Fleet Collection 業火が燃え広がる世界   作:夜間飛行

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前回のあらすじ
深海棲艦の真の目的が灰色の男たちではなく技術者であったことを突き止めた加賀たち。その目的を阻むことに成功するが、一方長門たちには新たなる脅威である潜水艦が迫っていた。


Hunter Killer

ドイツ ヴィルヘルムスハーフェン海軍基地

 

加賀「酷い状況ね……」

吹雪「まさかここまでとは……」

 

ドローンの開いた扉から戦況を確認する加賀たち。戦況は徐々に押されつつあった。

 

ドローンオペレーター妖精《超低空飛行はほんの一瞬しかしません!ですからすぐに降りてください!超低空飛行まで5分!》

 

金剛「I'm not afraid.(怖くない) I'm not afraid.(怖くない) I'm not afraid.(怖くない) I just get off.(降りるだけ) I just get off.(降りるだけ) I just get off.(降りるだけ)……」

瑞鶴「金剛さん、本当に大丈夫?」

 

金剛は真っ青な顔で自己暗示をかけ続け、瑞鶴は金剛を心配し背中をさすっていた。

 

北上「2人とも、外の様子はどう?」

加賀「あちこちから煙が上がってる。外は地獄よ。文字通り血の海ね」

吹雪「みんなまだ戦ってますが、このままじゃ負けるのは時間の問題です」

 

ドローンオペレーター妖精《海上に出ます!》

 

一度海上に出るドローン。砲声交じりの潮騒が聞こえる。白い航跡が戦場には似合わない美しい弧を描く。だが突然水柱が立ったかと思うとその航跡は波間に消える。そんな光景が延々と繰り返されていく。そこで吹雪は長門たちを見つけた。

 

吹雪「長門さんたちです!……ん?何かあったんでしょうか」

加賀「あれは……対潜行動!」

吹雪「でも行動していない子もいます」

加賀「きっと対潜装備を使い果たしてるのよ!早くいかないと!吹雪さん、北上さん、大井さん!対潜装備は?」

北上「一応、三式を持ってきてるけどね」

大井「私は九四式です」

吹雪「私も三式を持ってきてます。ちょっと待ってください。その前に長門さんたちに連絡を取りましょう!何かつかんでるかもしれないですし」

 

一方の長門たちは焦っていた。アスロックもほぼ使い果たし、爆雷も全く効かないようだ。そんな時に吹雪から連絡が入った。

 

吹雪《長門さん!》

長門「吹雪!今どこにいる!?」

吹雪《長門さんたちがいる海域の上空です!もうすぐ合流します!》

長門「出来る限り急いでくれ!潜水艦がいる!アスロックも特殊な電波で進路が乱され役に立たない!」

 

吹雪が本題をきりだす

 

吹雪《長門さん。敵の正体はなんですか?》

長門「潜行音を照合したら、ハスキー級原子力潜水艦だと判明した!さらに解析すると巡航ミサイルを搭載している可能性が高い!」

 

吹雪「了解!直ちに合流します!」

 

無線を切る吹雪。加賀たちはすぐに問い詰めた。

 

瑞鶴「どうだった?」

吹雪「ハスキー級原子力潜水艦がいるとのことです。しかもアスロックも役に立たないそうです。しかも巡航ミサイルを搭載している可能性が高いそうです」

金剛「Cruise missile……」

大井「アスロックでも役に立たないなんて」

加賀「吹雪さん、何か方法は思いつかない?」

 

加賀は問いかける。だが吹雪は答えない。巡航ミサイル……潜水艦……様々な単語が頭の中を飛び交う。冷や汗がたらりと垂れる。だがその汗が地面に落ちた瞬間吹雪はひらめいた。

 

吹雪「大井さん。ハンブルクで突入の時に使ったレーザー破壊装置ってまだ持ってますか?」

大井「え、ええ。回収して持ってきてるわよ」

吹雪「それって水中でも使えますか?」

大井「確か使えたはずよ。でもそんなの何に使う気なの?」

金剛「ブッキー!何かひらめいたンデスカー?」

吹雪「はい!この方法ですと、潜水艦の撃沈は出来ませんが行動不能にできます。そしてうまくやれば長門さんたちを撤退させることができます!」

加賀「それで?どんな方法?」

 

吹雪は説明を始めた。時間がないので極めて簡潔にではあるが。

 

吹雪「……という作戦なんですけど」

大井「そう簡単にうまくいくかしら」

金剛「differentデス」

北上「でもそれ以上にいい作戦があるかな」

瑞鶴「うーん現時点じゃそれが最善策のようね」

加賀「今何もしなければみんな仲良く轟沈(海の底)よ。それに時間もない。決定ね。その作戦でいきましょう」

 

