気がついたら三か月経ってた。
Fateも観ないと!
…ぐだぐだですが、今回もここで暇を潰していただければ。
それではどうぞ。
扉は凄いと思う。
あんなにも薄っぺらな板切れが、時には空間を選り分けプライバシーを守る門番となり。
片や一瞬で途切れた空間を繋ぎ合わせ、新しい世界を広げる創造主にもなりうる。
心の扉にもお世話になりっぱなしで涙がでそうだ。
自分以外の心の扉は全部施錠されてるからな。
つーか、ドアノブ自体がないし。
話を戻そう。
時刻は放課後。
校庭でサッカー部がシャトルランをしている姿が見える廊下の一角で、人知れず俺は迷い続けていた。
生物準備室。
中学の頃…下手をすると小学生の頃から見てきた代り映えのしない簡素な教室の扉はいつも通りの静けさで、俺が取っ手に手を掛けるのを待っている。
あの時、少女は言った。
放課後にここで__と。
どうせ、何かの罰ゲームで俺を呼んだのだろう。
いつも通り、男の淡くちっぽけな期待を嗤われ、詰られ、そのこと如くを否定されるのだ。
中学の頃から何も変わらない。
俺にとって普通のこと。
今更、何を言われようがどうということはない。
それでも俺は、この扉を開きあぐねている。
開けばそれでこの面倒ごとにも片が着く。
時間を効率的に使うのなら、結果が変わらないのであれば、早めに済ませてしまった方が何倍も得だ。
それを分かっていて尚、動かない。
多分これは、恐怖なんだと思う。
信じたいと思った人から裏切られる恐怖。
俺はそれを知っている。
だからこそ俺は___
「…えっと___」
肩を叩かれた。
首を回して振り返った俺に、少女は抱えていた紙パックのジュースを差し出しながら言った。
「とりあえず、中入ろっか?」
「………うす」
なんか敬語になったわ。
とりあえずもう帰りたい。
◇◇◇
俺が開くのを散々躊躇っていた扉を少女は豪快に開け放つ。
受け取ったイチゴミルクを軽く握り直して俺も後に続く。
中に入るといくつかの昆虫の標本や、ホルマリン漬けにされたカエルなどがいた。
カーテンが閉められ、蛍光灯の光だけで照らされた室内は、内装の物品も相まってどこかのゲームで出てくる魔術工房のような雰囲気を感じる。
俺が部屋の中心まで歩みを進めると彼女は扉を閉じた。
幸いにも鍵は開けっぱなしだ。
何が幸いなのかは俺にもよく分からないが、それについては触れないほうが賢明なのだろう。
彼女が椅子に座るのを見て、俺も対面のソファに腰を落ち着ける。
受け取った飲み物をガラス張りのテーブルの上に置いた俺は当たりを見まわし何気なしに口を開く。
「そういえば…高橋先生はいないのか?」
紙パックの角を人差し指で弄っていた彼女は咄嗟にといった感じで答えた。
「あー先生?先生なら一服してくるって言ってたよ?多分三十分くらいは戻ってこないと思う」
「そうか」
それだけ言うと俺は視線を飲み物に固定した。
俺はまだ、こいつを信用しているわけではない。
下手に行動を起こして揚げ足を取られるのは美味くない。
そう考えてじっとしていると視界の端に金髪が映った。
そちらに焦点を合わせると彼女は不思議そうな顔をしながら呟いた。
「ヒッキー君ってさ、もしかして女の子が苦手な人?」
初対面の人間になんてことを聞くんだこのヴァンパイアは!?
因みに例の件はノーカンだ。
パンツみて蹴り殺されるのが顔合わせなんて嫌すぎる。
「…大抵の男はそうだろ?」
やった、噛まずに言えた!!
八幡偉い!!
少し低めの声音になったが今は噛まなかった自分を讃えよう。
「そうなの?…じゃあ、男の人は男の子同士が得意だから…ひまりが持ってたあの本の知識は正しかったってこと…?」
おい。
なんかおぞましいこと言ってるぞこの女。
正しくはこいつの姉妹(?)。
完全に腐ってるだろ。
「曲解するな。異性と話すのは誰だって少なからず意識するだろって意味だ」
「あ~なるほど。そういう意味ね」
「どういう意味だと思ったんだよ…」
「うん?聞きたい??」
「いや、結構です」
「えっとね~実は__」
「誰か通訳を呼んでくれ…」
話してみて分かった。
俺、こいつ苦手だ。
そもそも俺が好意的に思える他人がいるのかも疑問だが…。
飲み物のチョイスがイチゴミルクなのも減点だな。
それでもストローを取り出して液体に口を付けようとしているあたり、俺も人の子だということなのだろう。
みんな大好き甘いもの__か。
マッ缶にはない純粋な甘さは、俺の緊張感を幾分か緩和してくれた。
「それでさ、何が恐怖なの?」
一瞬で心臓が過収縮した。
やめて!不整脈になっちゃう!
