社の力を見せてくれ。」
実は加賀と吹雪は軍属の艦娘ではない。世界最大の常設軍を誇る巨大軍事企業アトラス社からの派遣艦娘なのだ。実を言うと国際統連合軍にも多くのアトラス社兵がいるのだ。さらに加賀には他の艦娘にはない大きな特徴があった。
加賀の左腕は義手なのだ。吹雪は最初からアトラス社の艦娘なのだが、加賀はそうではない。加賀は最初は海軍にいた。海軍にいた頃は同じ空母艦娘である赤城と行動を共にしていたのだが、2032年に日本近海で大規模な海戦が発生。加賀は赤城と共に敵艦隊へ攻撃するのだが、加賀に敵爆撃機が接近、爆弾を投下した。赤城はそれを庇おうとして赤城に命中。爆弾は赤城の弾薬庫に命中し、忽ち大爆発を起こし大破した。爆撃機は投下直後に対空砲火に撃ち落とされたがその際、爆撃機の巨大な破片が加賀に命中し左腕を切断した。加賀はそれでも赤城を曳航しようとしたが敵の攻撃が激しく断念した。駆逐艦による雷撃処分が行われ赤城は沈没したものと判断された。この時の加賀の怪我は高速修復材を使ったとしても重大な後遺症が残ることになり、もはや艦娘としては活動できないと判断され、これにより加賀は軍属を退くことになった。
赤城の葬式には赤城が海軍の偉大なる英雄であったため参列者の中には上官の長門や海軍大臣などの海軍関係者、時の総理大臣、さらには天皇皇后両陛下までご参列なされた。そんな中加賀はそこである人物に声をかけられた。赤城の父親である霧岡喜一郎である。彼はアトラス社のCEOである。加賀の腕を見込んでスカウトしに来たのだ。
霧岡「君の腕は素晴らしい。海軍が君のような逸材を手放すとは実に嘆かわしい。そこでどうだろう。うちに来る気はないか?」
長門「霧岡さん。彼女は腕の怪我で軍を退役しました。彼女の腕はもう・・・。」
霧岡「そんな事は百も承知だ。我が社は軍より20年進んだ技術で義手を製造できる。君はその働きに見合った場所で働くべきだ。いい返事を待っているよ。」
霧岡は加賀に名刺を渡しその場を去っていった。加賀は赤城への恩返しも考えて、アトラス社への入社を決めた。
粕屋「決行は翌日!以上!」
二日後 フィリピン クラーク空軍基地
クラーク空軍基地。1919年にアメリカによってクラーク飛行場として建設された。1942年に帝国海軍が占領し、「クラーク北」「クラーク中」「クラーク南」「クラークフィールド」「マバラカット」「マルコット」「バンバン」など複数の基地を設置、運用し、フィリピン基地航空隊の中心的存在となった。1944年10月にはマバラカット飛行場から初の神風特別攻撃隊が発進した。1945年1月にアメリカ軍がルソン島に上陸した。両軍の死傷者が約35万人にのぼる激戦の後、アメリカ軍が再占領した。1971年2月アメリカ軍は深海棲艦の攻撃を受けクラークおよびフィリピン周辺の全基地の放棄を決定しフィリピン方面から完全撤退した。
緊急要員《滑走路B-2ニテ火災発生。滑走路B-2ヲ封鎖スル》
吹雪「了解。全機ヲ滑走路A-1ニ誘導スル」
《コチラDTA2659着陸許可ヲ求ム》
吹雪「了解DTA2659。現在滑走路B-2ニテ火災発生中。滑走路A-1へ着陸セヨ。」
《了解。滑走路A-1ニ着陸スル》
マイクを握った吹雪は加賀に指示を出す。
吹雪「加賀サン、目標ヲ捕捉シテクダサイ。」
加賀「了解」
加賀は目の前のタッチパネルを操作して防空システムを起動し目標をロックオンした。外では敵兵が騒いでいる。
敵兵「オイ、扉ガ閉マッテイルゾ!オイ!鍵ヲ開ケテクレ!」
【D.E.A.D.システム オーバーライド ターゲットヲ指定シテクダサイ】
加賀はターゲットを指定した。
【入力確認 ターゲットパラメーター承認】
《警報音!管制塔、D.E.A.D.システムニ捕捉サレテイル!コチラハ味方ダ!》
吹雪「コチラニ異常ハナイ。ソチラノ機器ノ故障ト思ワレル。」
吹雪「加賀サン。撃墜シテクダサイ。」
加賀「了解」
【D.E.A.D.システム攻撃開始 発射】
ボタンを押すとミサイルが発射される。あの世への片道切符が寸分の狂いなく輸送機に飛んでいく。
《着陸中止!機体ヲ上昇サセ》
ミサイルが命中し機体は粉々になった。突然管制塔内に警報が鳴り響き全ての画面には『WARNING』と表示される。破片の落下予測範囲内に管制塔があるからだ。
吹雪「伏セテクダサイ!」
大音響と共に破片と土煙が加賀たちを覆った。視界が晴れるとエンジンが刺さっているのがわかった。
