PSO2 episode3.5 white enigma 作:earth-N1201
拙いですが、完走できれば良いと思っています。
どうぞ、生暖かい目で読んでいって下さい。
今。目の前に、ヤツがいる。
「殺す。殺してやる…!」
理由は判らない。ただ、目の前の敵を殺せと、心が哭いている。
「どぉりゃああああ!!」
全力で手に持つ武器で切りつけた。が、
ヒュンッ
「ぐぁっ」
軽々と避けられ、カウンターで一撃を喰らった。高速で岩に叩きつけられ、呼吸が出来なくなる。
目の前の敵は強かった。およそ自分では全く敵わないほどに。
「……殺す」
今の一撃で動けなくなるほどの怪我を負っていた。
しかし、そんなこと関係無いとでも言うように、心の叫びは止まらない。
周囲のフォトンが唸り、身体の周りに炎の渦を作り出していく。
「……殺す」
ずでに、頭は動いていなかった。ただ、殺せ。殺せ。と、溢れる殺意に身を任せた。
パシッ
その巨体から繰り出されるパンチを片手で受け止めた。
「…」
身体にまとわりつく炎は次第に身体と同化し、完全に一体化する。
「殺してやる…」
ブンッ
敵の手を掴んだまま、真横に投げ飛ばす。敵は受け身をとったが、構わず追撃する。
ザンッ
その巨体を喰い千切るように刃を振るう。
ザンッ
「殺す」
無心で幾度も巨体に刃を突き立てたが、刃を振るっていた細い腕を巨大な手で捕まれ、投げ飛ばされる。
「うぅぐあああ」
再度岩に叩きつけられ、身体を呑み込んでいた炎も消えた。
「う…殺…して…や」
閉じていく視界の中、目の前に飛び込んできた二人の人間と、消えていく敵の姿を見た。
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「ゼノ!」
「なんだ?」
「あんまり速く先に行かないでよ。」
「あいあい。わーってるよ」
「本当にわかってるの?私達の任務は調査なんだから、もっとちゃんと周りを確認するべきよ。」
「もう見慣れた場所ばっかだけどな」
「確かにそうだけど…」
「なんだってカスラのやつ、俺達にわざわざ依頼したんだろうな。」
「さあ」
私たちはカスラに依頼されて惑星ナベリウスへ来ている。なんでも、突然発生した未知のフォトンの実地調査だとか。
でも確かにゼノの言う通り、この惑星へは何度も来ているし、何か異常があれば直ぐ気づける。
そんなに気を張らなくても良いかも。などと考えてみる。
「あんまり遅いと置いてくぞー」
「あ、待ちなさいよ!」
ゼノはどんどん先へ行ってしまう。昔からのことだが、つくづく困ったものだ。
その直球さはアークスの最高戦力になっても変わらない。まあ、そこが良いところでもあるのだけれど。
「……!!」
「ゼノ?どうし…ムグッ」
ゼノが私の口を抑えつつ指を指した方向を見ると、そこには
「あれは…ダーカー!」
「ああ。ぞれに…」
私はそのダーカーの姿には見覚えがある。
どうみても形状はダークファルスヒューナルそのものだ。
しかし、色が違う。ダーカーは黒っぽい体をしているはずなのだ。だが
「白いな…異常ってのはコイツのことか?」
「倒す…?」
「いや、多分カスラがわざわざ俺達に依頼した原因は十中八九コイツだろ。なら一回帰って報告しよう。」
前言撤回。慎重さもちゃんと備え着けてたみたいだ。
「そうね。このあたりのフォトンの反応を調べて…ん?」
「どうした。」
「あのダーカーの向こうにいるあれって…」
「!子供じゃねぇか!!」
ザッ
ゼノは間髪入れずにそこへ飛び込もうする。
「待って!!」
「なんだ!」
「様子が変じゃない?」
先ほどまで少年に見えていたそれと白いダーカーが戦闘をしているように見える。
「アークスなのか…?」
あの細い体のどこにそんな力があるのか、白いダーカーを少年は投げ飛ばした。
その時点で大分異常なのだが、さらに異常な点がある。
「あの子供にまとわりついてるの、あれフォトンだよな?」
そう。少年の体には炎がまとわりついていた。いや、炎と同化していると言っても良い位だ。
私が知る限りでは、あんなフォトンの反応は見たことがない。どう考えても 異常 だ。
「俺はあんなの見たことねぇな……お前は?」
「私も…テクニックなの?」
ドンッ
次の瞬間、先程まで白いダーカーに攻撃を加えていた少年が吹っ飛んだ。
体にまとわりついていた炎は消えており、相当な怪我をしていた。
ザッ
「エコー!!」
「その子供連れてキャンプシップまで戻れ!!!」
ゼノは少年が吹っ飛ばされると同時に白いダーカーの前に飛び出した。
「分かった!ゼノは!?」
「俺はコイツを引き付ける!急げ!!」
ゼノは強い。任せても問題無いだろう。
「!?」
問題はこっちだ。
「レスタが効いて無い!!」
「なんだって!?」
そう。その少年がせめて動けるようにと、応急処置をしようとしたが、レスタが全く効いていない。
「これじゃあ…」
バッ
「逃げるぞ!走れ!!」
レスタが効かないと分かった瞬間、ゼノは少年を引っ付かんで駆け出した。
私も後ろについて駆け出す。以前ハンターを少しかじったのが良かったのか、先を走るゼノに置いていかれずにすんでいる。
後ろから気配が消えた。
「逃げた?…」
「バカ野郎!止まるな!!」
「!」
しかし反応は無い。
暫く全力で走っていると、キャンプシップが見えてきた。
「ふー…」
「はー…」
キャンプシップに乗り込んが、結局反応は無いままだった。
「本当に逃げたのか?…だとしたらなんで…」
「私達が来たのが想定外だったとか?」
「だとしたら割りと知能が高いな…ダークファルスの可能性がある。」
ダークファルス。アークスの敵たるダーカーの主。
そんなものがホイホイ出てきて貰っては困る。
「深遠なる闇を退けても、ダーカーははびこる…か。」
「それにしてもアイツは何だったの?」
「分かんねぇな…この子供も合わせて、分かんねぇ事が多すぎる。」
この少年は、いったいどこから来たのだろう。なぜ白いダーカーと戦っていたのだろう。
「考えてもしかたねぇ。帰るぞ。」
「うん。…」
多くの謎を残したまま、私達はアークスシップへと帰還した。