ぼっちは語れない   作:苺ノ恵

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六月最後の投稿です!

それではどうぞ




第十二話:ボウケン

 

 

 

 

 

 

トゥルルルルルルルル~♪

 

トゥルルル~♪

 

【ヴァンパイアがあらわれた!】

 

はちまん

H 8

M 8

L 8

 

たたかう

にげる

ぼうぎょ

どうぐ  ◀

 

どうぐ  ◀ あきかん さいふ 

 

【はちまんはつかえるどうぐがないことをさとった】

 

たたかう

にげる  ◀

ぼうぎょ

どうぐ  

 

にげる  ◀ 【さくしゃのふしぎなちからによってにげられない!】

 

にげる  ◀ 【さくしゃのふしぎなちからによってにげられない!】

 

にげる  ◀ 【さくしゃのふしぎなちからによってにげられない!】

 

 

ぜんりょくでにげる  ◀ 【にげられないっていってんだろうが!!】

 

 

たたかう

にげる

ぼうぎょ

どうぐ  ◀

 

どうぐ    あきかん さいふ◀

 

【はちまんはさいふから300えんとりだしさくしゃをばいしゅうしようとした!】 

 

【しかしさくしゃはどうじなかった!!】

 

【はちまんはたたかうあいてがちがうことにきがついた!】

 

たたかう ◀

にげる

ぼうぎょ

どうぐ  

 

こうげき 

じゅもん ◀

ぼうぎょ

どうぐ 

 

じゅもん ◀ ステルスヒッキー 

 

じゅもん ステルスヒッキー ◀

 

【はちまんはステルスヒッキーをはつどうした!】

 

【しかしMPがたりない!】

 

ステルスヒッキー しょうひMP…80000

 

【はちまんはコントローラーをなげすてた!】

 

【___あれ?こまんどがへんかした!?】

 

 

かくごをきめる ◀

 

 

 

 

 

【………はちまんはしぶしぶかくごをきめた…】

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

静寂…。

 

まるで俺がクラスで喋った後みたいなこの空気。

 

キンキンに冷えてやがる…!!

 

…と、冗談の一つでも言えればいいんだが、ご生憎、今の俺にそんな余裕はない。

 

あまりにも余裕が無さ過ぎて、某RPGの情景が脳内を駆け巡ったくらいだ。

 

早くド〇クエの新作やりてーなあ…。

 

そんなことを考えながら、俺は自販機前の柵に背を預けながら前を見下ろす。

 

目の前に立ち塞がるのは一人の少女。

 

キラキラとした光沢を振りまく金髪に、着崩したカッターシャツ。

 

悪戯が好きそうな愛嬌の良い顔に、小動物の耳みたいなヘアースタイルのヴァンパイア。

 

間違いない。

 

あの時のやつだ…!

 

やばい、やばすぎる。

 

なにがやばいって、もうやばい。

 

俺の語彙力もやばいが、なにより気まず過ぎる…。

 

ぼっちは静寂を好むが、こういうタイプの静寂は苦手なんだよ。

 

俺は冷や汗を搔いた手のひらをズボンに擦りつけながら、そっと息を吐きだす。

 

目の前の少女は俺に声をかけて近寄ってきたきり固まったままだ。

 

目を合わせず足元を見てくれているのが唯一の救いだ。

 

それでも…とりあえず近いんで離れてもらってもいいですか?

 

さっきから甘い香りが脳内に襲い掛かってきてたまらんのですわ。

 

俺がプロのぼっちじゃなかったらどうなっていたことか…。

 

そもそも、なんでコイツは俺に声を掛けたりなんかしたんだ?

 

やらかした俺が言うのもなんだが、下着を見られた相手に話しかけるなんてどうかしている。

 

普通、関わらないように避けたり、陰口とかで噂広めたりするだろ。

 

風評は使い方によれば、足がつかず、丁度いいダメージを相手に与えられるからな。

 

ソースは俺。

 

まあ、まだあの日から三日と経っていないわけだが、それくらいのことはあって当然だと思っていた。

 

そもそも、俺にそんな話題性があるのかと問われれば、自意識過剰と返す他ない。

 

自意識の化け物は辛いのだ。

 

…つーか、ホントに何で話しかけた?

 

俺、アレを無かったことにしたかったんだけど。

 

ほとぼりが冷めるまで会いたくなかったんですけど…。

 

最低でも3年くらい。

 

あ…それだと俺は卒業してるからもう会わなくてもいいのか?

 

素晴らしい発想だ。

 

…なんて不毛な時間なんだ…。

 

精神力がガリガリと削られていく中、少女が口を開く気配が感じられた。

 

堂々巡りの自問自答にもようやく終わりの時がきた。

 

「………ねえ」

 

「な、なんでせうか?」

 

俺はどこの幻想殺しだ…?

 

もういい。

 

俺が一言目を噛むのは仕様みたいなもんだ。

 

謎の開き直りをみせた俺は、勢いそのまま視線をぶつけた。

 

さあ、言えよ。

 

怒りか?恨み言か?脅しか?

 

気が済むまで言えばいい。

 

どうせ、これきりの関係だ。

 

これは被害者と加害者のありふれた構図。

 

つまりは合理的な糾弾なのだから、別に何を言われようと心が痛みはしない。

 

俺に痛みを感じられるような心があるのか、正直わからんがな。

 

そして、風によって頬に掛かった髪をその白魚のような手で押さえた少女は、少しばかり眉を下げては言った。

 

 

 

「…怒ってる?」

 

 

 

「_____」

 

 

 

初めてだった。

 

家族以外の人間に顔色を窺われたのは。

 

初めてだった。

 

自分の目を真っすぐに見られたのは。

 

初めてだった。

 

こんなにも優しくて明るい【ひかり】を見たのは。

 

「………どうしt__」

 

自然に口から零れた言葉は、昼休みの終了を知らせる鐘の音に遮られる。

 

少女は俺から離れて背を向ける。

 

離れ際に彼女は言った。

 

「今日の放課後、準備室で」

 

足音が遠ざかる。

 

俺も急いで教室に戻らなければならない。

 

だというのに、俺の脚はその場から動こうとはしなかった。

 

頭の中に渦巻く感情を押さえ込むように、左手で顔を覆う。

 

気を使われた。

 

自分の思うような展開にならなかった。

 

他者に自分のことを思われた。

 

その事実を少しでも、嬉しいと感じてしまった。

 

「……くそっ…!」

 

俺は言葉にできない悔しさを吐き捨てるように、自販機横のゴミ箱に空き缶を投げ捨てる。

 

缶は吸い込まれるように、ゴミ箱の縁に当たり弾き出される。

 

「…面倒くせえ…」

 

足元に転がってくる缶を拾いながら、何かを誤魔化すかのように俺はそう呟いた。

 

ただ、憂鬱ではない。

 

歓喜しているわけでもない。

 

少しばかりの期待が胸中に宿る。

 

どこか、放課後の時間を待ち望んでいる。

 

そんな期待をしている自分がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

五限目は遅刻だな…。

 

平塚先生に叱られる…。

 

やっぱ憂鬱だわ。

 

やはり俺の話は最後まで締らない。

 

 

 

 

 

 




どうも九条明日香です。

二週間ぶりの更新がこんな少量ですみません。

さらに言えば7月は地獄になりそうなので更新できるのか不明です。

私が生き残れればまたここで皆様とお会いできると思います。

それでは仕事に逝ってきます!!

今回も読んでくれてありがとう。

感想待ってます。

それではまたの機会に
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