うめ地下ダンジョン!~~なぜか梅田の地下街が異世界のダンジョンにつながった件~   作:忍者小僧

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1、地下街に異変が起こった!?

 

地下街の夜は意外に早い。

ほとんどの店舗は21時~22時に閉店する。

そのあとも、通路としての機能は果たされる。

「うめちか」の場合は、地下鉄御堂筋線・谷町線・四つ橋線、阪神・阪急が直結している。

これらの乗客の接続通路としても大いに利用されている。

だが、終電が去り、すべての店舗がシャッターを閉じる頃。

地下街の昇降口にも、シャッターが下ろされる。

俺は、20歳ぐらいからずっと埼玉で暮らしていたから、梅田の地下街の警備員のアルバイトをするまで、昇降口も閉じられてしまうことを知らなかった。

防犯上の観点から閉じるのだろう。

 

今日も、すべての路線の終電が終わった。

酔っ払いサラリーマンたちも、みんな帰宅した。

俺は「ふぃ~」と息をついた。

これまでずっとゲーム会社で働いてきたから、警備員というのはまったく業務が違う。

新しいことを覚えるのはそれなりに肩が凝るものだ。

特に、一番大変なのは人間関係だ。

ゲーム会社に勤めていた頃は、周囲もみんな広義のオタクばかりだった。

何かしら、サブカルチャーの話題を出せば、食いついてくる。

波長というか、センスが似ているから、付き合いには困らなかった。

ところがだ。

警備員のアルバイトをやってみると、実に高齢者が多いことに驚く。

ほぼ全員、俺よりもずっと年上だ。

中には定年退職後のおじいちゃんまでいる。

いざ何か暴力沙汰とかあったとき「警備」できるのだろうか。

いや、もう、まったく話が合わない。

オタク話もできない、世代が違うから「こういうことあったよね~」な話もできない。

正直、会話が成立しない。

俺のコミュ力の問題なのだろうか……。

ううむ。

 

まぁ、いずれにせよ今日の業務はほとんど終わりだ。

後は、シャッターが全部ちゃんと下りているか、中に不審者が入り込んでいないかをチェックするだけだ。

 

「よしっ!」

 

俺は頬をはたいて気合を入れ、警備員の証であるキャップをかぶりなおした。

あとちょっと、頑張ろう。

そうしたら、家に帰ってアニメを見るんだ。

 

「7a出口問題なし」

閉まっているシャッターのチェックをした瞬間。

 

ど、どどぉん。

 

地響きのようなものが聞こえた。

 

「な、なんだ?」

 

思わず周辺を見渡す。

ゆ、揺れている?

地震か!?

だが、それは不思議な揺れだった。

物理的な力ではないもので揺さぶられているような。

俺は天井を見上げた。

確かにそうだ。

こんなに激しく揺れているのに、埃ひとつ落ちてこない。

シャッターの向こうの店舗からも、棚のものが落ちる音は聞こえてこない。

それなのに。

 

ど、どどどどど。

 

揺れる。

揺れる。

揺れる。

まるで船酔いみたいに、今、『この空間が揺れている』という実感が俺の脳内に突き刺さってくる。

何なんだこれは。

俺の頭がおかしくなっちまっただけなのか?

 

15分ほどしただろうか。

ようやく揺れは収まった。

俺は恐る恐る立ち上がった。

いまだに少し平衡感覚がおかしいような気がする。

 

「くそっ!」

 

周辺を見回す。

特に、何も変化は見当たらない。

念のために折りたたみ式のプラスチックの警戒棒を握り締める。

そ、そうだ。

他の警備員に連絡を取らなくては。

俺はあわてて、無線機のボタンをプッシュした。

 

「小西さん、小西さん?」

 

応答しない。

まるで混線したようなノイズ音が聞こえるばかりだ。

どうなっている。

無線が繋がらない?

背筋が震える思いがした。

今この空間に何が起こったというのだ?

幸い、灯りは切れていない。

通路はちゃんと明るいままだ。

だが、無機質に伸びる地下街の通路がとことん気味悪いものに見えてくる。

俺、いったい今何を装備していたっけ?

 

懐中電灯。

警笛。

警戒棒。

無線機。

 

それぐらいだ。

無線機はなぜか回線が繋がらない。

警笛も誰か助けを呼ぼうにも、どこに人がいるか把握できない。

そもそも、すでにシャッターを閉めたあとだ。

人なんてほとんどいない。

頼りは警戒棒だけだが、プラスチック製の頼りないものだ。

 

そうだ。

何はともあれ、警備員控え室に戻ろう。

それが先決だ。

今いる位置は、ちょうどホワイティ梅田と阪急3番街の境目あたりだ。

OSビルに繋がる昇降口がある場所だ。

対して警備員控え室は、地下鉄谷町線のすぐそばにある。

道のりとしてはそれほど遠くはない。

もう一度、無線機の通話ボタンを押す。

相変わらずノイズしか聞こえない。

とりあえず、進むしかない。

 

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