なに?また戦争の話が聞きたいだって?……君も中々物好きだね。こんなに熱心に通う子はそうそういないよ。
じゃあ、今日は僕が戦場で戦った最後の日の話をしようか。
あの日、僕の隊は前線に物資を運ぶ補給作戦の最中だった。道中はとても静かでね、いつもなら聞こえてくるはずの戦闘音すら聞こえなかった。だから僕らは「今日は敵さんもお休みかな」なんて言い合いながら前線に向かったんだ。
……その時前線から連絡がないことを不思議がるべきだったんだよ。前線には戦況を随時連絡してくる几帳面な男がいてね、そいつは本来なら1時間半に1回でいい定時連絡を1時間に3回も4回もするやつだったんだ。僕らはそんな彼が連絡してこないのは敵が攻めてこないからだと思ってたんだよ。
けど、その予想は外れていた。僕らが前線基地に着くと、そこは一面焼け野原だったんだ。几帳面な彼のいた建物は鉄の柱だけ残して無くなっていたよ。そりゃあ連絡がないはずだ。
そんな光景を目の当たりにして、口をあんぐり開けて立ち尽くしていた僕らを敵が襲ってきたんだ。奴等はついさっきまでは誰もいなかったはずの場所から、急に飛び出してきた。乗ってきた輸送機は破壊され、隊長は真っ先に殺された。残った隊員達も散り散りに逃げたものの、すぐに捕まって殺されたんだ。
……僕ももうダメだと思ったね。殺されてる仲間を見ないように、振り向かないように、一生懸命走ったんだ。けれど瓦礫で足場が悪くてね、すぐに追いつかれて足を持ってかれた。不思議と痛みはなかったよ。そして、振り向いたらすぐ目の前に敵が立ってたんだ。あの顔は今でも忘れない。すごく不気味で恐ろしい顔だった。
……そんな状況から僕はどうやって生き延びたのかって?……助けてくれた人達がいたんだよ。彼らはどこからともなく現れて次々と敵を殺していった。とても驚いたよ、部隊の中じゃあ1番の実力者だった隊長を瞬殺した敵がまるで歯が立たなかったんだからね。
いくら補給部隊って言っても前線基地に物資を運ぶ部隊の隊長は一流の軍人から抜擢されてたんだ。その隊長でさえ彼らには赤子同然の強さなんだろう。
そして彼らは僕の足の傷を手当てしてくれたんだ。その時になって初めて痛みを感じたよ。助けられて、余裕ができたんだ。
僕は手当てしてくれた女性に聞いたんだ、「あなた達は誰ですか」ってね。そしたらその女性はこう言ったんだ。
……私達は、「キメラ・ロード」だってね。