最初はIF要素があまりなく、ストーリーもあまり進みませんが温かい目で見ていただけると嬉しいです。
俺白銀刀夜(しろがねとうや)はこれから破軍学園に入学する1年生である。
今日は入学前の学校見学という名目で破軍学園に来ている。寮を確認しに来たとかいくらでも口実はつけられるし、もしかしたら上級生のバトルなどが見られるかもしれない。早速暇つぶしに行ー
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
女の悲鳴!?緊急事態かもしれないので急いで現場に向かっていると痴漢で現行犯逮捕された少年がいた。よく見るとこの学校の生徒で彼はこの後理事長室に連行されるらしい。自分が入学する予定の学校に犯罪者がいるとは世知辛い世の中になったものである。被害者の女性は…ん?テレビで見たような見てないような…
はっ、確かヴァーミリオン皇国の第二皇女だっけか。この破軍学園を首席で入学した天才騎士だとか。
この世界には《抜刀者》(ブレイザー)という人の能力を超越した存在がいる。抜刀者は剣だったり銃だったり自分自身の《固有霊装》(デバイス)と能力を持っている。
抜刀者は強大な力を持つため、力を行使することにはそれ相応の責任が伴う。能力を使えるようになるには正式な魔導騎士にならなくてはならない。
その魔導騎士になるための場の一つがここ破軍学園である。
例えが酷いかもしれないが要するにここは車を運転するのに必要な免許を取るための教習所のような場所である。
で、特にあの第二皇女様なんかはその抜刀者の中でもズバ抜けた能力を持っているらしい。
と、ゆっくり学校見学をしているとその痴漢現行犯と第二皇女様が戦うという話を聞いたので早速その戦いを行うという第三訓練所へ行ってみることにした。
黒鉄一輝VSステラ・ヴァーミリオン。最初はっきり言ってこの試合はステラによるいじめだと思った。能力値だけを見れば一輝の総合ランクはF。身体能力はステラに勝ってはいるものの他は全部が低すぎる。そしてステラの総合ランクはA。全ての能力がお高くまとまっており、能力値だけでは一輝の勝ち筋が全く分からない。
俺からしたらお前のような下級戦士相手にこの超エリートが遊んでやるという状況にしか見えない。
彼には何か勝ち筋があるのだろうか。
「来てくれ。《陰鉄》」
「傅きなさい。《妃竜の罪剣》(レーヴァテイン)!」
今回は模擬戦なので《幻想形態》という人間に対してはダメージを与えないモードで戦いを行なっている。命の取り合いにはならない所は良心的なものだと思う。あとは女を斬りたくないなんてやつはこの形態を使うんだとか。
「それでは、LET's GO AHED(試合開始)!!」
「はぁぁぁぁっ!」
「んっ…」
先に畳み掛けたのはステラの方だった。開幕と同時に剣に炎を纏い、一輝に向かって振り下ろした。対する一輝は剣筋を見切り、最小限の動きで回避した。その直後ステラが振るった《妃竜の罪剣》は思い切り叩きつけられ、この会場ごと揺らした。
「剣で受けずに回避したのは正しい判断だったわね。」
「まさかこれ程の威力を出せるとは…」
一輝は直接の打ち合いでは勝てないと判断し、ステラから距離を取った。だが、ステラは一気に距離を詰め、すかさずその大剣でなぎ払った。
「ッ!!」
やはりステラの魔力は凄すぎる。ステラは魔力を脚に集中させることで加速したのだ。高火力なのに魔力を使えば機動力も更に高くなる。おまけにその魔力は底を知らない。はっきり言ってチートレベルである。
ステラの攻撃を紙一重で避けていく一輝だがステラは攻撃の手を緩めることなく攻めていく。一輝はただただ防戦一方である。
抜刀者は能力だけの者もかなりいるが、中には剣術などの武術も優れている者もいる。素人目から見てもステラは明らかに後者であることが分かる。
「もうそろそろ終わりにするわよ!」