「ん?なんのことだ?」
急に目線を外すのは、動揺してると相手に言ってるようなもんなんだよなあ…ソースは今の俺。
少女はニタぁ…と笑うと足を組んで手の甲を顎の下に置いた__ような気配がした。
目線外してるから見えないけど。
「罰ゲーム」
「…」
「男の淡くちっぽけな期待」
「……」
「扉は凄いと思う」
「分かった。幾ら欲しいんだ?」
黒歴史のマシンガントーク。
こいつは最早人間じゃない。
悪魔の類だ!!
あ、そういえば君半分ヴァンパイアだったね!
可愛いから忘れてたよちくしょうめ!!
俺が俯きながら財布を取り出そうとすると、少女は両手を前に突き出して大げさに振りながら俺の奇行を止める。
「ああ、ごめんごめん!そんなつもりじゃないって!ちょっとからかっただけだから拗ねないでよ」
いいや、拗ねてるんじゃない。
死にたくなっただけだ。
「つーか誰がヒッキー君だ。なんか引きこもりみたいだろうが」
「え?だってヒッキー君見た感じインドアだからいいかなって?」
いや、お前その理屈だと地球上ほとんどの人間がヒッキーになるからな?
………え?ならない!?
アウトドアなんてただの都市伝説だとばかり…。
「いいわけないだろ」
「じゃあなんて呼べばいいの?ヒキガエル?」
君なんなの?
どんだけ俺の心を痛めつけたいの?
そういうのはドMにやってやれ。
え?俺?
俺はAだよ。
…いまaloneって思ったやつ絶対許さねえからな?
「そこまでいったら名字でいいだろ…」
「うーん…なんか呼びづらいから、やっぱりヒッキー君でいいや」
「俺の意思は全否定かよ…」
「ということで改めましてヒッキー君」
「何も改まってないだろ」
呆れる俺に少女は言った。
「私の名前は小鳥遊ひかり。今日はヒッキー君にお願いがあってここにお呼びました」
少女…小鳥遊は立ち上がると、俺に頭を下げながら言った。
「付き合って下さい」
俺はAだ。
意味はAvoid
直訳は『回避する』『無効にする』
__というわけで、小鳥遊に対する俺の返事は必然とこうなる。
「行かないけど、どこに?」
小町が俺のことを稔デレと言うのも少しだけ分かる気がした。
どうも、サブタイトルにとあるソシャゲのスキル効果を二つ並べるという蛮行に走っている九条明日香です。
本当にお久しぶりです!
前回更新したのが6月24日なので三か月弱ぶりの更新になりますね。
すっかり寒くなりました。
クリスマスが近づくにつれて憂鬱になります…(絶望)
さて、第十三話ですが会話量を少しだけ増やしてみました。
私自身、人と話すのが苦手なので会話文の不自然な感じがどうしても拭い切れません。
作品のためにも仕事以外の機会で、できるだけ会話するように頑張ってるんですけど…もう心が折れそうです。
百人友達を作るよりも、百人分大切にできる友達がいたらそれでいい…。
(どこかのは〇ないのキャラがそう言っていた気がする…)
ひかりちゃんは私の中では悪戯っ子なイメージなので会話もそれに応じたものになっていくと思います。
八幡には会話でも独白でもツッコミとボケを両立してもらいたいと思います!
(意味の分からない二刀流ごめんなさい)
一つ補足として、冒頭の独白を八幡は独り言として溢していマシュ!
(これ以上は言えない…)
次回の更新は…クリスマス頃ですかね。
独り身(ぼっち)の寂しさを力に変えて、これからもこの作品を綴っていきたいと思います。
今回も読んでくれてありがとう。
感想待ってます。
それではまたの機会に
…と、ハッピーハロウィン!
(一日遅かったーーー!!)