吹雪「脱出シマショウ!加賀サン!」
加賀「ソウネ。ワカッタワ。」
吹雪は機銃を、加賀は対深海棲艦小銃を構えて扉へ向かった。扉が開くと4人の敵兵が外を見て騒いでいた。加賀と吹雪は4人を射殺、管制塔を出ると外は阿鼻叫喚の地獄だった。爆発で即死した兵士は幸運で不幸にも死に損なった兵士は炎に包まれながらのたうちまわっていた。緊急車両が走り回り、救命活動に兵士が奮闘しているなかを吹雪たちは収容所へ進んだ。
加賀たちは収容所へ侵入すると監視室へと向かった。元帥の居場所を探すためだ。
吹雪「金剛サン。監視室ノ占拠ニカカリマス!」
金剛『了解デース!』
吹雪「加賀サン、行キマショウ!」
加賀「鎧袖一触ヨ」
ドアを開くと2人の監視員がいたが加賀たちはヘッドショットで仕留めた。
吹雪「金剛サン、監視室の占拠ニ成功シまシタ。コれよリ元帥の捜索にかかります。あれ?」
加賀「どうやら効果が切れたみたいね。」
吹雪「警報システムは私が切っておきますからカメラはそっちで操作してください」
加賀は画面を操作し映像を切り替えていく。
吹雪「顔認証システムのヒット待ちです。」
加賀「他にも捕虜がいたなんて。元帥だけだと思ってた。」
吹雪「私もです」
そこにはありとあらゆる拷問を受ける兵士たちが映っていた。鞭で打たれ続ける者、棒で叩かれ続ける者、暴行を受ける者、じょうごを口に差し込まれ水を注がれ続ける者。敵兵が休憩しているのだろうか何もされていない兵士もいたがどれも恐怖に震えているがぐったりと虚ろな目をしていた。
吹雪「金剛さん、他にも捕虜がいるって知ってたんですか?」
金剛『助けてあげたいけれど、元帥が最優先事項デース』
吹雪はなんとも言えない無力感を押し殺してカメラを操作する。
吹雪「違います。」
吹雪「これじゃない」
吹雪「首相じゃありません」
さらにカメラを切り替えると馬乗りになって暴行を受けている人物が映る。
加賀「いた!元帥よ!」
元帥は兵士に連れられて部屋を出る。
吹雪「どこに移されるのか調べてください!」
加賀はカメラを切り替え元帥を追っていく。
加賀「これは尋問室ね。」
元帥が連れてこられ椅子に座らされる。何日も続いているのだろうかやつれているように見えた。
吹雪「金剛さん!元帥を確認しました!これより保護に移ります!」
金剛『Hey ブッキー。Timeはどうシマスカー?」
吹雪「2分でお願いします!」
金剛『2 minutesデスネー? 測っておきマース!』
吹雪「加賀さん!ミュートチャージをお願いします!」
加賀「解ったわ」
加賀はミュートチャージを仕掛ける。ミュートチャージとは一定の範囲内にいる人間の脳に特殊な電磁波を流し相手に気づかせないように聴覚を麻痺させる地雷型の装置である。
ミュートチャージを地面に置き中央のハンドルを回すと若干景色が青みがかった。これがミュートチャージが機能している証拠である。
吹雪と加賀はドアを思いっきり蹴破った。だがこちらを見ていなかった敵兵はこちらの存在に全く気づかない。吹雪たちはこちらの存在に気づいた敵兵から一人ずつ仕留めていった。それは殺し合いの現場だったのだが全く音がしない奇妙な空間だった。加賀たちは全員を仕留めると奥にある扉へ向かっていく。その先が尋問室だ。
加賀「吹雪、高周波パルスを仕掛けて。」
吹雪は壁に4つの小さな丸いパネルを貼った。すると中の様子が浮かび上がった。加賀は小銃で敵をマーキングする。そして2人は一斉射撃で全員を仕留めた。ドアを開け中に入っていく。
加賀「元帥。識別コードをお願いします」
元帥「チャーリー オスカー ロメオ」
吹雪「脱出しましょう!」
元帥「待ってくれ!他の部下たちはどうするんだ?」
加賀「私達にはあなた以外の救出の命令は出されていません。」
元帥「鷹泉中尉はどうなる?彼は東京防衛戦の英雄だ。真っ先に見せしめとして処刑されてしまうぞ!」
吹雪は歯を食いしばった。そして決断する。
吹雪「加賀さん、鷹泉中尉の救出に向かいましょう!」
加賀「提督からの命令に背くというの?」
吹雪「彼は英雄です。いなくなれば味方の士気に関わります。救出に向かいましょう!」
こうして2人は任務にない救出任務に向かうこととなった。
『落ち着け、そしてよく狙え。これからお前は一人の男を殺すのだ』 ―エルネスト・チェ・ゲバラ
次回予告
金剛たちと脱出することになった加賀たち。吹雪は脱出しようとして山間部に向かうのだが・・・