ぼっちは語れない   作:苺ノ恵

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第七話:羞と恥と

 

 

 

『恋は盲目』といった諺がある。

 

《Love is blind》恋におちると、理性や常識を失ってしまうという意味らしい。

 

なるほど。

 

忌々しいリア充共にはもってこいの格言だ。

 

青春とは嘘であり悪であると豪語している俺にとって、この諺はなかなかどうして皮肉が効いている談であるわけだ。

 

別に俺は、恋という一時の勘違いを否定するわけでも、拒絶しているわけでもない。

 

その勘違いが、将来の伴侶を得るきっかけとなる可能性も皆無ではないのだ。

 

ただ、俺という一個人としての、恋愛という誣いては人間という生物に対しての見解が、恋をするという状態における絶対的信頼性の発露を忌避している。

 

つまり、俺は恋というものが酷く恐ろしい。

 

人間は元来、利己的で打算的に動く生き物だ。

 

理性の化け物である俺ですらその例外ではない。

 

それは人類が文明を築き、知性の奔流を多角的に制御することで成しえた一種の財産。

 

悪く言えば、自己保存の完成型だ。

 

俺たちは自我という鏡像自己認知機能を有してしまったため、自分と他者との境界が明らかになっている。

 

だからこそ、自分のことが分からないのだ。

 

自分という存在に気付いてしまったが故に、その意味を探さなければならなくなる。

 

まるで、空っぽの器に何かを注ぎ込むように。

 

浜辺に打ち上げられた流木を積み上げて、一つの作品を作るように。

 

その人に忘れられないように。

 

道に迷わないように。

 

心が壊れないように。

 

その世界で狂わないように____

 

 

そうして、人はコミュニティを作るのだ。

 

他者を観察し、他者に触れることで、その差異を本能的に作為的に盲目的に認識する。

 

全ては自分が自分であるという安心が欲しいために行っている行為にすぎない。

 

さて、話を戻そう。

 

何故、人は恋をするんだ?

 

子孫を残すだけなら生殖行為を行うだけで十分なはずだ。

 

異性という構造と思想を理解できればそれで十分なはずだ。

 

理性という名の揺りかごに覆われたその素晴らしき常識の世界は、安堵するに足りえないものだったのか?

 

自分ではない者の為に、自らの目を潰すっていうのか?

 

はっきり言ってやる。

 

俺は異常だよ。

 

こんなことを考えている時点で普通じゃない。

 

拗らせてると言われればそれまで。

 

厨二乙で大いに結構。

 

でも、これが俺なんだから仕方ねえだろ?

 

俺は、お前たちのようにはなれないし、これからもなるつもりはない。

 

なってたまるかよ。

 

つーわけでまとめだ。

 

 

 

《恋は盲目

 

  

 

 

 

 

 

 

 __盲目でない恋など恋足りえない》

 

 

 

 

なんて、詠ってみたりしてな。

 

まあ、俺には関係の無いことだ。

 

誰かのために目を潰す覚悟なんて、俺にはないのだから___

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 さて、ここでひとつ昔話をしてみよう。

 

 あるところに思春期真っ盛りの男女がいました。

 

 少年は保健室で金縛りに、少女はベットで謎の硬直状態に。

 

 そのあと二人は無事、〇〇しましたとさ。

 

 めでたしめでたし。

 

 

 

 

 

 

 (………はっ!?あまりの安心感に今の状況を昔話風に語ってしまったぜ…。ふっ…またつまらぬことを語ってしまった…。つーか、どういう状況なんだこれは!!?)

 

 寝てる俺。

 

 に、めっちゃ近寄ってきてるJK。

 

 はい、意味が分からない。

 

 たった二行分の内容なのに不思議だね。

 

 心の口調も変わってきちゃってるから一度深呼吸して落ち着こう。

 

 すー…はー…すー…はー…。

 

 

 

 

 ただ、JKの香りを嗅いでるだけの変態じゃねえか。

 

 ちくしょう。

 

 どうせ金縛りで声も出ないんだ。

 

 フルスロットルで欲望を垂れ流してやるぜ!!

 

 目を開けたい!!

 

 薄目だけでもいいから!!

 

 胸元から零れ出る楽園をこの目に焼き付けたい!!

 

 うおおおお!!!

 

 開け俺の右目っ!

 

 すると急に頬から熱が離れる。

 

 言いようの無い喪失感を感じていると、左手の甲に柔らかい感触が押し当てられる。(※ひかりが手を置いただけ)

 

「…おっきい………男の子のってこんな感じなんだ………」

 

 ちょ…ま!!

 

 それアウト!!!

 

 勘違いしたらどうすんだ!!

 

 主に俺が!!!

 

「……………………ぁ…」

 

 …ぁ…って何!!…ぁ…って!?

 

「…もう…我慢できないよ…」

 

 お前もうわざとだろ!?

 

 俺が起きてるの分かってやってんだろ!?

 

 童貞を弄ぶのがそんなに楽しいかこのビッチめ!!

 

「…ちょっとだけなら………いいよね?」

 

 いいわけねえだろ!!!!!

 

 何が「…ちょっとだけ…」だ!!!

