ヘボ提督の艦これ日記   作:焼き鳥タレ派

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その7:三日月「今日はあのバカやけに静かです。こっちは大助かりですが」

「おはようございまーす、提督!すみません、雪で電車が……って、

今回は提督の絶叫スタートじゃない。妙ですね……提督、提督どこですかー?」

 

「ここだよ三日月君……」

 

「あ、提督が真っ白に燃え尽きたボクサーみたいに座ってうなだれてる!

どうしよう……私としてはこのままアイアンボトムサウンドに沈んでもらいたいけど、

仮にも秘書艦でもあるわけだし……しょうがない、提督をサポートするのも秘書だし、

仕事はきちんとやろう。提督、元気がありませんね。何があったんですか?

とうとう叫びまくるだけでは読者に飽きられることに気づいてしまったとか?」

 

「三日月君、俺は艦これの女神に見放されておる……」

 

「は?」

 

「あまりにも1-5で欲しい艦がドロップしないから暇つぶしに1-6を攻略していたんだよ、

攻略サイト通りに駆逐艦だけの編成にして最短ルートにし、

航空機マスでは対空装備を万全にし、どんどん燃料ゲージを減らしていった……!」

 

「やっぱり人頼みですか。まぁいいです、続きを」

 

「しかし、最後の一周で何かの歯車が狂った。航空機の猛攻をかいくぐり、母港マスまで

あと一歩の通常敵艦マスで悲劇は起こった。何が起こったか聞きたいかい……?」

 

「珍しく静かにしてくれてるので聞いてあげます。それで何が?」

 

「轟沈だよ!敵艦の集中攻撃を受け、愛情込めて育て上げた暁改Lv33が

涙の雫と共にロストしてしまったぁ!!許してくれ暁改!

今回の出撃で我々は……何の成果も!!得られませんでした!!」

 

「ああ、今回初シャウトですね。ってホッとしてる自分に嫌気が差します。

いくらこの企画唯一の見せ場だからって……」

 

「あ、資源とクリア報酬は手に入ったけどね。

いやあ、プレゼント箱で資源不足が大幅に改善されたよ、あっはっは」

 

「と思ったらケロッとしてやがる、クズだこいつ……!」

 

「悪いことばかりだったわけじゃないんだ。夕立は努力の甲斐あって改二になったしね。

今度は北上改をLv50に育て上げようと思う。なんでも改二になった彼女は

手がつけられないほどの暴れん坊だというじゃないか」

 

「そんな行き当たりばったりの運用方針だと、あっという間に艦隊司令部Lv80になって、

どこもローテーションできなくなっても知りませんよ。

1-5で明石かクエスト条件の衣笠や各種潜水艦を狙うか、ステージ攻略を進めるか、

第一艦隊のレベリングをするか、方向性を決めてプレイしないと

また敵艦強化されてしまいますよ。今度敵が倒せなくなっても、

“あーうー、てきがつよくて、かてないんですぅどうしようママ~”とか言って

泣きつかないでくださいね」

 

「俺はそんな(ピー)みたいな喋り方をした覚えはないぞ!失敬な!」

 

「これまでの6話を読み返してみろ!十分キチガイだろうが!」

 

「み、三日月君、伏せ字くらい使いたまえ!今日はどっちかというと

君のほうが絶叫キャラだぞ!」

 

「あんたが変なウィルス媒介したに決まってる!ああもう!

艦これの私は小さな体で精一杯、提督と一緒に頑張る健気な女の子のはず、

だったのに!!どうしてこの世界では口汚いヨゴレキャラになっちゃったんですか!?

あぁ、そのPCの中の自分と入れ替わりたいです……」

 

「まぁまぁ、そう自己嫌悪に陥ることはない。君はよく頑張ってくれてる。

私の秘書艦たりえるのは君しかいないよ」

 

「あんたのケツ拭き係の間違いだろうが!!凍えるような寒さの中、

律儀に出勤してきたら一息つく間もなくこの展開!もうやだ、普通の女の子に戻りたい!

今日こそマジで辞表書く!!」

 

「待つんだ三日月君!待ってくれ三日月君!今日は君に嬉しいニュースがあるんだ!」

 

「ああどうせ艦これ絡みでしょうけど最後のお別れに聞いてあげますよどーぞおっしゃってください」

 

「潜水艦だよ!とうとう建造に成功したんだよ!

あの魔法のレシピで資材をぶち込んだら、20分ちょいと妙に短いから、

どうせハズレ駆逐艦だろうと思っていたらどっこい!

魚雷を抱えたスク水少女、伊58が現れたんだ!わかるかね、ゴーヤだよ!

我が艦隊に始めて潜水艦が進水したんだよ!」

 

「結局1-5運には見放されていたと。それじゃあ今までお世話になりました。

次は精神病院の面会室で会いましょう」

 

「待て待て、そう結論を急ぐんじゃない!今からゴーヤを育てて

その進化をご覧に入れよう!きっと他の艦を砲撃から守ってくれる。

中破大破が減れば俺が嘆きの声を上げるリスクも減少する。

つまり、回り回って君の仕事も減るというわけだ。

頼むよ、少し彼女を育てるまで待ってくれ」

 

「……少しですよ」

 

「おお、流石我が秘書。待つ、ということの重要性を熟知しておる!

今に見ててくれ、3-2-1でささっと彼女をレベル10くらいにするから」

 

「結論が出るまで仕事しませんから。お茶飲んでまったりしてます」

 

「おう!覚悟しろ深海棲艦ども、我が無敵の盾に手も足も出ぬまま、

海の藻屑と消えるがよい!さて、出撃をポチッとな」

 

「辞めるとなったらサボっていても罪悪感を覚えずに済みます。

こんなことならもっとサボっとけばよかった。

そもそも、なんで私ばっかり、自分の仕事は後回しで、

ぎゃあぎゃあ喚き散らして色んな所に頭下げてたんだろう……ブツブツ」

 

「よーし、3-2-1に到着したぁ!覚悟しろ、腐れ外道が!当然陣形は単・縦・陣!