吹雪は自分の考えた作戦がうまくいけばいいと考えていた。だが第61代イギリス首相ウィンストン・チャーチルは言った。『犠牲なくして勝利なし』と。勝利には必ずそれ相応の犠牲が伴うのだ。

 

ドローンオペレーター妖精「まもなく超低空飛行に入ります!皆さんは素早く降りてください!」

 

海面が近づくにつれてどんどん青くなっていく金剛。そんな金剛を心配してか加賀と吹雪が一緒に飛ぶことになった。

 

機銃が飛び交う中を飛んでいく。降下中にできることといえばただ当たらないことを祈るだけである。ガン、ゴンと何かが機体にあたる音が響くたびに一抹の恐怖が生まれる。

 

ドローンオペレーター妖精「自動操縦装置(オートパイロット)起動!超低空飛行開始!」

 

海面から10数mのところを飛ぶ。若干の水飛沫が顔にかかる。

 

北上『じゃあ、先行くね』

大井『あっ北上さん!待って!』

 

北上と大井が先に飛んだ。金剛たちの番になるのだが金剛が若干ひるんでしまった。

 

吹雪「何やってるんですか!早く飛ばないと!」

金剛「でも!怖いものは怖いデース!」

 

 

 

 

ボンッ

 

 

 

嫌な音が聞こえた。聞き違いであってほしい。だがその淡い期待は薄紙のように破られた。

 

ドローンオペレーター妖精「被弾!エンジン出力低下!墜落します!」

 

その声と同時に、黒い煙が一筋流れ出した。そして、機体もそっちの方へ向けて傾き出す。

 

加賀「失礼します」

 

かなりの激情家でもある加賀。考えるよりも先に行動に移す。

 

金剛「へ?ウェッ!?w, Wait……」

 

加賀は金剛を持ち上げ、肩に担ぎ、出口に向かって走り出す。

 

金剛「Waaaaaaaait!」

 

金剛が叫ぶと同時に加賀たちは飛び出した。加賀と吹雪はすぐに艤装を展開したが、金剛は動揺しているせいか、艤装を展開するのが遅れた。金剛が展開したのは加賀が着水してから、10秒ほど経ってからだった。

 

吹雪「早く行きましょう!長門さんたちの元へ!」

金剛「ワ、ワカリマシタ……」

 

金剛は青い顔をしながら吹雪たちの後を追った。

 

 

初月「長門さん!航空機1機超低空にて接近!」

長門「吹雪たちが乗っているやつだろう。総員攻撃するな。」

摩耶「おい、エンジンが煙を吐いたぞ!高度も下がってる!ヤバいぞ!」

 

加賀たちの機体が墜落すると、一部の艦娘は救助に向かおうとした。が、長門がそれを許さなかった。

 

陽炎「長門さん!救助に行かせてください!」

川内「吹雪たちが沈んでもいいと言うんですか!?」

長門「落ち着け!ここには潜水艦がいるのだぞ。不用意に動けば格好の的だ。それに加賀たちはそう簡単にくたばる連中ではないだろう?」

 

長門のこの言葉を聞いて川内たちはそれぞれの持ち場へと戻っていった。

 

吹雪「長門さん!」

長門「吹雪!加賀たちも無事だったか!」

加賀「ええ、墜落の直前になんとか脱出できました。そんなことより潜水艦は?」

 

長門「みらいたちのレーダーで捕捉は出来ているのだが、攻撃が全くといっていいほど効かないのだ。」

吹雪「長門さん、一応作戦があるんですが。」

長門「どんな作戦だ?」

吹雪「ただこの作戦は加賀さんたちにはもう言ったんですが撃沈するのではなく、行動不能にする作戦です。それでもいいのならばですが」

長門「構わない。まずはこの状況を切り抜けることが大切だ」

 

吹雪は事細かに説明した。すると長門の表情が驚愕の色に変わっていった。

 

長門「なっ……そんな作戦成功するのか!?」

吹雪「……正直にいうとわかりません。ですが!ここでこの作戦をやらなければ全滅します!」

長門「しかし!敵陣のど真ん中に乗り込むというのは」

吹雪「これしかないんです!お願いします長門さん!作戦の許可を!」

長門「……わかった。とりあえず吹雪お前の指示があるまでは対潜行動を続け、そのあとはその周辺の敵を叩き続ければいいんだな?」

吹雪「はい!本社に連絡して撤退に使う機体は用意してもらいました。それに乗り込んで撤退してください」

 

