うめ地下ダンジョン!~~なぜか梅田の地下街が異世界のダンジョンにつながった件~ 作:忍者小僧
無人の通路を歩きながら、幾度か無線機のボタンを押す。
だが、一度としても繋がらない。
不安は増すばかりだった。
ホワイティ梅田に入り、豚カツ屋「花柳」の前に差し掛かったころ、再び地響きが聞こえ出した。
今度はさっきよりもさらに大きい音だった。
揺さぶられる、というよりも、まるで何かが迫ってくるような……。
ずしっ。
重い何かが。
この地下街全体にのしかかったような感覚。
それが、俺の体の芯にまで伝わってくる。
ごごごごごごごごごご
揺れる!
揺れる!
さっきよりもさらに大きな振動だ。
「あ、ああああああああああああ」
俺は思わずその場に倒れこむ。
どうすることもできない!
何か、つかむもの。
つかむものなんてない!
その時、けたたましい音で警報が鳴り響いた。
いっせいに、閉まっているはずのすべてのシャッターが開いていく。
なんだ。
どういうことだ。
誰かがコントロール室でシャッター開放のボタンを押したのか?
どういうことなんだ!
すべてのシャッターが開ききり。
数秒したのち、大きな揺れが止まった。
俺は、通路に膝まづき、荒い息を吐いた。
不可解な出来事の連続。
恐怖。
汗が、滴り落ちていく。
すとん。
まるで幕を降ろしたように、すべての照明が消えた。
「!!!」
俺は慌てふためき、腰のベルトにさしている携帯懐中電灯を探す。
指がうまく動かない……くそっ……あった。
心拍数が上がる。
もどかしい手つきで、懐中電灯のボタンを押し、目の前を照らす。
だが、携帯用の懐中電灯の明かりは小さすぎる。
真っ暗闇ではほとんど役に立たない。
それでも俺は、懐中電灯を持ちながら、周囲をぐるりと照らす。
やはり、シャッターは開いている。
そして……。
ん?
今、階段のあたりに何かが見えたような。
あれは……H-41階段だ。
地上へと接続している階段。
まさか、あそこのシャッターも開いているのか?
恐る恐る、階段の方向へと歩む。
「誰か、いますか?」
再び、懐中電灯を向ける。
が、先ほど何かが動いたように見えた場所には……何もない。
…………。
気の、せいか?
踵を返そうとした瞬間。
灯りがともった。
照明が復旧した。
それはまるで、この通路が。
この地下街が。
一度死んで、生まれ変わったかのような、そんな印象を俺に与えた。
そして。
「なんだ……あれ」
俺が懐中電灯で照らしていた位置よりもさらに下方。
H-41階段の3段目に、うねうねとうごめく、淡い水色のアメーバー状の生物がいた。
それは、中心部に黄緑色の核のようなものを持ち、下へ下へと延びている。
階段を下りきるまで、さほど時間はかからないように思われた。