伝説のオウガバトルの開幕じゃあ!!」

 

「あいっかわらずうるさいですね!なんで一回戦うだけで

そんなにエキサイトできるんですか!?」

 

「この歴史その名を刻む激戦の前に落ち着いていられるかよ!

おし、龍驤の攻撃機による先制攻撃!がははは、ざまあみろ!いきなり2隻沈めたぞ!」

 

「ああ、そういえば前に言ってた5000円のチョコレートは

持ってきてくれたんでしょうね。辞める前に回収しておきたいので。

なかったら約束通り左手をもらっていきますけど」

 

「君のデスクに置いておいた!左手がないと

キーボードを打つ速度が劇的に減少するからな!

金はなんとかゲオにゲームを売って工面した!

複数本買い取りで金額アップキャンペーンをやっててラッキーだったよ!ハハハハ!!」

 

「本当だ意外。予想もつかない汚い手で逃げおおせると思ってたのに……

よっぽどパソコンが大事だったんですね。とにかくありがとうございます。

私もほら、近所のお菓子工場で訳ありチョコの袋詰セールやってたんで

380円の出費で済みました」

 

「やった!チョコレートゲットだぜ!今年は付いてるなぁ、

球磨君からのを合わせて2つもバレンタインチョコがもらえるなんて、イェーイ!」

 

「三十過ぎのオッサンが両手でピースしないでください」

 

「おおっとそうだった!戦の途中だった、さあ来い化け物、

我が喫水下の狼に……っておおおおい!!」

 

「なんなんですか今日はわりと静かだと思ったら!!」

 

「奴らなんか投げて来やがった!ゴーヤが、ゴーヤがどんどん傷ついていく!

やめろおぉ!!伊58が大破してるじゃねえか!なんてことをするんだ!

今すぐやめないと他の精鋭が黙ってないぞ!

アァイ!ウィル!キル!ユー!ああああ!!」

 

「もう、結局いつも通りじゃないですか!敵が投げてるのは爆雷です!

潜水艦は爆雷や攻撃機に弱いんですよ!あんた1-5で何学んだんですか!?

駆逐艦や軽巡なんかからは普通に攻撃食らいます!」

 

「しまったああ!これじゃわざわざ殺されに行くようなもんじゃねえか!

ここじゃ潜水艦のレベリングは無理だ……とにかく入渠させなきゃ。

って修理費安っ、時間短かっ!」

 

「そのメリット・デメリットをどう活かすかが提督の腕の見せ所なんですが、

艦隊運用が落第点のあなたには荷が重いみたいですね」

 

「ちくしょう……長年夢見てきた潜水艦にこんな落とし穴があったなんて。

とりあえず演習でレベル上げして様子を見る……

ゴーヤを活かせるところがきっとあるはずなんだ」

 

「そういうことで今日であなたとはお別れです。

これからはどうぞ好きなだけ艦これにへばりついててください。

あなたが死ぬ前に艦これがサービス終了しないことを陰ながら祈っています。

さようなら」

 

「あ、待って……行っちゃった。どうしよう。俺一人じゃこの企画成立しないよ。

ひとりぼっちで艦これやるのも寂しいし。う~ん参った、本当に困った」

 

 

…………

 

 

“ぎゃああああ!!うおおおお!!”

 

「読者の皆さん、ついさっき三日月君が辞表を上層部に提出したんだが、

受理されなかったらしく、今彼女がガチギレしてる。あ、帰ってきた。

しかし酷いキレようだな、あはは」

 

ガチャッ!

 

「やあ三日月君戻って……」

「出てけ!!」

「はいはい」

 

三日月はソファの敷物を身体に巻き付くほどめちゃくちゃに振り回す。

 

「ちくしょう!なんなのよ!出ていってやる!二度と帰ってくるか!!」

 

敷物にくるまりながらソファに体ごと体当りする三日月

 

「はぁ、はぁ……こんな鎮守府出ていってやる、絶対に!もう絶対戻ってくるもんか!」

 

敷物から出た三日月は何故か大破グラに。そして意味もなく給湯室に入りすぐ出てくる。

 

「私を殺せ!いっそ殺して!!あああ!うわああ!ぎゃあああ!」

 

三日月は給湯室に戻り、スリッパを持って出てきた。

そのスリッパで何度も自分の頭を叩く。

 

「こんな事を私に望むの!?生きるのが嫌になることを!?」

 

「大っ嫌いだあああ!!」

 

彼女は力の限り咆哮し、なおもスリッパで頭を叩き続ける。

興奮が頂点に達した彼女はソファの上で激しくもがきながら叫ぶ。

 

「ちくしょう!ちくしょう!!ああああ!!」

 

 

“うるせえぞ!!”

 

 

ピタッと彼女の動きが止まる。

 

「お隣さんだ……」

 

三日月はゆっくり身体を起こし、ソファに一発パンチを食らわせて、

とぼとぼと執務室から出ていった。入れ違いに提督が駆け足で部屋に入ってきた。

 

「見た?見た?今の見た?っていうか今時、修羅パンツネタなんか通じるのかな。

俺も作者も心配だよ。とにかく今後も三日月君は僕らの仲間さ!安心してね!」

 

 

 




*さすがにリモコンぶっ刺しはできませんでした(笑)字幕付き動画の作者さん、ありがとうございます。
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