長門は了解し他の艦娘たちに指示を出した。まだ邪念を振り払えていなかったが、すぐに切り捨てた。迷いは次の判断を鈍らせる。そうなると人は他人に判断を任せようとする。そうなればあとは死ぬだけだからだ。

 

 

吹雪「長門さんに伝えました。始めましょう」

加賀「提督!合流に成功しました。ただいまよりそちらの指揮下に入ります」

粕屋《わかった!》

加賀「提督、さっそくお願いがあります。今ここの海域にいるハスキー級潜水艦の艦内見取り図を送ってください。今すぐに!」

粕屋《少し待ってくれ。今そちらのHUDに送る》

 

吹雪たちは水中に潜り、敵潜を目指した。仲間が爆雷を投下している。それだけは気をつけなければ。史実の戦艦陸奥の爆沈は駆逐艦潮が投下した爆雷によるものだという話もある。爆雷の威力は馬鹿にできないのだ。

 

 

ゴーヤ「あ!加賀さんたちが来たでち!」

イク「スゴイ!本当に潜ってるのね!」

加賀「敵潜はどこ?」

ゴーヤ「アレでち」

 

ゴーヤは指を差した。その先にはスクリューと舵が見える。そしてその先に119mの巨体が悠々と泳いでいた。

 

一方、艦内では深海兵たちが敵に痛烈な一撃を食らわそうと躍起になっていた。

 

艦長「我々ノ作戦ハ今海上デ戦ッテイル同志達ニ比ベレバサホド苦労ノナイ作戦ダ!ダガコノ作戦ガ上手クイクノハ散ッテイッタ多クノ同志達、今も戦ッテイル同志達ノ上ニ成リ立ッテイル!コノ18発ノ魔弾ハ敵ノ心臓ヲ撃チ抜キ敵ニ痛烈ナ一撃ヲ与エルダロウ!メインタンクブロー!発射深度マデ浮上!」

 

気泡が勢いよく噴き出し、船体は浮上し始めた。大井はレーザー破壊装置のパネルを操作し、レーザー発射部分の部品を3つ取り出し、加賀たちに渡した。加賀たちは急ぎ潜水艦にそれぞれの舵の部分に近づき、本体とその部品を設置した。

 

深海兵「艦長!異音確認!」

艦長「方角ハ?」

深海兵「ソレガ……後方ノカナリ至近距離デス。オソラク舵ノ辺リカト」

艦長「何ダト!?」

 

この瞬間吹雪たちは破壊装置を起動した。レーザーが水泡を出しながら舵を焼き切っていく。完全に焼き切ると自動的に爆発。舵は中に溜まっていた空気を吐き出しながら脱落していった。

 

艦内ではブザー音が鳴り響く。

 

艦長「状況ヲ報告セヨ!」

深海兵「艦長!舵ガ効キマセン!制御不能!」

艦長「一旦浮上セヨ!状況確認!」

 

長門は砲撃を繰り返していた。そこへみらいから連絡が入る。

 

みらい「敵潜水艦急速浮上!方位045!海面に出ます!」

 

艦首が急角度で出現し、艦首を海面に叩きつけ大波が発生した。

 

長門「まさにモビー・ディックだな」

 

長門は大きな水飛沫を上げて浮上したその姿にハーマン・メルヴィルの『白鯨』を重ねていた。

 

長門「総員聞け!すでに伝えた通り敵艦への攻撃は厳禁とする!繰り返す敵艦への攻撃は厳禁だ!」

陸奥「ねぇ長門、吹雪たち5人だけで大丈夫かしら?私たちも突入したほうがいいんじゃ」

長門「ダメだ。外にもまだ敵が多い。今は敵の増援を寄せ付けないことが大切だ。ここはエイハブ船長(加賀)達に全てを任せてみようじゃないか」

 

その頃加賀たちは潜水艦に甲板に上がっていた。状況確認のためにハッチが開かれそこから出てきた深海兵を撃ち殺し、艦内へ突入した。大井と北上は見張りのために外に残った。潜水艦発射ミサイルというのはすぐに打てるものではない。現在位置の確認し、その座標と目標の座標をメインコンピューターに入力。目標までの飛行コースプログラムを作成し、ミサイルの搭載誘導コンピューターにデータを転送。ミサイルの射手は発射ボタンのカギを差し込み予定時刻に発射ボタンを押す。本来だったら、もうとっくに飛行コースプログラムの作成ができていたのだが、吹雪たちの攻撃により予定よりも早い場所で浮上することになったので飛行コースプログラムの作成を一からしなければならなくなったのだ。吹雪の作戦はこれに付け込んだものであった。