「君の剣はもう見切った。」
「…え?今、なんて…」
「言葉通りの意味さ。」
一輝はステラや俺も含む生徒達にとっては到底信じられない事を言い、先ほどとは打って変わって攻撃へと転じた。
「くっ!!」
ステラが押し切られた!?ギャラリーがざわめく中ステラは一輝の言った言葉の意味を理解したらしい。
「嘘…でしょ?アンタがその剣技を知っているはずは…」
「あぁ、知らなかった。少なくとも試合前は…でももう理解した。」
「敵の剣技を理解し、その剣術に勝る剣術を編み出せば良い。それを戦いの中で行う。これが僕の剣術《模倣剣技》(ブレイドスティール)だ。 ステラさんの剣技ももう覚えた。ーここから反撃させてもらうよ。」
つまり他人の技を盗んでそれを我流に改造し、敵をねじ伏せるってわけか。魔力を感じないってことは能力ではない…人間も努力を積めば能力とも言えるレベルまで極めることが可能だと言うがその完成形がまさにあれだと思う。だがそんな業が出来るまで一体どのような努力を積んだのだろうか。俺には想像も出来ない。
先ほどの戦いが嘘のように一輝がステラを押している。さすがの事態にギャラリーも動揺を隠せない。
「はぁぁぁっ!」
優れた格ゲープレイヤーは最初のほんのわずかなモーションを見てからジャストガードを決めたり、回避などが可能というらしいが今の一輝がまさにそれだと思う。ステラの動きから行動を読み、的確に対処している。
「はぁぁっ!」
「甘いわよ!」
ステラは一輝にフェイントをかけ、攻撃を回避した。
そのわずかに生じた隙を見逃さず、ステラは一閃を放った。
「太刀筋が寝ぼけているよ。」
「なっ!?」
ステラは自分の剣技はもう通じないと判断し、スタイルを変えたのだがそれでも一輝には届かなかった。
よくよく見てみると一輝は柄で剣を受けていた。普通こんなことが可能な動体視力など常人にはない。
「君は勝ちを焦りすぎた。この程度の剣なら僕にも受け止められる。」
無防備になったステラに一輝は《陰鉄》を振り下ろした。
だが、ステラは魔力によるバリアを張っていた。これはとてもシンプルな話で剣が魔力を纏えば攻撃力は上がるし、ダメージを受ける場所に魔力を集中させれば威力はかなり落とせる。一輝の魔力ではステラの魔力には届かなかったのだ。
「アンタの力…認めるわ…本当はこんな勝ち方は気が乗らないけど…」
「最大の敬意をもってアンタを倒す。」
「《天壌焼き焦がす竜王の焰》(カルサリティオ・サラマンドラ)!!!」
もはや光の柱…と呼ぶに相応しい程の炎が振り下ろされた。
「僕の最弱(さいきょう)を以って、君の最強を打ち破る。」
魔力が急に増えた…?いや、それはない。魔力というのは所謂才能が左右するものであり、こればかりはどうにもならない。だとしたらあれは…
ステラは光の剣で一輝を止めようとするが一輝は消えたと錯覚する程の速さでステラに詰め寄った。
「な、なんなの!?その力は!」
「これはただの身体能力の増加だ。僕はこの能力を全力で使っている。」
まさか…人間は猛烈なハングリー状態に追い込まれた時に生存本能が外れる。これらは火事場の馬鹿力などと呼ばれているがもし一輝はそれを意図的に行ったのだとしたら…?
「《一刀修羅》…」
「天才だって努力している…そんな天才を超えるには…修羅になるほかないんだ。」
一輝がステラを斬り伏せて全ては終わった。
物凄く密度が濃い試合を見てしまった。正直勝てる自信などない。同級生にこんな凄い人がいたとは。
それが破軍学園で一番最初に見た試合だった。
時はあっという間に過ぎ、入学式が始まった。
言いたいことは分かります。ごめんなさい。
アニメ1話とほとんど変わりません。
この話はプロローグなので大目に見ていただけると嬉しいです。
次回からはストーリーに動きがあります。
それでは!最後まで閲覧していただきありがとうございます。