銀髪の少女…ヴァーリと出会ってからなんやかんやで二年くらいの月日がたった。他の子たちはきっと小学校にでも通って楽しい日々を過ごしていることだろう。そして、俺はヴァーリと一緒に一人の少女の家に居候させてもらっていた。
「……ヴァーリ、ルナさん。ご飯が出来た」
「…うぅん、いっせぇ、おはよー」
「一誠君、おはようございます」
「……今日は、ごはんに焼き鮭、わかめのお味噌汁にお浸し」
「久しぶりの和食だぁ~」
「いつもすみません。私が料理を作れないばかりに」
ヴァーリもルナさんも料理を作ることが出来ない。ヴァーリの場合は見た目はおいしそうな
一方、ルナさんは料理の作り方を知らないだけだった。毎日八時前には家を出るのだが、起こさなければ七時五十分まで眠ってしまうため、必然的に料理を作るのが俺になるのだ。
「……それじゃあ、食べたら水道に置いておいて。あとで洗っておくから」
「はぁ~い!」
「本当にすみません」
家を出てすぐにある枝の上に静かに乗る。やっぱりこの場所に乗っていると心が落ち着くような感じがする。植物に触れてもなぜか死ぬことはないし、ヴァーリとルナさん以外にまともに一緒に居られるのは植物だけ。…あれ、言ってて悲しくなってくるな。
――――――大丈夫?
「……ん、大丈夫。いつものことだから」
――――――忘れないで、私達はいつも一誠の味方だから。
こんな風にハサンは俺に話しかけてきてくれることがある。自分の感情を周りに気づかれないように取り繕って苦しいとき、助けてくれたりする。一つ問題点を上げるとするのであれば、俺に話しかけてくれるたびに、中にいるハサンの数が増えているような気がする。
「……ねぇ、今は何人いるの」
―――――んー、私も含めると五人ですね。
「……最近、変な力が体の中にある気がするんだけど…」
――――――使えるようになってます。ですが、あまり使わないことをオススメします。
ですよねー。彼らは増えるたびに自己紹介のようなものをするのだが、静謐のハサンを含めた三人は『ハサン』という名?のようなものが付いていた。一人は名前を名乗らなかった。というよりは、名前を忘れているような感じがした。最後の一人は『山の翁』とか言うよくわからない存在だった。
「……まぁ、いいけどさ。これ以上は増えないでほしい」
――――――それは多分無理だと思います。一誠の体の中に徐々にハサンが集まりつつありますから。
「……これ以上体質に影響が出ないようにしてほしいね」
現在、静謐のハサンの影響で常に全身が猛毒で、呪腕のハサンの影響で、ふと油断をしたときに右腕が『シャイターンの腕』に変わる。
「……まぁ、二人が傷つかなければ、無暗に使うつもりはないけどね」
いつの間にか俺の中で、二人は大切な存在になっていたようだった。ルナさんが急いで大学に向かう様子を見届けると、家に戻り、皿洗いを始める。…ヴァーリにはさすがに任せられないからね。皿を割る常習犯の彼女にはさ。