 

加賀「いい?私たち以外は全員敵よ。」

吹雪、金剛「了解(デース)!」

加賀「下の階で合流して」

 

水密扉のハンドルに手をかける。そして鉄の扉がゆっくりと開かれる。

 

深海兵「敵ガ艦内ニ侵入シタゾ!」

深海兵「撃テ!撃テ!」

 

兵員区画に入ると敵兵が射撃を開始した。メモ用紙や枕、毛布の羽毛なんかが発砲音とともに舞い上がる。ロッカーを盾に身を隠したがいかんせん時間がない。吹雪は撃ちまくりながら前進する。区画を抜け吹雪が階段を降りると別ルートで向かった加賀と深海兵が現れた。深海兵を壁にたたきつけ鉛弾を撃ち込む。それでもまだ息のあった深海兵は起き上がってくるが、加賀はとどめとばかりに顔面に蹴りを入れた。

 

加賀「階段クリア。こっちよ」

 

サイレンが鳴り響く中を進んでいく。機関室にたどり着くと爆発の衝撃のせいか下は水浸しで、配管からも水が噴き出していた。深海兵は修理に追われていたが加賀たちを見つけるとすぐさま戦闘行動に移った。

 

深海兵「敵ハタッタ4人ダゾ!艦カラ叩キ出シテヤレ!!」

吹雪「瑞鶴さん左!左にいます!」

瑞鶴「わかったわ!これでもくらえ!」

 

4人はそれぞれ敵を見つけ次第撃っていった。瑞鶴はガラス越しに敵を撃つ。ガラスが砕け散るその様は戦場には似合わないが美しかった。機関室の出口にたどり着くと入ってくる敵を撃った。わずかながらに時間があるので加賀たちは弾倉の交換をした。大量の水を浴びながら進んで階段を上がるとほどんど明かりのないサイレンの明かりだけの部屋にたどり着いた。太いパイプが十何本かありそれをパイプごとにコンピューターが取り付けられている。加賀たちは直感で分かった。

 

加賀「これが巡航ミサイルね。」

吹雪「これがすべて発射されたら…」

瑞鶴「奴らのことだから、きっと基地を中心的に狙うはずよ。イギリスやイタリアはともかくドイツ、フランス当たりの国は迎撃が間に合わないかも」

金剛「何をしてるデスカ!!もう時間がないデース!!早く進むネ!!」

 

タクティカルフィールドを起動し通路上の敵を排除しながら進む。吹雪はどんどん進んでいく。深海兵が発射管の陰から吹雪に襲い掛かったが、吹雪はその瞬間その相手の顔面にパンチを入れた。深海兵はその衝撃で吹き飛び反対側の壁に激突して果てた。

 

吹雪「ドアを確保してください!」

 

加賀たちは何とか艦橋へとたどり着いた。

 

瑞鶴「金剛さん!思いっきりやっちゃってください!」

金剛「Ok!Everyone!Burning Looove!!」

 

金剛が思いっきりけりを入れると、水密扉を支えていた板と扉の接合部分が折れ吹き飛ぶ。その瞬間加賀たちは一斉に射撃し全員を射殺した。

 

加賀「制圧完了ね。」

吹雪「提督!敵潜水艦制圧完了です!」

粕屋《了解した。吹雪、みんなご苦労だった!》

吹雪「私は発射コースプログラムの書き換えをします!皆さんは安全装置の鍵を探してください!」

金剛「ワカッタネー!」

加賀「鍵はどこかしら」

 

瑞鶴は館長と思しき死体を発見した。そして死体を探っていると鍵を見つけた。

 

瑞鶴「見つけた!!」

金剛「0h!ズイカク!でかしたネー!!」

加賀「吹雪さん、プログラムのほうは?」

吹雪「あともう少しで……出来ました!転送も完了です!発射してください!」

瑞鶴「金剛さん!」

 

金剛は2つあるカギの1つを受け取った。ミサイルの安全装置は2人同時にカギを回すことによって解除されるのだ。

 

金剛「Are you ready?3,2,1,turn!」

 

瑞鶴たちはカギを同時に回した。するとけたたましくブザー音が鳴り響く。

 

加賀「脱出するわよ!」

 

加賀たちは梯子を登り外に出た。そして連絡を受けた大井たちと合流し海面へと飛び降りた。その横ではVLSがゆっくりと開き、白煙を上げてミサイルを打ち出す。周りの深海棲艦はついに攻撃が始まったのだと歓喜の声を上げた。が、勿論ミサイルは基地に向かうことなく深海棲艦に着弾した。加賀たちは爆発による熱風と波しぶきを体中に浴びながら待機中の輸送機を目指した。