 

 ヤるならオールに決まってんだろうが!!(※いい加減にしろや八幡(# ゚Д゚)怒)

 

 …じゃなくて、ダメだからね!!

 

 俺たちまだ高校生だよ?

 

 あれ?

 

 高校生ならいいのか?

 

 ボクボッチダカラワカンナイ

 

 

 

 

 

 ____まずい!!

 

 奴が起動し始めた。

 

 

 お前は大人しくしてるんだMY SON!!!

 

 気持ちは分かるけども!!

 

 不可抗力だって分かってるんだけど!!

 

 お願いだから落ち着いてくれ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 左手を両足の付け根の間に置き、内ももで挟み込むようにして、溢れだしそうな熱と欲求を抑え込む。

 

 ギュッと目を瞑ることで、少しでも外界からの刺激を減らす。

 

 少し上気した頬に、悩まし気に顰められた眉は、この時の私の必死さを如実に物語っていた。

 

 

 

 最初からこうなる気はしていた。

 

 分かっていた。

 

 そうなったらきっと、私がその衝動に抗えないことも。

 

 我慢できなくなることも。

 

 でもそれって、なんだか悔しい。

 

 自分の欲求を満たすためだけに、目の前の相手を蔑ろにするなんて私は嫌だ。

 

 けどね…私…わたしね………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(今、滅茶苦茶トイレに行きたいんですっ…!)

 

 

 

 

 

 

 でも、ヒッキー君のこと先生に頼まれてるし。

 

 目を離してた間に…ってことも…!

 

 あ…ちょっとヤバい…この体勢はダメ。

 

 …よし、こうしたらまだイケる!!

 

 先生お願いだから早くっ…戻って来て!!

 

 ああ!!ヤバい!!

 

 体勢とか関係ないじゃん!!?

 

「…もう…我慢できないよ…」

 

 そもそも何で私はパンツ見られた相手にこんな親切にしてるわけ?

 

 考えたら私まだヒッキー君からごめんなさい聞いてないし…!!

 

 なんかイライラしてきた…!

 

「…ちょっとだけなら………いいよね?」

 

 というかもう限界だから!!

 

 私は意を決して目を開く。

 

 そして________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

(…佐藤先生は大丈夫なのか?今更ながらに心配になってきた…。原因は分からんが俺が声を掛けてああなってしまったのは事実だ。今度、正式に謝罪しよう…。)

 

 それにしても、女性の笑顔というものは、亜人以上に謎に包まれたものなのかもしれない。

 

 本来笑顔は、嬉しさや喜びといった感情から浮かぶ表情だ。

 

 それを他者に怖いと感じさせる女性の笑顔というのは、なかなかどうして興味深い。

 

「いや…まずは比企谷の容体確認が急務か…」

 

 現在、保健室の先生は怪我をした野球部員の診察に行っているため、俺が先に保健室に戻る形になったわけだ。

 

 比企谷の容体もそうだが、ひかりの反省文の進捗状況も気になるな…。

 

「何にせよ、保健室に行けば分かることだ」

 

 俺は廊下の角を曲がる。

 

 すると、急に保健室の扉が開き顔を真っ赤にしたひかりが廊下に飛び出て、慌てた様子で保健室の中を凝視していた。

 

「ひかり?どうしたn___

 

 そこまで言うと、ひかりが凄い勢いでこちらを向き、一拍おいてから両手で顔を覆い、その場から逃げるように廊下を駆ける。

 

「私!!何も見てない!!見てないから~~~!!!!!」

 

 そう言い残して去って行った。

 

「?何の話だ?」

 

 俺は訝し気にしながらも、開けっ放しの扉をくぐる。

 

 机を見ると案の定、白紙の原稿用紙が置かれていた。

 

「はあ…まあ、監督できなかった俺も悪いしな…仕方がないか…」

 

 そして俺は比企谷の容体を確認するために、保健室の奥へと向かう。

 

「比企谷?良かった、目が覚めたんだな。吐き気や眩暈はないか?身体もどこか痛む箇所があれば………」

 

 そして俺は口を閉ざした。

 

 分かってしまったからだ。

 

 ひかりが赤面して慌てていた理由が。

 

 俺は何も見なかったと言わんばかりに比企谷に背を向ける。

 

 そして、そのまま退室する。

 

 夕日に焼かれた廊下は、狂気のように赤かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 瞼を開く。

 

 視線を降ろす。

 

 また目を瞑る。

 

 一人になった保健室で俺は、誰かに懇願するかのようにそっと呟く。

 

 

 

 

「…死にたい…」

 

  

 

 

 

 テント

 

 

 

 それ以上は語らない_____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうも、花粉症で目が充血してる九条明日香です。

この世すべての花粉に災いあれ…!!

さて、第七話なんですが…何だこれ?

書いた私自身、騒然としております…(酷いほうの意味で)

脳みそに鼻水でも詰まってるんでしょうか?

取り敢えず、この話はここで終了です!!

いい加減に町さんや日下部さんを出さないと話が始まりません。

駆け足感が半端ないですが、どうか寛大なご慈悲を…!

次回は町さんが登場する予定です。

今回も読んでくれてありがとう。

感想待ってます。

それではまたの機会に





※お知らせ
ダンまちのお話を現在製作中なので、そのうち投稿したいと思ってます。


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