 

加賀「陣形とか気にしないで!各自速力一杯で輸送機を目指して!」

大井「吹雪!こうなることは想定してたの!?結構ヤバいんだけど!?」

吹雪「ちょっと想定外です……」

 

ネ級や生き残ったタ級が攻撃を仕掛けてくるが、艦載機を発艦し、爆撃、雷撃し海の藻屑へと変えていく。

 

瑞鶴「吹雪!左!」

吹雪「え?きゃあっ!」

 

吹雪にコルベット艦が体当たりしてきた。金剛が叫ぶ。

 

金剛「ブッキー!しゃがんでくだサイ!」

 

金剛は吹雪がしゃがんだ瞬間に副砲でコルベット艦を打ち抜いた。コルベット艦は爆発により艦が真っ二つに折れ轟沈した。

 

金剛「ブッキー!ケガはないですカー?」

吹雪「はい、おかげさまで!」

北上「みんな!もうすぐ輸送機が見えてくるはずだよ!」

 

 

-------------

 

一方の長門たちは輸送機を護衛しながら加賀たちを待っていた。

 

川内「長門さん!吹雪たちはまだ来ないんですか!?弾薬が尽きかけてるんですけど!!」

長門「もう少し待ってくれ!もうそろそろ来るはずだ!」

神通「長門さん!加賀さんたちが戻ってきました!」

 

神通が指さす先には加賀たちがいた。

 

長門「総員!輸送機に乗り込め!」

全員「了解!」

 

各自輸送機に乗り込んだ後、加賀たちも追いつき輸送機に乗り込んだ。

 

長門「吹雪!よくやってくれた!」

吹雪「しかし、結果的には深海棲艦を追い返すことはできませんでした」

長門「気にするな。生きて帰れば大勝利だ。生きていれば奴らと戦うことができる。今回は残念だがわれわれはまたここに戻ってくる。そのと」

ドローンオペレーター妖精「大変です!」

長門「何だ!?」

ドローンオペレーター妖精「敵水雷戦隊が本機の進路上に布陣しています!このままでは衝突します!」

全員「えぇー!?」

 

全員が驚愕する中、一人の艦娘が動き出し、輸送機から飛び降りた。そして長門がその艦娘の名を叫ぶ。

 

長門「飛龍!!」

飛龍「二航戦!攻撃隊、発艦!」

 

飛龍は飛び降り艦載機を発艦し水雷戦隊を全艦撃沈した。輸送機はそのまま浮かび上がっていく。

 

蒼龍「飛龍!」

陸奥「止めなさい!!」

 

飛び降りようとする蒼龍を陸奥が引き留める。

 

蒼龍「離してください!今行かないと飛龍が!飛龍が……っ!」

 

涙を流して蹲る蒼龍に声を掛けられるものは誰もいなかった。そんな悲壮な蒼龍の思いを乗せて輸送機は水平線の彼方へと消えていった。

 

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―飛龍side―

 

私は気が付くとどこかの港だろうか見知らぬ場所にいた。自分は助かったのか?そう思ったが手を後ろに回され手錠と猿轡をされているのでそれはない。私は捕虜になったんだ。それにしてもこいつ等は誰だろうか。一人は身なりからしてかなり上、おそらくこちらでいうところの提督や将校にあたる奴だろう。2人目は顔の左目の部分が深海棲艦の黒いアレで覆われている。顔立ちからして優秀そうだ。参謀だろうか?そして3人目。こいつが一番謎だ。仮面で顔を覆いフードをかぶり、変声期で声を変えている。体つきからして女か?

 

?「オ目覚メカネ?」

飛龍「んー!んー!」

?「君ガ言イタイコトハワカッテイル。君ヲドウスルツモリカダロウ?君ニハ収容所デ我々ノ資源採掘ニ従事シテモラウ。言エルコトハコレダケダ。連レテ行ケ」

女「待ッて」

 

深海兵が連れて行こうとしているとその女が私に声をかけてきた。そして私の耳元に口を寄せた。

 

女「――――――?――――――。」

飛龍「!?んんーー!!んんーーーーっ!!!」

女「連れて行って」

深海兵「ハッ!!」

 

飛龍は袋をかぶせられ、頭を殴られて意識は途切れた。




次回予告

3年前、加賀が赤城を失ったころのこと。
極北、極寒の地での死闘が始まる。

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